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ソードアート・オンライン 『アブソリュート クイーン編』

作者:KJ!
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第1章-リンクスタート-
  第4話『NPC』

最悪のデスゲームが始まってから半日。

太陽が昇り、眩しい光が宿屋の窓から照りつける中、キリトは目覚めた。
ベッドは2つあったが、キリトの横にはまだスヤスヤと眠るアスナの姿があった。


ー昨日の夜、眠れなくて俺のベッドに入ってきたんだな……。ー


アスナを起こさないように気をつけて、キリトはベッドから起き上がる。
昨日の時点で、キリトは既にレベル2になっていた。


ーユイを捜さなきゃいけないけど…今は少しでもレベルを上げておくか…。いざとなれば、アスナのことも俺が守れるようにならないとな……。ー


キリトはそんな想いを胸に宿屋から出て、フィールドに向かった。


新しい街にはまだそれほど多くのプレイヤーが到達できていなかったが、元βテスターたちの何人かはたどり着いていた。


ー以前、SAOクリアした時に生き残った人数が約6000人。…つまりこの新しいアインクラッドでは6000人のプレイヤーがいるということか……。ー


キリトは狩りをしながら、そんなことを考えていた矢先、中ボスクラスのモンスターが一気に10体ほど現れた。


ー…これが、進化したカーディナルシステムのやり口か…!ー


本来なら逃げるべきだが、安全マージンをきちんと確保きていたあの時の感覚を取り戻せていない状態であるため、無謀にも突っ込んでしまった。


1体…2体……3体………


次々にモンスターをなぎ倒すキリトの背後から、4体同時に攻撃が繰り出される。


「くっ…ヤバいっ…!」


キリトのHPゲージは3分の1を切っていた。
回復結晶を取り出している時間はない……。

死を覚悟したキリトは目を瞑る。


…だが、モンスターが追い討ちをかけてこなかった…。


「大丈夫?怪我はないかい?」


その声かけにキリトはゆっくりと目を開ける。

そこには、いるはずのない人が立っていた。


「君が倒してくれたのか…?」


キリトの問いかけに「うん」と答える。


ーこの顔立ちに髪型…ディアベルだ…。ー


「助けてくれてありがとう。俺はキリト。」

「どういたしましてキリト。僕はNPCのディアベル。よろしく!」


ーNPC?…『ノン・プレイヤー・キャラクター』…カーディナルが死んでしまったSAOプレイヤーたちもデータとして復元したということか…?ー


そう考えるキリトに、ディアベルは話し出す。

「NPCと言っても、意思があるんだ。僕たちは元々このアインクラッドで生活をしていたんだけどね、あくる日お告げがあったんだ。“アインクラッドに宝玉あり。その宝玉を最上階に持ちし者に永遠の富と名誉を授ける。”ってね。」

ディアベルの話した内容に疑問があったキリトは尋ねた。

「宝玉っていうのは、何か宝物なのか?」


すかさず、ディアベルが答える。

「いや、宝玉の実態については誰も知らないんだ。」


ー最上階に届けるように言われた宝……カーディナルの狙い……つまり、ユイのことだな。ー


キリトがこの答えに行き着くまで、時間はかからなかった。

「まぁ、宝玉を見つける前に僕たちは最上階はおろか、次の層にも行けないんだけどね。危険なモンスターが次の層への道を閉ざしているんだ。」

各階層にはエリアボスが設置されており、それを倒さなければ、次の階層には行けないシステムになっていた。
以前と同じ仕組みだが、恐らく新しいカーディナルシステムはエリアボスの強さもかなりの上方修正をしていることだろう。


「さて、僕はそろそろ行くよ。待たせている人がいるんだ。」

ディアベルはそう言うとキリトの元を離れようとする。


「ちょっと待てディアベル…フレンド登録しないか?」

「もちろんさ!」


フレンド登録を行ったディアベルは、颯爽と行ってしまった。


ー元SAOプレイヤーの死者もNPCとしてこのゲームに参加している。…つまりゲームの参加者は以前と同じで1万人ということか…。ー

キリトはそのような考えを抱きつつも、剣をしまい、アスナの待つ宿屋に帰るのであった。


第5話に続く 
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