ソードアート・オンライン 結城家の次男は両手剣使いで恋人は黒の剣士
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仮想世界への突入
前書き
自室のベットに寝転び俺はナーブギアに手を突っ込みくるくると回していた。
というのは嘘です・・・・すいません・・・・格好つけました。
実際はナーブギアは重く、とてもじゃないが回すなんて無理だ。
内蔵バッテリーだかが重量をアップしているのだろう。
実際には俺はナーブギアを優しく撫でるように触っている。
こんなヘルメットみたいな形のやつが世界初の民生用VRマシンとは驚きだ。
「姉貴は自室で勉強中、母さんは仕事だし、公式サービスの開始もそろそろだよな~」
家族の行動を確認、安全にSAOの世界へ飛び込むための準備は怠らない。
扉に勉強中というプレートを張り付け誰も入らないようにする。
そしてベットに再び仰向けに寝転がりナーブギアを被った。
そしてまるでお決まりの様に自然とその言葉を放つ。
「リンク・スチャート!」
・・・・・・噛んじまった。恥ずかしすぎる。
もう一度言い直す。
「リンク・スタート!」
そう思った次の瞬間、あらゆる雑音が消え去り俺の視界が真っ黒に染まった。
すると電子音が鳴りアバターの設定をしてくださいと文字列が書かれたウィンドウが表示された。
ここでどうするかが問題だな・・・・
ネットゲーム上の自分自身は勿論自由に作れるがイケメンに変えるのも気が引けるし。
一瞬女にしてしまおうかなどと考えてしまった思考を振りはらう、俺にそんな趣味はないしな。結局現実とあまり変わらないようにした。
ただ栗色の癖っ毛をストレートヘアーに変えはしたが。
名前は俺がまだやって人気のあるオンラインゲームに使っているお気に入りの名前を使う。
ちなみにどうでもいいことだが、俺はそのゲームではまったくの無敗だ。
俺は決めた。そのゲームに使っている名前、ラグナで登録した。
その後も体格、容姿全てを設定し終えると今度は俺の視界が白に染まり数秒間経つ
目を開けるとそこは広場の真ん中だった。
恐らく中世の町並みをモデルにしたのだろう建造物が立ち並び、頭上には白い雲に広い青空が広がっていた。
(きれいな空だ)
あまりのリアルさにしばらく言葉を失い唖然としていたが俺は直ぐに足を進め始める。
一分一秒一コンマでも多くこの世界を遊びつくしてやる。
そんな思いで俺は街中を駆け武器を買って、フィールドへと向かった。
※
「来るなぁ! このイノシシ野郎! 鍋にすっぞ!おい!」
フィールドに出るなりモンスターと遭遇した俺は、「けっ、イノシシごときが人間様をなめんなよ!」と豪語し剣を振りかざしたものの返り討ちにあい逃げ回っていた。
「ちくしょう! よく考えたらソードスキルの使い方とか全然知らねーし!ちゃんと説明書読んどきゃ良かったー!」
俺は色々なゲームではちゃんと説明書を読むタイプだが、初のVRMMOゲームを早くやりたいという衝動に刈られ、ナーヴギアの説明書は読んだが、プレイの説明書を読まずに入ってしまったのだ。
「つーか、いっとくけどイノシシ料理なら最近食ったんだからな! 感想言うと俺は牛の方が好きだ。ザマァみろ!」
データ状の知性の欠片もないイノシシに虚勢を張るも奴は逃げる俺の尻に容赦なく突進をけしかけてくる。
顔面からリアルに再現された芝生へとスライディングし俺は、車にひかれた蛙の様なポーズを取ってしまった。
痛みなどありはしないが、恥ずかしさと怒りの感情がふつふつと膨れ上がった。
こんの野郎・・・・・・こうなったら起き上がりざまに剣でひとつきにしてやる。考えてみたらスキルを無理して使う必要もないだろう。
独自の剣さばきでイノシシの命を絶つ。
そう思い立ち上った瞬間だった。
眼前にイノシシ野郎の平たい鼻面が迫っていた。
「ウソーン!?」
イノシシの突進攻撃に俺は予想以上に吹っ飛ばされそのまま、後頭部から地面に叩きつけられる・・・・
「あ?」
・・・・・・ことはなかった。
体に感じたのは地面の硬い感触ではなく、一部ゴツゴツとしているが人肌を感じる柔らかい感触。
目を開けて知ったがそれは、人間。プレイヤーだった。
「あんた大丈夫か?」
それも凛々しい勇者顔立ちの男。
その男に俺は抱き止められたのだ。
「って、恥ずかしいわ!」
「うお!?」
なんでこんなイケメン面に抱き止められなきゃいけないんだよ! BLか! 腐女子大喜びだぞ!!?
羞恥心を抱きながら俺は跳ねるようにして男から少し離れた。
すると男は、
「あー、い、いきなりごめん。いや、なんというかあんたが今にもやられそうなってたのを見てつい、ね」
「あ、いや別に謝らなくてもいいって。ただびっくりしただけというか・・・うぉっ!?」
このイノシシ野郎、人が話している最中にまで攻撃してきやがった。
俺が剣を構えると男が前に立った。
俺の方をチラリと見る。
どうやらここは任せろということらしい
男が剣を右肩に担ぐように持ち上げ構えると刃が光を帯びた。
そして光を帯びた刃はイノシシの首めがけて放たれた。
見事命中し、イノノシはぷぎーと短い断末魔を上げるとガラス状となって砕け散った。
「すげ~!?今のがソードスキルか?」
俺が感心していると、
「おーい、キリトぉ!」
と軽い感じの声がかかった。
見ると向こうの方から、趣味の悪いバンダナを着け革鎧に身を包んだ男が走ってきた。
「はあはあ・・・・・ひぃ~キリト、いきなりいなくなんなよ! あのフレンジーボアとかいう青イノシシ、全然倒せねーんだけど」
「あ、悪い。他にやられそうになっているプレイヤーがいてつい、な」
キリトと呼ばれた男が苦笑いを浮かべながら自身の頬をかいた。
どうやらこの二人は友人らしい。というかこの赤毛男にレクチャーでもしてやってたのか・・・・・・あ、だったら、
「なあ、俺を仲間に入れてくんないか?」
「え?」
唐突に言ったからかキリトは少し困ったような顔を見せた。
しかしそれに反し赤毛の男は満面の笑みを浮かべグーサインを向けた。
「おう、いいぜ!初心者同士仲良くレクチャーを受けようぜ」
「っておい! 何勝手に決めてんだよ」
赤毛の男に即座にツッコムキリト。
まるで漫才コンビみたいな息のあいかただな。
しかしやはり迷惑だったろうか?と心配になっているとキリトが頭を掻きながら、
「えーと、俺は問題ないんだけど・・・・・あんたはいいのか? 俺なんかが相手で」
「え?」
少し驚いてしまった。
迷惑がられているのかと思ったら、まさかそんな心配をかけられていようとは。
「いやいや、頼んでんのはこっちだからさぁ、別に気にする必要ねーって。むしろ戦いかた教えてくれるんだっつーなら無茶苦茶嬉しい」
「そ、そうか? だったら・・・・まあ?」
キリトは少し恥ずかしそうに手を差し出した。
握手を求めているのだろう。
俺も手を出し、キリトの手を握り握手を交わした。
仮想世界だというのにちゃんと人の体温や感触が伝わってくる。
「俺はラグナだ。よろしく頼む」
「よろしくな。俺はキリトだ。でこいつがクライン」
「おいおいキリト! 名前くらい自分で言わせろよ!」
クラインが笑いながらキリトの頭を掻き回した。
キリトもやめろよと言いながら笑っている。
なんだろう?なんだか懐かしい感じだ・・・・・・・・・
最近はこんな風な光景目にもしなかった。
なんとなく昔を振り返っているとクラインがいきなり背中を叩いてきた。
「うし! じゃあさっさと始めーよぜ!」
元気な奴だな。少しは感傷に浸らせてくれよな。
キリトもこのテンションにはちょっと慣れていないらしい。
苦笑いを浮かべながら、そうだなと言い向こうを指さすと俺にとってとんでもない事実を言い放った
「あっちにもフレンジーボアがいるから、とりあえず行こう。いっとくけどあのモンスター、スライムレベルだからな」
「え、まじで!?」
クラインは初対面でありながら面白い反応を見せてくれた。 それにそらそうだろう。中ボスの敵がこんな所にウロウロしているはずがない。
※
仮想世界アインクラッドに夕陽の淡い光が差し込まれた。
精巧に作られた太陽からなる光はあまりにも綺麗で温かく興奮していた俺の心を落ち着かせてくれた。
それにしてもSAOを堪能している間にいつの間にか晩飯時にまで時間が進んでいたらしい。
草原の上で胡座をかきながら時刻をチェックしているとクラインが歓喜の声を上げていた。
「いよっしゃあぁぁ!! イノシシ野郎を連続で2体倒したぞ!」
いや、クラインさん。あんたスライムレベルのモンスター2体相手に喜びすきだろ。
でもまあ、さっきまでの俺を考えると人のことは言えないが。
とはいえキリトの優しくも解りやすい教えかたにより俺はかなり上達した。 まあ厳しいところもあったが。
キリト曰く俺にはかなり才能があるらしいが、一番の理由は教えてくれる本人の腕の良さだ。
流れるような剣捌きでモンスターをあしらう姿は本物の剣士と言っても過言ではない。
それに本日発売のSAOの世界でここまで動けるのも彼がβテスターである事が大きい。
βテスターとはSAO発売前に抽選で選ばれ先行でプレイする資格を得たプレイヤーたちのこと。
今日プレイし始めた俺たちにとって彼等は正しく先導者だ。
と、呑気にしている場合じゃないか。
急いでログアウトしないと、姉貴にばれてうるさい小言を言われてしまう。
クラインが地面に座りながら喋った。
「ったく、改めて思うけど信じらんねよな。ここがゲームの中だなんて。作ったやつは天才だよ。俺、本当にこの時代に生まれてよかったと思うよ。」
「確かにな」
俺は賛同しながら頷くが、キリトは苦笑する。
「大袈裟だな」
「初のフルダイブ体験だぞ、そりゃ大袈裟だにもなるよ」
「じゃあクラインとラグナはナーヴギアギア用のゲームはこれが初めて?」
「いや、俺はそれなりにVRMMORPGはやってるな」
「ああ俺は、つかソードアート・オンラインのためだけに慌ててハードも揃えたって感じだ。たった1万台の初回ロットをゲットできるなんて、我ながらラッキーだよな!まっβテストに当選したキリトのほうが10倍ラッキーだけどよ。」
「まあ、そうなるか・・・な」
「なあ!βの時はどこまで行ったんだ?」
「大体が6層辺りまでだったかな」
「正直、βテスト中は寝ても覚めてもソードアート・オンラインのことしか考えてなかったよ。この世界はこれひとつでどこまでも行ける。仮想空間なのに現実より生きてるって感じるんだ」
「そうかもな・・・・・・・・」
「さてっもう少し続ける?」
「ったりメエだろ!と、言いたいんだけど・・・・・・は、腹減ったからよ一度落ちるは」
「こっちで、食事をしても空腹感が紛れるだけだからな」
俺も口を開く。
「わり、二人とも。俺、そろそろ戻るわ」
俺が言うとキリトは少し残念そうな顔をしたが直ぐに爽やかな笑顔を向けた。
「そうか。じゃあまた、良かったら会おう」
「おう。またな」
俺とキリトが握手をするとクラインはいきなり立ち上がり、
「やべぇ! 俺も早く戻ねーんと。晩飯用にピザ予約注文してたの忘れてた!」
「用意周到だな?・・・・まあ、俺には構わず二人とも早くログアウトしなよ。また機会があったら会おう」
キリトが笑いながら、今度はクラインに手を差し出す。
クラインも、おうっ! と手を握り返し固い握手を交わしした。
「よし、じゃあ早く戻らねーとな・・・・あり?」
キリトとの握手を終え《メインメニューウィンドウ》を開いたクラインは頓狂な声を上げた。
どうしたのだろうか? 眉を寄せ仕切りに指を動かしている。
「ない?・・・・・・・・ログアウトボタンがねーぞ?」
「なに? そんなバカな・・・・?」
ログアウトボタンがない。
その言葉に俺は一瞬寒気を感じた。
ログアウトできないということは、この世界から離脱することができないということ。いくらSAOに憧れを抱いていたとはいえそれは困る。
そんな俺の心情を他所にキリトは呆れたように、何言ってるんだ、ちゃんと見ろよと言うとクラインの開くメインメニューを除きこんだ。
しかししばらくし間をおくとキリトの表情が強張った。
すると無言でクラインから離れメニューを開く。
咄嗟に俺もそれに続きメニューを開いた。
幾つにも並ぶメニュータブを指で滑らせていく。
本来ならばあるはずなんだ!
ある、はず・・・・
「ない、だと!」
俺は神にも願うつもりでキリトの方を見たが、
「確かにないな」
「な、本当かよ!」
そんな!・・・・じゃあどうやって現実世界に戻れっつーんだ。
「ま、こんな事もあんだろ! 運営側のミスってな。今頃GMコールが殺到してるだろうよ」
クラインが笑いながら言った。
確かに・・・普通に考えたならば単なるバグだろうな。
それにしてもヤバイな。これじゃあゲームやってるのがお手伝いさんにバレるのならマシだが、俺の家族 主に姉貴にバレたらまたうるさく長々と続く説教を受けてしまう。それだけは絶対に避けたい!いやマジで。
でも、妙に嫌な予感がするのは俺の考えすきか?昔から心配性なのは俺の悪い癖だ。
そんなことを考えていると、キリトはニヤッと笑ってクラインに告げる。
「いいのか・・・・・ピザ?」
「げっ! 忘れてた!」
クラインは頭を抱え泣きそうになる。
俺もハハッと笑みをこぼした。
クラインとキリトのおかげで俺の気も少し緩んだ気がする。
「GMコールしなよ。システム側で落としてくれるから」
キリトは言う。確かにGM(ゲームマスター)に連絡すればシステムから落としてくれるはずだ。だがクラインは情けない声で返す。
「いや、とっくに試したんだけど反応ねえんだよ。他にログアウトする方法ってなかったっけ?」
クラインの言葉に浮かべていた微笑を俺とキリトは強張らせた。理由のない不安がヒヤリと俺の背中を撫でる。いや!理由ならある!俺は思い出す。自分の部屋でナーヴギアの設計者茅場晶彦の雑誌を読みながら、あるページの言葉が気になった。
「これは、“ゲームであっても遊びではない”」
その言葉が今俺の頭の中に響いた。
「他のログアウト方法は?」
「ええと・・・ログアウトするには・・・」
キリトと俺は考えるが
キリトは冷静に答えた。
「いや、ないよ。自発的ログアウトはメニュー操作しかない方法はない」
「んなバカな!?・・・・!そんじゃあナーヴギアの電源を切りゃいい。それか頭からナーヴギアを引ッぺがすか!」
見えないものを剥がすように頭に手を触れさせるクライン、だが、俺はナーヴギアの説明書を読んでいたため静かにクラインに説明する。
「無駄だクライン。ナーヴギアのどのマニュアルにもその手の緊急切断方法は載っていない!それに俺達の肉体を動かすことはできないナーヴギアが俺達の脳から出力される命令を、全部延髄をインタラプトして、このアバターを動かす信号に変換されてるんだからな」
俺はクラインに説明しながら指先で後頭部の下、延髄をとんとんと叩く。
「・・・・結局のところ、このバグが直るか。向こうで誰かが頭からナーヴギアを外すのを待つしかない!」
キリトは顎に手を当て考える仕草を作りなから呟いた。俺もキリトの呟きに無言になるが頷く素振りを見せた。
「でも俺一人暮らしだぜ。お前らは?」
キリトと俺は迷う。この仮想世界では現実の話を聞いたり教えたりするのはまったくのNGで駄目だ。だが、今は緊急事態のため仕方ないと俺は割りきって素直に答える。
キリトも同時に答える。
「母親と妹がいる。だから、晩飯の時間になったら部屋に来てくれる」
「俺は母親と姉貴がいる。それかお手伝いさんが来てくれると思う」
(お袋と姉貴にゲームをやってることがバレたら、ぜってぇー一1時間以上の説教を喰らうなこりゃ)などと心の中で思っていると、クラインがものすごい形相でキリトの肩を掴んで迫っていた。
「お、お、お、おい!?キリトの妹さんて幾つ?」
「いや、でも妹運動部系だしゲーム大嫌いだし、そんなのだから俺達みたいな人種とは接点皆無だよ!」
「そんなこと ゴガァッ!?てっめえラグナ!」
キリトの困りようを見た俺はキリトの横に並び、クラインの股間を力一杯蹴る。俺の行いにクラインが何かを言う前に、俺は言う。
「バカか?痛みは感じないだろ?」
「あ?そっか・・・・って、そんなことより!」
「うおっ!?」
クラインが勢いよく起き上がり俺は驚きながら後ろに下がるが、クラインが俺の肩を掴んで聞いてくる。何なんだ?
「ラグナのお姉さんて幾つ?」
クラインの言葉にずっこけそうになった俺であった。目を輝かせるクラインに俺は答える。
「止めとけクライン、お前のリアルがどんなのかは知らねえが諦めろ。お前みたいな奴が行っても一発KOでハートブレイクするぞ」
「・・・・・・マジで?」
「大マジだ」
俺の答えに軽くクラインは絶望するような顔になった。うん、だから止めとけ、昔姉貴に恋心を抱いた他校の生徒が意を決して姉貴に告白したが、見事玉砕!!!キツい言葉でな、その結果その男性は地面に手と膝を付いて涙を流しながらorz状態になったのは、今でも新しい記憶として蘇ってくる。
俺達がそんなコントみたいなことをしてあることを心の中で思っていると、黙っていたキリトが口を開いた。
「二人とも・・・・・なんか、変だと思わないか?」
「そりゃ変だろ。バグってんだからよ」
キリトは周りを見ながら俺達に現状を説明し始めた。
「・・・・ただのバグじゃない、【ログアウト不能】なんて今後のゲーム運営にも関わる大問題だよ?」
キリトの説明に俺は口元に手を添え「確かにそうだ」と呟く。
「それにこの状況なら一度サーバーを停止させて、プレイヤー全員を強制ログアウトさせるのが当然の措置。なのに・・・・バグに気づいてからもう10分以上は経ってるのに電源切断どころか運営のアナウンスがないのは可笑しすぎる」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
キリトの説明にクラインも無言になったが頷く素振りを見せた。この妙な事態に俺達3人はなにも喋らずに黙ってしまうが。
しかし次の瞬間、リンゴーン、リンゴーンという鐘のような音が突然鳴り響き俺たちは反射的に飛び上がった。
「な、なんだ!?」
「・・・・・・!」
「んな・・・・・・・っ!?」
俺、キリト、クラインの順で三人同時に叫び俺たちは互いに姿を見やり、目を見開いた。
俺たちの体を青色の光の柱が包んでいたのだ。
俺の視界の先にはあった草原の景色と共にキリトたちの姿が薄れていく。
いったい何が!!?
俺の持つ知識を絞りだしこの現状を理解し終える前に、体を包み込む光が一際強く脈打ち、完全に俺の視界を奪った。
青の輝きが薄れると同時に俺の視界に再び風景が戻っていた。
しかしそこは
「はじまりの・・・・街?」
記念すべきSAO初ダイブの先にはあった世界。
文字どおりのはじまりの場所。
俺は、俺たちは立っていた。
「い、一体・・・・・・・・・・・・・これは」
この日、俺は後悔することとなる。
こんな世界に憧れを抱いたことに。
そして落胆し自覚し諦める。
俺には自由などという言葉など似合わないとーー
後書き
次回の話でキリトの現実が明らかに!
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