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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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第2章:異分子の排除
  第13話「代表決定戦まで・前」

 
前書き
完全オリジナルの小説よりも、中途半端に知識がある二次創作の方が書くのが難しいと最近分かりました。(当たり前ですけどね。)

それはともかく、今回は千冬が関わってきます。(幼馴染なのにいつまでも放置はよくないので。)
ちなみに時間軸はまだ前回、前々回が終わった直後です。 

 


       =桜side=



  教室に戻ると、なぜか山田先生がオロオロしていた。

「山田先生?どうしたんですか?」

  放置する訳にもいかないので、声を掛けるとオロオロしてたのが嘘のように顔が明るくなった。

「良かったぁ!もういなくなってたから、どうしようかと思って...。」

「あの、それで、どうしたんですか?」

「あっ、そうでした!これです!部屋のキーです!」

  そう言って部屋の番号が書かれてる紙とそのキーを渡してくる。

「....って、もう部屋が決まってたんですか?一週間はホテルから通うと思ってたんですけど。」

「そうなんですけど、事情が事情なので、無理矢理決めたそうです。」

  ...会見で危険をできるだけ減らすためにIS学園に通うって言ってたしな。まぁ、納得はした。先生方には少し悪いことしたけど。

「そうなんですか。...けど、荷物は...。」

「...しょうがない。急ぎで手配を頼むけど、今日は諦めた方がいいな。」

「...でしょうね。」

  とりあえず、会社の適当な人に...クロエでいいか。連絡して、荷物を持ってきてもらうように頼んでおく。

「すみません..こちらも急だったので...。」

「まぁ、大丈夫ですよ。」

  いざとなれば想起の拡張領域に入れている生活必需品を使えばいいし。...なんでそんな所に入れてるかって?いや、本来の使い方だし。

「あの、織斑君は見ませんでしたか?」

「あー...あいつなら...。」

  秋十君が言いよどむ。まぁ、嫌いな相手だしな。

「今は多分屋上にいますよ。荷物も机に置きっぱなしなので、いずれここに戻ってくると思います。」

「そ、そうですね。じゃあ私は待っていますね。」

  さて、他に何か聞きたい事は...。

「他に何か連絡事項とかはありますか?」

「あっ、えっと...夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年ごとに使える時間が違いますけどね。...あ、でも今の所篠咲君達は使えません。」

「えっ?どうしてですか?」

  何故か入れない事に秋十君が聞く。

「秋十君。本来はISとは女性にしか動かせない。だから、このIS学園も男性用の設備が少ない。つまり、大浴場は本来女子専用なんだ。...後は分かるな?」

「あー...そりゃ、無理ですね。...って、少ないって事は少しはあるんですか?」

「まぁな。用務員に男性が一人いるから、その人のために一か所だけ男性用トイレと更衣室がある。...その程度だが。」

  その用務員は実は....と、今は別にいいか。

「なるほど...。じゃあ、俺たちもトイレに行く時はそっちに...。」

「まぁ、そうだな。授業に遅れないためにも行く時は急ぎだな。」

  俺たちならそこまで時間的にきつくないだろうけど。

「...他に連絡事項はないですね。では、私は織斑君にキーを渡した後、会議なので...。二人共、寄り道しないで、ちゃんと寮に行くんですよ?」

「了解です。先生も頑張ってくださいね。」

「では先生、さようなら。」

  俺たちはそう言って廊下に出る。...まだ女子達が俺たちを見てるな。

「桜さん、マドカとユーリに会いに行きませんか?」

「お、そうだな。結局会えず仕舞いだったし。」

  そう言う訳なので、早速四組へと向かう。

「....あー...早く慣れないと...。」

「視線か?...俺は、以前から視線を集めてたからな。もう慣れちまったよ。」

  主に容姿のせいでな。何度束と双子って言われたか...。

「...そうですか。」

「っと、着いたぞ。」

  四組に着き、中を覗くと、ユーリちゃんとマドカちゃんが何か会話していた。

「おーい、二人共ー。」

「あ、桜さん、秋十さん。」

  ユーリちゃんが振り返り、俺たちの名を呼ぶ。

「何話してたんだ?」

「いえ、ちょっと....。」

「ユーリが整備室で、更識家の妹さんと会ったんだって。」

  話を聞けば、凍結された専用機制作を一人でやってたので手伝おうと申し出たところ、意地を張ってなのか断られたとの事。また、姉に対する劣等感が自分に似てるとの事らしい。

「それで、何とかしたいと思って....。」

「なるほどね....。」

  色々と思う所があるんだろう。

「....俺らのような、優れちまってる奴らが口出しできる事じゃないな...。秋十君やユーリちゃんみたいな、かつてその子と同じような気持ちを味わった人じゃないと。」

「そう...ですか...。」

「まぁ、ユーリちゃんのやりたいようにやればいいよ。」

  ユーリちゃんは優しい。だから、悪いことにはならないだろう。

「...分かりました。」

「.....あ、お兄ちゃん、部屋ってどこなの?」

  ちょっとしんみりした感じだったので、マドカちゃんが話を切り替える。

「あー、えっと...1024号室だな。桜さんと一緒だ。」

「へー、私は1020号室だよ。ユーリも一緒。結構近いね。」

  それぞれ二人で同じ部屋のようだ。

「じゃ、そろそろ行くか。先生に寄り道しないように言われたし。」

「そうですね。」

  そうして、俺たちは寮に歩いて行った。





「じゃ、私達はこっちだから。後でそっちに遊びに行ってもいい?」

「おう、いいぞ。」

  マドカちゃんとユーリちゃんは一度部屋に行ってから後で俺たちの部屋に遊びに来るようだ。...他の女子達に変に噂されなきゃいいが...。

「...って、なんで隣の部屋のドアは穴だらけなんだ?」

「さぁ....?俺にも分かりません。」

  隣...1025号室のドアは何か内側から突きだされたような穴があった。

「ま、いいか。俺たちも部屋に入ろうか。」

「はい。」

  部屋に入り、鞄を置く。

「風呂場に簡易的なキッチン...ベッドやテレビとかも...さすがIS学園。」

「設備もそれぞれが綺麗ですし...。凄いですね。」

  まぁ、金を掛けてるからな。これぐらいは普通だろう。

「しかし...早くても明日まで、どうやってここで...。」

「あぁ、それなら...。」

  想起の拡張領域から日用品(部屋にあるもの以外)を取り出す。
  中には予備の服もあるからこれで大丈夫だろう。

「...そう言えば、宇宙進出のためのISなんですから、生活必需品を入れるのは普通でしたね。」

「正確に言えば、日用品を入れるのも少し間違ってるけどな。」

  本当は宇宙を開拓するための道具を入れるからな。

「まぁ、これで凌げるだろう。」

「ありがとうございます。」

  すると、俺のケータイが鳴った。...クロエからか。

「【もしもし?クロエか?】」

【桜さんですか?荷物をまとめたので、今からでも送り届けれますが...。】

「【早いな。そうだな...頼むよ。】」

  早いに越した事はないからな。

【わかりました。では...。】

「...との事だ。」

「さすがクロエですね。」

  束もいるからな。よくよく考えれば早くてもおかしくないな。

「お兄ちゃ~ん、桜さ~ん!来たよー!」

「...マドカも来るのが早いですね。」

「そうだな。」

  ユーリちゃんの少し疲れたような声も聞こえてくる。

「とりあえず、入ってきてくれー。」

「はーい!」

「お、お邪魔します...。」

  マドカちゃんはノリノリで、ユーリちゃんは遠慮がちに部屋に入ってきた。

「適当に寛いでくれ。キッチンに何かないかなっと...。」

  二人を秋十君に任せ、俺はキッチンにある棚などにお茶とかがないか見てみる。

「ちょっとしたおもてなしの分はあるのか。じゃ、これで。」

  紅茶のパックを使い、四人分の紅茶を淹れる。

「へー、アミタさんとキリエさん、いつの間にここの先生に...。」

「あー、そういえば聞きそびれちゃったなぁ...。」

  戻ると、部屋にある机の所で三人は雑談していた。

「あ、桜さん。桜さんはアミタさん達が先生になってる理由って知ってますか?」

「ん?ああ、知ってるよ。なにせ、先生になるように言ったの俺と束だし。」

  俺がそう言うと三人とも驚きはしたがすぐに納得の表情になる。

「会社でやる事が少ないって言ってたからな。....あんま驚かないんだな。」

「なんか...どんな事も束さんと桜さんがした事なら納得いくようになりましたから。」

  なんじゃそりゃ。解せぬ。

「...後30分程したら食堂に行くぞ。そろそろ夕食だし。」

「わかりました。」

  俺たちは紅茶を飲み、しばらくしてから食堂で夕食を取った。





「...よし、じゃあ1024号室に運んでおいてくれ。秋十君もいるし、大丈夫だろう。」

「分かりました。」

  夕食後、クロエが荷物を持ってきたので、俺が立ち会い、寮に運んでおいてもらう。

「俺はするべき事があるから。」

「はい。...頑張ってください。」

  クロエと一端別れ、すぐに服を着替えてあるモノを頭に付けてから屋上へと移動する。

  







  IS学園の屋上で、私は空を見上げながら佇んでいた。すると、屋上の扉が開かれる。

「....そこで何をしている。」

  織斑先生...いや、ちーちゃんがやってきた。まぁ、チラッと私の姿が見えるようにして誘導したからね。来るのは分かってた。

「何って...待ってたんだよ?」

「私をか?...それで、ここへ何の用だ()。」

  少しばかり殺気を混ぜて言ってくるちーちゃん。...そんなに私って厄介?

「...ちーちゃんさぁ、いつになったら戻ってくるの?」

「戻る?なんの事だ。」

「今表に出ているお前には関係ないよ。紛い物。」

  ちょっと敵意を混ぜてちーちゃんにそう言う。

「...ほう、私が紛い物だと?」

「当たり前じゃん。本物のちーちゃんはあっ君の事を溺愛してたし、さー君の事も覚えてる。...なのに、今のお前からはそれらが感じられない。それどころか、あんな本当の紛い物を溺愛してしまってる。....本物な訳ないじゃん。」

  言葉を言い切ると同時に顔を少し横にずらす。
  すると、寸前まで顔があった場所を出席簿が掠めて行った。

「危ないなぁ...。私じゃなかったら当たってたよ?」

「当然だ。当てるつもりで放ったからな。...そんな事より、私があんな“出来損ない”を溺愛してただと?冗談にしても笑えんな。それとさー君とは何者だ。私は知らん。...そして何よりも...。」

「っ...!」

  ヒュッと振られる出席簿を少ししゃがむ事で回避する。

「一夏の事を紛い物呼ばわりだと?思い上がりも大概にしろよ?」

「思い上がりもなにも、事実だよ。」

「はっ、お前こそ前まで溺愛してた癖に、よく言えたものだな。」

  目の前にちーちゃんの膝が映る。...膝蹴りだ。
  上体を逸らし、そのままバク転に移る事でそれを回避する。

「当たり前じゃん。だって、あの時の私も紛い物だったのだから。」

  “それに”と言って近寄り....

「その私がさー君だと、気づかないだなんてねぇ?」

「なっ!?束!?」

  ちーちゃんの後ろにあった物陰から“私”が出てくる。

「本当のちーちゃんなら、さー君の変装だって気づけたはずなのに。」

「変装...だと?」

「自己紹介の時に声真似が得意だって言ったはずなのにな。」

「お前は....!」

  声と口調を戻し、千冬にそう言う。...案外演技は楽しかった。

「あ、でもあの時のちーちゃんも完全に騙されてたっけ?」

「あの時の驚いた顔は面白かったな。...後が怖かったけど。」

  ちなみに竹刀(篠ノ之家の道場から借りてた)で追いかけまわされた。
  いやー、束と二人で謝りまくらなきゃ、たんこぶでは済まなかったな。

「っ....なんだ...前にも、こんな事が.....。」

「あれ?これだけで思い出しかけてる?」

「そんな印象深い記憶だっけ?...まぁ、元に戻せるからいいけどさ。」

  ...もう少し後押しが必要だな。

「さぁ、さっさと戻ってこい。千冬。」

「ちーちゃんがいないと、せっかく三人で交わした約束が果たせられないよ。」

「約...束.....?」

  かつて束が言った事であり、俺たち三人で誓った事...。

「“絶対、三人で宇宙へ...無限の成層圏へ行こう!”...ってな。」

「...ちーちゃんがいないと...三人じゃないと、ダメだよ。」

「ぁ.....ぁ.......。」

  俺たちの言葉によろめく千冬。頭も抱えている事から、洗脳に抵抗してるのだろう。

「さー君!」

「任せろ!」

  千冬に手を翳し、洗脳が解けるように念じる。
  すると、束やマドカちゃんの時と同じように光に包まれる。

「っ...ぁああああああ!!?」

「ちーちゃんの珍しい絶叫!一応録音しておこう!」

「結構大事な事してるのにお気楽だなおい!?」

  俺の事信じてるからこその行動だろうけどさ!
  後で殺されそうだな...。

「ひぶっ!?」

「あ。」

  光の中から出席簿が振られ、束の側頭部に当たる。

「た~ば~ね~...!何をしてる...!」

「嘘っ!?私もまーちゃんも気絶したのに、なんでちーちゃんは無事なの!?」

「思い出している間に貴様が変な事をしでかしてたからだ!」

  光が収まり、さらに執拗に束を殴ろうと出席簿を振う千冬。

「もしかして怒りだけで気絶しずに済んだ!?ちーちゃん凄すぎ!?」

「ついでにさっきの騙しで昔の怒りも再燃している!その分も叩かせてもらう!!」

「理不尽!?」

  うわぁ....。さすが千冬というべきか...。

「桜!貴様もだ!覚悟しておけ!」

「げっ....。」

  俺も便乗していたため、ロックオンされる。
  逃げねば.....!







「はぁっ、はぁっ、こ、今回は私を正気に戻してくれたのだから、これぐらいで許してやる。」

  知らなかったか?ブリュンヒルデからは逃げられない。
  ...まぁ、逃げたのだが案の定二人仲良くしばかれました。

「ひぅ~...痛いよちーちゃん...。」

「束...洗脳という人の一大事にふざけるからだ!」

  ちなみに、束は録音という事もあってか俺よりもしばかれていた。

「...まったく、桜、貴様はまさかあの演技のためだけに女装をしたのか?」

「そうだが?」

     スパァアン!

「二度とやるな。いいな?」

「おーぅ.....。」

  出席簿の出す音じゃねぇな...。いてぇ....。

「いや、理由はあるんだよ。千冬の洗脳を解くには、印象深い思い出を示す必要があったから、とにかくインパクトの強い思い出を...。」

「ほう...。つまり、私が怒ると分かったうえであんな事を....。」

「....あっ。」

  振り上げられる出席簿。...これは避けられんな...。

     スパァアン!!

「着替えてこい。」

「へーい...。....見るなよ?主に束。」

「私限定!?」

  有無を言わさない声色で言ってきたため、素直に二人から離れて物陰で着替える。
  ちなみに着替えは想起の拡張領域に入れておいた。

「ふふふ...そう簡単に引き下がる束さんじゃないよさー君!」

「ああ。想起に干渉して俺の裸体を撮ろうとするのは分かってたから、対策プログラムを組んでおいたし。ついでに認識阻害も。」

「ぬわーっ!?これじゃぁ、見れないよ!?」

  案の定、束が覗こうとして来たため、予め用意しておいた束対策で全て防ぐ。

「ほい、着替え終わり。さて、軽く説明するか。」

「そうだね。」

「ようやく本題か...。待ちわびたぞ。」

  千冬に束と二人で一通り説明する。...まぁ、一部の事は隠したままだけど。
  説明したのは洗脳に関する事と原因が織斑一夏だという事。...まぁ、秋十君達にも説明した内容だな。あ、洗脳自体はもう使えない事も伝えておいた。

「―――...なるほど。納得もいくな。」

「この私だけじゃなく、ちーちゃんにまで手を出してるからね。....制裁は私達に任せてよ。ちーちゃん。」

「....分かった。任せよう。」

  今までにないくらい恐ろしい雰囲気を出しながら言う束に、千冬も素直に従う。

「千冬は今まで通りに身内贔屓なしに教師を続けていればいいよ。」

「そうか。わかった。...だが、私も私情を挟んでしまうかもしれないぞ?...洗脳と言う暴挙に出た以上、普通に接する事ができる自信がない。」

「その時はその時だ。」

  むしろ偶に私情を挟んで織斑一夏の思い通りにならない方がいいしな。

「それじゃあ、私は帰るねー。」

「....束、相変わらず技術力が高いな...。桜もいるからか?」

  束がとあるリモコンを取り出してボタンを押すと、何もなかったはずの場所からニンジンの形をしたロケットが現れる。

「さー君と協力した結果だよこれは。さすがに私一人じゃまだ作ってないかな...。」

「IS学園の設備でさえ一切感知されないステルス機能に、認識阻害か...。」

「...見ただけで大体察する千冬も大概だけどな。」

  千冬の言った通りニンジンロケットにはそういう機能がついている。

「じゃあねー。」

「見逃すのは今回だけだ。次からは侵入者として捕まえるぞ。」

  束は再度リモコンを押し、ロケットが見えなくなる。...まぁ、飛び立つ際は少し景色が歪むから千冬とかなら見えてしまうけどな。

「じゃあ、明日から改めて頼むよ。織斑先生?」

「....正直、お前には教える事などないのだがな..。」

  いやいや...一応、俺は義務教育終えてないんだぞ?独学で十分だけどさ。

「その...だな。私はお前が事故に遭って、束が治療していた事は知っていたんだ。...だが、正直治るとは思えなかった....。」

「........。」

「....だから、桜、お前と再会できて、嬉しかった....!」

  涙を流しそう言う千冬。...束が引っ掻き回したので誤魔化されていたけど、長年会ってなかったも同然だもんな...。

「...ったく、千冬が泣くなんて似合わない事やめろって。」

「っ.....。」

「....また、剣道とかで競い合おうぜ?」

  手を差し伸べ、そう言う。千冬は俺を少し驚いたような目で見た後....。

「...ああ。負けないからな?」

「何を。こっちこそ、十年以上の空きがあるが、負ける気はない。」

  ...こんな感じこそ、俺たちらしいな。

「じゃあ、俺も部屋に戻るか。」

「そうだな。....秋十に会うには少し心の準備が必要だ。洗脳が解けた事を伝えるだけにしてくれ。」

「分かった。...じゃ、また明日。」

  そう言って俺も千冬と別れて部屋に戻る。





「戻ったぞー。」

「あ、桜さん。どこに行ってたんですか?」

「ん、ちょっと野暮用で屋上にな。」

  部屋に戻ると、秋十君がクロエによって持ってこられた荷物を整理していた。

「(敢えて千冬の洗脳を解いた事を黙っておいた方が、判明した時面白そうだ。)」

  そう言う事で俺は敢えて何をしていたのかはぐらかす事にした。

「...そうですか。あ、桜さんも整理を手伝ってくださいよ。」

「お、そうだな。」

  ...と言っても、既にほとんどが整理されているのでさほど時間はかからなかった。

「明日から、念のために代表決定戦の対策を練るぞ。」

「はい。...と、言っても基本やる事なんて変わりませんよね?」

「まぁ...そうだな。」

  秋十君はとにかく素振りとかしておけばいいし、アリーナの使用許可が下りれば模擬戦とかもするからな。セシリア・オルコットや織斑一夏の機体も既にどういうものか大体知ってるし。

「ブルー・ティアーズ...BT兵器による多方向からの攻撃だけど....正直、ユーリの誘導弾の方が厄介なんですよね。」

「ユーリちゃんの場合は偶に十個程の誘導弾を使ってくるからな。」

「接近戦もマドカやラウラで相当鍛えられて....あれ?」

  あ、秋十君が対策の必要がなさそうな事に気付いた。

「ま、まぁ、とりあえず対策をするだけしましょうか。」

「そうだな。」

  とりあえず、秋十君は多方向からのレーザー攻撃の回避を練習する事にした。
  ...正直、ユーリちゃんを相手にするのと変わらないんだけどね。

「あ、そうそう。秋十君。」

「はい、なんですか?」

「...俺とも戦う事、忘れてないよね?」

  とりあえず模擬戦までどんな特訓をしようか考えていた秋十君が固まる。

「....一応聞いておきますけど、手加減は...。」

「する訳ないだろう?」

「ですよねー...。」

  苦笑いしながらそう言う秋十君。

「...まぁ、やるからには全力で行きますよ桜さん。」

「おう、どんと来い。」

  最近は秋十君とISで対戦してないからな。結構楽しみだ。

「じゃあ、今日は早めに寝るか。明日から色々するつもりだし。」

「そうですね。」

  その後は順番に風呂に入ってそれぞれベットで寝た。

  途中、マドカちゃん達が乱入してきたけど、まぁ、少し会話したら戻っていったし、特筆する事もないな。







 
 

 
後書き
中途半端ですがここで切ります。
次回はユーリ視点がメインになると思います。

 
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