緋弾のアリアGS Genius Scientist
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イ・ウー編
燃える銀氷
35弾 敵の名を告げる白い雪
教務科棟内部、その廊下にて。
「よい、しょっと」
俺はアリアを『たかいたかい』していた。
何故こうなったかという事情を話すのはとても困難だが、それでも気力を振り絞り頭をフル回転させてなるべく分かりやすく説明しようと思う。
実はこの学校には既にイ・ウーの人間が潜入していて、白雪を脅しアリアをおびき寄せアリアに精神年齢を肉体相応にまで下げるという恐ろしい呪いをかけ、その結果アリアは完全に幼女になってしまい俺に『たかいたかい』をねだったのだった――――なんてことはもちろんなく。
ただ単に天井の更に上にあるダクトに運んでるだけだったりする。
アリアが懸垂の要領でダクトに入る。どうでもいいけど白雪とかだったら絶対無理だよなあれ。体の一部が邪魔でつっかえる。その点アリアはぺったんkゲフンゲフン。
なんでもない。俺は何も言ってないし思ってない。
……誰に言い訳してるんだ俺は。
まあとにかく先にダクトに上がったアリアに続き俺も昇り、二人で移動を開始する。もちろんただのダクトがそんな広いわけもないので匍匐前進である。どうでもいいけどこれが白y(ry
「……なんか今、変なこと考えなかった?」
「何のことやらまったく分からないな。心当たりが無い」
危なっ!?本当にアリア相手だと一時も油断できないな。
その後は小声で無駄話を交えつつ、サクサクと進んでいった。やっぱりアリアは匍匐前進が得意なのかー(棒)。
で、目的の場所に着いた。
「ミズキ」
「どれどれ」
先行していたアリアが合図してきたので俺も近づいて、通気口から室内を見る。
「ひゃっ!?み、ミズキ!?あんたもうちょっと離れなさいよ!」
「仕方ないだろこうしないと見えないんだから。少し我慢しててくれ」
というか近づいただけでそんなに嫌がることないじゃないか。泣くぞコラ。
「い、イヤってわけじゃなくて……む、むしろ嬉しいって言うか恥ずかしいって言うか」
何やらゴニョゴニョ言ってるアリアは一旦放置して、俺は改めて中を見回す。すると――――いた。
長い黒髪を携え、少しシュンとなってる白雪。と、もう一人。
「星伽ぃー……」
女にしては低めの声。肩口で切り揃えられた黒髪。そして年中ラリってるみたいな目と法的に色々アウトな煙草。
2年B組の担任して尋問科の教諭、綴梅子である。
「おまえ最近、急ぅーに成績が下がってるよなー……」
室内なのに真っ黒なコートをだらしなく羽織ったままの綴の腰には、黒革のホルスターに収めれらた漆黒の拳銃、グロック18。
相変わらず危険人物です、と自己主張しているようなスタイルだ。流石、半端なくヤバイ武偵校の教員の中で蘭豹とタメを張って危険度ランキング二、三位を争うだけのことはある。
で、そんなヤバイ奴は尋問科――――その名の通り尋問を主に学ぶ学科の教諭だったりして。更に本人も日本で五本の指に入る尋問のスペシャリストだったりして。
白雪が無事に帰れるか、激しく心配になってきた。
「まぁ、勉強はどうでもいいんだけどぉー……あー、アレ。変化。そう、変化は気になるんだよねぇー……」
小学生でも知ってるような単語を一瞬でも忘れかけちゃ駄目だろ。そんな危険な成分マシマシの煙草なんて吸ってるから馬鹿になるんだぞ。売ったの俺だけど。
だんまりしたままの白雪に呆れたのか、綴はかぶりを振って再度。次は少し具体的な質問――――尋問をした。
「ねぇー、単刀直入に聞くけどさァ。星伽、ひょっとして――――アイツにコンタクトされた?」
その言葉に白雪は身体をビクンッと震わせ、諦めたように言った。
今回の事件の黒幕を。俺達の今回の敵の名を。
「――――魔剣、ですか」
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