大陸の妖精
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
眠れる塔の女騎士
エーテリオンが楽園の塔に直撃した
楽園の塔が崩れ、辺りが煙に包まれている
その光景を見たルーシィたちはアルトたちの安否を気にかけていた
ナツ「うぷっ・・・な、なんだ今の爆発・・・」
グレイ「エーテリオン・・・!!」
ハッピー「アルトぉ・・・エルザぁ・・・」
ジュビア「な・・何・・あれ!?」
煙が徐々に晴れ、中から現れたものにジュビアたちが驚愕の表情を浮かべる
グレイ「外壁が崩れて・・・中から水晶?」
晴れた煙の中から現れたのは巨大な水晶の塔だった
ルーシィ「ねえ・・無事だよね?アルトもエルザもシモンって人も」
アルト「いってぇ・・・今のがエーテリオンってやつか!?」
シモン「エーテリオンは落ちた・・・な・・なぜオレは生きてる?」
エルザ「え・・・生きてる・・・?」
自分の体を見て、生きている事を確認するエルザ
そんなエルザの姿を見たジェラールは不気味な笑い声を上げていた
ジェラール「ついに・・ついにこの時が来たのだァ!!!!」
エルザ「お前・・・」
ジェラール「くくく・・・驚いたかエルザ、これが楽園の塔の真の姿・・・巨大な魔水晶なのだ」
そう言ったジェラールは両手を広げ高笑いする
ジェラール「そして評議院のエーテリオンにより、27億イデアの魔力を吸収する事に成功した!!!!ここにRシステムが完成したのだァ!!!!」
ジェラールの真の目的は塔にエーテリオンの魔力を吸収させ、Rシステムを完成させる事だったのだ
エルザ「だ・・・騙したのか・・・」
悔しみの念を込め、ジェラールを見るエルザ
「かわいかったぞ、エルザ」
その時、エルザの背後から、青年らしき者の声がかかる
エルザ「え!?」
ジークレイン「ジェラールも本来の力を出せなかったんだよ、本気でやばかったから騙すしかなかった」
エルザ「ジークレイン!!?」
エルザの前に現れたのはジェラールと瓜二つの魔導士
聖十大魔道であるジークレインだった
エルザ「な・・なぜ貴様がここに!!?」
ジークレイン「初めて会った時の事を思い出すよエルザ、マカロフと共に始末書を提出しに来た時か・・・ジェラールと間違えてオレに襲いかかってきた・・・まあ、同じ顔だし無理もないか・・・」
エルザ「・・・・・」
エルザはいまいち状況が飲み込めないのか、茫然とした様子でジークレインの話を聞く
ジークレイン「双子と聞いてやっと納得してくれたよな・・・しかしお前は敵意を剥き出しにしていたな」
エルザ「当たり前だ!!!貴様は兄のくせにジェラールのやろうとしている事を黙認していた!!!や・・・それどころか私を監視していた!!!」
ジークレイン「そうだな・・そこはオレのミスだった・・あの時は「ジェラールを必ず見つけ出して殺す」とか言っておくべきだった」
そう言ったジークレインはジェラールと顔を見合わせる
ジークレイン「しかし・・せっかく評議院に入れたのにエルザに出会ってしまったのが一番の計算ミスだな」
ジェラール「とっさの言い訳ほど苦しいものはないよな」
エルザ「やはり・・・お前たちは結託していたのだな・・・」
エルザがジェラールたちを睨みつけながら言う
ジークレイン「結託?それは少し違うぞエルザ」
すると次の瞬間、驚くべき事がエルザの目の前で起きた
ジェラール「オレたちはひとりの人間だ」
ジークレイン「最初からな」
ジークレインの身体が薄れ、ジェラールの身体に取り込まれてしまったのだ
エルザ「そ・・そんな・・まさか・・思念体!!!?」
ジェラールとジークレインの体が一つになるのを見たエルザが驚きながら言う
ジェラール「そう、ジークはオレ自身だよ」
エルザ「バカな!!!な・・ならばエーテリオンを落としたのも自分自身!!!その為に評議院にもぐり込んだと!!?」
するとジェラールは先ほどとはまったく違う冷徹な表情を浮かべ、エルザに言う
ジェラール「かりそめの自由は楽しかったかエルザ、全てはゼレフを復活させる為のシナリオだった」
エルザ「貴様は一体どれだけのものを欺いて生きているんだァ!!!!」
エルザの叫びにも応えないジェラールは戻ってきた自分の魔力を静かに解き放ち始める
ジェラール「フフ・・・力が・・・魔力が戻ってきたぞ」
その頃、魔法評議員ERAでは
突然、建物が老朽化し、足場や柱が崩壊し始めていた
「何だこれは!!?」
「建物が急速に老朽化してる!!?」
「失われた魔法・・・時のアークじゃと!!?」
評議員たちが崩壊する建物から脱出する中
評議員の一人、ヤジマが建物の中心に佇んでいるウルティアを見つける
ヤジマ「ウルティア」
ウルティア「全てはジーク様・・・いえ、ジェラール様の為・・・あの方の理想は今ここに・・・叶えられるのです」
Rシステム、楽園の塔最上階
エルザ「くあぁっ」
真の力を発揮したジェラールの圧倒的な魔力を前に吹き飛ばされるエルザ
ジェラール「さっきまでの威勢はどうした?斑鳩との戦いで魔力を使い果たしたか?」
ニヤけた笑いを浮かべるジェラールに向かってもう一度攻撃を仕掛けるエルザ
素早く剣を換装し、ジェラールに斬りかかる
エルザ「ジェラァアァアァァル!!!!」
しかしジェラールはエルザの攻撃をいとも簡単に捌く
ジェラール「今頃、評議院は完全に機能を停止している、ウルティアに感謝しなければな・・・あいつはよくやってくれた」
エルザの猛攻をかわしながらジェラールはしゃべり続ける
ジェラール「楽園にて全ての人々が一つになれるのなら死をも怖れぬと・・・まったく、バカな女である事に感謝せねばな」
エルザ「貴様が利用してきた者たち全てに呪い殺されるがいい!!!!」
エルザがジェラールに言い放った瞬間、エルザの剣を握る手の動きが停止する
エルザ「な・・何だこれは!!?」
ジェラール「拘束蛇、さっき抱き合った時につけておいたものだ」
見ると、エルザの全身には蛇のような模様が刻まれていた
エルザ「う・・あ・・・体が・・・動かん!!!」
エルザは握っていた剣を地面に落とす
ジェラール「Rシステム作動の為の魔力は手に入った、あとは生贄があればゼレフが復活する・・・もう お前と遊んでいる場合じゃないんだよエルザ」
エルザ「う・・あぁ・・・」
ジェラール「この27億イデアの魔力を蓄積した魔水晶にお前の体を融合する、そしてお前の体は分解され、ゼレフの体へと再構築されるのだ」
するとエルザの体が塔の魔水晶に引き込まれ始める
エルザ「が・・うあ」
ジェラール「お前の事は愛していたよ、エルザ」
エルザ「ああああああ」
エルザの体半分が魔水晶に飲み込まれる
エルザ「くそっ!!!くそっ!!!」
ジェラール「偉大なるゼレフよ!!!今ここに!!!この女の肉体を捧げる!!!」
両手を空に広げ、高らかに叫ぶジェラール
エルザは悔しさの涙を流しながらジェラールに向かって叫ぶ
エルザ「ジェラァーーールゥゥーーー!!!!」
エルザの体が完全に魔水晶に飲み込まれる寸前
アルト「おっと」
エルザの腕をつかみ、魔水晶から引っこ抜くアルト
ジェラール「!!」
アルト「エルザはフェアリーテイルの魔導士だ、お前なんかに絶対渡さん」
冷静な口調でジェラールに言い放つアルト
エルザ「アルト・・・!?」
アルト「こんなとこで何してんだよエルザ、早く帰っていつもみたいに皆で仕事行こうぜ」
にこやかな表情で言うアルト
エルザ「ス・・スマン・・体が・・・動かなくて」
アルト「へぇ・・・」
何時に無くしおらしい態度のエルザを見て、アルトはイタズラ心溢れる表情を浮かべる
アルト「こんなに女らしいエルザって珍しいな・・・なんか可愛い・・・ぷぷっ」
エルザ「なっ・・お前はこんな時に何言ってるんだ!!/////」
アルト「エルザ可愛いエルザ!!!」
エルザ「お、おいやめろ!からかうなっ・・・/////」
エルザが頬を染め、抗議する
エルザ「アルト・・・今すぐここを離れるんだ・・・」
アルト「やだよ、エルザを見捨てて俺だけ帰るなんて出来るか・・・それに」
そう言ったアルトはジェラールを睨みつける
アルト「エルザをこんな目に遭わせたアイツを俺は絶対に許せねえ、このふざけた塔ごとぶちのめす!!」
エルザ「よせ・・相手が悪い・・・お前はあいつを知らなすぎる」
アルト「知らなきゃ勝てないもんなのか?」
エルザ「頼む・・・言うことを聞いてくれ」
目に涙を浮かべ、弱々しい声で言うエルザ
アルト「エルザ、ごめん・・・今だけはエルザの言うこと聞けないわ」
そう言ったアルトはエルザを持ち上げ
エルザ「!!?」
エルザの腹を殴り、気絶させた
アルト「だって・・・今から俺がお前の悪い夢、全部ぶっ壊さなきゃならねえからさ」
気絶したエルザをその場に丁寧に寝かせ、ジェラールと向かい合うアルト
ジェラール「火竜に並ぶ傍若無人ぶりだな・・身動きできねー仲間を痛めつけて満足か」
アルト「・・・エルザが泣いてた」
その身を震わせ、拳の甲に青筋を浮かべるアルト
アルト「弱音を吐いて声を震わせていた・・・エルザが悲しんで流す涙なんか、もう二度と見たくねぇんだよ・・・」
するとアルトは憤怒の感情を込めた瞳でジェラールを思いっきり睨みつけた
アルト「エルザを泣かせるモンは全部俺がぶっ壊す!!悪い夢から目が覚めた時、いつものエルザでいてほしいからだ!!」
ジェラール「面白い、見せてもらおうか大陸の魔導士の力を」
アルト「うぉおおおおお!!!!」
次の瞬間、強大な二つの魔力が塔の最上階でぶつかり合った
ページ上へ戻る