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第四真祖一家が異世界から来るそうですよ?

作者:黒螺
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YES!ウサギが呼びました!
   第十話 「少女達の虎退治とギフトの使い方」

 
前書き

今回は前回の零菜達虎退治サイドのお話です。

更新が不定期になりがちで申し訳ありません。
 

 



古城達と別れた零菜達は耀の見た建物へと向かっていた。

その道中に飛鳥が零菜に声をかける。

「そう言えば零菜に聞きたいのだけど」

「ん?何々?」

「古城さんと雪菜さんはどの位強いの?白夜叉と戦った時の雷が凄いのは分かるのだけど・・・・・・」

「そ、そんなに凄いんですか?」

「あの雷は凄かった」

「ん~ママはともかくパパは元の世界だと『世界最強の吸血鬼』なんて言われるくらいには強いよ?」

「「「え?」」」

「とは言っても、相性とかあるから一概には言えないんだけどね~それにママ達には頭が上がらないしね」

「せ、世界最強?」

「見かけによらずとんでもない人なのね」

「うん」

「おっ!!何か見えてきたよ」

「これは・・・・・・」


見えてきた本拠地と思われる屋敷は全体を蔦で覆われ廃墟と化していた。
虎の紋様を施された扉は無残に壊され、窓ガラスも辺りに散乱しており、外観は無残に蝕まれて剥ぎ取られていた。

「屋敷まで木に呑み込まれてるなんて・・・・・・」

屋敷の中に入ると家具は打ち倒されて散乱し、内装も見るからにボロボロになっていた。

「耀ちゃんが見た時、ガルドは何処にいたの?」

「ガルドは二階にいた」

「そっか、ん~どうしよう」

「零菜は何を悩んでいるの?」

「相手が二階にいるなら何か罠が有った場合の為に戦力を分けた方が良いかな~って考えてたの、具体的には飛鳥ちゃんとジン君は一階で待機してもらって退路の確保。私と耀ちゃんで二階に居るガルドの様子見と指定武具の情報を探るって感じで」

「ちょっと待って!!なんで私が待機なのよ!?」

「そうです!?僕だってギフトはありますし足手まといにはなりません!」

「分けた理由を言うからそんなに怒らないでよ~」

怒る飛鳥とジンを宥めて零菜は理由を説明する。

「まず、ジン君と飛鳥ちゃんに退路を守ってもらうのは罠が有った場合に退路がないと撤退が出来ないから。それと今回のギフトゲームは『指定武具での討伐』って事だから、ジン君と飛鳥ちゃんのギフトは効かない可能性がかなり高いと思うんだ、だから二人で退路を守ってほしいの」

「零菜と耀で二階に行くのは?」

「私は戦闘訓練を受けてるし吸血鬼だから怪我してもすぐに治っちゃうから、そんで耀ちゃんは色んな動物の力で逃げるのが可能だからかな」

零菜の説明に飛鳥とジンは不満そうだったが結局は納得してくれた。

「・・・・・・わかりました、でも気を付けて下さいね」

「大いに不満だけど足手まといになるのは嫌ですものね」

「よし!!んじゃ耀ちゃん行こっか?」

「うん」

零菜と耀が階段を上り終えると目の前に大きな扉があった。

「ここかな?一緒に開けるよ?」

零菜の言葉に頷く耀。

「せーのっ!!」

バンッ!!

両脇に立ち扉を開けるとそこには。

「ぎゃゃゃゃぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!」

虎の怪物が白銀の十字剣を背に守るように立ち塞がっていた。

「やっば!!飛鳥ちゃん!ジン君!今すぐ逃げて!!」

「っ!?ジン君行くわよ!!」

「え!?えぇぇぇぇぇーーーーーー!?」

飛鳥に引っ張られながら屋敷の外に避難する飛鳥とジンを確認しつつ零菜は目の前の虎をどうするか考え始めた。

「やっぱり自分で守ってたか・・・・・・となると指定武具はアレで間違いないみたいだね・・・・・・」

「零菜!!来るよ!!」

虎が咆哮を上げながら襲いかかってきた。

「耀ちゃん!!わたしがこいつを引き付けるから、その間にあの剣を回収して!!」

「わかった!」

「おいで!槍の黄金(ハスタ・アウルム)!!」

零菜は眷獣を呼び出し、耀はすぐさま剣に向かって走り出した。

ガルドが爪で耀を襲おうとしたが零菜が間に入り槍で受け止める。

「あんたの相手はわたしだよ!」

ガルドの爪を受け止めてる間に耀が十字剣を回収した。

しかしそうわさせまいと耀に目標を変え襲いかかるガルド。

「あっ」

耀も突然の事に反応ができない。

「させるかーーーーーー!!」

零菜はすかさず槍の黄金(ハスタ・アウルム)で追撃を行いガルドを壁際まで引き離す。

「耀ちゃん窓から逃げて!!」

「っ!!」

ガシャン!!窓を突き破り耀が外に飛び出す。

「こっちも逃げさせてもらうよ、槍の黄金(ハスタ・アウルム)!!」

「ガァァァ!?」

槍の黄金(ハスタ・アウルム)から眩い閃光が走りガルドの目を眩ます。
その隙に耀が逃げた窓から零菜も逃げ閃光が収まる頃にはガルドの前には誰もいなくなっていた。


零菜より早く脱出した耀は嗅覚と視覚、聴覚を使いジンと飛鳥の場所を探していた。

「耀こっちよ!」

「飛鳥!ジン!」

「ご無事でしたか・・・・・・あの零菜さんは?」

「私を逃げるまでガルドの相手をしてくれてる・・・・・・もうすぐそこまで来てる」

「お!いたいた」

「零菜さん!」

「それで指定武具の方はあったの?」

「うん、これがそう」

耀が回収した白銀の十字剣を飛鳥に見せる。

「後はガルドを倒すだけね」

「それなんだけど、あいつ完全な虎になってたよ?前にみたいな人型なら組伏せるのも楽なんだけどな~」

「なんだか、だだの野生動物みたいだった」

「それは・・・・・・やはり古城さんの言う、ゲームに干渉してる者の仕業でしょうか?」

「そうでしょうね・・・・・・何か作戦を考えた方がよさそうね」

「ガルドは完全な虎になっていて動きが素早い。倒すなら動きを封じないと」

「なら昨日話してた、飛鳥ちゃんの新しいギフトの使い方を試してみない?」

「いいかも」

「作戦としてはまず、耀ちゃんにガルドを誘きだしてもらって、わたしが牽制してる間に飛鳥ちゃんが捕まえてトドメって段取りでどうかな?あ!ジン君は巻き込まれない様に隠れててね」

「・・・・・・わかりました」

「うん・・・・・・いいかも」

「決まりね・・・・・・なら虎を追い立てる事から始めましょうか?」



しばらくして屋敷に戻ってきた耀は手に廃墟がら持ってきたランタンと油を屋敷に投げ込み、屋敷が燃えるのを待っていた。
屋敷は見る見るうちに燃え上がり虎と化したガルドが怒りの咆哮と共に外に飛び出してきた。

「さあこい!」

「ガァァァァァァァーーーーーーーー!!」

屋敷を焼かれた怒りなのか獣としての本能のまま耀に襲い掛かる。

耀は風のギフトを使いガルドを翻弄しつつ木々が左右に分かれた一本道へと逃げていく。

「来た来た!!ここからはわたしの出番だよ!」

そこには槍の黄金(ハスタ・アウルム)を携えた零菜が待ち構えていた。少し前に目くらましをされた相手なだけにガルドも慎重に様子を窺うがそれが致命的な隙となった。

「今よ!『拘束なさい!』」

「ガァッ!?」

飛鳥の一喝で鬼種化した木々が一斉にガルドへと枝を伸ばした。

これこそが飛鳥の持つ『威光』の新しい使い方『ギフトを支配するギフト』として開花させ始めた瞬間であった。
もともと飛鳥の『威光』とは、ほぼ手付かずの原石の才能で飛鳥の高い素養と意志が力と成り、無意識に様々な動植物や現象に力を与えていた。そしてその原石は長い時間を掛けて『支配する』という属性に傾いている事が昨晩の黒ウサギとの話で判明した。しかし飛鳥自身はこれ以上人間を操る力が強くなる事を拒んだ、そのため人間を操る力を強くすることなく、手短に強くなる知恵として教えられたのがこの『ギフトを支配するギフト』である。

如何に契約で身を守られていても木々から伸びたえ枝に両脇から圧迫され動きが鈍るガルド。

「グガァァァァァァァーーーーーーーー!!」

樹を振り払う様に絶叫を上げるがそれより早く、飛鳥の支配によって破魔の力を十全に発揮し光り輝く白銀の十字剣が、正眼に構えた飛鳥の手によって額を貫いた。

「ガァ・・・・ァァ・・・・・・」

十字剣の激しい光と、歯切れの悪い悲鳴を残し虎の怪物はその生涯を終えた。




「はぁぁ~~~~~~~~」

ガルドを倒し気の抜けた飛鳥はその場に座り込んだ。

「お疲れ~」

「怪我わない?」

「皆さんご無事ですか!?」

そこに零菜に耀、隠れていたジンが集まってくる。
そんな光景を今まで友達のいなかった飛鳥は箱庭に来てよかったと心の中で思っていた。

「どうかした?」

「いえ、何でもないわ」

「「?」」

誤魔化しつつも顔が少しほころぶ飛鳥だったが周囲の木々が一斉に霧散し樹に支えられていた廃墟が崩れる音が聞こえてきた、まるでゲームの終了告げるように。

「さあ、ゲームも終わったみたいだし古城さんと雪菜さんに合流しましょう」


こうして『新生ノーネーム』の初ゲームは勝利となった。






 
 

 
後書き

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