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願いを叶える者(旧リリカルなのは 願いを叶えし者)

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新学期

さて、あれから一年。
漸く二年になろうと言う今日この頃。
時間が飛んだなどと言うことは些細な事だ。
今は目の前の現実を直視し、頑張っていくことが大切なのではないのだろうか?

「ユウジ!ヘルプ!」

「シャラップ金次!黙って漕げ!」

現在、俺と金次の二人は後ろからセグウェイに追われ、乗っているチャリには爆弾が仕掛けられているのである(金次のだけ)。
俺は登校中、のんびりと学校へ向かっている最中に後ろから追い上げてきた金次のトラブルに巻き込まれ、このチェイサーゲームに参加している。

「!あれは何だ!」

「ああ!?」

金次が突然騒ぎ、俺もそちらへと顔を向ける。
屋上に小さな人影が見え、その影が――――

「飛んだぁ!?」

――――飛び降りた。
しかし金次の驚きも束の間、飛び降りた影、少女はパラシュートを開き、こちらへと下降してくる。
そしてスカート下から拳銃を二丁取りだし、

「馬鹿二人!さっさと頭下げなさいよ!」

そう言ったと思ったら容赦なく追跡するセグウェイを破壊した。

「このチャリには爆弾が仕掛けられているんだ!」

俺のチャリには無いがな。

「武貞憲章一条!『仲間を信じ、仲間を助けよ』!行くわよぉ!」

そう言った少女はパラシュートに足を掛け、逆さになって俺達二人の進行上へとおどりでる。
腕を拡げ、掴まれと言う合図なのだろうか。
しかしながら――――

「生憎と、初対面の奴と仲間になった覚えはない」

俺は少女の拡げた腕を掻い潜り、スルーした。

「ぐわっ!」「ぐっ!」

後方で二人が衝突するように衝撃を噛み締めた声が聞こえたが、今はそんなことは気にしていられない。
何故なら俺の真横に無人の自転車が並走しているからだ。

「あー、考えて無かったわー」

”ドガァァァァァァン!!”

自転車に取りついた爆弾は規定速度の低下を確認し、爆発した。









「おはーっす」

「おうユウジ!ギリギリだな!」

教室。新学期ではあるものの、変わるのは教室とクラスの顔ぶれのみ。
見たことある奴も居れば、知らない奴だっているそんな中で、去年より顔馴染みとなった武藤剛毅が元気に会話を投げ掛けてくる。

「爽やかな登校中にミクロほどの災難に巻き込まれてな」

「災難?まぁいいや、それよりキンジは?」

「アイツもまた、例によってトラブルの渦中だ。
少ししたら来るだろ」

「そうか!まぁアイツなら心配ないだろ!あはははは!」

あの自転車の爆発から逃れた俺は、そのまま学校へと来ている。
遠目に見た限りではパラシュートが木に引っ掛かっていたため、二人とも無事であることは予測できる。
まぁアイツの事だからその過程で更なる災難を起こしてそうだが、大丈夫だと強引に納得をしておいた。

「ホームルームを始めますよ~」

教師が現れ、クラスの喧騒も静まり返る。
生徒は各自自分の席へと着席し、教師に顔をむける。

「すいません、遅れました」

そう言って現れるのは件のキンジ。
教師から少々のお小言を言われた後、着席する。

「今日は新しいクラスメイトを紹介します」

開口一番にそう言った教師は黒板側の扉を見る。
カラカラと音を立てて扉が開かれ、入ってきたのはさっきの少女。

「神埼・H・アリアさんです。えーっと、神埼さんの席は…」

「先生、私アイツの隣がいい」

教師が神埼なる少女の席を指定する際、自ら志望する席を指差した。
言うまでもなく刺されたのは金次の隣だった。

「お、俺!?」

本人は行きなりの事に驚愕を示す。

「キンジ!良く分からんがお前にも春が来たようだぞ!
先生!俺の席、転入生さんに譲りまーす!」

武藤が立ち上がってそう言った。
少しは躊躇いとか見せろやノッポドライバー。

ツカツカと真っ直ぐにキンジの元へ向かう神埼は、徐にベルトを取りだし、キンジへと放った。

「これ、さっきのベルト」

何時のベルト?
お前ら何してたの?

「理子分かっちゃった!これもうプラグバッキバキに立ってるよ!」

突然手をあげて騒ぎ出すのは今ではルパンリスペクトを掲げる峰理子である。

「キーくん、ベルトしてない! そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた! これ謎でしょ!? これ謎でしょ!? でも理子には推理できた! できちゃった!
キーくんは彼女の前でベルトを取るような何らかの行為をした!
そして彼女の部屋にベルトを忘れてきた!つまり2人は――熱い熱い、恋愛の真っ最中何だよ!」

「「「な、なんだってー!」」」

お前ら息合いすぎだろ。ホントに大丈夫なのか?このクラス……。

「くだらねぇ……寝r おっと”ダンダンダンッ!”」

寝よう。
そうやって机にうつ伏せになろうとして直ぐに体を起こした。
俺の机には銃痕が2つ残っており、俺の斜め右前で、神埼が真っ赤になって拳銃を握っていた。

「れ、れれれれ恋愛なんて下らない!
今度そう言うこと言う奴がいたら風穴開けるわよ!」

そう言って天井にもう一発発砲。
こうしてホームルームは終わりを迎えるのだった。

え?怒らないのかって?
嫌だなぁ、俺、そんなに短気じゃないよ?理不尽だったりすればキレるだろうけど。









「ただいまっと」

放課後。俺は何もせずにそのまま帰宅した。
本来ならば各々の科目に別れて色々とやるのだが、俺がいる通信科は事件がなければ暇なのである。
それ以上にEランクの俺には用がないとの事。
ランク見ただけで人を判断するとは…最近の若いやつらは教育がなってないよな。

「はぁ…疲れた」

「ん、帰ったか」

俺に遅れて金次も帰ってきた。
ホームルームの時の一騒動から今日一日を無駄に走り回った為か、ひどく疲れているようだ。

「あぁ、帰ってたのか」

「まぁな。そっちこそ、お疲れだったな」

「ホントだぜあのでぼちんめ…」

金次はそう言ってどかっとソファに座る。
俺は金次の前に紅茶を出してやり、金次はそれに口をつけた。

「なぁユウジ…」

「ん?」

「今朝のチャリジャック…武偵殺しの仕業らしいんだけど何か知らないか?」

「武偵殺しねぇ…?
そもそも何でお前を狙ったのかは知らんのだが、犯人位は特定出来るな」

「ホントか!?誰だ!?」

「あー…ん?………………へぇ」

「お、おい。どうしたんだよ」

「いや別に。そうだな。こればっかりは言うことができないな。
まぁ、蜂に刺されたと思って諦めろ」

「そうか…分かった」

うんうん、素直なやつは嫌いじゃない。
しかし、武偵殺しは峰だったのか…。
これは後で話を聞きに行くべきだろうな…。

”ピンポーン”

「ん?誰だこんな時間に」

「………(この気配は…」

”ピンポーンピンポーンピンポーン”

「だぁぁぁぁ!今出るようっせえな!」

金次は声を腹立たせながら玄関へと向かい、ドアを開けた。

「遅い!私が来たら5秒以内に出なさいよね!」

今日の転校生、神埼・H・アリアがたっていた。

「か、神埼!?」

「アリアでいいわよ」

そう言って神埼は金次をスルーして家に上がり込んだ。
当然リビングには俺が居るため、必然的に目が合う。

「アンタがキンジの同居人ね?」

「だったら何だ不法侵入者」

「ふん、まぁいいわ」

そう言って神埼は俺を無視して窓際へと歩いていった。
何なのこいつ?マジで何様のツモリなわけ?

「おい!勝手に上がるなよ!」

キンジは慌てながらもリビングへ戻ってきて言った。

「良いじゃない別に。
それよりもキンジ!アンタ私の奴隷になりなさい!」

そう言って神埼は金次に指を突きつけてそう言ったのであった。 
 

 
後書き
更新できず、すみませんでした。
後日からまた遅れてしまうでしょうが、どうかご容赦いただけるようお願いします。 
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