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魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~

作者:雪月花
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第12話『出張任務』

 sideカリム・グラシェ









 それは、ある日の出来事でした。仕事をしていた私の所に本局から緊急の連絡が入りその内容を聞きどうしたものかと悩みながら筆を動かす。


シャッハ「失礼します、騎士カリム」

カリム「あ、シャッハ」

シャッハ「ご休憩の時間ですよね?お茶をお持ちしました」


 そう言うとシャッハが紅茶をポットからカップに注いで渡してくれる。
うん、今日のお茶も良い香りね。


シャッハ「ところで、先ほどの緊急連絡は何か荒事でもあったのですか?」

カリム「……そう言う事じゃ無いんだけどね」


 私は先ほどの緊急連絡で届いた資料をモニターに映してシャッハに見せた。
シャッハは「ああ」と言ってその資料を見て納得していた。


カリム「管理外の異世界でのロストロギア発見の報告。本局の方から回って来た依頼なんだけどね。どうも、遺失物管理部の調査課も機動課も人手が足りないみたいなの」

シャッハ「それで、機動六課に依頼ですか…、六課はレリック専門なのに」

カリム「レリックの可能性も捨てきれないからって。正直、六課はあまりミッドから動かしたくないんだけど…騎士団もすぐに動かせる部隊も無くって」

シャッハ「なるほど……派遣先は?遠くの世界なんですか?」


 そう言えばまだ確認してなかったわ。


カリム「え~と………え!?」

シャッハ「この世界って……」









 魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
 第12話『出張任務』









 sideカズマ・キサラギ









カズマ「はぁ……はぁ……すいません……そろそろ……限界…なんですが…」

シグナム「それだけ、喋れるのならまだいけるだろ?」


 現在、俺は室内訓練場でシグナムさんと向かい合って木刀を構えている。この前の……あの、白凰との戦闘以来徹底的に接近戦をたたき込まれている。
しかも、シグナムさんとマンツーマンで……もう、毎日毎日死にそうですよ。この前の訓練の時なんて本気で殺す位の勢いでやってたよな……はは、思い出したら涙が出てきそうだよ。


シグナム「いくぞ!キサラギ!」


 そう言いながら木刀を振り上げ斬りかかってくる。
俺は、それを最小限の動きで横にかわしながら横腹目掛けて木刀を水平に打ち込むがシグナムさんはそれを寸前で受け止めた。


カズマ「な……!?」

シグナム「騎士は常に相手の一歩も二歩も先を読んで動く…と言っただろ?」










 sideスバル・ナカジマ









スバル「派遣任務……ですか?」

ティア「しかも、異世界に?」


 訓練の終了後私とティアはなのはさんと並んで隊舎の廊下を歩きながら教会から要請された任務の内容を聞いてティアと共に少し驚く。
だって、異世界なんて行ったこと無いんだもん。


なのは「うん、決定事項。このまま、緊急出動が無ければ2時間後に出発みたいだから。二人ともそれまでしっかり準備をして身体を休めておいてね」

スバル&ティア「はい!」


 いったい何処の世界なんだろう?
少し楽しみかも。でも、お仕事はしっかりやるよ。









 side高町なのは








なのは「さてと、後はカズマくんとシグナムさんに伝えるだけかな。二人ともまだ訓練してるのかな?」


 スバル達と別れ私は一人おそらくカズマくんが居るであろう室内訓練場に向かう。


なのは「オーバーワークはあまり感心しないんだけどなぁ…」


 そう呟き「はぁ~」っと軽く溜息をつく。
まあ、シグナムさんが一緒だからそこまで無茶はしないと思うけど…心配だなぁ……。


 そんなこんなで、室内訓練場に到着してドアを開けようとした時ドアが開き中からシグナムさんが姿を現した。


シグナム「どうしたんだ?高町」

なのは「あ、シグナムさん。さっき、教会からの通信で出張です。任務の詳細は送ってあるので確認しておいてください」

シグナム「ああ、了解した。悪いが中で倒れている奴にも伝えてもらえるか?」

なのは「はい。そのつもりです」


 シグナさんは「頼んだぞ」と言って歩いていった。
その後、中を覗くとカズマくんが身体を大の字にして倒れていた………やっぱり、予感的中…。









 sideカズマ・キサラギ









 ほぼ全体力を使い切った俺はシグナムさんとの訓練後終了と共に訓練場の床に仰向けで倒れ込む……てか、マジで死ぬ…。
シグナムさんは相変わらず息一つ乱さずに「今日はこれで終わりだ。しっかりと休んでおけ」と言って訓練場を出て行った。


カズマ「……まったく、化け物か?あの人は……」

なのは「そんなこと、言ってるとシグナム副隊長に怒られるよ?」

カズマ「え!?あ、なのはさん」


 体を起こして声のした方を見るとなのはさんがこちらに向かって歩いてくる。


カズマ「どうしたんですか?わざわざここに来るなんて」

なのは「まあ、任務の連絡なんだけど……その前に」

カズマ「ふぇ!?」


 俺の前にしゃがみ込んだ、なのはさんはいきなり両手で俺の頬を掴んで引っ張る。


カズマ「いひゃい、いひゃいれふ(痛い、痛いです)!なのはひゃん(なのはさん)!」

なのは「いつも、言ってるよね?オーバーワークは絶対に駄目だって……。もうやらないって言うなら離してあげる」

カズマ「わふぁりまふぃた(わかりました)!わふぁりまふぃたふぁら(わかりましたから)!ふぁなしれくらふぁい(離してください)!」


 半ば強引に了承させられた俺は、少し赤くなっている両頬をさする……地味に結構痛かった。


なのは「よし、それじゃあ緊急の任務が入ったから2時間後ヘリポートに集合ね」


 軽くウインクをして訓練場から出て行った。


カズマ「なんだったんだ?いったい……」









 ◇◇◇◇◇









 ヘリポートに着くとそこにはスバル達がいた。
やれやれ、俺が最後か…。まあ、しょうがないよな2時間爆睡だもんな…。


スバル「あ、遅いよ。カズマ」

カズマ「悪い悪い。少し準備に手間取ってな」

ティア「とか何とか言って、本当は寝坊しただけなんでしょ?部屋に行った時それはもう、二度と起きないんじゃないかってぐらい爆睡してたものね」


 何!?部屋に来てたのか!?もしかしてこいつ……。


カズマ「お前、寝込みを襲うk―――」


 言い終える前にティアの手が俺の頭部をガッシリと鷲掴みにする。
いわゆる、アイアンクローという技だ。そして、徐々に力を込めるティア、それに伴い頭蓋骨がメキメキと音を上げる。


カズマ「あだだだだだだだだだっ!!痛い!痛い!ギブッ!ギブッ!!」

ティア「馬鹿なこと言ってると今度こそ、殺すわよ?」


 今まさにその状態なんですが!?てか、ティア。お前結構腕力あるんだなフロントアタッカーも出来るんじゃないのか?


はやて「相変わらず仲ええなぁ。お二人さん」

ティア「や、八神部隊長!?」


 はやてさんのおかげで解放された。
はぁ~…助かった。
ズキズキと痛む右のこめかみを右手で押さえながらはやてさんの方を向く。
そこには、はやてさんだけではなくヴィータさんや先ほど一緒に訓練をしていたシグナムさんなどうちの部隊の隊長格が勢ぞろいしていた。


エリオ「もしかして、このメンバーで行くんですか?」

はやて「うん。部隊の指揮はグリフィスくんに任せてあるし、ザフィーラがしっかり留守を守ってくれるし」

なのは「それに、未確認とはいえ相手はロストロギアだし主要メンバーは全員出撃って事で」

フェイト「それに、行き先もちょっとね……」


 行き先?そう言えばまだ聞いてなかったな、いったい何処なんだろうか……。


ティア「あの、行き先は何処なんでしょうか?」

はやて「第97番管理外世界現地惑星名称『地球』……。その星の小さな島国の小さな町、日本海鳴市……ロストロギアはそこに出現したそうや」


 ティアの質問にはやてさんが少し間をおいて答える。
あれ?確かそこって……。


キャロ「地球って確かフェイトさんが昔すんでいた……」

なのは「私とはやて部隊長はそこの生まれ」

シグナム「私たちは6年ほど過ごした」


 なるほど、任務もあるけど軽い里帰りも含まれているのか。


はやて「まあ、ある程度の広域に鳴るから司令部も必要やしな」

ヴィータ「と言うことで出発だ。準備は良いか?」

カズマ「はい!ヴィータさん!」

ヴィータ「ん?何だ?カズマ」


 俺はビシッと手を挙げる。


カズマ「ゲームは持って行っても良いでしょうか!」

ヴィータ「………。グラーフアイゼンの頑固な汚れになりたいのなら止めねーよ」

カズマ「すみませんでした…」


 そう言いながら、いつの間にかグラーフアイゼンを構えるヴィータさんに光の速さで土下座をする……なんか最近、土下座が板についてきたような気がする。


なのは「それじゃあ、出発しようか?」

F4人「はい!」

カズマ「へ~い……」









 ◇◇◇◇◇









エリオ「ちょうどこの間、みんなの故郷の話しをしたばっかりでなんか……不思議な偶然ですね」

スバル「あははっ、そうだね」


 ヘリの中でエリオとスバルが楽しく雑談をしている中俺はと言うと。


シグナム「それ以上動くと命はないぞ?それでもいいのなら好きなだけやるといい」

カズマ「いえ……まだ死にたくないですから…」


 ヘリに乗ってから直ぐみんなに隠れて隠し持っていたDSPをしようとしたところシグナムさんに見つかり首元にレヴァンティンを突きつけられている。
なんで俺はこんな所で命の危機にさらされているのだろうか……。


キャロ「第97番管理外世界、文化レベルは…B」

ティア「魔法文化無し……次元移動手段無し……魔法文化無いの!?」

スバル「無いよ。家のお父さんも魔力0だし」


 そう言えばゲンヤさんはミッドの生まれじゃ無かったな。


キャロ「スバルさんはお母さん似なんですよね?」

スバル「うん」

ティア「いや、それは良いんだけど。何でそんな世界からなのはさんや八神部隊長みたいなオーバーSランクの魔導師が―――」

はやて「偶然…と言うかたまたま……な感じかな?」

なのは「私もはやて部隊長も魔法に出会ったのは偶然だしね」

F4人「へぇ~…」


 あの中に俺も加わりたい……。そんな中、シャマルさんがバックから何かを取り出しリインさんに渡す。
あれは……服…か?


キャロ「あれ?リインさん、その服って」

リイン「はやてちゃんのちっちゃい頃のお下がりです」

エリオ「あ、いえ。そうではなくて…」

キャロ「なんか、普通の人のサイズだなって」


 リインさんはなぜか不思議そうな顔をしてから「ああ」っとなにか思いついたみたいだ。


リイン「そう言えばフォワードみんなには見せたこと無かったですね」


F全員「???」


 俺たち全員の頭の上に?マークが点滅する。
それをよそにリインさんは足下に魔法陣を展開させ始めた。


リイン「システムスイッチ、アウトサイズフルサイズ!」


 光がリインさんを包みそしてその光が消えるとリインさんが巨大化していた……って言ってもちっさいんだけど…。
まあ、しいて言うならキャロやエリオと同じくらいだな。そんな事はいいや、さてカメラ、カメラ♪


シグナム「キサラギ、その手に持っている撮影端末を渡せ」

カズマ「……はい」


 またしてもシグナムさんに見つかり渋々、カメラを渡す。
その姿をジト目で見てくるスバルとティア。そ、そんな目で見るんじゃねーよ!


はやて「さて、なのは部隊長、フェイト部隊長。私と副隊長達はちょい寄るところがあるから」

なんは「うん。先に現地入りしとくね」









 ◇◇◇◇◇









リイン「はい。到着で~す♪」


 はやてさん達と別れ俺たちは別の転送ポートからここ、第97番管理外世界『地球』に到着した。
そこは、緑が多く綺麗な湖と大きなコテージが目に入ってきた。ふむ、ミッドとあまり変わらないな。


スバル「ここが、なのはさん達のの故郷……」


 なんかスバルは感動しているみたいだ。でも、何だろうかさっきからここには初めて来たって感じがしないんだが……気のせいか?


ティア「ここは、具体的には何処なんですか?なんか湖畔のコテージって感じですが」

リイン「現地の住人の方がお持ちの別荘なんです。捜査員の待機所としての使用を快く許諾していただけたですよ」

キャロ「現地の方……?」


 その時、俺たちの前に高級車が一台止まる。ティアは「この世界にも車ってあるんだ」と言っていた、当たり前だろ。


?「なのは、フェイト!」

なのは「アリサちゃん」

フェイト「アリサ」


 前に止まった車から金髪のショートヘアーの女性がいきよいよく降りてきてなのはさんとフェイトさんに駆け寄る。もしかして、あの女性(ひと)が現地の協力者なのか?


アリサ「もう、ご無沙汰だったじゃない」

なのは「にゃはは、ごめんごめん」

フェイト「色々忙しくって」

アリサ「私も、忙しいわよ?なんてたって大学生なんだから」

リイン「アリサさん、こんにちわです」

アリサ「リインも久しぶり」

リイン「はいです」


 なのはさん達が各々再会の挨拶をし終えた所でフェイトさんがこちらに向き直る。


フェイト「みんな紹介するね。こちらは、私やなのは、はやての友達で幼なじみの――――」

アリサ「アリサ・バニングスです。よろしく」

F全員「よろしく、お願いします!」

アリサ「うん!」


 そして、アリサさんは俺たち一人一人の顔を眺めて俺と目が合うと近づいてくる。


アリサ「ねえ、あなたの名前ってカズマ・キサラギ?」

カズマ「え!?」


 突然言われたので、驚いたがまあ、なのはさん達の友達なら俺たちの名前を知っていてもおかしくないからな。とりあえず、返事をしておこう。


カズマ「そうですけど……?」

アリサ「ふ~ん…………えいっ☆」

カズマ「!?!?!?!?」

全員「ッ!?」


 突然抱きつかれてその場の全員が目を丸くして驚いている。まあ、当の本人も心臓が止まりそうなんだけどな。そこに、なのはさん達が慌ててアリサさんを俺から引き剥がす。


なのは「アリサちゃん!?何をしてるの!?」

アリサ「いや~、10年前のお返しをと思って……駄目だった?」

フェイト「10年前に逢ったカズマと今のカズマは違うんだからあんまりああ言う事はしちゃいけないよ」

アリサ「わかったわよ。……でも、もう少しだけ」

なのは&フェイト「駄目!!」

アリサ「はい…」


 あそこまで慌てているなのはさん達は初めて見たな。その前に、隣から殺意を感じるのは気のせいだろうか…てか、気のせいだと思いたい。俺の命がどうなるのかは次回をま―――ちょっ、ティア、スバル!拳を奮わせながらそんな怖い笑顔で俺を見るなぁぁーーー!! 
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