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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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峰 理子と言う女

さて、カルテットから数週間経過し、
退屈な授業が終わった日の放課後。

「ねーねーユウユウ、ちょっといい?」

何か見るからにアホそうな女子生徒が話しかけてきた。
今は帰り支度を済ませていたところで、この後は特に用事はない。

「別にいいが、誰だお前?」

「あっれー?知らないの?一応クラスメイトなんだけどなぁ」

「残念だったな。
人の名前は識別するためのものだ。
識別に必要のない物は覚えないことにしている」

「…ぼっち?」

「違う。一人でいるのが好きなだけだ」

まぁ友人はちゃんといるし、話すやつだっている。
ボッチとかには属していないはずだ。

「んー、まぁいいや。
それじゃ、屋上に行こうよ!」

「はいはい…」

そんなこんなで屋上へ行く。




「さて、早速ですがユウユウ!
これなんだ?」

「ああ?」

屋上につくなり見せてきたのは一台のノートパソコン。
その画面に写るのはカルテットの時の映像。

「カルテットだな」

「そうだけどそうじゃないよ。
このカルテットにおけるユウユウの行動は何だって聞いてるの」

「…お前見てわからないのか?
走って登って足止めだろ。一目瞭然だ」

「…真面目に答えろ」

ふむ、本性出てきたな。
この女、峰理子とか言ったな。
峰…峰か……。

「真面目と言われてもな。
もっと簡単に言えないのか?
例えば「お前は何者だ」…何者、か。
人外の頂点?後は…魔法使い?」

「ふざけてるのか…?」

「大真面目だね。
大体そんなことを知ってどうすんだ?
お宝を盗みに行く助っ人か?」

「なっ!?お前、どこまで知ってる…」

おっとビンゴか。
まぁ峰なんて名字は珍しいからな。

「峰不二子はお前の母親であってるか?」

「…そうだ」

「となると、ルパンは不二子と結婚したことになるのか。
なら、お前さんはルパン4世?」

「……お前は生かしておけない。
ここで……っ!?」

太股から銃を引き抜こうとした峰は急に動きを止めた。

「別に争うとかは思っても無いんだけどな。
まぁ、ソレを抜いたら迷い無く墜とすぞ」

俺は後ろに回り込み、うなじの辺りに手刀を添えている。

「…化け物」

「ん、久しぶりに言われたな。
まぁ言われ慣れている分怒りも沸かないが」

「……目的は何だ。
この学園に来た理由は何だ」

「その質問流行りなの?
この前もされたんだけど。
まぁ、目的は卒業。
理由は特にないな。強制だったし」

俺は未だに忘れない。
あの日誓ったゼウスを殴ると言う言葉を。

「…何処かの組織に入っているのか?」

「いんや?」

「……ならイ・ウーに来い。
お前みたいな奴がゴロゴロしている」

「お前さん、俺を戦闘狂と勘違いしてないか?」

「違うのか?」

「違うわ。はぁ……まぁいい。
それで、用事はこれだけか?」

「…後ひとつ。
お前は私を知っているか?」

「知らないな。
ルパン4世がいるなんて聞いたことも無かったな」

「そうか…なら、私は峰・理子・リュパン4世。
リュパン家の欠陥品だ……」

「ふーん…」

欠陥品ねぇ…ふーん。

「それだけ…じゃぁね」

それだけ言い残し、峰は去っていった。

「……面白い」

後に残った俺は、ただそう呟くのだった。


















「おっ邪魔ーー!」

"バキンッ!"

「なっ!?お前!何しに来た!て言うか扉壊すな!」

その日の夜。
俺は峰の気を探って峰の部屋へ殴り込んだ。

「おう、扉は心配すんな。
ソレよりもお前、映画とかアニメに興味あるか?」

「はぁ?行きなり来たと思ったら何だそれは。
一応ゲームとかはやる」

「宜しい。ならば観賞会だ」

俺は扉を錬金術で直し、づかづかと中へ入っていく。

「お、おい!」

峰が慌てて止めようとしたが遅い。
俺はもうリビングへと入っていた。

「…」

「…はぁ」

「お前、女子力って言葉しってる?」

「馬鹿にするな!それくらい知っている!
これは、…時間が取れなかっただけだ」

入った部屋はリビング……のはずだが…。
まず脱いだ服やら下着やらが1ヶ所に山になっており、
食器や調理器具が水に浸けてあるだけで放置されている。
極めつけはパソコンがあるヵ所へと十数本のコードが無法地帯のように繋がり走っていた。

「一応テレビはあるみたいだし…はぁ。
掃除するぞ」

「か、勝手に決めるな!」

「残念だが拒否権はない。
お前は彼処の衣類担当。その他は俺がやってやる」

「だから勝手に…ああもう!分かったから!」

起こりながらも渋々動き始める峰。
ちらっとパソコンを見てみたが、どうやら何かの報告をしていたようだ。
ま、関係はないが。

「影分身の術」

"ボボボボッ"

俺は分身を4人作り出す。

「お、お前!忍者だったのか!」

「違うっつーの。良いから手ぇ動かせ」

「く…後で説明しろよな」

やれやれ、さっさと取り掛かるかねぇ…。










「嘘……」

「こんなもんだろ」

約30分後。
見違えるほどに綺麗になった部屋を見て、峰は驚愕を露にする。

まず食器類。
全て水魔法で洗浄し、風魔法で乾燥させる。
乾いたやつから食器棚へと収納してOK。
後は汚れたキッチンを水魔法と火炎魔法の組み合わせで洗いまくり、
元の輝きを取り戻すことに成功した。
勿論3年程の固定化も忘れない。

次にリビング?。
散乱していたカップ麺等の容器は圧縮してミクロにしてから燃やし尽くした。
あちこちから延びていたコードを歩くのに邪魔にならないように各々に束ね、
部屋のすみ、天井を通るように改造した。
後は埃や小さいゴミを風魔法で集め、圧縮して燃やして終了。

「本当に魔法使いだったのか……」

「普通は信じられんがな。
よし、アニメ見るぞ!」

「別に良いが、何のアニメ何だ?」

「ルパン三世」

そう言った途端に峰をどす黒い念がまとわりついた。

「…どういうつもりだ」

「まさか俺がお前を馬鹿にするために持ってきたと思ってる?
アホか。これはお前が見るべき物だと確信して持ってきたものだ。
家とか称号とか忘れて見ろ。
そうすりゃ分かる」

「……私は欠陥品だぞ!」

「そう、それだ。
何故自らを欠陥品だと呼ぶのかは知らんが、
お前は家とかの柄に囚われすぎている」

「それの何が悪い!
屋敷に居ればいつもいつも4世と呼ばれる!
私は数字じゃない!お母様から貰った名前があるのに!」

成る程。
この(しがらみ)は4世と言う単語から来ているのか。
なら尚更このアニメを見なきゃならんな。
ルパンがどういった人物か、実際は違うんだろうがこう言った人物も居るのだと、
そう考えなくてはならないことを知らなきゃならん。

「良いから見ろ。見れば分かる」

「お前は……っち!一話だけだからな!」

ホント、素直じゃないと言うか…ねぇ?








一話終了。




「いや、何度見ても面白い」

「………」

エンディングが流れ、峰は信じられない物を見るかのように放心している。

「さて、帰るかな」

「ま、待て!」

立ち上がろうとしたところを裾を掴んで止められる。
言うまでもなく峰が掴んだのだが。

「も、もう一話だけ付き合ってやる」

「クククッ…」

「な、何がおかしい!」

「いーや、何でも…」

さぁ、長い夜になりそうだ。
幸いにも明日は休み。
オールナイトも許される今日の夜の出来事だった。 
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