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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-6 圏内事件
  Story6-1 攻略の鬼とそのストッパー

第3者side


第56層・パニ


本日この場でフィールドBoss攻略の会議が行われていた。

その数は大小のギルド多数。

戦力的には最前線において、全く問題ないほどの強力なパーティだ。


その会議の中心で、地図を広げているのがトップギルドである血盟騎士団・副団長。


バシッ!!


地図を叩き、皆に聞こえるように大きな声で言う。

「フィールドボスを村へと誘い込みます」

栗色のロングへアー。

その容姿は誰もが見惚れるもので、美しいという以外の言葉が見つからない。

そう、それはアスナだった。



その言葉に場が困惑する。




今までに、村へと誘い込む、などという事は行ったことがないからだ。

そして、その作戦には危険が伴うと判断した。

「でも、Boss戦においてレベルの足りないプレイヤーが村にいたらどうするんだ?」

その会議の最後列付近で腕を組んでいたマキトはアスナにそう聞く。

「心配ありません。その様なことが無い様、事前に我がギルド血盟騎士団のメンバーが十分に周知を行い、レベルの足りないプレイヤーは、村には誰もいなくします」

「なるほど……」

――確かにあの規模のギルドだったら、そんな作業なんでもないんだけど……

「待ってくれ!確かにプレイヤーには危害は加わらないかもしれないが、村の人たちが!」

キリトが作戦を止めようと割って入ってきた。

だがアスナは、キリトのその言葉をただ冷静に聞くと

「それが狙いです。フィールドボスが、NPCを殺している間にBossを攻撃、殲滅します」

無情にもそう言い放った。



NPCは確かに生きてはいない。

だが、死ぬ瞬間は消え去る瞬間はプレイヤーのそれと何も変わらない。

だからこそそんな姿を見たくは無いのだ。

「NPCは岩や木の様なオブジェクトとは違う!彼らは!」

それを間近で見ていたからこそ、キリトはそう言うが

「生きている、とでも?」

アスナが逆にキリトに聞き返していた。

NPCとはこのSAOと言う構築した世界を成り立たせる要素であり、生きた人間ではない。

「あれは単なるオブジェクトです。たとえ殺されてもリポップするのだから」

そのアスナの言い分は間違えてはいない。



だが、キリトからしたら納得できないところもある。


しかし、今を生きている人≪プレイヤー≫の命と天秤にかけたら、どちらを選ぶべきかははっきりとしていた。

「あなたはどう思いますか?」

アスナはシャオンにそう聞く。

「キリトの言いたい事はわかる。彼らの断末魔……最後の瞬間は、プレイヤーのそれと全く変わらない。みてて良い気分じゃない。

でも、プレイヤーの命と天秤にかけたとしたら、犠牲者を出さない可能性の高いその作戦もしょうがない……

…………無理だ。俺もキリトと同じでNPCが殺されるのみたくない」

――そんなことしたら、上でみてるあいつらになんか文句言われそうだからな

「今回の作戦は、私、血盟騎士団・副団長アスナが指揮を執ることになっています。私の言う事にはしたがってもらいます」



その言葉でこの場の攻略会議は終了した。















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

















「相変わらずだな……こりゃ」

シャオンは、アスナの後姿を見てそう呟く。

細剣スキル、リニアーだけで戦っていたあの頃が懐かしいと感じている。

「うん、最近ちょいちょい無理なこと言うよ、アスナは」

「お前、一応ストッパー役で血盟騎士団にいるんだろ?
アスナのそばにいなくてもいいのか?」

「いや、アスナのバーサクっぷりに嫌気がさしてやめちゃった」

「そんなことしたらアスナを制御出来なくなるぞ」

「もう無理だよ。ちょっと前はあんなことなかったのに」


隣にいるのはアスナの元ストッパーかつ元血盟騎士団参謀、現ソロプレイヤーのフローラだ。

「フローラが無理なら俺も無理」

「攻略は大切なんだけど、攻略の時の鬼になってるアスナは苦手なんだよね」

「俺もああいうの無理だ。なんか取っ付きにくい。



じゃ、俺帰る」

「バイバイ、シャオン君」






その後シャオンはキリトと共に会議場所の洞窟から離れていった。




















洞窟の外では、まだキリトは納得言っていないと言った様子だ。
シャオンは割りきったかきってないか、みたいな顔をしている。

「よぉ、また揉めたな」

エギルがキリトに話しかけていた。

あの場にはエギルもいて、やり取りは見ていたのだ。

「エギル」

キリトもエギルに気づき、振り返った。

「お前さんと副団長さんはどうしていつもああなんだ?」

「気が合わないんだろうな、きっと」

「あんな感じだから、そうだろうな」

シャオンも2人の傍に来ていた。

「お前は援護してくれると思った」

「うん、お前の言ってること、よく分かったからさ。

どの道、いつも通りアスナに押し切られるのは目に見えていた。
でも、俺はそういったことは絶対にやりたくない。
だから、あえて反論したんだ。

それに……」

シャオンはキリトの肩をつかむ。

「俺達でさっさと倒せば、NPCも殺されずに済むだろ?」

「だな」

キリトも表情を軽く和らげ、肯定した。

「お前さんも相変わらずだな。その笑顔と声と容姿で何人のファンを作ったか」

そんなやり取りを笑いながら見ていたエギルはシャオンにそう言う。


「ファンって……勘弁してくれよ」

エギルはからかったのが面白かったのかニヤリとしている。

「それにしても、第1層の時から考えて信じられないよな。まさか、トップギルドの攻略の鬼になってるんだから」

キリトがそう言う。

「いや、鬼になりかかっているんだろう。

アスナの傍には、一応だけどフローラがいる。今日は一歩離れてたけど、上手に抑えてくれてるよ。お前より遥かに上手くな?」

「俺は、そんなに器用じゃないんだよ」

「まぁ、人間月日が経てば変わるってことだよ」

「変わらない人が約一名」

「それはなしってことで」

三人でまた笑っていた。
















Story6-1 END 
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