機動戦士ガンダムSEED 白き魔星
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00 白き魔星の始動
転生――新たな命を授かり現世に生を受けること、と呼ばれている。
南部響矢はそんな転生を経験した人間だ。
普通ならば転生というものは魂が浄化され前世で経験した全てを真っ白に消去して新たなる生命といった形で現世に生を受ける、といった現象だと仏教等では語られている。
が、響矢は前世の記憶等の全ての経験を失わずに転生を果たした。
神と名乗るローブに身をまとった存在に転生してもらうと一方的に言い渡され、しまいには今まで自分が生きた世界と異なる地球に飛ばすと言い出す始末。
一気に不安が込み上げ心の整理も考える暇も与えられずに響矢は転生させられ、気づけば全く知らない部屋で目を覚ますことになった。
そして目が覚めた部屋がある場所に驚愕を通り越して唖然となることになったりする。
それは当然だろう、寧ろ我を失わずに済む方がおかしい。
平和な日本で極々普通に生きた一般人として。
『ホワイトスター《白き魔星》』
それが響矢が別の地球が存在する世界で目を覚ました場所である。
とあるロボットゲームに登場する敵が地球送り出した衛星基地。
その全長は彼が知るロボットアニメにて人々が宇宙での居住地として作ったスペースコロニーをも凌ぐ。
なお本来の名は「ネビーイーム」で、ホワイトスターはゲーム主人公たちが所属組織が名づけたコードネームだ。
極めて堅牢で、エネルギーフィールドによる鉄壁の守備を誇る。
幾重もの防壁に守られた内部には人間が生活するための居住スペース、機動兵器生産プラントなどが在り、中枢は機動兵器が担当している。
さらに、本来なら存在しない巨大な三つのリングが衛星を括っている。
一つは衛星内の兵器生産プラントと同じ施設になっており、残り二つは食料生産プラントでリング内全てが施設化されていて見た目よりスペースが広く構造生産率が下手なプラント用として製作されたコロニーより高い。
それだけでも驚愕物だというのに響矢を驚かせる物はまたあった。
『マテリアル精製機』
大気中の塵さえ有れば入力したデータから如何なる物であろうと何でも作ってしまうというとんでも装置。
流石に生命を作り出すのは無理だが錬金術でいう空想上の産物である無から有を生み出す賢者の石と性質が近く、そんな物がホワイトスターが有する全プラントに各六機ずつ配置されていた。
そして、そのマテリアル精製機に使用するデータが『スーパーロボット大戦』というロボットシミュレーションゲームのシリーズに登場する全兵器のデータ。
つまりマテリアル精製機で兵器に使われる資材を精製し兵器生産プラントでゲームに登場する好きな兵器をいくらでも作り出せるということだ。
好きなゲーム作品だったため嬉しいのは嬉しい。
が、行きなりこれ程の設備が揃った施設を与えられるのは心臓に悪い。
つーか、包丁や鎌とか一般生活で使う程度の物ぐらいしか殺傷力を持つ物を手にしたことがない一般庶民にポンっと渡すな。
まあ、今いる世界を期に幾つもの世界を渡り、ホワイトスターと共に各世界を震撼させながら介入していくことになるのだが。
◆
さて。とんでも衛星要塞を突然と手にししてしまった響矢であるが、既に行動に移っていた。
自分がどのような世界にへと来訪してしまったのかを早急に調べ、新人類と自称し宇宙に築かれたコロニー群に住まう遺伝子を産まれる前に調整したコーディネイターとコーディネイターを認めない地球に住む遺伝子調整等を施していないナチュラルが対峙する世界だと知る。
つまり、彼が転生した世界は『機動戦士ガンダムSEED』の舞台。
そこで、転生者らしく介入してやろうと考える。
介入しようと考えている候補はコーディネイター側。
コーディネイター側にコーディネイターではない自分を受け入れさせる為に渡すガンダムシリーズとスーパーロボット大戦OGシリーズにマクロスシリーズの機動兵器及び各技術データを纏めると同時に兵器の量産を開始。
ナチュラル側である理事国を母体にした後の地球連合軍とコロニーの独立を賭けて戦争をするのだから必要であるし、数の連合軍に対して質で争わなければならないプラントにとって重保されることはあっても邪険にされることはないだろう。
何より此方の技術を得れば質の上行だけではなく、無人機を用いた数を得ることが可能なのだ。
どこぞのエレガントなパーフェクト総帥に「エレガントではない」と批難されそうではあるが、某中将が「戦いは数だよ、兄貴!!」と言うように戦争には数が必要だ。
プラントではコーディネーターとしての能力もあって15歳という肉体だけならともかく精神は大人へ成長する前準備中であろう年で成人を向かえる。
そういった社会構造もあって兵士の不足を補うため20歳未満の少年たちがZAFTへ入隊を果たす。
そんな情況を改善できるかもしれない技術を得体のしれないコーディネーターではない存在からの提供だとしても、だ。
それと、ホワイトスターを運用するためにスーパーロボット大戦のオリジナルキャラと機体で構成されたOGシリーズとAに登場する人造人間。
Wシリーズの量産型であるMWシリーズの生産に整備面から各サポートの為にガンダムOOのハロとカレルの大量量産も始めた。
ちなみにMWシリーズとハロ&カレルの指揮はWシリーズとイノベイドがそれぞれ行う予定だ。
まだ本格的な戦争が始まってないので、戦争が本格化する前には本格的にホワイトスターを運用できるだろう。
そして、コーディネイターが住まう宇宙にそびえるコロニー群プラント。
場所が宇宙なだけに機体に使用する鉱物資源が乏しく食料同様、地球と月からの輸入に小惑星等から採掘した物で賄っているのでホワイトスターのマテリアル精製機だけに頼るのは危うい。
なので、ホワイトスターの現在地である小惑星帯アステロイド・ベルトから鉱物反応が高い巨大小惑星にブースターを着けてホワイトスターに繋げるだけ繋ぎ持っていくつもりである。
兵器・兵器データ・人材・資源を手土産にプラントの政治を取り纏める各コロニー代表者たち最高評議会の一人であり国防を担うZAFT軍の長である国防委員長のパトリック・ザラに取り入る。
この世界の史実でパトリック・ザラがナチュラルへの復讐の憎悪に心を染め上げられた『血のバレンタイン』事件。
反コーディネイター思想を持つ者が集まり一つの組織体と化し、地球連合の政府と軍内部まで浸透しているブルーコスモスの連合軍の一部の団員たちが行ったとされるプラントのコロニーを狙った核による攻撃。
核攻撃で一つのコロニーであるユニウス市のユニウスセヴンが破壊され、万単位の住人たちが死ぬという悲劇から『ユニウスの悲劇』と称されて一般的に2月14日のバレンタインに起こったことから血のバレンタインと呼ばれるようになる。
その悲劇の地にパトリックの妻であるレノア・ザラがおり巻き込まれたことで彼は、元より良い感情を持っていなかったナチュラルに対し深い憎悪を懐くようになりナチュラル殲滅へと戦争の矛を向ける形で道を進むようになってしまう。
そうさせない為にブルーコスモスの一部の暴走であろうと情報を偽装で作ってでもパトリックにリークし核攻撃を防ぐ。
それによって史実と異なる歴史を辿ることになろうがオーバーテクノロジーを手に介入するのだから史実など今更なので関係ない。
本来の歴史のように両陣営による殲滅戦へと進む戦争にしないためだ。
どういった経緯でこのホワイトスターを手にしてしまったかは知りはしない。
それでも、ちゃんとした政治的延長の戦争にし違う結末にする為にこの力を使おと響矢は考えた。
よって史実で最高評議会議長の席に座りプラントを主導することになるパトリックを憎しみにとらわれさせないことが一番の方法だろう。
恩を売って取り入るといった小細工で介入しようと考えているのはアレではあるが……
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