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第四真祖一家が異世界から来るそうですよ?

作者:黒螺
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YES!ウサギが呼びました!
  第九話 「虎退治と少女の影」

 
前書き
更新が遅くなってしまい申し訳ございません。

中々休みが取れず書き溜めもできない状態になっていて泣くしかない状態です。

では第九話をお楽しみください。 

 

古城達は、門柱に貼られた『契約書類』(ギフトロール)を確認しながら、それぞれの感想を述べていた。

「これはまた大掛かりね」

「・・・・・・ジャングル?」

「虎の住むコミュニティなわけだしな。おかしくはないだろ」

「ハンティングって事は、まんま『狩り』って事だよな・・・・・・」

「まぁ~虎の獣人みたいだったしね~」

「場所も自身が有利になるジャングルを選んだ・・・・・・という事ですか」

そんなの一同の感想を聞きながら黒ウサギはジャングルの木を見ていた。

「いえ、それはおかしいです。『フォレス・ガロ』のコミュニティの本拠は普通の居住区だったはず・・・・・・それにこの木々はまさか・・・・・・」

「ん?」

「やっぱり・・・・・・『鬼化』してる?でも、まさか・・・・・・」

「鬼化?」

「はい、このジャングルは今『あるギフト』でこの様な状態になっています・・・・・・ですが、その『ギフト』を授けれる人物はもういない筈なんです」

「おいおい、勘弁してくれよ」

「何者かが『フォレス・ガロ』に援護もしくは干渉しているという事ですね?」

「あちゃ~」

「それだけではありません、『契約書類』(ギフトロール)をよく見て下さい」

黒ウサギは古城に『契約書類』(ギフトロール)の羊皮紙を手渡す。

「特定武具でのみ討伐完了・・・・・・正気か?」

「それはどういう事?」

いまいち理解を追いつかない飛鳥に十六夜が説明する。

「つまりなお嬢様、ガルドの野郎は自分の命をクリア条件にして、ゲームのルールで自分を守ってる事だ。早い話が特定武具以外の攻撃は古城の雷だろうが雪菜の槍だろうが全部無効にされちまうんだ」

「『契約書類』(ギフトロール)を作った時にルールも決めるべきでした、僕の落ち度です。すみません・・・・・・」

自分の不手際に落ち込み謝罪するジンの頭に古城は手を置く。

「まぁ~気にすんな、誰にでも失敗はあるもんだ」

「その失敗を次に生かせばいいんです」

「そうそう」

「そうよね」

「うん」

古城の言葉に雪菜や零菜と飛鳥に耀が頷く。

「それじゃあ、そろそろ行きましょうか?」

飛鳥の言うとうりそろそろ始めた方がよさそうだった・・・・・・さきほどから古城達を『視ている』者がいたからだ・・・・・・ジャングルからくる視線を感じながら古城達は門をくぐった。




門を入る事がゲームの合図だったのか、周りの生い茂る木や蔦が門を絡めるようにして退路を塞いだ。
そこには木々が生い茂り、光を遮る密度で立ち並んでいた、とても人が住める場所とは思えなかった。
街路と思われるレンガは並びを下から出てきた巨大な根によってバラバラになっており、もはや人が通れるような道では無くなっていた。

「かなり生い茂っていますね。これではどこに隠れていても分かりません」

「そうね」

緊張した面持ちのジンと久遠さんに耀が助言する。

「大丈夫、近くには誰もいない・・・・・・匂いでわかるから」

「あら、犬にもお友達が?」

「うん、二十匹くらい」

耀の言葉に零菜がすかさず反応をしめす。

「二十匹も!?いいな~家でも飼いたいんだけどな~」

「誰が面倒みると思ってんだよ」

「ん~古城君?」

予想どうりの答えに溜息を付いている古城の隣で雪菜は耀と話を続ける。

「それで相手の詳しい位置を特定する事はできませんか?」

「それは分からない・・・・・・でも風下にいるのに匂いがないから何処かの家に潜んでる可能性は高いと思う」

「って事は・・・・・・建物がある所は特に注意が必要ってことだな」

「後は指定武具を見つけないといけませんね」

「なら、まず外でその指定武具を探すとするか」

話しが纏まると古城達は森を散策し始めたが、鬼化した木々は家屋を呑み込んで成長してらしく、住居のほとんどが枝や根に食い破られて廃墟と化していた。

「こっちもダメか・・・・・・そっちはどうだ?」

「こちらにも何もありませんでした」

「こっちもダメ~」

「私もダメね、ヒントらしいヒントも見当たらないし、武器らしい武器も見つからないわ」

「そうですか・・・・・・いったいどこに隠したんでしょう?」

「ん~でもさ自分を殺す唯一の危険物を何処かに隠したりするかな?」

「もしかしたらガルド自身がその役目を担っているのかもしれないって事か?」

「その可能性は高いですね、なんせこのゲームには自身の命がかかってるわけですし」

「その方針で考えてみましょう、まずは春日部さんの力でガルドを探してもらいましょう」

「うん」

耀はすかさず近くの樹の上に登り周囲をくまなく探しているとやがて目標を発見する。

「見つけた」

樹を跳び下りてきた耀は全員に見たものの説明を始めた。

「本拠にいた、影が見えただけだけど・・・・・・目で確認した」

彼女の瞳は普段の耀とは違い、猛禽類を彷彿させる金の瞳で本拠を見つめていた。

「そうですか・・・・・・ではここからは二手に分かれましょう」

「「「えっ!?」」」

「ど、どういうことですか!?」

雪菜の言葉に慌てふためくジンに古城が声をかけ落ち着かせる。

「おいおい、そんなに慌てんなよジン・・・・・・ちゃんと理由はあるんだからさ」

「理由ですか?」

「ああ、二手に分かれるのは・・・・・・このゲームに干渉してる奴の相手が必要だからだ」

「「「あっ!?」」」

「そうです、相手がガルドの仲間なら合流しないうちに倒してしまった方がいいですし、そうでない場合はゲームに横槍を入れられない様にする時間稼ぎになります」

「もう一つ上げるとするなら、俺の力は威力がデカすぎて屋内での戦いにはあんま向いてないんだ」

「あ~古城君の『眷獣』だと建物ごと皆も吹っ飛ばしちゃうもんね~」

「そ、そうなの・・・・・・」

「・・・・・・」

零菜の物騒極まりない発言に先日の白夜叉との一戦を思い出し、少し青ざめる飛鳥と耀であった。

「それでそいつの相手をするのは俺と雪菜の二人だ」

「え~ママだけ~」

「こっちにも戦力を残しとかないとダメだからな」

「ジンさんも飛鳥さんも耀さんもあまり戦闘に慣れてなさそうですので、しっかり守ってあげてください」

「は~い」

「それでは行きましょうか」

「ああ」

そして話しが纏まると古城と雪菜はジャングルの奥へと消えていった。

「わたし達も行きましょう」

それを見た飛鳥達もガルドの居る建物へと向かった。



しばらく歩いた古城と雪菜は足を止め、数メートル離れた樹に向かい声をかけた。

「そこに居るのは分かっています・・・・・・出てきなさい」

「隠れたままで居るんなら・・・・・・こっちにも考えがあるぜ?」

そう言うなり、雪菜は雪霞狼を構え、古城は獅子の黄金(レグルス・アウルム)の力で雷球を作りだしいつでも攻撃可能であることを示した。

「待ってくれ・・・・・・貴方方に攻撃されてはこちらの身がもちそうにない」

樹の影から姿を現したのは、金の長髪を特注のリボンで結び、赤いレザージャケットに拘束具を彷彿させるデザインのロングスカートを着た幼い少女であった。

「女の子・・・・・・?」

「あんた・・・・・・ガルドの手先か?」

「ガルド?・・・・・・ああ、あの虎の事か・・・・・・残念ながら私は奴の仲間ではないよ」

「仲間じゃないね・・・・・・ここのジャングルの樹に『ギフト』を掛けたのはあんたか?」

「それも私でわないが・・・・・・『鬼種』の『ギフト』を奴に与えたのは私だ」

「何?」

「おっと勘違いしないでもらいた、私の目的を叶えるのに、たまたま都合がよかったので奴に『ギフト』を与えただけなんだ」

「その目的とはなんですか?」

「それは・・・・・・新生ノーネームの実力を測る事だ」

「どういう事だ?」

「私は元ノーネームのメンバーなんだ・・・・・・今はゲームに敗れ、他人に所有される身だがね」

「「な!?」」

「私にはもう時間が無い・・・・・・もうすぐ箱庭の外に売られる事になっている・・・・・・その前にどうしても確かめたくなった、新しく来た者達がコミュニティを救えるだけの力があるのかどうか・・・・・・たとえその者達を傷つける結果になったとしても」

「「・・・・・・」」

「だが貴方方の様な高位の方が居る事が判った・・・・・・もう何人かの実力を見れば私も心残りなく、箱庭を出れるだろう」

「あんたはそれで良いのかよ!?」

「良いも悪いも今の私は他人の『所有物』なんだ・・・・・・それにもうじきゲームも終わる様だ」

「え?」


次の瞬間、周囲の木々が一斉に霧散し樹に支えられていた廃墟が崩れる音が聞こえてきた。


「ノーネームが勝ったようだな」

「あ!」

「それではまた」

そう言うと少女は黒い翼を広げ何処かえと飛んで行った。

「『それではまた』・・・・・・って事はまた来るってことだよな」

「はい・・・・・・」

「はぁ~また厄介事になりそうだ・・・・・・」


深い溜息を吐きながらとりあえず零菜達と合流するべく動き始める古城と雪菜であった。


 
 

 
後書き
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