FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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魔法コンテスト
前書き
オリジナルストーリーです。7年後の大魔闘演舞の伏線張りになる予定です。
ヒロインのウェンディが全く出てきません。
ある日の仕事・・・
「シリル!!そっち行ったぞ!!」
「はい!!」
ナツさんの声で俺は今回のターゲットが来るのを待つ。
「ブモー!!」
「うわっ!!来た~!!」
セシリーがブドラゴスが現れたことに驚き木の影に隠れる。だったら最初からついてくるなよ・・・
「まぁ、いいや。水竜の鉄拳!!」
「ブモー!!」
俺の攻撃がブドラゴスに命中し、ブドラゴスは怯む。よし!!
「あとはお願いします!!」
「任せて!!開け!獅子宮の扉・・・ロキ!!」
「王子様参上!!」
ルーシィさんがロキさんを召喚する。正式名はレオだけどギルドにいたときはロキって名乗ってたからその名残らしい。
「行くぜロキ!!」
「おっけー!!」
ナツさんとロキさんがブドラゴスに向かってジャンプする。
「レグルス!インパクト!!」
「火竜の鉤爪!!」
「ブモーーッ!!」
二人の攻撃が見事に決まり、ブドラゴスは動かなくなる。あとは適当な木の枝と縄を使って動けなくして・・・よし!!
「本日の依頼終了!!」
「わ~い!!今回は何も壊してないから報酬丸々もらえる~!!家賃が払えるぞ~!!」
「よかったねルーシィ!」
「わ~い!!」
俺とルーシィさん、ハッピーとセシリーがそういってハイタッチする。
今回俺たちのやっている依頼は最近出没するブドラゴスを退治してほしいという依頼。
そのため今回の依頼は終了したってわけだ!!
「いやぁ、なかなか大変だったなぁ」
ナツさんが額の汗を拭いながら言う。確かにブドラゴスは意外に動きが速くて大変だった・・・
「まぁ、いいじゃない!早く依頼主のところに戻りましょ!!」
「あい!!」
「帰ろ帰ろ~」
ナツさんがブドラゴスを縛り付けた木を持って、ルーシィさんはスキップしながら依頼主のところへと向かう。しかしウェンディがいないとなんか寂しいなぁ・・・
今日の仕事は討伐の依頼だったためウェンディはダメとミラさんに言われて俺とナツさん、ルーシィさん、ハッピーとセシリーの五人で来ている。
グレイさんはジュビアさんと、エルザさんは一人でS級クエストに行ってしまったらしい。
今回の報酬は50万J、一人頭20万Jという割りと高額な依頼だ。ルーシィさんもこれで家賃が払えるらしいし、安心だな。
ちなみに俺は家賃8万Jのアパートに住んでいるが、化猫の宿時代に貯めた貯金があるから家賃は困ってない。でも仕事しないとウェンディと遊びに行くお金が作れないからこれからも頑張らないとな・・・
――――――――妖精の尻尾にて
「たっだいま~!!」
「おかえりルーちゃん!!どうだった?」
「うん!!ばっちり!!」
ルーシィさんは帰ってきて早々、レビィさんと仲良くお話している。
俺もウェンディとお話しにいこうかなぁ、なんて思ってウェンディの姿を探していると・・・
「おかえり。シリル」
「ミラさん!ただいまです」
後ろからミラさんに声をかけられる。ミラさんは俺とウェンディのことをいつも気にかけてくれているので本当に助かってます。
「ねぇ、シリル。明日って暇?」
「明日ですか?」
突然の質問に驚く俺。別に予定もないし・・・仕事も決めてないし・・・うん、問題ないな。
「はい!空いてますよ!!」
「本当?よかった!!グレイ!!シリルが大丈夫そうよ!!」
「おおっ?マジか?」
ミラさんが後ろを振り向いてそう言うとグレイさんがこちらに歩いてくる。明日俺に用事があったのはグレイさんなのか。
「いやすまねぇなシリル」
「いえ。ところで一体どうしたんですか?」
「これよ」
ミラさんがそういって一枚の紙を俺に渡してくる。魔法コンテスト?
「なんですか?これ」
「その名の通り、魔法を使ってのコンテストだ」
「毎年各ギルドから2名選出して魔法を披露するの。でも、バトルとかじゃなくて、より魔法を美しく、そして芸術的に魅せることが求められる大会なのよ」
芸術的に魅せる・・・か。確かにグレイさんは造形魔導士だから芸術とかはうまいだろう。でも・・・
「だったらジュビアさんの方が相方としては良くないですか?」
ジュビアさんはグレイさんとドラゴノイドの一件でも見事な合体魔法を見せたし、聞いた話だとファンタジアって言うのでコンビを組んだらしい・・・魅せる魔法なら二人の方が最適だろう。
「本当はそのつもりだったんだけど・・・ジュビアが明日は仕事を入れちゃってたらしくて・・・それで同じ水の魔法を使うシリルにお願いしたってわけ!」
なるほど、そういうことか。
「まぁ、演技は俺とジュビアがファンタジアでやったのをちょっとアレンジしてやるだけだから、安心しろって」
「そういうことなら・・・」
しかし明日いきなりかぁ・・・場所は王都のあるクロッカスで・・・ん?
「優勝賞金100万J!?」
思わず大きい声を出してしまった俺は慌てて口をふさぐ・・・でも100万Jなんて・・・
「あ!もちろん優勝賞金はシリルとグレイで分けてもらっていいから」
笑顔で言うミラさん。俺はそれを聞いてやる気が出てくる。
だって100万 Jってことは、俺とグレイさんで50万Jずつ、これだけあれはウェンディとどこかに旅行とかもいけるんじゃないか?
「ちなみに去年はどこが優勝したんですか?」
どのギルドが有力候補なのか知っておかないとな。
「去年は青い天馬のレンとヒビキのペアが優勝してるわ!」
「ちなみにうちは去年、マカオとワカバが出て惨敗だったらしい」
レンさんとヒビキさんかぁ。ニルヴァーナの時はお世話になったなぁ。
去年はグレイさん出てなかったのか。仕事でも入ったのかな?
しかし、やるからにはもちろん優勝するぞ!!目指せ!!100J!!
大会当日、会場にて・・・
「あの・・・グレイさん・・・」
「どうした?」
今は俺たちは今日行われる魔法コンテストの衣装に着替えているのだが・・・
「なんで俺ドレスなんですか?」
なぜか俺の衣装が青を基調としたロングスカートのドレスになっている。なんでこんなことに?
「本当はジュビアが出るはずだったからお前のその衣装、ジュビアが着る予定の奴なんだ」
「ジュビアさんこの大きさ着れます?」
俺の体にちょうどのサイズだからジュビアさんには小さいような・・・
「昨日ミラちゃんがお前のためにわざわざサイズを小さく直してくれたらしいぞ」
「どうせだったら違う衣装にしてくれればよかったのに・・・」
「そう言うなよ」
「似合ってるよ~」
「いや・・・そういう問題じゃ・・・」
セシリーに誉められるが・・・俺ははぁ~、とため息を漏らす。確かに色合い的には俺の髪の色にも合ってるとは思う。俺とジュビアさんの髪の色が一緒だから当然と言えば当然なんだけど・・・
「グレイ!!」
すると背後から聞き覚えのある声が聞こえるので振り返る。そこにいたのは、ニルヴァーナの時に連合軍に参加していた蛇姫の鱗のリオンさんだった。
「リオンくん!久しぶり~!!」
「まさかおめぇもこの大会に参加するのか?」
「無論だ。造形魔導士として、この大会は参加せざるを得まい。というか、その女・・・まさかシリルか?」
「は・・・はい・・・」
リオンさんが俺を指差して聞いてくる。それは驚くよね、連合軍の時俺は男だ!、って言ってた奴がこんなドレス着てたらね・・・
「本当は違う奴が参加する予定だったんだが、違う仕事が入ったらしくてシリルが代わりに入ったんだ」
「なるほどな。納得だ」
「リオンくん」
「リオン~」
するとリオンさんの後ろから二人の小さな女の子が服を引っ張っている。一人は赤紫色のショートヘアの女の子。 もう一人は腰元まで伸びた金髪とタレ目が特徴の女の子。赤紫色の女の子の方が少し大きいかな?
見た感じ二人とも俺より年下だな。7、8歳くらいか?
「私たちもう観客席に行ってていい?」
「あぁ。いいぞ」
「やった!行こうレオン!!」
「うん!頑張ってね!リオンくん!」
そういって二人は手を繋いで行ってしまう。仲良しだなぁ。
「なんだあれ?ラミアの新入りなのか?」
「いや、俺とシェリーのいとこだ」
「へぇ!従兄弟なんですか」
「あぁ。赤紫色の方がシェリーのいとこで、金髪の方が俺のいとこだ」
金髪の方はリオンさんといとこなのか・・・そのわりに似てないな・・・いや、いとこはあまり似ないのか
「プッ!!おめぇといとこの女の子全然似てねぇな!あっちの子は可愛いのにお前はつり目が印象悪いからな!!」
グレイさんがリオンさんに笑いながら言う。別にいとこなんだから似てなくてもいいじゃないですか・・・
「女?レオンは男だそ?」
「「・・・は?・・・」」
リオンさんの発言に思わず間抜けな声が出た俺とグレイさん。男?あれが?いや、俺も人の子は言えないけどさ。
「あいつは少女願望とやらがあってな・・・小さいうちは別にいいんじゃないか、ということで今はああなっている。将来的には普通に男らしくするつもりではあるが」
リオンさんはそう言うけど・・・小さいうちにそんなことしてたら大人になっても直らないような・・・
「あれ?リオンくん?グレイくんとシリルちゃんも!」
「なんだ。お前らもこの大会参加してたのかよ」
これまた聞き覚えのある声が聞こえる。その声は青い天馬のイヴさんとレンさんだった。ヒビキさんはいないみたいだな。出場者は二人だけだからヒビキさんは置いてきちゃったのかな?
「イヴとレンか。久しぶりだな」
「ヒビキはいねぇのか?」
「この大会の出場者は二人だから。俺とイヴの魔法なら最適だろう、ってなってな」
確かにヒビキさんの魔法古文書は魅せるものには向かないな・・・去年は優勝したみたいだけど。
「連合軍の揃い踏みだな」
「あの時は味方だったが今は敵だからな」
「負けねぇぞ!」
リオンさん、グレイさん、レンさんが妙にやる気だ。ちなみにイヴさんは・・・
「シリルちゃん。また可愛くなった?」
「いや・・・可愛くなりたいわけではないのですが・・・」
「シリルちゃんだって~www」
イヴさんは俺をナンパしてくるし、セシリーはそれを見て爆笑してるし・・・
なんか疲れるなぁ・・・
「それはそうと、そろそろ抽選に行かないと行けないんじゃないか?」
「抽選?」
レンさんの言葉にグレイさんが言う。何の抽選だ?
「演技する順番を決める抽選だよ。演技をする順番も結構重要になってくるよ」
イヴさんが説明してくれる。確かに演技の順番は重要だな。できれば早めにやっちゃってこの服を着替えたい。
「なら行くか。リオンに勝たねぇといけねぇしな」
「貴様に俺が負けるわけないだろう」
グレイさんとリオンさんは互いににらみ合いながら歩いていく。ところでリオンさんの相方って誰だ?
「リオン様!!」
会場の方に向かおうとするとこれまた聞き覚えのある声が聞こえてくる。
そういえばシェリーさんのいとこが来てるんだからシェリーさんも来てるに決まってるか。
「おぉ。シェリー」
「リオン様!どうでしょ・・・」
シェリーさんがリオンさんに衣装の感想を聞こうとすると突然固まってしまう。視線の先は・・・レンさん。
「レン!!」
「お前・・・似合いすぎだろ」
「でぇきてぇるぅ」
シェリーさんとレンさんがいい雰囲気になってしまう。ちなみに今のでぇきてぇるぅ、はセシリーが言いました。
「やれやれ・・・先に行くぞ」
「レンとシェリーさんはゆっくり来なよ」
「お先に」
「失礼します」
「じゃあね~」
俺たちは気を利かせて先に抽選に向かう。しかしあの二人本当に雰囲気いいなぁ。あのまま結婚とかするのかな?
抽選にて・・・
「6番か。天馬は?」
「僕たちは16番だよ」
すでにリオンさんとイヴさんがくじを引き終わってお互いの順番を教えている。
「シリル。お前が引いていいぞ」
「いいんですか?」
「別に何番目にやっても一緒だからな」
グレイさんは余裕綽々な表情で言う。確かにグレイさんは王子様的な衣装だからいいけど、俺はこんなドレスなんか着てるから早く脱ぎたいんですよ!!
「どうぞ」
抽選係のお姉さんから箱を差し出される。俺は箱の中に手を入れてくじを引く。
さて、何番だ?
「何番だ?」
グレイさんたちもそのくじを覗く。しかし書いてあった数字を見て俺はがっかりする。
「24番です・・・」
「大分あとだな」
「何を言っているグレイ。確かこの大会の出場ギルドは24のはずだぞ」
「つまり一番最後ってことだね~」
「よかったね!!シリルちゃん」
まさかの一番最後って・・・つまりこの衣装を最後まで着てなきゃいけないなんて・・・とほほほほ・・・
『さぁ!今年もやって参りました、魔法コンテスト!!』
ようやく魔法コンテストが始まるということで俺たちは会場に来ているのだが・・・
「シリル、何をそんなに落ち込んでるんだよ」
「別に最後だっていいじゃ~ん」
俺の気持ちはどんよりしている。まさか最後に演技するなんて・・・緊張感すごいし、最後までこの衣装でいなきゃいけないし、以外にお客さん多いし・・・なんか帰りたくなってきたな・・・
「大丈夫なのか?そっちは」
「おめぇんとこも大丈夫じゃなさそうだぞ」
「うちもヤバそうだよ・・・」
リオンさんとイヴさんはレンさんとシェリーさんを見て不安そうにしている。二人ともなんか顔赤くして話してるから本番の演技できるのかな?
するとグレイさんが一度ため息をついてから俺の前に来る。
「お前さぁ・・・優勝賞金って何に使うつもりなの?」
唐突な質問・・・賞金はそりゃあ・・・
「ウェンディになんか買ったり一緒に旅行でも行こうかなぁ?って思ってますけど」
「だったら、ウェンディのために優勝しなきゃいけないだろ?ウェンディのためならその格好だって恥ずかしくないと思えるだろ?」
諭すように言うグレイさん。なるほど!ウェンディのためだと思えば、確かにこれぐらいの恥ずかしさは耐えられる!!よし!!
「グレイさん!!俺、ウェンディのために頑張ります!!」
「よし!!そのいきだ!!」
よし!!そうと決まれば最後だって緊張しないぞ!!
「単純だな」
「単純ですわね」
「いいのかあれで」
「かわいいからいいんじゃない?」
「まぁシリルだからね~」
リオンさんたちに何か言われてるけどとりあえず頑張るぞ~!!
『続いて蛇姫の鱗!!氷の魔導士、リオン・バスティア!!&人形劇、シェリー・ブレンディ!!』
「じゃあな、グレイ。俺の演技で勉強でもするがいい」
「余計なお世話だ」
「じゃ・・・じゃあ、私も行きますので///」
「お・・・おう・・・///」
リオンさんは相変わらずグレイさんにケンカを売って、シェリーさんはようやくレンさんと離れて演技に向かう。どんな演技をするのかな?
『それでは、お願いします』
司会の一声で二人が演技を始める。まずはリオンさんが氷の鳥を10羽ほど造り、会場中を一周する。
すると今度はシェリーさんがその鳥たちを操って隊列を作らせたり、8の字に飛ばせたりする。
「なるほど、あれならリオンの魔力の消耗も押さえられるから他の造形に力を入れることができるって訳か」
グレイさんがそう言う。なるほどな、そういう使い方もあるって訳か。
その後も二人の演技は続いていき、ラストは氷のドラゴンが上空で砕けて、氷の粒がキラキラと舞い降りてきて演技が終わる。
会場中から二人に大きな拍手が送られる。
『ありがとうございました!続きまして――――』
二人の演技が終わり、次の人たちの演技が始まる。戻って来た二人は満足そうな顔をしていた。
「どうだグレイ!さすがにこの演技には勝てまい」
「言ってろよ。俺たちの演技の方がすげぇからな」
「そうか。あとで泣くなよ」
「泣くのはそっちだ!」
戻ってきて早々リオンさんとグレイさんは会話を始める。この二人は仲が良いのか悪いのか・・・というかグレイさん、すでに上に何も着てないんだけど!!と思ったらセシリーが持ってました・・・少し安心した。
「ど・・・どうでした?」
「まぁ・・・よかったんじゃねぇか?」
シェリーさんとレンさんは相変わらずだ。
その後も演技が続いていき・・・
『続きまして!!青い天馬!!色黒ツンデレ魔導士、レン・アカツキ!!&雪使いの弟キャラ、イヴ・ティルム!!』
二人が登場すると女性客からすごい歓声が上がる。やっぱりかっこいいから人気があるのかな?
というか・・・
「なんですか今の紹介?」
「それぞれに会った紹介を各ギルドからアナウンスに言ってもらえるらしい。俺とお前のはミラちゃんが考えてくれたらしいぞ」
「へぇ~」
レンさんとイヴさんの紹介はなんか悪意があったけど・・・俺たちの紹介はそんなことになるわけないよな。せいぜいグレイさんが露出魔!!とか言われるくらいだと思う。
グレイさんと話しているといつのまにか二人の演技が始まっていたのでそれを見る。
イヴさんの雪魔法をレンさんの空気魔法で操ったり、イヴさんが雪で様々なものを作るっているようだった。
それにしてもあの二人はコンビネーションがいい。レンさんは去年の優勝経験者らしいし、こりゃあ強敵だな。
などと考えていると二人の演技も終わって二人は盛大な拍手に見送られながらステージ裏に戻ってくる。
「どうだった?シリルちゃん!」
「とってもきれいでしたよ」
「ま・・・まぁまぁでしたわね」
「そっか・・・ありがとよ」
イヴさんは帰ってくるとすぐに俺のとこにくる。あんまりキラキラ攻撃はしないでほしいな。俺男だから・・・
そしてついに・・・
『さぁ!今年の魔法コンテストもいよいよ大詰めです!!』
うわぁ!ついに来てしまった。
『今年のトリを飾りますのは、妖精の尻尾!!氷の造形魔導士、グレイフルバスター!!』
グレイさんの紹介はいたって普通だな。俺はなんだろう?水の滅竜魔導士!!とかかな?
『&!!ギルドの名にふさわしい、水の妖精、シリル・アデナウアー!!』
観客たちがすごい拍手と歓声を上げる。それにしても水の妖精って・・・なんて恥ずかしい紹介なんだ!!
「よし!!行くか」
「ふーっ。はい!!」
俺とグレイさんはステージへと上がる。そして観客席を見ると、人!人!人!めっちゃ人がいっぱいいる!!
『それでは、お願いします!!』
司会の声で俺とグレイさんも演技を始める。
まずは俺が水を地面から吹き上げて、グレイさんがその水を凍らせると氷の城が出来上がる。
それからグレイさんが出した氷を俺が水で砕くとその氷の粒でキラキラと城が光っているように見える。
その後もグレイさんとの連携で演技をしていく。
そして最後はもちろん・・・
水と氷のアーチを造り、上にFAIRYTAILと文字を造り締めくくった。と思ったら
「よっ」
「えっ?」
グレイさんにいきなりお姫様だっこをされる。え?なんだこれ?
「目を瞑れ」コソッ
「え?」
「目を瞑れ」
グレイさんに言われるがままに目を閉じる。ちょっと薄目を開けて見てるとグレイさんの顔が近づいてくる。え!?
「ちょっ!」
止めようと思ってがグレイさんの顔がすでに目の前にあったのでそのまま動けなくなる。
しかし、グレイさんの顔は俺の顔の目の前で止まる。
わぁーーーーーーーー
すると観客席から盛大な拍手と歓声が送られる。俺はグレイさんに下ろされて一緒にお辞儀するが・・・絶対顔真っ赤だよ俺・・・
『ありがとうございました!!以上で演技を終了いたします。ただいまから―――――』
司会の声が遠くで聞こえるが俺の心はそれどころではない。足早にステージ裏に帰るグレイさんを追いかけるように俺も戻る。
「グレイ・・・お前すごい演技するな」
「ビックリしましたわ」
「本気でキスするかと思ったぜ」
「すごいや!!」
「ウェンディに怒られるかと思ったよ~」
ステージ裏ではリオンさんたちが迎えてくれる。しかし・・・俺も本気でキスされるかと思った・・・
「あぁ?ミラちゃんから最後あれやるように、って言われたんだ。氷の城の姫と王子なんだからキスしてるフリぐらいはな」
言われて納得する。だったらミラさん・・・俺にも教えておいてくれればよかったのに・・・
「そういうことか」
「よかった~。グレイくん、シリルのこと好きになったかと思ったよ~」
「なるか!」
セシリーのボケに素早く突っ込むグレイさん。しかし・・・ファーストキスはウェンディとやりたかったから・・・フリで済んでよかった~・・・
表彰式・・・
『今年の優勝は・・・妖精の尻尾で~す!!』
会場中から俺たちに祝福の拍手と歓声が送られる。
「やったなシリル」
「はい!あそこまでやってダメだったら俺泣きましたよ」
女装させられて、キスのフリまでしたからな。かなり恥ずかしかったけど・・・優勝できてよかった~!!
そして・・・
「じゃあな、グレイ」
「またね。シリルちゃん」
「またいつでも相手してやるぜ」
「ありがとうございました」
「じゃあね~」
俺たちはリオンさんたちとお別れしてギルドへと帰っていく。リオンさんは連れてきたチビッ子たちと手を繋いでいる。ちなみにレンさんとシェリーさんは二人で何かお話ししてたのでそのまま置いてきちゃったw
さて、優勝したことだし・・・
「さっそく何か買って帰りましょう!」
「そうだな。ミラちゃんにでも土産を買ってくか」
俺たちが話ながら歩いていると、目の前に俺と同じぐらいの黒髪の少年がやってくる。
「あ・・・あの・・・」
少年はもじもじしながら話しかけてくる。どうしたのかな?
「どうしたの?」
俺が聞くと少年は何かを俺に渡してくる。
「これ!あげる」
そういって少年がくれたのはピンクのチューリップだった。
「わぁ!ありがとう!!」
俺はそれをもらう。少年はもじもじしながら言葉を紡ぐ。
「あの・・・演技、すごいよかったよ。シリルちゃん」
「ありがとう!君は何て言うの?」
俺が名前を聞くと、少年は一瞬迷った顔をしてから答える。
「ら・・・ライオス・・・」
「ライオスくんか。いい名前だね」
「ありがとう・・・その・・・じゃあね」
ライオスくんはそう言って足早にその場をあとにする。しかしこんな花をくれるなんて・・・なんでだろう?
「あの子・・・かわいそうにな・・・」
「まさか好きになった子が男だって知ったら・・・」
グレイさんとセシリーが何か言ってるけど・・・なんだろう?
とりあえず、この花は部屋に飾ることにしようっと。もらったものを他人にあげるのは失礼だからね。
俺たちは再びギルドに向けて足を進め始めた。
後書き
いかがだったでしょうか。現在の予定だと大魔闘演舞の4日目のタッグバトルでナツとシリルのペアで戦う予定になってますので、ローグとシリルを関係付けておきたいと思いました。
ちなみに今回出てきたシェリーのいとこはもちろんシェリアです。リオンのいとこはオリジナルキャラクターとなってます。
レオンの設定についてはすでに決定しているので早く大魔闘演舞にいければいいなぁ、と考えております。
次もオリジナルストーリーです。次回もよろしくお願いします。
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