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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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入学編〈下〉
  夕食後のデザート×ブランシュについて

仕事もやっと終わらせたのは、夕方から夜に差し掛かったときだった。委員長が余計な仕事をもらったお陰で、深雪と沙紀は先に帰ってもらったが、その方が正解だなと思った。それで、今は時間外用の出入り口に向かってから誰も見られてないと思いながら、空間からゼロを取り出した。今は黒塗りの車だったが、すぐに大型バイクにと変身してもらってから俺と蒼太はヘルメットを被り俺が運転をしてからの発進。そしてライトを付きながらしばらく走行していると家が見えてきた。家の前で停まると、ヘルメットを着脱してからゼロごと空間にしまった。しまった先は家の駐車場に転移させてから、元の状態に戻った。鍵を開けてからドアを開けると、そこには深夜と深雪に穂波さんが立っていたいたけど。

「お帰りなさい。深雪から聞いたけど、随分と遅くなったわね」

「ただいま。今日は風紀委員会の事務的な作業にカウンセリングを受けてた。それで遅くなった、すまんな」

「いえいえ。お父さまの事情は既にお母さまにお伝えしたので、大丈夫ですよ。ちょうど夕食が出来たので、ダイニングルームで待ってますよ」

と言いながら、俺らは靴を脱いでから各自室へと戻った。そしてCADと各装備だけを机に置いたら、量子変換機で部屋着へと着替えた。CADはホルスターと実銃であるハンドガンや警棒を保管庫に入れてからパスワードを入れてから部屋を出た。俺の家には本来銃刀法違反となる銃や警棒を持っているからだ、あと俺の伸縮警棒には少し細工してあって柄の先っちょにメモリを差すところがあって、『Blade』というメモリを差す事により切れ味がよくなる。といっても普段より小型化してある、警棒の柄は普通より太目でありまるで刀の柄みたいだけど、それの細いバージョンだ。エリカみたいな刻印術式の警棒であるCADとは違うから、切れ味はないに等しい。そこで前ぬに使ったメモリを使用したらどうなると考えてから小型メモリに対応する伸縮警棒を創造してから、メモリを差しての実験をした。今あるメモリは前回と同じくらい持っているが、使うときは緊急性があるところか、ドウターが出たら使用すると今のところ考えている。考えても仕方がないから、ダイニングルームに行って夕食を食べ始めたけどな。

「今回は珍しく、別々で帰ってきたわね。理由は深雪からだけど」

「まあな。まさか風紀委員会の事務的な事を全て任せられるとは思わなかったが、まあ蒼太も手伝ってくれるからいつもより早くできたからかな」

「俺もですよ。事務的な事は一通り分かっていましたが、それを全て丸投げ状態なのはさすがの俺も一真様も驚きでした」

「私はいつも通りにやっていたから、いつも通りに終わったのだけれど」

「それを一真様と蒼太に丸投げとは、どれだけ事務スキルがない委員会なんですか。いるのは武闘派だけだと聞いています」

とまあこんな感じで話合っていた。確かに今考えると、俺ら風紀委員の活動を全てやっているかのような感じではある。巡回にトラブルの解決に差別用語発した時点での逮捕劇とあとは雑用がやるような事務活動。活動報告ぐらいできないのかねと嘆いていたが、もうしょうがないとは思っている。それで食い終わったあとに、ちょうど俺が買ったケーキが届いたので、深夜たちは食後の紅茶を作りにいって俺は玄関でケーキを受け取った。このケーキは今日一緒に帰れなかった深雪たちに対するお詫びとなる。

ちなみに百年前だったら使い所が限定される言い方で、ケーキ屋に行って買いに行くという風な感じであった。今では日常的な言葉となった、「あの荷物持ち」というのは周りの社員や元部下からは最早死語らしく、例え小さな物でも無料で配送してもらえることが出来るようになったのも物流システムが進歩した証である。あとはケーキは昔なら在庫がなくなったらキャンセルというか断りをしなければいけないが、今では店舗で注文を受けてから作り始めて配送するという方が、余計な商品の在庫を抱えずにいられるし客の回転率を上げる事ができるとの事だ。この二つのメリットを極小化された物流コストと秤に掛けた上でのサービスなんだと。ちなみにこのケーキは俺が作るケーキのレシピを素に作られたケーキで、作った店舗も蒼い翼関連の店舗で凄く人気な店と好評を受けている。

「さあさあ紅茶ができましたよ」

「こちらもケーキが届いたぞ~。俺特製を素にしているから、相当上手いから落ち込むなよ?」

「やったー。隊長特製のケーキだぁー」

「沙紀さん、落ち着いて下さいよ。それは一真さんが作ったケーキではありませんよ」

「わ、分かっています。ですけど、隊長特製のを素にしたということはレシピと腕を作り手に伝授した物だと聞きますからね」

「沙紀は甘い物好きだからな。まあ俺も隊長特製の料理や菓子は、絶品だもんなー」

「星を付けるのなら、五つ星ぐらいの腕を持っていますからねー。隊長の料理スキルは」

と俺のスキルについて盛り上がっていたけど、気付いたかもしれんが蒼太たちは俺のことを隊長と呼んだ。これは家の中であって、俺は蒼太たちの上司である。それと前回まで散々隊長か司令官と敬語を使い、慕ってきた者だ。今回では隊長か司令官と使うのは、この家の中か関係者がいないところで呼ぶように言ってある。だから学内学外では名前で呼ばれているし、俺らの事を要人扱いのように接するからか、ボディガードのいろはを穂波さんから学んだと聞いた。穂波さんは深夜のボディガードをする前は警視庁でSPをしていたからだし。

「うーん!美味い!」

「ケーキも美味しいが、ミルクティーも美味しいな。ミルクと砂糖加減がちょうどいい」

「奏さんから教えられてね。一真さんの味についての加減を学んだわ、それにしても一真さんのを素にしたケーキでも美味しいわね」

「やはり、というか少し落ち込みますね」

「予想はできましたが、これが隊長を慕われる事の一つであると俺は思いますよ」

「お父さまの料理はどれも美味しいですし、レシピを各飲食業界にて譲渡したそうで。だから蒼い翼関連の飲食業はほぼ黒字だそうで、ライバル企業もいますがそれでも不動の存在と言えますね」

俺はチーズケーキだが、蒼太と穂波さんはチョコレートケーキを。あとの四人は苺のショートケーキを食べていた。今いるところは、リビングで大型のテレビが置いてあるが大きなパソコン画面と変わらずで電話はテレビ電話みたいな感じで調査した物を閲覧したりといろいろと便利であるけど。あとは秘匿回線以上の独自回線でトレミーと月中基地にあるヴェーダにアクセスできる。情報を閲覧するときは、ヴェーダから直結で見ているが。

「皆、食べているところ悪いが、これを見てほしい。ヴェーダ、フォルダ名『ブランシュ』オープン」

と言ったら皆は食べている途中であったが、ヴェーダと言ったら手を止めた。そして情報を開示すると、多くの情報が出てきた。

「これは、一真さんが帰ってくる前に聞いたことよね?」

「ああ。『ブランシュ』についての情報共有はした方が良いと思ってね。家族団欒ムードで悪いが、これについては後々関係してくることだからな」

本来なら家のデータバンクから閲覧するが、ヴェーダからのはいつでも新規の情報が入っているからこちらの方がいい。あとは調べたもんをキーボードで呼ぶのも可能だが、音声コマンドを使う方が効率がいいからだと思ったからだ。一真はいつもキーボードオンリーで使うがこういうのは音声で十分だ。ヴェーダが調査報告のファイルを次々と開示する。

「お昼に名前が出た、反魔法活動を行っている政治結社ですよね?」

「当人たちは市民運動と自称しているが、裏では立派なテロリストだ。でだ、このテロリスト共が校内で暗躍している事は間違いない。ブランシュの下部組織にエガリテという団体がある。実は蒼太と共に風紀委員活動中に、エガリテに加入しているであろう生徒を目撃した」

蒼太はうんうんと頷いているが、深夜に深雪、穂波さんと沙紀は静かに話を聞いていたが、穂波さんは言う。

「魔法科高校で、魔法科高校の生徒がですか?それはつまり魔法を否定していると」

「まあ穂波さんの読みは当たりなんだが、第一高校に限らずに魔法科学校は魔法を役立てようと考えている人間が魔法を学びに来るところだ。拠点でいうなら、ソーナが中級・下級・転生悪魔関係なくレーティングゲームに参加可能な学校を建てたろ?そしてレーティングゲームを盛り上げるためと実戦経験を積ませるために学ぶようにしてるし。それでもし敵が来てもその力で役立ちたいという悪魔は大勢いる。まあ拠点の学校の事は置いといて、魔法は自分のためか他人のためかは別として魔法科高校の生徒が魔法を否定するなら自家撞着しかない」

拠点にある学校を例えに挙げたが、この世界もある意味似ているとしか言いようがない。拠点では俺らの活躍によってテロリストである禍の団は壊滅状態にした事もあったが、今も暗躍して活動しているのはクリフォトのみだ。あとは不明であるが、拠点の外史には対ドウター用のシールドバリアーを張ったお陰でドウターによる侵攻を受けない唯一の外史となった。なので俺も安心して他の外史に行けるようになったし仲間も増えた。それに外史に拠点と呼ばれるのも初めてだったが、久遠達も黒神眷属入りにしたので黒の駒と量産型の聖剣エクスカリバーを渡している。あと最近開発された次元転送装置も完成したから、一々トレミーで発進して行くこともなくなった。まあパトロールとしては、トレミーで全ての管轄内の外史を巡回する訳だし。

「当たり前に考えればおかしなことではありますが、その『当たり前』が通じないからああいう輩が増えるのですね」

「一般論で考えない方がいいわね。穂波の言う通り、『当たり前』というのが通用しないからテロリストが発生すると」

「まあそうだな。こういうのは個別具体的に考えるべきだ。押さえておく点は、奴らが反魔法主義の旗を掲げているにも関わらず、表向きは魔法を否定しないということだ」

「確かにそうですね。この輩のスローガンは魔法による社会的差別の撤廃ですか。それ自体は文句もありませんね」

「沙紀の言う通りだ。では、深雪に聞くが差別とは何だろうか?」

「本人の実力や努力が社会的な評価されないこと、でしょうか?」

「深雪。一真さんはさっき言ったけど、一般論で考えてはダメだと」

と深夜がそう言ったので、俺はリモコンを取りスクリーンに向けた。分割された映像から一区画を出して拡大した。

「なるほど。表向き政治結社ブランシュは、魔法師とそうでない会社員の所得水準の差を魔法師が優遇されているという証拠を主張ですか」

「結衣の言う通りだが、こいつらの言う差別とは平均収入の格差。でもそれはあくまで平均であり、それは結果としか見ていない。まあウチの場合は特殊で、魔法が使える使えない関係無しに収入格差をなくしている。こういうのは蒼い翼関連で働いている人間か他の企業で働いている会社員しか知らないわけで、魔法師が高所得を得ている訳を知らない。どんな激務であろうともね」

「魔法スキルを持ちながら、魔法とは無関係の職しか得られず、平均的な会社員より低賃金に甘んじんでいる大勢の予備戦力的な魔法師を無視されている。どんなに強力なのであろうとも、社会に必要とされない魔法は、金銭も名誉もないということですか」

「今度は正解だぞ、深雪。そして魔法師の平均収入が高いのは、社会に必要とされる希少スキルを有している魔法師がいる。絶対数の少ない魔法師の中には、相対的に高い割合で高所得者がいるから平均収入が高く算出されるだけ。第一線で活躍している魔法師は、社会に貢献するというより魔法師は金銭的な或いは非金銭的で、いずれ何らかの利益を生む事によって高い報酬を受ける。それによってただの魔法師という理由で金銭的に優遇される事ではない。魔法の素質だけで、裕福な暮らしが出来るほど魔法師界は甘くはない。だがまあ蒼い翼はそれを何とかするのが仕事の一つであり、それを失くすために地道にやって来た事でもある。それは皆が知っているよな?」

と全員に聞くと頷いた。こういうのは、百年前から何とかしてはいたが。全世界での反魔法政治結社を潰すことは困難であり、魔法差別による反対をしているブランシュの主張は魔法師が金銭的に報われている事に反対するという主張となっている。魔法師は無私の精神で社会に奉仕しろ、という事でもある。自分勝手での主張とも言うが、生活をする上で金銭的な収入が必要不可欠。それは魔法師でも会社員でも同じのはず。

「でも魔法師は魔法で生計を立てる事は許されない、魔法を使える者も、魔法以外で生きるために必要な糧を稼がなければならないというのは理解しています。魔法というのは長期間の修学と訓練が必要とされるのを知らない訳ではないという考えもありますね」

「うむ。沙紀の言う通りでもある。知っていて言わないということだ、都合悪いのは言わずに考えず、平等という耳触りの良い理念で他人を騙し、自分自身を騙している。魔法科高校の生徒がなぜ反魔法団体であるエガリテやブランシュで活動しているのは、魔法を使えない人達が自分たちがどんなに努力しても身に付けられない魔法で、高い地位を得るのは不公平と考える。魔法は使えるが、才能に劣った生徒が豊かな才能を持つ生徒に対して、自分がこんなに努力をしている追いつけないのはおかしいし、自分の方が下に見られるのはおかしいとそう言う考えも不思議ではない」

「なるほど。確かに人それぞれに才能がありますよね。才能の違いは魔法に限定される事ではないですし、芸術やスポーツや人の営みのあらゆる分野についてですもんね。魔法の才能がなくても、他の才能があるかもしれない。または魔法の才能がない事に耐えられず、他の生き方を考えると。また魔法を学んでいる者が、魔法による『差別』を否定するのは、魔法から離れられないから。魔法から離れたくとも一人前に見られるのも、同じように努力しようが追いつけない事実、何倍もの努力をしても追いつくことはできないという可能性に耐えられない。魔法による評価を否定する。才能有る者も努力という対価を払っているという事実は、当然知っていても目の前で見ているという事実に背を向けて才能を全ての責任を押し付けて否定する」

今度は蒼太の言葉で、全員納得している。全員元々魔法による努力はあまりないが、各戦闘術は長い年月をかけて強くなっている。それはここにいる者にとってもだけど、トレミーにいる総合整備士をしているイアンたちは最初はガンダムやMSを整備することしかできなかったが、外史に行くたびに技術力が上がっている。MS以外の技術も、外史の技術を学んではそれを素に技術を吸収している。それはここにいる者たちもそうであるように、俺や深雪は誰にも真似できないような才能と力があるし、別の才能もあるという事でもある。蒼太たちも俺と深雪のような才能がなくとも、別の才能もあるし、深夜たち女性陣だけに装着できるISも持っているし誰も否定なんかしない。蒼い翼でも、才能を開花させるという施設もあるし、魔法が左右されるというのは評価に値しない。

「不足している現代魔法の才能を、別の才能で埋めるのはよくあることだ。その術があるからこそ、第三者としての論評をしていられる。もしそうでなかったら、『平等』という美しい理念にすがりついてただろう。嘘だと分かっていてもだ。魔法の才能に劣った者は、劣っているという事実から目を背けたくて平等という理念を唱えるなさ。魔法が使えない者は、人の持つ才能の一種に過ぎないというのも目を背けて、嫉妬を理念という衣に包み込む。全てを理解した上で扇動している奴らの本当の目的というのは何なのか?輩の言う平等というのは、魔法を使えても使えなくても同じ扱いとなる。魔法による社会的差別の撤廃は、魔法という技能そのものを評価しないということだ。何が言いたいかは結局のところ魔法の社会的意義を否定する。魔法を評価しない社会では、魔法は進歩しないことは俺ら企業側も分かっている。魔法による差別反対を叫び魔法師とそれ以外の者の平等を叫ぶ輩の背後には、今いる国を、魔法が廃れた国したいという勢力が隠れている。この事については現在も蒼い翼を主力として調査中である、内閣府情報管理局、国防軍、といっても国防陸軍第101旅団の独立魔装大隊。日本以外だとUSNA軍統合参謀本部とかに、我々の同志たちが元々潜り込んでるところで覚醒してから極秘や秘匿とされている情報を随時報告してくれる。その報告については脳量子波によってされるが、データとして残すのはヴェーダにやってもらっている。日本とUSNAにいる者たちの報告は膨大すぎるからだ」

善も悪も、魔法は力とされている。財力も技術力も軍事力も力と等しい。魔法は戦艦や戦闘機と同じ種類の力となり、現魔法の軍事利用は世界中で研究されているし魔法技術を巡る軍事スパイ活動も活発と見れる。スパイは必ずしも、任務成功には繋がらない。バレると存在自体消される可能性が高い、それが親友や共に戦ってきた戦友だったとしてもだが、俺らの方は今の所バレたという報告は来ていない。だいたい軍事スパイとなると、必ず通信機器とかで元である国に報告する義務がある。が、俺らの所に例えスパイが入り交ろうとしてもすぐにバレる。それは脳量子波で確認するという方法もあれば、隊員の記録を見れば一発で分かる代物。それにそういう反魔法組織をこのまま放っておく訳にはいかない。特に俺ら零家と十師族の家はな。深夜もそうだし、真夜や弘一、それに烈も放っておく訳にはいかないだろう。あとはテロリストが破壊活動をするのなら俺らソレスタルビーイングは動く。俺らはどこにも属さない組織で謎に包まれた事になっている。スパイを送った各国は誰も帰って来れないことを知ったあとに探索をしているという情報がこちらに来る。まあまさか月の中にいるか、蒼い翼本社の地下にいるとは誰も思わないだろう。 
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