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大陸の妖精

作者:sinの妖精
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運命と聖なる光

 
前書き
私情により、今日から2月の終わりまで更新できません、申し訳ないです。

せめてもの気持ちとして今日は数話連続投稿とします

感想や質問の返信はさせていただきます。

 

 
エルザが斑鳩を討ち取った同時刻




同じく三羽鳥を討ち取ったアルトとナツたちが合流していた


シモン「アルトレア!!」


アルト「よう、お前らも無事だったか」


シモン「三羽鳥はどうした!?」


アルト「まだ一人倒しただけだ、残る二人はまだ見つかってねえ・・・」


するとアルトがシモンに負ぶさっているナツを見て言う



アルト「ナツがやられたのか!!?」


シモン「いや、グレイと二人がかりで三羽鳥の一人を倒した後、気を失っただけだ」


アルト「じゃあ、グレイはどこにいるんだ?」


シモン「グレイも相当なダメージを負っちまってな・・・青い猫に塔から連れ出してもらってるんだ」


そう言ったシモンが突然腹を押さえて苦しみだす



アルト「お前、ケガしてんのか!?」


シモン「ぐっ・・オ・・オレの事はいい・・・よく聞けアルト」


シモンがアルトを見据えて言った



シモン「さっきショウから通信があった、エルザが三羽鳥の一人を討ち取ったとな」


アルト「じゃあ、俺たちとナツたちがそれぞれ一人ずつ仕留めたから・・・」


ルーシィ「三羽鳥は全滅ね!!」



シモン「ルーシィとジュビアはナツを連れてこのまま脱出しろ、ウォーリーとミリアにもこの塔から脱出しろと指示を出しておいた」


シモンに指示されたルーシィとジュビアは気を失っているナツを二人で抱える



シモン「残る敵はジェラール一人、そこにはエルザが向かっている・・・あいつは全ての決着を一人でつけようとしてるんだ」


ルーシィ「えっ・・全ての決着って・・・!?」


アルト「(やっぱり・・・か)」


シモン「あの二人には8年にわたる因縁がある、戦わなければならない運命なのかもしれない・・・だが、ジェラールは強大すぎる・・・頼む、エルザを助けてくれ」


アルト「断る」


シモン「!!?」


アルトの冷静な言葉を聞き、シモンが驚愕する



アルト「俺が口をはさむ問題じゃねえよ・・・エルザならジェラールを倒してくれる、そしてきっとジェラールを改心させて連れ戻してくれるよ」


シモン「それこそ無理だ!!エルザではジェラールに勝てない!!」


アルト「何だと!?お前もエルザを信じてねえのか!!?」


シモン「違う!!!倒す倒せない以前の問題なんだよ!!!あいつは未だにジェラールを救おうとしているんだ!!!オレにはわかる、あいつにジェラールを憎む事などできないから!!!」


アルト「だからこそ、エルザがジェラールを改心させてくれる事を信じるべきじゃねえのかよ!?」


互いに熱くなり、檄を飛ばし合うアルトとシモン


傍にいるルーシィたちは驚いた表情で二人を見ていた



シモン「・・・お前はジェラールという男を何も分かっていない・・・あいつは狡猾な男だ、エルザのそういう感情をも利用してくる」


アルト「!!」


シモン「状況はさらに悪い、評議員がここにエーテリオンを落とそうとしているのは知っているな・・もちろんそんなものを落とされたら塔の中の人間は全滅だ・・・ショウの話ではあと15分・・・いや、あと10分か」


アルト「何だと!?」


ルーシィ「そんな・・・!!」


シモン「エルザは全員逃がせと言って一人で向かった、エルザの事だ・・エーテリオンを利用してジェラールを道づれにする気かもしれん」



アルト「・・・考えたくは無かったけど・・・やっぱりそうだったのか・・・!!」


『この戦い・・勝とうが負けようが、私は表の世界から姿を消す事になる・・』


アルト「自分の命と引き換えに・・・ジェラールを・・・」


震えるアルトは、怒号交じりに叫びだす




アルト「エルザはどこだぁァア!!!!」















楽園の塔最上階ではジェラールが三羽鳥に見立てた駒を倒し、不気味に微笑む


ジェラール「やれやれ、ゲームはもう終わりか」


エルザ「人の命で遊ぶのがそんなに楽しいか?」


階段を上りきって最上階へと入り込んだエルザは、怒りを込めた声でジェラールに問う



ジェラール「楽しいねぇ、生と死こそが全ての感情が集約される万物の根源、逆にいえば命ほどつまらなく、虚しいものもない」


エルザの問いに対し、ジェラールは楽しそうな声で答えた



ジェラール「久しぶりだな、エルザ」


エルザ「ジェラール」


ジェラール「その気になればいつでも逃げ出せたハズだが?」


エルザ「私はかつての仲間たちを解放する」


ジェラール「かまわんよ、もう必要ない・・・楽園の塔は完成した」


エルザ「あと10分足らずで破壊されるとしてもか?」


ジェラール「エーテリオンの事か?・・・クク」


笑いながらエルザに近づくジェラール



エルザ「その余裕・・やはりハッタリだったか」


ジェラール「いや・・・エーテリオンは落ちるよ」


刀を握る腕の力を更に強く込め、エルザはジェラールを睨みつける



エルザ「それを聞いて安心した!!!!10分、貴様をここに足止めしておけば全ての決着がつく!!!!」


ジェラール「いや・・オマエはゼレフの生贄となり死んでいく、もう決まっている・・・それが運命(デスティニー)だ」


エルザに対しジェラールは被っていたフードを取り、冷静に言った



ジェラール「正確に言えばあと7分だ・・あと7分でエーテリオンはここに落ちる、この7分間を楽しもう、エルザ」


エルザ「今の私に怖れるものは無い、たとえあと何分でエーテリオンが落ちようと、貴様を道づれにできれば本望」



ジェラール「行くぞ!!!」


剣を構えるエルザにジェラールが怨念のようなものをぶつけて攻撃する


しかしエルザはそれを華麗にかわし、怨念を斬り捨てる



ジェラールは飛び上がるエルザの腹部を狙い、衝撃波で吹き飛ばす



吹き飛ばされたエルザは、塔の壁を突き抜けて落下するが、一緒に落ちてくるガレキを足場にして再びジェラールに斬りかかる



エルザ「せっかく建てた塔を自分の手で壊しては世話がないな」


ジェラール「柱の一本や二本、ただの飾りにすぎんよ」


エルザ「その飾りを造る為にショウたちは8年もお前を信じていたんだ!!!!」


怒りを込め、剣をふるうエルザ



ジェラール「いちいち言葉のあげ足をとるなよ、重要なのはRシステム・・・その為の8年なんだよ」


そう言ったジェラールは右腕に魔力を込める



ジェラール「そしてそれは完成したのだ!!!!」


エルザ「ぐっ・・!!」


ジェラールの放った怨念がエルザの体にまとわりつく



ジェラール「!!」


しかしエルザは自慢の剣技で怨念を全て斬り払う



エルザ「はぁ!!」


ジェラール「ぐあ」


エルザの攻撃がジェラールの腹部をとらえた



ジェラール「(これが・・・あのエルザだと!!?)」


攻撃を受け、ひるんだジェラール


エルザはその隙をついてジェラールを取り押さえ、首元に剣を突き付ける



ジェラール「くっ」


エルザ「お前の本当の目的は何だ?本当はRシステムなど完成してはいないのだろう?」


ジェラール「!!!」


エルザ「私とて8年間何もしてなかった訳ではない、Rシステムについて調べていた・・・確かに構造や原理は当時の設計図通りで間違っていない・・・しかしRシステムの完成には肝心なものが足りてない」


ジェラール「言ったハズだ・・・生贄はお前だと・・・」


エルザ「それ以前の問題さ、足りてないものとは魔力・・・この大がかりな魔法を発動させるには27億イデアもの魔力が必要になる・・・これは大陸中の魔導士を集めてもやっと足りるかどうかというほどの魔力」


確信づいた事を言われ、冷や汗を流すジェラール



エルザ「人間個人ではもちろん、この塔にもそれほどの魔力を蓄積できるハズなどないのだ・・・そのうえお前は評議院の攻撃を知っていながら逃げようともしない・・・お前は何を考えているんだ」


ジェラール「・・・エーテリオンまで・・・あと3分だ」


エルザ「ジェラール!!!お前の理想(ゆめ)はとっくに終わっているんだ!!!!」


ジェラールの手首を握りしめるエルザ



エルザ「ならば共にいくのみだ!!!!私はこの手を最後の瞬間まで放さんぞ!!!!」


ジェラール「あ・・ああ・・・それも悪くない・・・」


半ば観念したような表情を浮かべ、言ったジェラール



ジェラール「オレの体はゼレフの亡霊にとり憑かれた、何も言うことをきかない・・・ゼレフの肉体を蘇らす為の人形なんだ」


エルザ「とり憑かれた?」


ジェラール「オレはオレを救えなかった・・・仲間も誰もオレを救える者はいなかった・・・楽園など・・・自由など、どこにもなかったんだよ」


エルザ「!!」


ジェラール「全ては始まる前に終わっていたんだ」


ジェラールがそう言った瞬間、空に一筋の光が生まれ、その中から巨大な魔法陣が現れた


同時に楽園の塔全体が大きく揺れ始める



エルザ「Rシステムなど完成するハズがないと分かっていた・・でも、ゼレフの亡霊はオレをやめさせなかった・・もう・・止まれないんだよ、オレは壊れた機関車なんだ・・・」


するとジェラールはエルザを見据え、その瞳に決意を浮かべて言った



ジェラール「エルザ・・おまえの勝ちだ・・オレを殺してくれ・・その為に来たんだろ?」


エルザ「・・・私が手を下すまでもない・・この地鳴り・・すでに衛星魔法陣(サテライトスクエア)が塔の上空に展開されている」


そう言ったエルザは握っていた剣を捨てて、言う



エルザ「終わりだ・・・お前も、私もな」


ジェラール「不器用な奴だな・・・」


更にエルザは握っていたジェラールの手首を放す


ジェラールは体の上半身だけを起こす



エルザ「お前もゼレフの被害者だったのだな」


ジェラール「これは自分り弱さに負けたオレの罪さ・・・理想(ゆめ)現実(げんじつ)のあまりの差にオレの心がついていけなかった」


エルザ「自分の中の弱さや足りないものを埋めてくれるのが・・・仲間という存在ではないのか?」


ジェラール「エルザ・・・」


エルザ「私もお前を救えなかった罪を償おう」


ジェラール「オレは・・・救われたよ」


そう言ったジェラールは強引にエルザを抱き寄せた




そしてその直後、眩い光が塔全体に降り注ぐ




シモン「この光・・・間に合わなかったか・・・」



アルト「エルザぁァアア!!!!」



そしてついに衛星魔法陣(サテライトスクエア)から


裁きの光、エーテリオンが発射された


 
 

 
後書き
リサーナとの番外編も出来上がったので投稿したいと思います

 
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