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迷子の果てに何を見る

作者:ユキアン
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第五十二話

 
前書き
頭が痛くなる。本当にあのぬらりひょんは何を考えてるんだ?
by零樹 

 
修学旅行 三日目 その2

side 零樹


「はあああぁぁ、せいやあああぁぁぁ」

タトバキックを決めヤミーがセルメダルとなって崩れさる。今使っているセルメダルは父さんが作った贋作でいつか本物を手に入れて研究してみたいと言っていたので忘れずに全て回収しておく。セルメダルを拾い終わると他の皆も大体が決着が付いていた。ていうか鶴姉達グロンギを倒しちゃってるよ。後は戦い慣れていない君尋と上級アンデットの相手をしているレイフォンだけだ。

「君尋、押さえつけといてやるからとっとと決めろ」

君尋が相手をしていた魔化魍を後ろから羽交い締めにする。

「ごめん、すぐに決めるよ」

音撃弦の鬼石を魔化魍に当てて

「音撃斬、雷電斬震」

おい、こら君尋。雷電斬震なんか使ったら僕まで感電するだろうが。
すぐに魔化魍を放して雷電斬震の範囲から逃げ出す。
次にレイフォンの援護に回る。といってもやる事は一つだけ。

「これを使え」

剣のパワーアップアイテムであるラウズアブソーバーを投げ渡すだけだ。

「ありがとう」

レイフォンはそれを受け取ると鋭太郎がトリガーマグナムを取り出し時間を稼ぐ。その隙に素早く二枚のカードをラウズアブソーバーに通す。

『ABSORB QUEEN』
『EVOLUTION KING』

次の瞬間、身体のあちこちにラウズカードに描かれている紋章が張り付き装甲が金色になっていき、最後にブレイラウザーもキングラウザーへ変化する。そして紋章からカードが5枚飛び出しキングラウザーがそれを読み取る。

『10 J Q K A』
『ROYAL STRAIGHT FLASH』

レイフォンとアンデットの間に5枚のカードが現れ、それを通過してキングラウザーで一閃する。ついでとばかりにその一閃も焰切りだったりする。

「はぁ、キングフォームって結構疲れるんだね」

変身を解除したレイフォンが地面に倒れる。

「おい、大丈夫か」

直ぐさま鋭太郎がレイフォンを抱き起こすが気を失っているのか何の反応も示さなかった。

「零樹、どうなってるんだ!!」

「くそ、たぶん拒否反応だ。レイフォンの奴、よっぽど適合率が悪かったんだろうけど、それを隠して無理矢理戦った上にキングフォームを使った影響で身体がボロボロになってやがるんだ」

「そんな、嘘だ「まじめにこのままじゃ不味い。本山に連れて行くぞ」マジかよ」

「鶴姉、ここは任せます」

「分かったから、早よ本山に連れて行き」

鋭太郎と二人でレイフォンを担ぎ、本山まで転移する。

「こっちだ、急げ」

本山の医務室に連れて行き緊急治療が施され、一命を取り留める事は出来た。治療が済んだ頃には姉さん達も本山に戻って来た。

「何か慌ただしいようだけど何かあったのかしら」

「さあ、僕と鋭太郎は今までレイフォンの治療を手伝ってたから特に知らないんだけど。鶴姉達は何か知らないの?」

「ウチらが出るまでは何も変わりなかったで」

「とりあえず長か、木乃葉様に事情を聞くのが一番かと」

「そうね、そうしましょう」

とりあえず奥にある居住スペースに足を運ぶと丁度本山の護衛をしている方々が一人の少年を地下牢から連れ出している所だった。

「!!何でリー「誰が名前で呼ぶ事を許可したかしら」ひぃっ」

「それで一体何の用でここに居るのかしら」

「あっ、あの僕は、関東魔法教会から関西呪術協会への親書を」

そこまで聞いた時点で頭が痛くなる。本気でそれを言っているのか?周りを見ると護衛の人たちは微妙に分かっていないみたいだが姉さん達は全員頭を抱えている。少年は何故僕らが頭を抱えているかが分かっていないようだ。

「……ありがとう、もう行っていいよ。それから長に奥で休んでいるとだけ伝えておいて」

「「はっ」」

連れて行かれる少年を無視して居住スペースの広間に着くと全員で溜息をつく。

「零樹、戦争になったら保護してくれ」

「それよりもアリアドネーに来ないか」

「それも良いが手続きがめんどうだ」

「いや、アリアドネーに、ああMMから無所属になるのがめんどくさいのか。分かった、父さんに連絡しとくよ」

「頼んだ…………あのぬらりひょんは一体何を考えてやがるんだ」

「何でも自分の思い通りになると考えてるんじゃないか」

時が止まった様に皆の動きが止まる。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

『否定できない』

それがここに居るメンバーの総意であった。


side out





side ???


「ここに例のアレが」

「そうやで。この大岩の中にかの『教授』ですら倒せへんかった物が封印されとる」

「なるほど、協力感謝するよ。天ヶ崎千草」

「かまへんよ。これで西洋魔術師に恨みを返せるんやから。そやけどできるだけ西には絶対に手ぇ出すんやないで。その時は地獄を味会わせたるさかい」

「分かっているさ。僕達の目的はあくまで『形なきもの』なんだからそれ以外に興味は無いね」

「ならさっさと儀式に入り、いつ本山の連中に気付かれるか分からへんで」

「問題無いね。今頃は僕の仲間が本山を襲撃している頃さ」

「!!阿呆、早よ儀式を始め」

「何を焦っているんだい」

「本山に気付かれた以上そのお仲間はとっくの昔にお陀仏や」

「そんな馬鹿な事、あり得ないね。彼らは一人一人が最強クラスなんだから」

「それはあんたらMMの基準や」

「……何故僕らがMMの所属だと知っている」

「…………それ、本気で言っとるんか?はぁ〜、やっぱり阿呆ばっかやな。とりあえずそのお仲間に連絡とってみいや」

言われた通りに念話を使うが、誰も応答しない。まさか本当に全員やられたというのか。

「時間を稼いで来るさかい早よ儀式を終わらしい。30分位しか持たへんよ」

そう言って、おそらく瞬動を使ってここから離れて行った。全く反応できない速度でだ。まさか、彼女は僕達より強いのか?いや、そんなはずは無い。僕らは最強のはずなんだ。僕の前も死んだとはいえ、『形なきもの』に深手を負わせているはず。そう僕達より強い奴が居るはずが無いんだ。


side out 
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