ソードアート・オンラインーもしもあの時、サチが死ななかったらー
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ALO Ⅰ
Extra Edition
第44話
前書き
前回の続きから行きます。原作も1部参考にします。
再び所変わって、和人達。
智代『それで、どこから話せば良いのでしょうか?』
菊岡『まず始めの日、茅場先生がデスゲームを宣言した日から聞かせて貰おうか。』
和人『では……』
まず智代は、どこから話したらいいのか菊岡に聞いた。その問いに菊岡は、最初の日すなわちデスゲームが宣言された日からと答えた。これを聞いた和人と智代は語り出した。
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時系列はおよそ2年半近く前の11月上旬まで遡る。場所は【浮遊城アインクラッド】の第1層^はじまりの街^。その転移門(当時は第1層迷宮区は攻略されていなかった為、転移門とも言えなかった。)前の広場。
そこにSAOにログインしたおよそ1万人のプレイヤーが集まっていた。そしてその中央には、赤いローブで身を包んだ茅場が居た。しかし、その顔はローブで隠れて見えない。
茅場『プレイヤーの諸君。我が世界にようこそ。私の名は茅場 晶彦、この世界の神に等しき存在だ。』
『『『『『⁉︎』』』』』
ローブから発せられた言葉を聞いたプレイヤーは、衝撃のあまりに精神が硬直した。キリトもそうだ。この時、キリトの側にはクラインの姿があった。(因みにサチはケイタ達と一緒だった。)
茅場 晶彦とは、VR技術の創始者にして、SAOの開発ディレクターでもある天才量子物理学者。
キリトの憧れ的存在の人物でもある。
茅場『諸君は気付いていると思うが、メニュー欄からログアウト機能がなくなっている。だが、これはシステムの異常では無い、本来の[ソードアート・オンライン]の仕様だ。』
『な、何だって⁉︎』
茅場の言葉に、どこからか男性プレイヤーが声を上げた。このような状況になったらそうするのも無理も無いだろう。
茅場『外部の人間が、ナーヴギアを停止及び解除する事は出来ない。もしそのような事をすれば、ナーヴギアに内臓されたバッテリセルから発せられる高出力の電磁波が、諸君等の脳を破壊して生命活動を停止させる。』
『『『『⁉︎』』』』
クライン『おいおい。タダのハッタリに決まってんだろ?第一、ナーヴギアにそんな大容量バッテリを内臓してる訳……』
キリト『内臓してるぞ、クライン。何せナーヴギアの重量の3割はバッテリセルなんだ。』
クライン『何だと⁉︎道理で重いと思ったぜ。…チョット待てよ、もし大規模停電とかあったらどうすんだ?一体、どうなっちまうんだ⁉︎』
キリト『どうせ本人が説明してくれるさ。』
茅場の更なる言葉を聞いたプレイヤーは再び驚いた。クラインは惑わされないぞと言わんばかりに言ったが、キリトの説明を聞いて驚いた後納得したが、ある仮説を唱えて疑問を感じた。それに対しキリトは、その仮説は茅場 晶彦が答えてくれると言って茅場に見入る。
茅場『もし停電等の理由で機能が停止した場合、それと同時に脳破壊プログラムが実行される。この事はマスコミによって世界中に開示されているが、それを無視した者達が既に存在しており、その者達が行った強制除装により、およそ数百名のプレイヤーの死亡が確認された。』
『『『『『⁉︎』』』』』
2人の言葉に答えるかのように茅場は答え、更に補足説明と同時に告げられた言葉に、プレイヤー全員が言葉を失った。
茅場『そしてもう一つ。このゲームではゲームオーバーとなった場合、ナーヴギアの脳破壊プログラムにより、君等の脳は破壊される。無論、蘇生機能など存在しない。』
キリト『なっ⁉︎』
茅場の説明により、キリトは思わず声を荒げた。ベータテスト時は、ゲームオーバーとなれば黒鉄宮から再開される事で済んだが、今回は話が違う。しかも、茅場の言葉から察するに、冗談では無さそうだ。
茅場『諸君等がこの世界から解放される条件はただ一つ。このゲームをクリアする事。つまり、アインクラッド最上階の第100層の最終ボスを倒し、ゲームをクリアするだけだ。』
クライン『第100層をクリアするだと⁉︎ベータテスト時はろく上がる事が出来なかったって聞いたぞ‼︎』
茅場の説明を聞いたクラインは叫んだ。無論、クラインの言っている事は嘘でも何でも無い。ベータテスト時は、たった第6層までしかクリアされなかったのだ。それを考えたら、このゲームのクリアの過酷さは誰にでも解る事だろう。
茅場『とはいえ、諸君等には、この世界が現実と捉えていない者達が多いだろう。そこで、私から諸君等にプレゼントがある。アイテムストレージを確認したまえ。』
すると茅場はプレイヤー全員にプレゼントがあると告げた。そう告げられたキリトは、早速ウインドウを操作し、茅場からのプレゼントをオブジェクト化する。茅場からのプレゼントとは、タダの手鏡だった。
≪パァーーッ‼︎≫
すると、キリトを含めたプレイヤー全員が青白い光に包まれて、プレイヤー全員は視界を失われた。
その数秒後に光は消え、プレイヤー全員は元の場所に居た。クラインもキリトの側に居たが、そこに居たのはキリトが知るクラインではなかった。おでこに巻かれた紅いバンダナと継ぎ接ぎの鎧はそのままだったが、目は切れ長から金壺眼,細目の鼻からチョイ長の鷲鼻,頬と顎には無造作にセットされた髭。少し前までは20代後半辺りの若武者のようだったが、今では30代後半から40代前半辺りの荒武者といったところに変貌していた。キリトは自分の姿を手鏡で確認した。キリトのアバターは、キリト自身が作った勇者っぽい姿から、現実の姿に変わっていた。
キリト『お前…クライン?』
クライン『えっ⁉︎確かにそうだが……。待てよ、ひょっとしてお前がキリトか⁉︎』
その直後、キリトは手鏡の意味を悟った。つまり、現実世界におけるプレイヤーの姿を見せる為に手鏡が用意されたのだ。
そして何処かでは…、
『お前ハンサムじゃないのか⁉︎』
『お前こそ女じゃなかったのか⁉︎』
こんな会話があったりした。まぁ、RPGで男性が女性の容姿のアバターを作るなどよくある事だろう。
余談ですが、サチの以前のアバターは、現実の姿を20代前半の美女に変えたようなアバターであった。
クライン『けど、なんでリアルの姿のアバターなんかあるんだ?』
キリト『そうだな。姿は現実さながらだが、実感はポリゴンだし、まるで身体をスキャンしたような……。スキャン?そうか‼︎ナーヴギアは頭部から顔の全体を覆っているから、脳や顔の表面を精密な精度で把握出来るんだ。』
クライン『けどよ、頭とかはまだしも、体格等はどう再現するんだよ?』
クラインは現実の容姿のアバターに姿が変わった事に疑問を感じたが、ナーヴギアの特性を思い出したキリトは、それをクラインに説明した。この説明にクラインは納得したが、体格等について新たに疑問を感じた。確かに、ナーヴギアでも全身をスキャンする事は流石に出来ない。
キリト『多分、体格等は初回のセットアップステージで身体を自分で触ったな。恐らく、その時に、だろうな。』
クライン『そうか、あん時のか‼︎』
この疑問に対して、キリトはすぐに察した。キリトが言っているのは、“手をどの程度動かせば身体に触れるか”といった装着者の体表面感覚を再現する為に基準の値を測る作業の事。これを聞いたクラインはまたしても納得。
キリト『この世界が現実…なるほど、そう言う事か。つまり、この世界が、現実の世界だと証明する為にこんな事をしたって事さ。』
クライン『成る程、そう言う事か。だが、何でまたそんな事する必要があるんだ?』
キリト『どうせ本人が説明してくれるさ。』
この時キリトは、茅場が言った事を理解した。[ソードアート・オンライン]が、この世界が、現実の世界である事を証明する為のものだと。それを聞いたクラインは理解したが、そんな事をするかどこにあるかと疑問を抱いたが、キリトはその答えは茅場本人が答えてくれると言って、2人は茅場に見入った。すると茅場は、2人に答えるかように言った。
茅場『今諸君は、何故と思っただろう。何故私が、茅場 晶彦が、こんな事をしたのかと。その理由は、この世界、[ソードアート・オンライン]を、そして《真の異世界の具現化》の為だ。そして、全ては達せられた。では以上で、[ソードアート・オンライン]の正式なサービスは現時刻を持って終了する。諸君等の検討と幸運を祈る。』
茅場はそう言うと、第2層の天井から下りて来た黒い霧状の塊を身に纏った直後にその場から消滅した。
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時系列を今に戻し、菊岡は一連の話を聞いて呟いた。
菊岡『《真の異世界の具現化》の為かぁ。茅場先生は確かにそう言ったんだね?』
智代『はい、間違いありません。』
菊岡から発せられた問いに、智代は表情を変えずに答えた。
菊岡『それに対して、2人はどう思った?』
智代『言うなれば、茅場 晶彦と言う人間への憎しみですね。』
和人『俺はどうだろうな。恐らく、智代と同じでしょうね。ただ、その時はデスゲームを生き抜く事に集中していて、茅場の考えを見抜く暇なんて無かったですね。』
菊岡の更なる質問に2人は答えたが、和人は更にこう続けた。
和人『けど、俺は…デスゲームを生き抜く為に、クラインを捨てた。』
ーーーーーーーーーー
そして時系列をデスゲーム宣言後まで遡る。
この時キリトは、路地裏でクラインと話していた。
キリト『俺はデスゲームを生き抜く為に、街を出て次の村に向かうが、お前はどうする?』
クライン『俺も行きたいところだが、ダチが居るからな。置いて行く訳には行かない。』
キリトはクラインに一緒に行くか聞いたが、クラインは仲間を置いて行けないと返した。
キリト『そうか…なら仕方ないか。ここで別れよう。何かあったら、メールしてくれ。』
クライン『ああ…お前もな。』
クラインの言葉を聞いたキリトは、そこでクラインと別れる事にした。
クライン『そういやお前、案外可愛い顔してんだなキリト‼︎そうゆう奴好みだぜ‼︎』
キリト『そう言うお前も、結構カッコイイ顔してるな‼︎俺もそうゆう奴は嫌いじゃないぜ‼︎』
キリトは歩き出そうとしたが、クラインの言葉で足を止めた。クラインの言葉に、キリトはこう言い返した。
その後キリトは走り出したが、数歩走ったところで立ち止まり、後ろを向いたが、そこにはクラインはもう居なかった。
キリト『キッ……‼︎』
それを確認したキリトは無我夢中で走り出し、次の村を目指して、道中のモンスターを倒しながら走り続けた。
全ては、デスゲームとなった[ソードアート・オンライン]を生き抜くために……
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一方のサチは、恐怖で怯えるケイタ達を宥めていた。
後書き
今回はここまでにします。次回作は、早ければ今週末か来週始めに公開の予定で行きます。
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