第四真祖一家が異世界から来るそうですよ?
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YES!ウサギが呼びました!
第十一話 「元仲間のカミングアウト」
前書き
遅くなり申し訳ありません。ようやく時間ができたので更新します。
ガルドを倒した零菜達は無事に古城と雪菜に合流を果たしていた。
「皆さん、御怪我はありませんか?」
「ええ、問題ないわ」
「うん・・・・・・大丈夫」
「よかった・・・・・・」
零菜が付いていたとわいえ、戦闘経験のあまりなさそうな飛鳥と耀が怪我をしていない事に少しホッとする雪菜。
それを見ていた古城に零菜が声をかける。
「ねえねえ、結局古城君とママは何か相手はしたの?こっちのガルドは完全に虎になってたよ?」
「あ~それは本拠地に帰ってからだな・・・・・・ちょっと黒ウサギに確認したい事があるからな」
「そうなんだ」
そうして一同は最初の門に向ってしばらく歩いていると黒ウサギと十六夜の姿が見えてきた。
「皆さ~ん」
「あ!黒ウサギちゃんだ!」
黒ウサギに向かって走っていく零菜は見ながら元仲間という金髪少女の事をどう切り出したものかと考える古城であった。
「今より『フォレス・ガロ』に奪われた誇りを『ジン・ラッセル』が返還する!!代表者は前へ出ろ!!」
十六夜が千人を超える衆人を前に、尊大な物言いで叫んでいた。
「聞こえなかったのか?お前達が奪われた『名』と『旗印』を、お前達の誇りを返還すると言ったのだ!『フォレス・ガロ』を打倒した『ジン・ラッセル』が、その手でお前達に返還していく!」
「へえ~、こうやって俺達のことを売り込むのか・・・・・・考えたな」
古城はそんな十六夜の会話からそのたくらみを理解する。
「昨日、言っていたのはそういう事でしたか」
「え?どういう事??」
気がつくと、後ろには雪菜と零菜の二人が立っていた。
「まぁ~売り込みかな?俺達『ノーネーム』は売り込めるものが限られてるからな」
「それで今回は何を売り込んでいるの?」
「そうですね・・・・・・今回は『リーダーの名前』と『インパクト』と言った所ですね」
「まぁ、こうして奪われた『誇り』の返還をされれば、かなりのインパクトにはなるわな」
「後は『打倒魔王』ともなれば、かなりのものになるでしょう」
「ってかそもそも、そんな宣言して大丈夫なの?」
「まぁ~大丈夫なんじゃないか?」
「それならいいんだけどな~」
その後、奪われた『名』と『旗印』の返還が無事に終わり、後は本拠に戻ることになったのだがその場に、飛鳥が居ない事に気付く。
「あれ?飛鳥ちゃんどこ行ったんだろ?」
「黒ウサギは見ていませんが?」
「わたしも」
「どこに行ったんでしょうか?」
不思議がる一同の中で古城と雪菜にはその理由に心当たりがあった。
「あ~もしかして・・・・・・」
「恐らく・・・・・・古城さんの想像であっていると思います」
それは飛鳥が外道とは言え、他者の「イノチ」を初めて奪った事である。つい昨日まで命の遣り取りをした事のなかった少女が自身の手で手にかけた事実はゲームの余韻が冷めた事で、一気に圧し掛かったと考えるのはそう難しい事ではなかった。
「・・・・・・ならお嬢様は俺が探して来るからお前ら先に帰ってていいぜ?」
「「「え?」」」
「十六夜・・・・・・いいのか?」
「まぁ~俺は今回のゲームに参加してないからな・・・・・・少しは役に立っておくさ」
「ですが今の飛鳥さんは恐らく・・・・・・」
「一人でいたいってんだろ?それでも誰かそばに居るだけでだいぶましになるもんだぜ?」
そう言いながら飛鳥を探しに歩き出す十六夜であった、だが彼はその行動がのちに最愛の相手になる少女を意識する切っ掛けになるという事をまだ知らない。
後日、十六夜と飛鳥がよく一緒に居る所を目撃されるようになったのだがそれはまた、別の御話しである。
その後、本拠に戻った古城達は思い思いに休んでいたが黒ウサギは昨日ジンが話していた『ノーネーム』のかつての仲間が出品されるゲームに十六夜と古城の参加する事を申請しに出かけて行ったのだが。
「・・・・・ただいま戻りました」
日が沈んで月が上り始めた頃に黒ウサギは帰ってきたが、その表情は優れなく、雰囲気も非常に暗く重い。
「一体どうされたのですか黒ウサギさん?なんだか元気がありませんが?」
「それが・・・・・ゲームが中止になってしまったんです」
雪菜の問い掛けには今にも泣き出しそうな悲しい目をしてそう答えた。
「中止?なんだよそれ、ゲームっていうのはそんなに簡単に撤回できるもんなのかよ?」
十六夜はその悲報を聞き、非常につまらないといった様子で黒ウサギに訪ねた。
「その・・・・・・どうやら巨額の買い手がついてしまったようでして・・・・・・」
「ジンに聞いたんだが、そのゲームは『サウザンドアイズ』が主催なんだよな?それなら白夜叉に言ってどうにかならなのか?」
「・・・・・・はい」
「チッ、本当につまらねえな。所詮は『サウザンドアイズ』も売買組織ってことか。エンターテイナーとしちゃ五流もいいところだぜ。名のある巨大なコミュニティの癖に『サウザンドアイズ』には誇りってものがねぇのかよ」
十六夜は盛大に舌打ちを打った、とわいえ十六夜の言い分ももっともな事で、一度ゲームの賞品として決まっていた『モノ』を金を積まれたからという理由で撤回する、というのは主催者(ホスト)としてはあまりにもよろしくない行為であった。
「仕方がないですよ。そもそも『サウザンドアイズ』は群体コミュニティで白夜叉様のような直轄の幹部が半分、そしてその傘下のコミュニティの幹部が半分なんです・・・・・・そして今回の主催は『サウザンドアイズ』の傘下コミュニティの幹部『ペルセウス』・・・・・・双女神の看板に傷がつく事にも気にならない程にお金やギフトに執着しているので・・・・・・お金を積まれればゲームの撤回ぐらいは容易にやるってのけるでしょう」
黒ウサギは悔しさで顔を伏せながら言った。この箱庭においてギフトゲームは絶対の法である。故にギフトゲームで奪われた仲間を取り戻す方法もギフトゲームしかないのである。
かつての仲間を取り戻すチャンスであったのにそのチャンスそのものが消えてしまったのだ・・・・・・悔しいのは当然の事である。
「『ペルセウス』ね・・・・・・誇りを簡単に泥塗りにするとは随分と名前負けしたコミュニティだな」
「全くだな、まぁ~世の中そうそう思い通りにはいかないって事だな・・・・・・そう言えばその仲間ってのは一体どんな奴だったんだ?」
「そうですね・・・・・・一言で言うなら超絶の美人さんです。その上思慮深くて黒ウサギよりも先輩でとても可愛がっていただきました。何よりも印象的だったのはスーパープラチナブロンドの髪です。指を通すと絹糸みたいに肌触りが良くて湯浴みの時は濡れた髪が星の光でキラキラと輝いて・・・・・・」
黒ウサギはかつての仲間を思い起こし、嬉しそうに語っているなだが・・・・・・その容姿に似た人物に古城と雪菜は心当たりがあった・・・・・・それはつい先程のゲームで相手した少女に驚く程、似ていたからである。
「へぇ~よくわからんが見応えはありそうだな」
「はい。近くにいるのならせめてもう一度だけお話したかったのですが・・・・・・」
「あ~黒ウサギ?そいつはもしかしてなんだが・・・・・・髪に大きめのリボンをしていてなかったか?そんで俺達と同じ吸血鬼だったりしないか?」
「え?確かに吸血鬼ではありますが・・・・・・どうして古城さんがレティシア様のリボンの事を知ってらっしゃるのですか?」
「あ~やっぱりか」
予想どうりの回答に思はず天を仰ぎたくなる古城だがそうしている間に、雪菜が窓に視線を向けて窓に近づいていく。
「古城さん、どうやら昼間の少女が来たみたいです」
「え?・・・・・・ってレティシア様!?」
雪菜が開けた窓の外にはにこやかに笑う金髪の少女が浮いていた。
「こんな場所からの入室で済まない。ジンには見つからずに黒ウサギと会いたかったんだが・・・・・・なかなか嬉しい事を言ってくれるじゃないか。だが様はよせ、今は他人に所有されている私は『モノ』だ 、『箱庭の貴族』ともあろうものが『モノ』に敬意を払っていては笑われるぞ」
「そんなことはないです!すぐにお茶を入れてきます!!」
黒ウサギはすぐに走っていた、残った三人の視線はレティシアに注がれている。
「へぇ~確かに前評判通りの美人・・・・・・いや、美少女だな、目の保養になる」
意外にも真剣な回答にレティシアは心底楽しそうに哄笑で返す。
「ふふ、なるほど君も黒ウサギの新たな仲間か、しかし鑑賞するなら黒ウサギも負けてないと思うのだが」
「あれは愛玩動物なんだから鑑賞するより弄ってこそだろ」
「ふむ、否定はしない」
「否定してください!!」
はやくも意気投合した十六夜とレティシアそれに戻ってきた黒ウサギが怒る
それを見る古城と雪菜は何とも言えない顔をする。
「そ、それで今日はどのようなご用件でしょうか?」
「要件というほどのものじゃない・・・・・・『新生コミュニティ』がどの程度の力を持っているのか、それを見に来たんだ。ジンに会いたくないというのは合わせる顔がないからだよ。試す事でお前達の仲間が傷ついた可能性があったからな、顔を合わせづらいんだ」
「まぁ~実際は誰も怪我一つなく無事だったんだがな」
「そうですね」
「ああ、それは嬉しい誤算だった」
「話がそれてないか?」
「ああ、すまない、試そうと思いたったのは噂で黒ウサギ達が『ノーネーム』としてコミュニティの再建を掲げたと聞いたからだ、なんと愚かな真似を・・・・・・と憤ってもいた。それがどれだけの茨の道なのか、お前が分かっていないとは思えなかったからな・・・・・・」
「・・・・・・」
「そうしてコミュニティを解散させるよう説得する為に、ようやくお前達と接触するチャンスを得た時・・・・・・看過できぬ話を耳にした。神格級のギフト保持者を複数人、黒ウサギの同士としてコミュニティに参加したとな」
「それわ・・・・・・」
「だから私は試したのだ。異世界から呼び出してまで招いたギフト保持者・・・・・・彼らがコミュニティを救えるだけの力を秘めているのかどうかをな・・・・・・」
「それで?結果は?」
「・・・・・・ゲームに参加した二人の少女はまだまだ青い果実で判断しかねるが、ガルドでは当て馬にさえならなかった事から潜在能力はかなりモノだらう、そして残りの方々は私が試そうとするのもおこがましい程、高位の御方だったのだからな」
「ちょっと待ってくれ、その『高位の御方』って何だ?」
レティシアは困ったように苦笑いを浮かべたが、そこで十六夜から質問が飛び、その質問に黒ウサギが答えた。
「十六夜さん、レティシア様はかつて『箱庭の騎士』と歌われたお方です、そんなお方が言う『高位の御方』ともなると・・・・・・吸血鬼の王族である『長老』か王である『真祖』しかありえません」
「へぇ・・・・・・そんなのもいるのか・・・・・・」
「ですがうちのコミュニティにそのような高位の御方なんていらっしゃるはずがないのですが?」
「何を言っている。今お前の隣にいるではないか」
「はい?レティシア様は何を言って・・・・・・」
「お、おいおい・・・・・・まさか」
十六夜と黒ウサギの視線が古城と雪菜に集まる。
「「・・・・・・」」
古城と雪菜は苦笑し、十六夜と黒ウサギに視線を送っていた。それに十六夜は冷や汗をかき始め、隣で何か言おうと口をパクパクさせる黒ウサギの代わりにレティシアに訪ねた。
「おい、その『高位の御方』ってまさか・・・・・・」
「ああ、今君の隣にいる人物、その人こそが我らが吸血鬼の王である『真祖』、暁古城とその奥方だよ」
「「な、なにぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーー!?!!?!!」」
屋敷中に響き渡る十六夜と黒ウサギの絶叫、レティシアによって衝撃の事実がカミングアウトされた瞬間であった。
後書き
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