伝説の船乗り
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第3章
白鳳女学院に入学してから数週間。茉莉香からしつこくヨット部に入らないか誘われている。
茉莉香「ね~飛翔君。一緒にヨット部やろうよ」
飛翔「いい加減しつこいぞ?何でそこまで誘うんだ?」
茉莉香「だって~。折角の学生生活なんだし、楽しもうよ~」
飛翔「俺も色々と忙しいんだよ」
すると、通信機に連絡が入る。確認すると、ナミが白鳳女学院に転入したそうだ。
拓人(ナミも同い年だしな。いいかもしれないな)
茉莉香「お願い~!見学だけでもいいからさ~!!」
拓人「まだ言ってたのか!?」
マミ「別にいいじゃん。一回くらい行ってあげたら?」
拓人「は~っ・・・分かったよ。今日一緒に行ってやる」
茉莉香「ホントに?ヤッタ~!!」
こうして、俺は今日ヨット部に行く事が決まったのであった。放課後、茉莉香の案内でヨット部部室にやって来た。
茉莉香「入りま~す」
「おはよう茉莉香」
「あれ?君は・・・」
茉莉香「有里飛翔君。今日はヨット部の見学に来たんだよ♪」
飛翔「どうも」
「貴方が、白鳳女学院初の男子ね。このヨット部で部長をしている《ジェニー・ドリトル》よ」
「副部長の《リン・ランブレッタ》だ」
軽く自己紹介をする。
ジェニー「そうね・・・今日は特にすることも無いのよね」
リン「だな。オデット二世のメンテナンスもこの前終わったし」
部長と副部長が話している。
ジェニー「・・・だったら、今度の練習航海に参加してみない?」
飛翔「練習航海?」
リン「ああ。あたしらヨット部には、オデットⅡ世って言う帆船があってな。それで練習航海を時々行ってるんだ」
ジェニー「来週丁度その練習航海を行うの。よかったら、参加してみたら♪」
飛翔「・・・なら、参加させてもらいます」
ジェニー「決まりね♪」
こうして俺は、来週行われる練習航海に参加する事になった。1週間後、練習航海当日になり、俺は女学院の校門前にやって来た。
飛翔「皆早いな」
リン「おはよう飛翔」
ジェニー「来たわね飛翔さん」
ケイン「生徒はこれで全員ですね。後はドクター殿だな」
ハラマキ「あ!来たみたい!!」
やって来たのは、この前会った女性だった。
ミーサ「まさか、貴方が参加するなんてね」
飛翔「それはこっちの台詞ですよ」
ケイン「では、今回初めて宇宙に出る方もいると思いますが、この数日間の体験はその後の人生にも大きく役立つと思います。それでは行きましょうか♪」
一同「お~!!」
こうして練習航海が始まった。中継ステーションにつきオデット二世に乗り込む。皆それぞれ席に座る。いよいよ出航。
ジェニー「こちらオデット二世。白鳳女学院ヨット部部長のジェニー・ドリトルです。オデット二世、ただいまからC68ゲートより出航いたします」
管制員『こちら海明星中継ステーション、了解です』
すると、ゲートが開く。
ジェニー「微速前進」
茉莉香「微速前進!」
リン「海明星中継ステーション、管制空域から離脱確認」
茉莉香「第三宇宙速度突破。座標を海明星からたう星に移行」
出航となると、緊張感が漂う。
ケイン「ふむ・・・もう大丈夫でしょう?皆さん、ご苦労様♪」
ケインの一言で、皆が安堵の表情になる。
ジェニー「それでは、航路はこの通りくじら座宮たう星系を1周して、中継ステーションへと戻ってきます」
ケイン「しかし、今回は帆船ですからね」
ジェニー「普通の宇宙船で行けば、半日で往復。しかし、このオデット二世ならば、全工程で使う接近エネルギーは2%で済みます」
リン「色々お得だな」
一同「アハハハ」
ケイン「その代わり、常に船と周りの状況に気を使わねばなりません。これぞまさに部活動です」
ジェニー「それではマストの展開します」
一同「了解!!」
ジェニーの指示でマストを展開する。すると、警報が鳴り響く。
ケイン「どうしました?」
ヘリンダ「はい!それが、メインマストを起こす前に、上段のヤードが開いちゃってるみたいで、絡んじゃってるみたいで・・・」
ケイン「ふむ・・・それなら、1年生諸君、宇宙遊泳の時間です」
1年生「え~!?」
こうして、ケインの勝手な提案により、1年生は宇宙に出て直すことになった。
ケイン「それでは有里君、私がいない間生徒達の事をお願いします♪」
飛翔「なんで俺ですか?」
ケイン「男性は、私以外は君しかいませんので♪」
飛翔「・・・了解です」
俺にそう言い残して、ブリッジを出ていった。1年生は宇宙服に着替えているそうだ。こっちにまで通信が入ってるから、丸聞こえである。俺は今回は見学なので、宇宙には出ない。
ケイン『こんなの半ダース引き連れて外に出るのかよ・・・』
ジェニー「聞こえてますよ先生」
あれだけ騒がしい1年と一緒に出るのは、不安が拭えないよな。そして絡んでいたマストを外し、ようやく通常通りに稼働した。
「あれ?」
ジェニー「どうしたの?」
「いえ・・・トランスポンダーの反応のない宇宙船が三隻反応があった」
ジェニー「・・・ケイン先生、異常事態です。申し訳ありませんが戻ってきてもらえますか?」
ジェニーさんが、ケインを呼び戻す。そして事情を説明する。
ケイン「成る程・・・って!?これが民間船のレーダーか?なんで敵味方識別する必要があるんだ?」
ミーサ「さすが最古産、オリジナルセブンの生き残りね♪」
ケイン「えっと・・・現時点では、トランスポンダー無しの宇宙船は捉えていませんね」
ミーサ「一隻は弁天丸よ」
ケイン「プロが高校生に捕捉されたのかよ・・・」
苦笑いをしながら言うケインであった。
ジェニー「では、今日はここまでで、宿直の茉莉香さんとチアキさん、後はお願いね♪」
茉莉香「分かりました」
チアキ「了解です」
こうして、初日の練習航海は終わった。後は、部屋に戻って寝るか。そして翌日、ジェニーさんから茉莉香が皆に話があると言われて呼び出された。
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ジェニー「幽霊船のフリをした敵に狙われてる?」
茉莉香「はい、昨日レーダーに映っていたんですけど、途中で消えてしまったんです。でも、それ以外にも不思議な点があるので、今のところそれが一番有力です」
ジェニー「たかが高校の練習航海に、悪役まで用意してくれるなんて、随分なサービスね♪」
一同「アハハハ」
茉莉香「それで、狙われる理由なんですが・・・」
ジェニー「宇宙海賊船弁天丸、次期船長候補の加藤茉莉香さん♪」
茉莉香「えっ!?知ってたんですか」
ジェニー「部長ですからね♪部員の事情位は把握しています」
茉莉香「それで、出来れば・・・」
ジェニー「分かってるわ。茉莉香さん♪その幽霊船を退治するんでしょ?」
茉莉香「ありがとうございます!!」
こうして茉莉香とチアキは朝食をとり部屋に戻った。そして時間で言うお昼・・・
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茉莉香「ふんふふ~ん♪。ふ~ふん~♪。入りま~す♪」
ケイン「やぁ」
茉莉香「なんかありました?」
ケイン「以上無しです。もうすぐたう星の反対側に入ります。それでは、私は食事に行ってきます。何かあれば呼び出してください」
ケインはブリッジを出て食事に向かった。茉莉香はジェニーさんと幽霊船について話していた。今日の深夜に、幽霊船に対抗するそうだ。そして深夜・・・
リン「見えた!太陽側70万キロ、ピンポイントみたいな反応だけど・・・」
ジェニー「物はなに?」
リン「この距離でこの大きさだから、正確なスペックなんて分かりはしないけど、多分ステルス仕様の超小型の戦艦だ」
茉莉香「取り敢えず、気付かないフリをしましょう」
そして茉莉香とジェニーさんは、部員に指示を出す。
チアキ「長い夜になりそうね・・・」
そして俺はいよいよ戦いが始まる。
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