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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第2巻
  ボーデヴィッヒ

「そ、それ本当なの?」

「また噂ではありませんこと?」

「ウ、ウソついてないでしょうね!?」

月曜の朝、教室に向かっていた俺は廊下まで聞こえた声を聞いた。また女子だけの話かなと思いながら教室に行くと。

「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなのよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑さんと交際でき・・・・」

「俺がどうかしたか、諸君」

『きゃああああっ!?』

なんだ?クラスに入って普通に話しかけたらこれかよ。返ってきたのは悲鳴に近いな、はしたないな。

「で何の話だったんだ?俺の名前が出てたみたいだが」

「な、なんでもないのよ。じゃあ私自分のクラスに戻ってるから」

ここらへんにいた女子たちも自分のクラスか席に戻っていった。一方箒は凄く動揺していた、おそらくあのことだろうな。教室の窓側列にいた箒は、表面上平静をしていたが心の中は頭を抱えていた。近頃なにか月末の学年別トーナメントに関する噂が流れていたことは知っていたが、問題はその中身だ。

『学年別トーナメントの優勝者は織斑一夏と交際できる』

「(それは私と一夏だけの話だろうっ!)」

一夏が言いふらしたことはないとして、どこから情報が漏れたのやら。おそらくあのとき言ったときに少々大きな声であったかもしれんと思っていた。しかし現実はもう遅いのだ、ほとんどの女子が知っていて、さっきも教室にやってきた上級生が来て。

『学年が違う優勝者はどうするのか』とか『授賞式での発表は可能か』

などとクラスの情報通に訊きに来ていた。私が優勝するしかあるまいと考えてた箒だった。

俺はトイレに行くために走っていた、別に空間切断でやったほうが早いのだが見られたらまずいので走っていた。使えるトイレは3ヶ所しかない、本来なら廊下を走るなと言われるがしょうがないと思いながらトイレに駆け込んだ。で帰りも走っていたが、ふと声が聞こえたので聞いたら千冬とボーデヴィッヒだった。

「なぜこんなところで教師など!」

「やれやれ・・・・」

俺は建物の影に隠れて聞いた。

「何度も言わせるな、私には私の役目がある。それだけだ」

「このような極東の地で何の役目があるというのですか!」

あの冷徹なボーデヴィッヒがこうまで声を荒げているというのは他にないな。話の内容は、どうやら千冬の現在の仕事について不満があるようだ。それをぶつけていた。

「お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かされません」

「ほう」

「だいたい、この学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではありません」

「なぜだ?」

「意識が甘く、危機感に疎く、ISをファッションかなにかと勘違いしている。そのような程度の低いものたちに教官が時間を割かれるなど・・・・」

「そこまでにしておけよ、小娘」

「っ・・・・・!」

おー、千冬の覇気を久々に見たが、俺はこれしき普通だがあのボーデヴィッヒにとってはどうだろうな。

「少し見ない間に偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」

「わ、私は・・・・」

その声が震えているのは、わかるがおそらく恐怖したのだろうな。圧倒的な力の前に感じる恐怖と、かけがえのない相手に嫌われているという恐怖。

「さて、授業が始まるな。さっさと教室に戻れよ」

「・・・・・・・・・・」

ぱっと声色をかえた千冬がせかして、ボーデヴィッヒは黙したまま早足で去って行った。さて、俺も戻るかと思いきや。

「さて、そこの男子いや男性か。盗み聞きか?」

「盗み聞きではなく帰りに寄っただけです」

「織斑も教室に戻れ、本来なら走るのはダメだが静かに走れ」

と言って行ってしまった。でばれない様に走って無事教室について席に座った。時間は放課後になった、俺とセシリアとシャルは第三アリーナに向かおうとしたら女子が騒いでいた。何でも二組の鈴と一組のボーデヴィッヒが戦っているとのこと。アリーナに到着したら、俺達は人気のないところで空間切断しアリーナの中に入った。今はステルス状態だからばれてない、そこにいたのはワイヤーで首絞められていた鈴とシュヴァルツェア・レーゲンを装備したボーデヴィッヒだった。鈴の状態は、ボロボロだった。かなりのダメージを負っている、すでに機体維持警告域を超え操縦者生命危険域へと到達している。セシリアとシャルに言った、鈴を助けろと。助けたあと俺が決着をつけると。

「な、いつの間に」

「鈴さんを離しなさいませ」

シャルのビームサーベルでワイヤーを切って、鈴を救助させる。そのあいだセシリアのビットによって牽制して、背後からIS専用ハリセンを思いっきり振り下ろした。

パシィィィィイン!!!

そのときボーデヴィッヒのISは強制解除させた、鈴は首絞められていたがシャルはオープン・チャンネルで無事を確認した。セシリアもビットを戻らせて、鈴のところへ向かった。二人で保健室に向かえと。

「うぅ、いつの間に後ろだと」

「ようボーデヴィッヒ、お前やりすぎなんだよ。今回はこの程度で見逃してやるが次はトーナメントで会おう」

と言って俺は立ち去った。保健室に行くからだ。

「・・・・・・・・・・」

で場所は保健室。時間は一時間くらい経ったが、鈴は打撲だけで済んだ。ベッドの上では、打撲の治療を受けて包帯を巻かれていたが鈴はむっすーとした顔で視線をあらぬ方向へ向けていた。

「別に助けてくれなくてよかったのに」

「馬鹿者!あんな状態で助けないほうがおかしいわ!」

俺は鈴に説教してハリセン一発打った、軽めだけど。鈴は涙目で訴えるが、俺の説教が怖かったのか視線をそむけた。

「まったく、だが怪我がたいしたことなくてよかったが。ボーデヴィッヒはやりすぎだ、加減を知らないのかあいつは」

「そうですわね、あれは一方的な暴力でしたから」

となんか音が聞こえる。廊下から聞こえるがだんだん近づいてきて、保健室のドアが吹っ飛んだ。

「織斑さん!」

入ってきたのは数十名の女子で皆一年。リボンの色が青だったから。

「なんだ?何か用か?」

「「「これ!」」」

状況がいまいち分からない俺に女子一同が、出してきたのは学内の緊急告知文が書かれた申込書だった。それを読むセシリアとシャル。俺も見たらこう書いてあった。

「何々、『今月開催する学年別トーナメントでは、より実際的な模擬戦闘を行うため、二人一組で参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締切は・・・・』」

「ああ、そこまででいいから!とにかくっ!」

そして手が一斉にこちらに伸ばしてくる、これ一種のホラーだぞ。

「私と組んでください、織斑さん!」

次々と手が伸びるがそこへ次々と、女子の頭に何かはたき下ろすみたいな感じで音がなった。音の元は千冬だった、出席簿を次々と振り下ろす千冬。こちらに近づいてこう言った。

「織斑は一人でやることが決まった、ほらほらとっとと去れ。ここは保健室だぞ、静かにしないか馬鹿者」

と言ったら渋々だが、撤退した女子たち。

「こうなると思って来たのだが、ぎりぎりだったな。ともかく、織斑は一人でやれ。当然ISを装着するのが原則だ」

と言って去って行った千冬。ISを装着ってことは、黒鐵で行けというのか。

「ところで鈴のISだが、ダメージレベルがCを超えている。当分は修復に専念しないと、後々重大な欠陥を生じることになる。それとトーナメント参加禁止な」

「な、なんであんたがいうのよ」

「山田先生からの伝言だ、しかしなんでボーデヴィッヒとバトルなんかしたんだ?」

「え、いや、それは・・・」

まあ、俺にかっこよく決めたかったのかなと思った俺であった。それと鈴は、保健室の先生には動いても支障がなかったら帰っていいって言ってたし。そのあとセシリアとシャルはペアになったと言っていた、コンビネーションあるしな。俺は部屋に戻って黒鐵の調整をしていた、前まではアクセサリーはなかったがそれだと不自然だと思いドッグタグをした待機状態にしといた。それにいつも服の中にあるし、それに千冬に預けても強力なブロックをかけているから見られない。 
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