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ハイスクールGC×MB

作者:龍牙
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第三章

「はぁぁぁあああ!!!」

「オラァァァァァァァァア!!!」

 叫び声と共に殴りあうドラゴンボーンを着装した四季と神器を纏った一誠。互いの拳が相手の顔面を捉えるが、それによって吹飛ばされたのは一誠の方だった。
 だが、それも当然の結果と言えるだろう。一誠は今で戦闘と言う経験は無く、精々がケンカ程度だった。それに対して四季には武術の経験とガイストクラッシャーやボーンファイターとしての戦闘経験がある。

 幾ら悪魔になって地力が上がったと言っても四季との差は歴然だ。加えて全身に鎧を纏った四季と己の神器が片手だけの一誠では防御と言う面でも大きく劣っている。

「笑わせるなよ、兵藤! お前とオレとじゃ……格が違う!」

 吹飛ばされた一誠に対して更に拳を叩き付ける。技も何も無い力任せのパンチだが、ドラゴンボーンを着装した姿での一撃なので、十二分に強力だ。

「ふざけんなよ……木場や小猫ちゃんがあんな目に遭わされた事にむかついてんだよ! その原因がお前だって言うなら、絶対に許さねぇ!」

「怒りに任せて行動する時点で格が違うんだよ! その程度の怒り……オレは何時だって抱えてきた!!!」

 仲間を傷つけられた事を怒っているのは分かる。……だが、その程度は四季にとってあの時から飲み込んでいた。……何も知りもしないで詩乃を悪く言うヤツラに対して。

 戦わせたくない、傷付いて欲しくない。だから、ブリザード・ユニコーンやファルコンボーンの適合者になった時は、彼女が戦う力を得ると同時に、同じ使命を背負ってしまった時には……

「ガァッ!」

「イッセー!」

 殴りかかった腕を掴まれてアッパー気味に顎を打ち上げられた後、四季から片手でのラッシュに曝されているイッセーに対して悲鳴にも似た声を上げるリアス。

(ったく、オレも熱くなりすぎたな……)

 其処までやった後に冷静さを取り戻して崩れ落ちそうになりながらも、辛うじて立っている一誠を一瞥し、やりすぎた事を反省する。掴んでいた手を離してそのまま一誠に背中を向ける。

「悪いな、オレも熱くなりすぎた。そのお詫びに一つだけ教えてやる……。オレ達高天原は、ダークボーンが狙っているモノを所持している」

 当然それがドラゴンボーンである等と教えるわけが無い。……最重要機密に当たる情報なのだ。

「だったら、それをこっちに寄越せ! それが有れば二人の仇を……」

「渡すわけ無いだろうが」

《Boost》

「お前程度の力が二倍になったってな……」

《Explosion!!!》

 力強く響く音に、それに伴い一誠の神器も形を変える。……それは本来の歴史よりも僅かに速い、力の覚醒。

「っ!? これは……『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』!?」

「吹っ飛びやがれ!」

 一誠の渾身の一撃が四季を捕える。格下と思っていた一誠の一撃を受けた上で反撃する心算だった四季は、反応が遅れ回避は間に合わない。

「悪いけど、強力な武器ならオレも見につけてるんでな」

 その渾身の一撃を片手で受け止めている四季の姿が有った。そもそも、四季のドラゴンボーンの力も赤龍帝の籠手の力に劣る物ではない。武具の差が無ければ後は扱う者同士の差だ。

「このっ!」

「今度はこっちの番だ。その思い上がりを叩きなおしてやる、人間の力って奴でな」

「やってみやがれ!」


「其処までよ」


 なおも殴り合おうとした四季と一誠の目の前に氷の矢が突き刺さった。あと数センチ前に進んでいたら二人の脳天を確実に打ち抜いてたであろうそれを放った者へとブリキの玩具のような動作で二人は頭を向ける。

「それ以上やるって言うなら、頭を射抜くわよ」

 ニコニコと笑顔を浮べているが状況について行けていないグレモリー眷属の女王(クィーン)『姫島 朱乃』と、問答無用で二人の頭が撃ち抜かれそうに成った事に戸惑っているリアスと……初期ロットとして作られたガイスト・ギア、五大獣の一角である一角獣のガイスト『ブレザード・ユニコーン』のガイスト・ギアのウェポンフォーム『ユニコーン・ボウ』を構えている詩乃の姿が在った。

 何時もと変わらない口調だが、明らかに怒っていると言うのがよく分かる。

「あの、詩乃さん……」

「何?」

「怒ってる詩乃も可愛いけど、やっぱり笑ってるほうが好きだな」

「ありがとう。それで、どうしてこうなったか説明して貰える」

「はい、説明させていただきます、詩乃さま」

 冷たく放たれた言葉に対して絶対服従の姿勢を見せる四季。と言うよりも下手に彼女に逆らって『空破氷天葬』を打ち込まれたくない。ドラゴンボーンを纏っているとは言っても……と言うよりも、それが原因で必殺技を打ち込まれたくは無い。身内の攻撃でボーンクラッシュなど笑えない冗談だ。

「四季……。本当にバカね」

 一歩も動かずに何故一誠との殴り合いに発展したのか説明した後飛んできた一言がそれでした。

「そうよね。取り合えず……二人とも、今すぐ止めないと」

「は、はい……今すぐ止めるので鎌を下ろして貰えると嬉しいのですが、葵さん」

 同じく五大獣の一角であるウインド・ガルーダのウェポンフォームの鎌をイッセーと四季の首に突きつけながら、そう宣告してくれるのは四季と詩乃と同じく高天原所属の三年の『飛鷹 葵』。事実上の三番目のガイストクラッシャーにして、一番年上と言う事から現場での指揮官の立場にあるのが彼女だ。
 ぶっちゃけ、四季にとって詩乃と並んで頭の上がらない一人である。

 現在、高天原所属のガイストクラッシャーは四季を含めて現在六人……その内の五人が持っているのが、初期ロットとして完成した『五大獣』とコードネームを与えられたガイスト・ギア

 四季の専用ガイスト・ギア、炎の『フレイム・フェンリル』
 詩乃の専用ガイスト・ギア、氷の『ブリザード・ユニコーン』
 葵の専用ガイスト・ギア、風の『ウインド・ガルーダ』

 の三つに加え、現在ガイスト討伐兼ボーン回収の任務に当たっている三人の中の二人の持っている、

 大地の『ガイア・オロチ』
 雷の『ライトニング・ドラグーン』

 の二体である。出現したガイストは少々手間取っているらしいが、ボーンの発掘を兼ねているので多少時間が掛かるのは丁度良い。実際、高天原が所有しているボーンはドラゴンを含めても六つ、

 ドラゴンボーン
 ファルコンボーン
 シャークボーン
 ジャガーボーン
 ライノボーン
 レオボーン

 しかも適合者が付いているのは、ドラゴン、ファルコン、シャーク、ジャガー、レオの五つのみだ。一つでも多くのボーンを集めた上で戦力を整えておきたいと思う。

 ドラゴンボーンの着装を解除すると葵も詩乃も四季に向けている武器を下ろして一誠にだけ注意を向ける。
 
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