ひねくれヒーロー
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宗教は大きな河に似ている
宗教は大きな河に似ている。源泉から遠ざかるにつれて、絶え間なく汚染している。
—プレヴォ—
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宗教は大きな河に似ている
◇◆◇シナイ◇◆◇
寺の少年と、こ・・鶸茶?コン?コンで良いか
コンは井戸へ向かって行った
残された薄墨・・・多分サイだろう、腰露出してるし
今も本で何かを確認しているようだ
時たま何かぶつぶつと呟いている
僧に案内されて本堂へ赴く
中に居るであろう地陸に声をかけ、扉を開けてもらう
地陸か・・・確か不死コンビに殺され、換金されてしまった男だったな
「ようこそ火ノ寺へ、お話は伺っておりま・・・」
お辞儀をして、顔を上げた瞬間目があった
地陸は私の顔を見つめ、大口を開けて呆けている
その驚愕に染まった地陸から、予想だにしない言葉が紡ぎだされた
「まじらず、棟梁・・・!?」
「———え?」
・・・私地陸と面識ないよ!?
守護忍十二士でクーデター騒ぎがあったとかそんな噂ぐらいしか知らない
会った事は一度もない
前の世界でも、木の葉創設初期に私死んでるから!
三代目が青年になるかならないかぐらいで死んでるから!
時代が合わないよ
「なんだ?お知り合いかシナイ」
「流石歩く名言集・・・人脈が豊富なんですね」
いやこれは名言関係ないよ?
もちろん知り合いでもないです
えーと、えーととりあえず・・・
「地陸さん、ちょっとお話しましょう
ガイと薄墨は待機!」
「うわっ」
地陸の服を引っ掴んで茂みに隠れる
話が聞かれないぐらいの距離を移動し、2人してしゃがみこむ
「質問、何故まじらず棟梁を知ってるのですか?」
「伝記を読みました」
ま た お 前 か 伝 記
道理で面識のない人間が私の事を知ってるわけだよ
・・・ということは、だ
「貴方は別の記憶を持ってますか?」
「・・・はい あと、ソラにも少し記憶があるようです」
ソラ?と首を傾げると、どうやら井戸へ向かった少年僧のことらしい
地陸は私が居た世界の記憶を持っているのか・・・
「・・・すいません、伝記って誰が書いたのですか?」
「志村ダンゾウ殿です」
!?
「泣いていいですか」
「・・・ご自由に」
泣こう
帰ったら泣こう
コンとイカリにおつまみ作ってもらって、シュロが貯め込んでいる酒を飲むんだ
2人の手料理を独占して、ダンゾウ様に見せつけてやる
とりあえず今は・・・
地陸さんの手をとり、ガイ達の元へ戻り———
「ガイぃぃぃぃっ
私の知らない所で話が膨れ上がってたぁ・・・!」
やつあたりのダイナミックエントリー
無言でかわされ、そのまま踵落としを喰らわされる
痛い
「・・・! これが拳の語り合い・・・!」
サイが何かに感動していた
◇◆◇コン◇◆◇
頭痛薬を飲んでしばらく
ようやく効き目が表れ始め、痛みが治まってきた
ソラと名乗った少年も同じように痛みが治まったらしく、ちょこちょこ話し掛けてくるようになった
「お前さぁ、そのマスク何なんだよ?」
ソラに先導されながら本堂へと歩く
「一応これでも暗部見習い・・・見習いでして、素顔を晒すわけにはいきません」
根で修行中だから・・・暗部見習いの見習いという立ち位置で良いのだろうか
「・・・だからってそれは・・・不気味」
「・・・あぁ・・・みんなのトラウマだからな・・・」
ひかれてしまったが仕方ない
懐かしいぜ赤緑兄弟・・・どうせオレは乗り捨て恐竜で緊急脱出できないヘタレゲーマーさ・・・
「ソラは火ノ寺の僧なのですか?」
「あぁ、そうだ・・・といっても、お前と同じように見習いなんだけどな」
「なら見習い同士、仲良くしましょう」
そう言って手を差し出す
こんな寺で1人だけ若かったら友達も出来ないだろう
オレの方が年上だけれど、年が近いと言えば近い
交流を広げるのは大事だ
戸惑ったようにきょろきょろと周囲を確認して、小声で囁かれる
「・・・オレはこの寺で浮いてる
そんなオレと仲良くしようだなんて・・・やめておけ」
拒絶、なのだろうか
寺で浮いているといった彼はどこか寂しげで、遠い記憶を思い出すように空を仰いでいる
・・・無理やり手を握り締め、握手する
「良いかソラ
仲良くしようと言われたら、素直にうんと言うんだ」
お兄さんからの忠告だ
「お、おう
・・・って、だ、誰が木の葉の忍なんかと仲良くするかよ!」
手を振り払われる
ありゃ、本気で仲良くしたくなかったのか
「てめぇ餓鬼のくせに年上ヅラしやがって・・・気に入らねえッ
戒名つけてやるッ」
いつのまにかかぎ爪を装着し、臨戦態勢をとるソラ
・・・多分な、ソラより年上だわオレ・・・
しかし戒名つけるとは・・・うーんオレも何か良いセリフはないものか・・・
オレも身構え、小刀を鞘にはめたまま持ちなおす
「ならオレは———火葬してやるよ」
どうだ!?
「アホか」
ソラの後ろから走ってきたシナイちゃんが、オレにダイナミックエントリーを喰らわせる
やめてマスクが吹っ飛ぶ!
ずれそうになったマスクを直し、抗議の意味を込めて睨みつける
「態々ドヤ顔してまで言うセリフか!」
マスクをしているのにどうして表情が分かるんだ
「まじらず上忍、お話は終わったのですか?」
「ぐだぐだになった」
なにしたの!?
「ぐだぐだにした、の間違いだろう」
「地陸さんを茂みに連れ込んだと思ったら・・・泣いてましたからね」
先生を追い掛けて2人と1人の僧・・・多分地陸が歩いて来る
地陸はソラを小突いて、諍いを起こそうとしたことを叱っている
親子っぽいな、血縁関係でもあるんだろうか
地陸に引きづられてソラは強制的に頭を下げられた
「寺の者がケンカを吹っかけたようで・・・申し訳ない
ほら、ソラ!
お前も謝りなさい」
「けっ
誰がこんな餓鬼に頭なんぞ下げるかよ!」
「鶸茶は19歳だ」
あ、ちょ、シナイちゃんあえて黙っていたのに・・・!
「「「「!?」」」」
四人が一斉にオレを見る
サイ、お前も知らなかったのか
教えてなかったか・・・?
地陸に至っては二度見芸を披露してくれた
そうか・・・オレはそんなに子供に見えるんだ・・・
「何故根の構成員の個人情報を・・・!?」
あ、サイの驚きはそっちか
「まじらず上忍に常識は通用せんぞー」
そう・・・この人に常識は通用しない
空中浮遊どころか空も駆けるし、幻術はノリで解くし
無意識に根の結界内に入り込んでたり、ゆで卵を灰燼に帰すお方だ
実名は伏せて語った事があるだろう?
「・・・あぁ・・・例の・・・」
「シナイだからなぁ・・・」
「例のって何!?ガイの生温かい目やめて!」
「何度シナイの無茶に巻き込まれたことか・・・懐かしい、これぞ青春!」
「私の無茶!?それこそお前の無理に何度付き合わされたか忘れたのか!?」
「勿論覚えているぞ我が友よ!」「と、ともだーち!?」
・・・シナイちゃんが、ノリに負けた
良い年こいた2人がハイタッチしながらテンション上げていく
先生、お願いだから戻ってきて
貴方までそっち側に行ったらカカシ先生がエライ苦労するんです
ガイ班も途轍もなく苦労するんです
主にテンテン先輩の胃が心配なので帰ってきてください
◇
場所は変わって寺の本堂
横一列に並んで正座する
「さて、本題に入りましょうか」
散々騒ぎ倒しておいて何食わぬ顔で言い放つ
先生、厚顔無恥ってどう言う意味なんでしょうか
「すでに木の葉より文にてお伝えしておりますように・・・
ここ数年で急激に増えた新興宗教の、火の国における情勢調査
並びに数ヶ月前に訪れたという、黒衣の男について教えていただきたい」
黒衣の男?
先生から説明を受けていないが・・・どういうことだ
「新興宗教については、書類にまとめて御用意させて頂いております
黒衣の男と対面したのは私だけですが、よろしいか?」
「はい
・・・地陸殿の方が、たった一人で対面なされたのですか?」
付き人とか伴って面会しそうなものだが
他に目撃した人間が居ないというのも気になる
「所用で1人で寺を出ねばなりませんでしたので・・・彼らとは寺に帰る途中に会ったのです
今でもはっきりと覚えております
爆発について語る少年と、一匹の烏を肩に乗せた青年のことを」
黒衣で爆発、烏・・・もしやデイダラと、イタチか?
そうか、ジャシン教って飛段が信仰してたから暁と繋がりがあると思っていいのか
「少年からは”ジャシンの名は?”と問われまして
何の事かと訊ねると話をうやむやにして去って行きました
そして二週間ほど前でしょうか
烏を連れた青年が寺の傍におりまして・・・
私は少年の・・・服装が気になっていたので、私から声をかけたのです」
ジャシン?
邪神?
どっちか分からんが、名前か・・・
鴉は随分と前に邪神はパルコだと言っていたことがあったが、パルコの名を言えということだったのだろうか
「青年は確か、月隠れ、四代目水影、油女の異端児のどれか一つに聞き覚えがないかと問うてきました」
記憶持ちを、探しているのか
ということは・・・地陸は記憶持ちなのだろうか
四代目水影とは一体何を指しているんだろう
月隠れのオレの所、油女の異端児はシュロの所・・・残りは、イカリか先生のところ?
四代目水影のことは、木の葉創設初期に死んだ先生にはわからないな
先生を見る
視線に気づいた先生がハンドサインを送ってきた
・・・へぇ、先生の所の記憶を持っているのか
「私はその三つとも聞き覚えがなかったため首を振りました
そのときはそのまま去って行き、気にも留めなかったのですが・・・
ここ最近の新興宗教へと改宗を迫る男たちの服装と彼らの黒衣が酷似していることに気づきました
彼ら暁と、新興宗教ジャシン教はつながりがある」
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「オレは———火葬してやるよ」(ドヤァ…)
※ コン の 厨二病 が 発動 した !
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