迷子の果てに何を見る
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第五十一話
前書き
しつこい人は嫌われますよ。
by零樹
修学旅行 三日目 その1
side 零樹
「というわけでやってきましたシネマ村」
「どうしたんです零樹君?いきなりそんな事を言い出して」
「いや、神(作者)がそう言えとかいう電波が」
「昨日の宴会で疲れたんですか?」
「そんなことはないと思うのですがそんな痛い子を見る様な目で見ないで下さい。いえ、やっぱり疲れているのかも知れませんね。今、見てはいけないものを見てしまった気がしますから」
素手や布や指パッチンでロボットを倒す年配の方々なんて見てませんよ。
「むっ、何やら強者の臭いが」
ちい、中身は戦闘狂か。気付かれない様にとっととシネマ村に入りましょうか。
「さて、シネマ村に来たからには衣装を借りるのは基本ね。それぞれ自分に合っているものを借りなさい。これは命令よ」
というリーネ姉さんの厳命により着替えてみたんだけど。
リーネ姉さん 姫
刹那姉さん 侍
茶々丸 侍従
千雨さん 巫女
木乃香さん 姫
アリスさん 忍
僕 忍
鋭太郎 陰陽師
レイフォン 侍
君尋 侍従
戦闘の際のバランスがもの凄く良いな。リーネ姉さんが後ろで命令しながら刹那姉さんとレイフォンが人から、千雨さんと鋭太郎が魔から姫を守り、茶々丸と君尋がリーネ姉さんと木乃香さんの身の回りの事を行なって、僕とアリスさんが情報斥候等をこなす。
時代が時代なら国を取れ……現代でも可能ですかね?
「大体はイメージ通りだけどなんでアリスは忍装束なの。それも素顔を隠す頭巾まで用意して。せめてくのいちにでもすれば良いのに」
「師匠にそういう風に鍛えられているので。くのいちの様に女を武器にしないでも戦える様に仕込まれたので隠密性や機能性を考えるとこうなっちゃうんですよ。リーネさんだった重装備じゃないですか。ぱっと見た感じで130枚位符を仕込んでるじゃないですか」
「備えあれば憂い無しって言うでしょ。それより顔位は出しておきなさい。零樹もよ」
「「了~解」」
素顔を隠す為の頭巾を取り外しそのままシネマ村を見て回るのだが。
「見事に避けられているというかなんというか」
「アレじゃないですか有名人が集まっているのを見て周囲に集まってくるみたいな」
「そんな感じですね」
折角衣装を纏っているのだからその役らしく振る舞い、見て回った結果周囲に人だかりが出来、それでも進路の先は開けてくれているので見学には問題はないのだが事務員と間違われたり、一緒に写真を取って欲しいと頼まれたりと別の問題は色々とあった。そして更なる面倒事が発生する。
「どうも~、神鳴じゃなかった、ウチらは東の洋館の貴婦人です~。今日は今までの借金のカタで「金子ならここにあるからこれで帰れ」……今日は今までの借金のカタで「こら無視するんじゃない、月詠。あと、鶴姉と素姉、あんまり似合ってないよ」「ああ、やっぱりそう思うんやね。それから迷惑にならん様にはしてあるさかいちょっと付き合ったってえや」「……分かったよ。姉さん達も良い?」「別に構わないわよ。いえ、ここは役に沿って命じましょう。目の前の敵を葬りなさい」「御意」むぅ~、放置プレイは嫌どすぅ~、昔みたいに愛し合「どうゆう事ですか零樹君」「それについてはちゃんと説明させてもらうから殺気を抑えて、とりあえず30分後に日本橋で良いな。さらば」「ちゃんと話してもらいますよ」
とりあえず忍っぽく瞬心の術を使いその場から離れる。それからアリスさんに事情を説明したり、色々と準備をしているとすぐに時間になってしまったので姉さん達に合流して日本橋に向かう。途中姉さん達のクラスメイトが一緒になったみたいでかなりの大所帯になっているが道が勝手にできるので楽に行く事が出来た。日本橋に到着するとどこからともかく椅子が差し出されるのでそれに姉さんと木乃香さんが腰掛け、茶々丸が日傘をさし、君尋がお茶とお菓子を用意して他の人たちは観戦モードに入る。さりげなくシネマ村全体に麻帆良にある認識阻害の結界が張られ舞台となる橋と城から人が離れていく。そして、約束の時間ぴったりに馬車が対岸に到着しゴスロリ服を着て刀を持った月詠と鶴姉、素姉が降りて来る。
「ちゃんと来てくれはったっ!!」
月詠の話の途中でアリスさんが手裏剣を投擲しそれを月詠が持っていた小刀でたたき落とす。
「やはり使い慣れない手裏剣では速度が落ちますね」
「話の途中で襲いかかるんはどうなんどすか」
「何を言いますか。私達はルールに則った上で戦っている訳ではないでしょう。まあ、開始時間は過ぎているので問題は無いと思いますけど」
そう会話をしながらもアリスさんは手裏剣を投げ続けている。
「小手調べはこれ位にして本番を始めましょうか」
その言葉と同時に僕はあらかじめ橋の裏側に仕掛けておいた爆薬を点火させる。その爆炎にまぎれて僕とアリスさん対月詠、残りのメンバーという風に舞台を分ける。昨日の雪辱戦の為に色々と鋭太郎とレイフォンにアドバイスはしてあるので簡単にはやられない様になっているはずだけど、この勝負は僕達がどれだけ早く月詠を倒せるかにかかっている。
「どっちが前衛をしますか?」
「私が行きます。零樹君は援護を」
舞台を城の屋根へ移し、本気で駆ける。だって黒目に反転してるんだもん。神鳴流を修めるとなぜか本気を出すと目の黒と白が入れ替わる反転現象が起こる。そして反転すると強さが約1.2倍になるという一種のリミッター解除が発生する。
「いつもなら苦戦するだろうけど今回は違う」
そう、いつもとは違い今回は自分と似た戦闘スタイルのアリスさんがいる。修行も二人で行なっていたから連携するのも容易い。元から戦闘力はこちらの方が上で二人掛かりという事もあり30秒足らずで月詠を撃破し鋭太郎達の援護に向かおうと下を見下ろすと銀色のオーロラが現れたのが見えた。
「また鳴滝さんか」
「あの人もシツコイですね」
とりあえず怪人達が出てくる前に合流は出来たので出てくるのを待つ。
そしてグロンギ、アンノウン、オルフェノク、アンデット、魔化魍、ドーパント、ヤミーが一体ずつ現れる。
「さて、僕はヤミーの相手をします、鋭太郎はドーパントを、レイフォンはアンデットを、残りはどうします?」
「私はオルフェノクの相手をします。零樹さん、ファイズを貸して下さい」
「私がアンノウンの相手をします」
「ほんならウチらはグロンギ?とか言うのを抑えといたるさかい」
「となると魔化魍が残るね。君尋、ちょっと手伝ってくれる」
「ええっ、僕が!?」
「弦楽器が使えるなら問題は無い。何事も経験だ」
「ああ、もう分かったよ。変身音弦を貸して」
「ほらよ。レイフォンは何に変身する」
「剣で」
「ほらよ。刹那姉さんは」
「持っています」
「なら行きますか」
鶴姉と素姉以外が変身用の道具を装着する。ぱっと見た感じそれほど強いとは感じないのでタカ、トラ、バッタのコアメダルを装着する。
「「「「「変身」」」」」
かけ声と共に6人のライダーが姿を現す。アギト、ファイズ、剣、斬鬼、ジョーカー、オーズが一同に揃った事で観光客が騒いでいる。
「とっとと終わらせるとしますか」
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その頃関西呪術協会の敷地に武装したままで侵入しようとする愚か者が一人居た。
「この先が関西呪術協会か。よし、早くこの親書を届けよう」
先の桜通事件に折られアリスの手元にある本物の杖と違い、本人は気付いていないが外見だけが同じそこそこの杖で武装し、風の精霊による肉体強化と魔法障壁を展開しながら少年は奥へと進む。
10分程進んだところで突如として6人の剣士に周囲を囲まれ太刀を突き付けられる。
「即刻この場から立ち去れ。ここは関西呪術協会の本部だ」
「立ち去らないというのならこの場で切り捨てる」
今までの人生に置いて命の危機に曝された事のあるはずのネギだが殺気の籠っていない太刀に完全に怯えきっていた。これが麻帆良に来た頃のアリスであろうとここまで無様な姿を曝す事は無かっただろう。此所に来て現実を見ていないが故の弊害が出て来た。
「何か喋ったらどうなのだ」
何も行動を起こそうとしないネギに対して剣士の一人が殺気を軽く込めて怒鳴りつける。たったそれだけだったがネギが気を失うには十分の事だった。剣士達は倒れたネギから武器になりうる物を全て奪った上で物理的、魔術的に縛り上げ関西呪術協会の地下牢へと連行した。
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