『殺し、失い、得たもの。』
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『其の日』
舞が来た。
零と桜は、舞がおかしいと察して顔を見合わせた。
桜が聞いた。
『舞、なんかあった?』
零も言った。
『何でも言って!何でもする!』
不安で不安で怖かった。
舞が小声で言った。
『今日ラブホ行く。さっき蓮に待てんって言われた...』
桜が言う。
『解った!そのかわり、場所は連絡して!』
舞は黙って深く頷いた。
舞は泣いてない。
でも、零と桜が泣いてた。
舞に、もしものことがあったらヤバイな2人共。
桜のケータイが鳴る。
舞からのメール。
[蓮が、先にツレとゲーセン行くけん付き合えって]
桜が返信。
[状況変わる時また教えて!気を付けや!近くには居るから!]
暫く経ってケータイが鳴る。
[次カラオケ。知らん人増えた!]
怖い...
どぉしよぉ...
舞、危ないやんなぁ。
2人は考えた。
舞にメール送った。
[蓮のケータイ鳴らす!なんとか気付くようにして!]
蓮にケータイかけながら移動。
尾行は、敏感な蓮は気付くからヤメてた。
カラオケ店に向かった。
偶然は有り得んけん危険。
6回目の発信で蓮は出た。
『なんぞーなんべんも鳴らしてーっ!今カラオケ中やしっ』
『マジで!混ぜてや』
『来るーんっ!また説教とか嫌やしぃーっ』
少し酔ってる感じ。
薬しよらなんだらええけど。
『説教せんし奢るけん!』
『マジっ!奢りならええよ♪マジ説教無しぞっ!!』
『解った!』
とりあえず受け入れたってことは悪企みは無さそう?
桜が舞に報告メール。
[今行きよるけんっ]
舞から返信。
[ありがとー怖かったから嬉しい!待っとくね♪]
妙に不安になった。
とにかく全力で急いだ。
舞の顔見て安心した。
思わず『良かったぁー』って言いそぉになって、慌てて口を塞いだ。
ホンマ無事で良かった。
蓮からは、舞も一緒って聞いて無かった。
だからわざとらしく言った。
『舞♪蓮と一緒やったんやぁ♪あゆ歌ったん?』
舞を挟む様に零と桜が両隣に座った。
ふと、蓮が居らんことに気付いた。
笑えるくらい舞しか目に入ってなかった。
見たこと無い人に対して零が聞く。
『蓮とは何仲間?』
『くすりぃー♪』
『あー、ねぇ』
『アンタ零やろ?』
『何で知っとん!』
ケラケラ笑われた。
『蓮が、俺を説教できるんは零しかおらんって言ってた』
『手ぇかかるやろ、蓮。昔のが可愛かったで♪』
『手ぇかかるやろ、蓮。昔のが可愛かったで♪』
『最近知り合ったけんのぉ』
蓮が戻ってきた。
『早っ!もぉおるしぃっ!』
『せやろ♪何でも頼み!』
『ほな酒とツマミ追加ー♪』
『はいはぁい』
桜は、場を盛り上げた。
零は、皆に解らんように舞の背中さすったり手ぇ握ったり。
会計済まして今からどぉするか聞いた。
すかさず蓮が言う。
『今日は舞貰うけん邪魔すんな!おまえらは帰れぇーっ♪』
舞は、覚悟を決めた表情に。
別れた後ホテルの名称だけの本文が届いた。
2時間経っても連絡は無い。
蓮、ムチャクチャな事しよんかな...
舞、辛くて連絡出来んのんかな...
不安で不安でたまらんかった...
ふと桜が言う。
『周りの連中にってことは...』
別れ際のことを思い出す。
皆、蓮と舞とは離れてたけど、同じ方向だった。
桜が慌てて舞のケータイにかける。
ホテルに向かう。
ホテルの人に舞の写真見せたけど見てないって。
駅に向かった。
他校の制服がバラつく中、舞を探した。
見当たらん。
桜は舞のケータイ鳴らし続ける。
聞き覚えのある着メロ。
零と舞が大好きな、あゆの...
嘘やん...零は桜を見た。
桜は泣いてた。
悪い予感しかせん。
桜は一旦ケータイを切った。
また鳴らす。
響いてるのは目の前のトイレの中。
零も涙が流れてた。
鍵は閉まってる。
桜がまた舞のケータイを鳴らす。
間違いなく、目の前の個室から流れる。
何が起きた?
あらゆる想像をした上で、どれなんや?
で、舞はどんな状態なんや?
まず、生きててくれなアカン!!
どぉしたらえんや!!
此は現実なんか?
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