ハイスクールGC×MB
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第二章
ゆっくりと手の中に有るフレイム・フェンリルのガイメタル、それを握り締めながら……。
「ああ、フレイム・フェンリル……。オレの“覚悟”は何時だって爆盛りだ!」
何故か分かるガイメタルの事やガイスト・ギアの基礎理論……それらを元にフレイム・フェンリルを手にした時から持っていた『覚悟』の二文字。ドラゴンボーンに選ばれたときにも強くした覚悟……。
「今日こそデートに誘ってみせる」
うん、地球の運命を背負うよりもコイツにとって好きな相手をデートに誘う事の方が覚悟は必要だった様子だった。……まあ、ドラゴンボーンを狙ってくるダークボーンを倒したり、はぐれ悪魔を退治したりと誘おうと覚悟するたびに無駄になるのだが……。
(……よし!)
考えていたデートプランを練り直す。……此処まできてそんな事をしている時点で覚悟が足りない気がするのだが。まあ、一応付き合っている上に家も隣同士と言う幼馴染の関係に有る相手なのだから、誘おうと思えば何時でも誘えるのだが。
(……昨日戦ったダークスパイダーのボーンカードを届けた時に一度支部に集まるし……その時に次の休みにデートに誘えば)
まあ、学校も同じなのだから今誘えば良いとも思うが、なるべく邪魔が入らない場所がいいだろうと言う判断だ。
一応、ガイメタル及びボーンの研究施設である駒王支部でなら同じくガイストクラッシャー兼ボーンファイターである彼女と……邪魔が入る事無く誘えると考える。
丁度はぐれ悪魔退治の賞金も入ったので資金も問題ない。……そんな訳で四季は何も問題なく休みが続いてくれと祈らずに入られない。……主にダークボーンとか、ガイストとか。
(……考えてみれば、最近誘おうとするたびに邪魔が入るからな。お互いに事情は知っていると言っても、流石にな……。詩乃の方から誘って貰った時も……当日に邪魔が入ったし)
『朝田 詩乃』とのデートの度に邪魔が入ると言う現状に頭を抱えたくなるが、デートの最中ではダークボーンやらガイストは殆ど瞬殺していたりする。
「さて」
「おい、ちょっと待てよ」
放課後のチャイムがなる中、四季が帰ろうとすると一誠が彼の事を呼び止める。四季を引きとめる一誠の声には明らかな敵意が込められている。理由は想像できるが、別に四季が怪我をさせた訳ではないのだから、止めて貰いたいと思う。
「……なんだよ?」
「部長が呼んでんだ、一緒に来てくれよ」
「いやだ」
恐らく先日のダークスパイダーの事だろう。ドラゴンボーンを着装して撃退したが、それよりも先に攻撃を仕掛けたせいでグレモリー眷属の二人、木場と小猫の二人は返り討ちに有った。何より、顔を見られているのだ、接触もあるだろうとは思っていた。
説明してやる義理も無く、下手にボーンの事を話して此方の研究用兼適合者待ちのボーンを寄越せ等と三大勢力に言われたくは無い。……実際にガイスト・ギアの技術についても対ガイストに提供しろと言われた事も記憶に新しいのだ。
まあ、試験的に検査した結果、ガイスト・ギアについては何故か純粋な悪魔ほどガイスト・オンできるガイメタルが限られ僅か一つだけ……人間からの転生悪魔でも属性が固定されてしまう。そして、能力も純粋な悪魔になるほど十全に引き出す事が出来ないのだ。
完全にガイメタルの力を引き出せるのは純粋な人間だけ、と言う事になる。
「いやだって……お前、昨日の変な奴のせいで木場と小猫ちゃんは今日は休んでるんだぞ」
「……金掛かるだろうけど、明日には登校出来るだろ」
『フェニックスの涙』と言う高価だが強力な治療薬が有る以上、ダークボーンの攻撃とは言え十分に回復可能な範囲だろう。特に悪魔の間で流行っている『レーディングゲーム』と言うバトルゲームで幾つか支給されるらしいので、十分な数が出回っているのだろう。
そもそも、リアス・グレモリーの婚約者が薬の製造元……フェニックス家の者なのだ、事情を話せば自分達用に確保している分を融通して貰えるだろうとも思っている。まあ、四季はリアスが婚約者の事を嫌っている事を知らないが(興味も無いし)。
「それに、元々そっちとオレ達は所属している勢力事態違うんだ。組織の機密に当たるし、説明する義務は無い……そう伝えておけ、兵藤」
「そう言う訳には行かないわ」
「部長」
何時の間にか当のリアスまで来ていた。その表情は微笑んではいるが、その目は四季を睨みつけている。周囲歓声を上げる他の生徒達に手を振りながらも、彼女は四季から目を逸らしては居ない。
「組織の機密に当たるので何も教えられない。十分な答えだと思うけどな」
「それではいそうですか、なんて納得できると思うの? 私は可愛い眷属を二人も傷つけられたのよ! 教えてもらうわ、昨日の事を全て」
「あ、まあ……そう言われるとちょっと此方としても返答に困るんだが……」
さて、四季としてもダークボーンは自分が適合者となったドラゴンボーンを狙って襲撃を仕掛けてきたのだ。まあ、だったら渡してしまえば……と言うわけにも行かない。最初にドラゴンボーンを手にしたと気に聞いたドラゴンボーンの言葉を信じるのならば、ドラゴンボーンが奪われた時、世界が滅びるらしい。……天界や冥界に影響するかは疑問だが。
ぶっちゃけ、ボーンの秘匿の為に対ガイスト戦でもガイスト・ギアのみ使用しているが、ボーンファイター相手にもガイスト・ギアで戦う事は可能で、逆に対ガイストでもボーンファイターは戦える。……だが、ボーンにはボーンを、ガイストにはガイスト・ギア持って戦った方が良いと言うのが結論である。飽く迄非常手段でしかない。
「ともかく、ここじゃ何だから一緒に来て貰うわ……オカルト研へ」
「いや、奴等の事は組織の機密なんだが……」
「そう。なら、私は昨日の敵の事を魔王さまに報告するしか無いわね」
(なるほどね)
要するに、ある程度説明する代わりに、魔王への報告を控えてくれる。と言う訳だろう。別に正体不明な敵程度の認識なのだが、日本神話側が存在を確認しながら黙っていたと言うのも対外的に悪い……。そう判断しての交換条件なのだろう。
別に報告されてもその程度なら構わないのだが、寧ろ今は早く帰りたい。と言うよりもボーンカードを届けて詩乃をデートに誘いたい。
「仕方ない。良いだろう、組織の機密に触れない範囲で話してやる」
「そう、なら「ただし、アンタの城には行く気は無いぞ」ッ!?」
そう言って四季が一枚の符を投げると周囲から人の気配が消えて異界へと変わる。簡易的な結界の中にリアスと一誠だけを捕えたのだ。
「これで、裏の話をしても「お、おい! これってどうなってんだよ!? なんで急に……」うるさい、お前は少し黙ってろ! お前も裏の関係者だろ!」
「ごめんなさい、彼は最近眷属になったばっかりなのよ」
「……なるほど、正真正銘の素人と言う訳か」
結界の中に捕われた事に驚いている一誠を一瞥しつつ、四季はリアスの言葉に納得すると近くにあった椅子に座る。それを見てリアスと一誠も適当な椅子に座った。
「それじゃあ、教えてもらおうかしら……昨日の人型の怪物が何者なのか、貴方の使っていた神器が何なのか?」
「……先ずは其処からか。あれは神器じゃない。オレ達は『ボーン』と呼んでいるモノだ」
そう言って昨日回収した石化したスパイダーのカードを見せる。
「そして、奴等はダークボーン。人間でも神話の異形でもない……一言で言えば『宇宙人』と言う所だな。それに対して、地球側のボーンを総称して、『ホワイトボーン』と呼んでる」
ぶっちゃけ、其処までは何れ公表するであろう範囲に入れている情報だ。……教えたところで問題は無い。
「おいおい、あれが宇宙人か!」
「それで、それと戦っている貴方は何者なの?」
「何者って……五峰四季。色々と特殊な人間の……男子高校生ですが? それが何か?」
「そうね。対ガイストシステム、ガイスト・ギアの基礎理論を作り出した特殊な人間、と言うのは分かっているわ。アジュカ様の元でも研究されていながらガイストに対する対策は何もできなかったんだし」
ぶつぶつと呟いているリアスだったが、顔を上げると四季を睨み付ける。
「本当に貴方の力はこの地を管理する悪魔として見過ごせないわね」
「……まあ、それを見越して日本神話に所属しているわけですがね」
主に以前何者かに操られていた所を結果的に開放する事になったレジェンドガイスト『ムーンライト・ツクヨミ』の紹介でだ。
日本神話側と大和ガイストは友好関係にあるらしい。レジェンドガイスト側が上と言う時点で、力関係が分かる。
その後もレジェンドガイストを操ろうとした者達について調べて貰っているが、行動に出たのはその時だけなので、正体はつかめずに居る。
本当の意味でのボーン関係の機密はボーンの所持数に対してと敵の目的、そしてドラゴンボーンの重要性だ。いつかダークボーンが目撃された時には話すしかない範囲での情報は教えたところで問題ない。……良い機会なので三大勢力にも隕石騒ぎの真相として伝えられば良いだろう、丁度良い目撃者も居る事だし。
「さて、話す事は話したし、これでオレは帰らせてもらうぞ」
「っ!? まちなさい、まだ聞きたい事は沢山あるわよ! あいつの目的は何なの!? まさか、良くある映画みたいに地球侵略だなんて事は無いでしょう?」
「組織の機密です」
「じゃあ、貴方の使った「組織の機密です」」
問答無用に組織の機密だ。流石に奪われたら世界が滅ぶ代物だ等と絶対に言えない。下手に教えてしまったら、『自分達が管理する』と言い出しかねない。ダークボーンと戦う際の鍵になる品でもあるのだから。
「おい、五峰! 部長が教えてくれって言ってるんだぞ、黙って教えやがれ!」
「あ・の・な! オレは部長さんの部下でもなければ同僚でもない。組織が違うんだから教えるわけは……っ!?」
四季の態度に苛立ったのだろう一誠が己の神器を取り出して殴りかかってきたのを避ける。
「オレだって、木場や小猫ちゃんがあんなに痛めつけられて頭にきてるんだ!」
「だからってオレに当たるなよ。……無関係なんて言えないのは事実だけどな」
「だったら「だからと言って一から十まで全部話せる訳じゃない」テメェ」
(ったく、頭に血が上りすぎだろう。仲間思いなのは評価できるけどな)
「ちょっと、イッセー! 止めなさい!」
「だったらテメェをぶっ飛ばしてイヤでもあいつ等の事残らず吐かせてやる! ボーンだか、ガイストだか知らないけどな、こっちは悪魔だぜ! お前なんか……」
(こいつ……舐めてるな)
四季が人間だからと言って何処か舐めている。
「身の程を教えてやるよ……若葉悪魔。化け物を退治する英雄は……常に人間だって事を教育してやる」
売り言葉に買い言葉、四季はドラゴンのボーンカードを取り出す。
「着装!!!」
こう言うタイプは一度叩きのめした方が良いだろう、そう判断した結果でも有るが……結構後になって考えると少し後悔してしまう。
「此処からは単なる喧嘩だ。所属なんかは関係ない……使う武器が特殊なだけだ」
「へっ、上等だ! 後悔するなよ!」
「後悔させてやるから覚悟しろ」
「なんでこんな事になっちゃうのよ」
すっかり喧嘩腰の二人に項垂れるリアスだった。
後書き
ってな訳でイレイザー登場フラグです。アジュカさんの元にはイレイザーメンバーが居ます。ドスメーア博士もマンガンとアルーミも悪魔です。
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