ソードアート・オンライン 『アブソリュート クイーン編』
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第1章-リンクスタート-
第5話『アニールブレード』
「このゲームが始まって1週間か……。」
キリトはふと呟いた。
「そーだね。今日もレベル上げ頑張らなきゃ!」
始まった頃は昔を思い出し、少し不安定だったアスナだが、キリトがそばに居てたことで数日後には元気なアスナに戻っていた。
キリトのレベルは13。アスナは11まで上がっていた。
「アスナ…今日はお願いしたいことがあるんだ。」
「ん?どうしたの?キリト君。」
「そろそろ、初期装備の剣じゃ物足りなくて…《アニールブレード》が欲しくて、手伝ってほしいんだ。」
《アニールブレード》…初期段階でかなり使える、超優れものの片手用直剣だ。
当時のキリトもこれを愛用していた。
「いいけど、それってクエスト報酬だっけ?」
「あぁ。あの頃は簡単だったけど、多分今回はそうはいかなさそうだな…。」
この数日で受けてきた簡単なはずのクエストも、以前とは比べ物にならないほど難易度が上がっていた。
もし、キリトがこの世界でもソロプレイヤーにこだわっていたなら、今頃ゲームオーバーになっていたかもしれない。
朝食を食べ終えた2人は、早速《アニールブレード》を入手できるクエストを受けに行った。
クエスト内容は想像通り、難易度の高い収集クエストであった。
「出現率0.1%のアイテムを収集するのは…かなり骨が折れるな…。」
「気合だよ!頑張ろう、キリト君。」
アスナの声かけに、やる気を出すキリト。
2人はひたすらドロップするはずの大型モンスターを狩り続けた……。
……夕方になる頃、キリトはレアアイテムをなんとか入手できた。
「これでようやく《アニールブレード》が手に入る。手伝ってくれてありがとうな…アスナ。」
「どういたしまして。でもさすがに私も疲れちゃったよ…。」
1日中モンスターを狩り続けたおかげで、2人のレベルは2ずつ上昇していた。
(キリトのレベル15。アスナのレベル13。)
「クエスト報告して、今日は宿屋でゆっくり休むかぁ。」
キリトの言葉に賛成とばかり、アスナの足が早まる。
「よし、クエスト報告完了!」
キリトは早速装備一覧を確認していた。
《アニールブレードSSS》
ー…ん?何だこの『SSS』は…。ー
見慣れない装備名に性能値を確認する。
「な、なんだこれは…!」
「ど、どうしたの?キリト君!」
キリトの驚く声に、逆に驚かされたアスナが聞き返す。
武器の性能値は通常の《アニールブレード》よりも遥かに跳ね上がった数値になっていた。
ークエストの難易度が上がっている分、レアな武器も手に入る仕掛けになっているのか…。ー
確信が持てた訳ではないが、キリトはそのような解釈をした。
「でも、いい武器が手に入ってよかったね!」
アスナは、キリトが欲しかった装備以上にレアリティの高い装備を手に入れて喜んでいる姿を見て、嬉しそうにそう言った。
「あぁ。早速試したいところだけど、今日は疲れたし、明日改めて試してみよう。」
キリトがそう言い、アスナの手を握る。
ちょうどその時、メッセージのマークがキリトに現れた。
「メッセージ…誰からだ……?」
キリトが確認すると、そこには《ディアベル》の文字が浮かび上がった。
〈本文〉
やぁ、キリト。元気かい?
実は明日、第1層ボス攻略会議を開こうと
思っているんだ。ぜひ、君にも参加しても
らいたい。場所は第1層《トールバーナ》
で、時間は13時に集合だ。よろしく頼む
よ。
「ついに第1層のボスか…。」
「うん…。前の時では、私とキリト君が初めて出会ってパーティ組んだ時だね。」
アスナの言葉に懐かしい記憶が蘇る。
あの頃はたまたまパーティを組んだ少女が、
後に愛しい人になることなど、キリト自身にも想像しようがなかった。
「あの時はまだぎこちない連携だったけど、今の俺たちならいい連携でボスに挑めると思う。」
「ふふ。私も同じこと考えてたよ。」
疲れた体とは裏腹に、アスナとの和む会話に心が癒されていく。
「何にせよ、明日に備えないとな。」
キリトとアスナは宿屋に帰り、早めの夕食を取り、明日のボス攻略会議に備えるのであった。
第6話に続く
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