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オズのベッツイ

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第十二幕その十一

 その結婚記念日のパーティーの日になってです、オズの国の名士の人達が揃ってそのうえでヘンリーおじさんとエムおばさんを囲んで乾杯しました、場所は宮殿の中庭です。
 そこで皆とご馳走に囲まれてです、おじさんとおばさんは満面の笑顔で皆に応えました。
「いや、今日は本当に有り難う」
「毎年この日を祝ってくれて嬉しいわ」
「全くだよ、カンサスにいた時とは全然違って」
「こうして皆にいつも囲まれて」
「しかも結婚記念日はこうしてお祝いしてくれて」
「本当に嬉しいわ」
「ええ、私もよ」
 おじさん達に育ててもらっていたドロシーも笑顔で応えます。
「おじさん達が幸せでね」
「ドロシーもだね」
「嬉しいのね」
「とてもね」
 そうだというのです。
「本当にね」
「さて、それではこれから」
 皆を代表してオズマが言いました。
「ご夫婦に皆から贈りものをしましょう」
「まずは私から」
 二人にとっては娘に等しいドロシーが最初でした、トトと一緒におじさん達の前に来てそのうえで、でした。
 お二人にエメラルドのタブレットを渡しました、それを受け取っておじさん達はドロシーを抱き締めて言いました。
「いつも有り難う」
「毎年ドロシーには感謝しているわ」
「僕もね」
 トトもでした、小さなオパールの指輪を尻尾を振りつつお二人に差し出して言いました。
「これを」
「おや、真珠じゃないか」
「これを私達に」
「川で見付けてきたんだ」
 エメラルドの都の傍を流れている川で、です。
「それをね」
「わし等にだね」
「渡してくれるんだね」
「そうだよ、受け取ってくれるかな」
「勿論だよ」
「有り難う、トト」
 お二人はトトからのプレゼントも笑顔で受け取ってトトを抱き寄せました、そしてオズマもかかしも木樵もお二人にプレゼントをしてです。
 遂にベッツイに番になりました、ベッツイは黄金の林檎から作ったジャムが入ったガラスの瓶を差し出して言いました。
「私はこれを」
「おや、これは」
「黄金の林檎の」
「はい、ジャムです」
 まさにそれだと答えるのでした。
「是非にと思いまして」
「いや、これはまた」
「素晴らしいものを貰えるのね」
「是非召し上がって下さい」
 そのジャムをというのです。
「これはとても美味しいそうですから」
「うん、噂には聞いてるよ」
「普通の林檎よりもね」
「黄金の林檎はずっと美味しくて」
「食べると元気が出るのよね」
「ですから」 
 それだけにというのです。
「召し上がって下さい」
「うん、是非ね」
「食べさせてもらうわ」
 こうしてです、お二人はベッツイからそのジャムを受け取りました。そしてベッツイとそれぞれ固く手を握り合いました。
 ですがここで、です。ナターシャ達は困ったお顔になってです。そのうえでお互いにお話をするのでした。
「今気付いたけれど」
「そうよね」
 恵理香がナターシャの言葉に応えます。
「私達はね」
「贈りものは何も」
「出来るものは持っていないわ」
「私達だけはね」
「何も持っていないわ」
「どうしようかしら」
 女の子二人だけでなくです、男の子達もです。 
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