東方大冒録
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大図書館。そして妹のもとへ。
前書き
大図書館へ向かいます。
えー今回軽く前回予告詐欺が発生している気がします。
あと、なんか今回長くなりそうです。
暗基、咲夜、美鈴の3人は、パチュリーと小悪魔のいる大図書館へと向かっていた。その間、マガイモノと化していた紅魔館のメイド妖精たちが様々な武器を持って暗基たちへと襲いかかってきたが、
「覚悟~!」
「はぁぁあ!!」
「せいやぁ!!」
「わあああー!!?」
前から襲いかかって来るメイド妖精は咲夜と美鈴が、
「背後ががら空きですよ!」
「んな訳ねぇだろ」
「そんな~!?」
後ろやどこかから奇襲をかけてくるメイド妖精は暗基が担当し、徹底的にボコボコにしていった。
「はぁ、はぁ、あとどれくらいいるんだ!?」
だが、いくら倒しても、どんどん出てくる。まるでどこかから量産されているように、沸いて出てくる。
「らちが明かねぇ……!」
「メイド妖精ってこんなにたくさんいましたっけ!?」
「わからないけど、もう少しで大図書館よ! なんとか耐えて!」
「あいよ!!」
「わかりました!!」
言いながら沸いてくるメイド妖精たちをさらにボコボコにしながら、紅い廊下を突き進む。
「ふぅ、片付いたな」
やがて、妖精メイドたちが沸いてこなくなった。
「疲れた……」
暗基がその場にドサッと座り込んだ。咲夜、美鈴は戦闘慣れしているからだろうか、特に疲れた様子も見せず、暗基のそばに立っていた。
「やっぱり戦闘は慣れないなぁ……」
「暗基さん、お疲れ様です」
「お疲れ様。ここを左に曲がったら、大図書館よ」
美鈴が暗基に声をかけ、咲夜が指を指す。その先には、二つの通路があった。
「左でいいんだな?」
「ええ」
「右からの方がヤバい霊力を感じるけど、左でいいんだな?」
暗基は、右の方から感じる、明らかにヤバい霊力を感じとり、咲夜に確認を取る。すると咲夜は、
「右は妹様のお部屋へと繋がる通路よ。きっとさっき言った強力な結界の影響なんだと思うわ」
と言った。確かに、フランほど何をしでかすかわからなくて、力も強くマガイモノも作ることが出来ないやつはとりあえず強力な結界でなんとかしておこう的なやつか。
「そうなのか。わかった。よし、もう休んだし、行こう!」
そして暗基は立ち上がり、大図書館へと足を進めようとしたが。
「……、こっちにも結界が貼ってあるな」
暗基が皮肉っぽく言う。その先を咲夜と美鈴が見る。
「それほど強力でもないみたいね」
「ですね。私だけでなんとかできそうです」
と、それぞれコメント。なぜこうもひどいコメントなのかというと。
「大図書館には、い、入れさせません!!」
と、ピンクの髪に悪魔の翼のようなものを生やした、秘書のような服装の女の子……、もとい小悪魔のマガイモノが暗基たちに威嚇(?)している。しているのだが、その子はどうも退け腰というか、「私を殺さないでください~!! ひぃぃぃ~!」とでも言いたそうな構えなのだ。1つの作戦なのかはわからないが、とりあえず話しかけなければ話も進まなさそうなので、暗基は話しかけることにした。
「なぁ」
「ひっ!?」
「無理は、しなくてもいいんだぞ?」
「う、うるさいです! あなたが、我々の邪魔をしていることは、わかっています!! 私は、何があっても、ここを守るんですっ!!」
退け腰にはなっているが、とりあえずここを退くつもりはないらしい。ご苦労なことだ。
「そうか。じゃ、申し訳ないがくたばってもらおう」
そう言って暗基はスペルカードを取り出す。そしてスペルカードを、
「霊符『夢想……」
「かかりましたね、愚かな人間さん!!」
小悪魔のマガイモノが唐突に叫んだ。
すると、天井から、咲夜と美鈴のマガイモノ、そしてたくさんのメイド妖精のマガイモノが一斉に落ちてきて、暗基たちを徹底的に殺した。
はずだった。
「愚かなのは、お前だろ」
「な、な……!?」
小悪魔の目に映っていた光景。それは、小悪魔の描いた、侵入者、本物が無惨な姿で倒れている光景ではなく、暗基が咲夜と美鈴のマガイモノの腹を腕で貫いていて、後ろにいた本物2人がメイド妖精たちをすべて倒していた光景だった。
「い、いったい、何が……!?」
「どうせ罠張ってるだろうなと思ってな。対策させてもらった。それだけだ」
「……、そ、そん、な……。は、はは、はははははは…………」
小悪魔はあまりのことに、頭がおかしくなったのか、笑いが止まらなくなってしまった。
「じゃ、かわいそうだし夢想封印『妖』よりも楽な方法で消してやる」
そして暗基は別のスペルカードを取りだし、放った。
「マスタースパーク『白暗裁判』」
小悪魔は、笑いが止まらないまま、白と黒のレーザーに包まれた。
「よし、封印っと」
暗基は小悪魔をはじめとする今まで倒してきたすべてのマガイモノを封印した。ふぅ、とひとつため息を出そうと上を向くと、美鈴が驚いた顔をしていた。
「ん、どうした美鈴?」
「……、暗基さん、あなたほんとに何者なんですか? マスパ撃ったりマガイモノ封印したりなんか飛ばしたり……」
どうやら美鈴は、暗基がしてきた行動すべてに驚き、本当に何者なのか、まさか人間ではないのではなのかと変に考えていたようだ。
「あぁ、別にたいしたことはないと思うぞ? この世界でいう、「程度の能力」だしな。あれ、美鈴にはまだおれの能力についてしゃべってなかったっけ?」
「えぇ、聞いていないのでぜひ聞きたいところなんですが……」
「そんな余裕はないわ。行くわよ」
「そうか……」
「ですよね……」
暗基自身、美鈴にも自分の能力を知ってもらいたかったのだが、どうやらそんな余裕はないらしい。残念だ。
残念だと思っているうちに、咲夜はギィッ、と重い音を鳴らしながら大図書館の扉を開いた。扉が開かれたあと、目の前に広がる光景を見て暗基は驚いた。
「うおおお!! すげぇ!! 本がびっしり!!」
本、本、本、本。見渡す限り本の山が目の前に広がっていた。
暗基の住んでいた街にも一応図書館はあったが、これほどずらりと本が並んではいなかった。本を読むことを趣味のひとつとする暗基にとっては、ここはまさに天国といってもいいものだった。
暗基はすぐそばにあった本を手に取り、読んでみた。そこに書いていたのは、
「……、え? 何処の文字これ?」
そう言葉に出さずにはいられなくなるような、解読すら出来ないのではないかという本だった。こんな本をパチュリーはずっと読んでいるのかと思うと、パチュリーのことが少し怖く思うのと同時に、この本が読めたら、新しい世界が見えるかも知れない。この読み方を教えて欲しいと思った。マガイモノを倒さなければいけないが。すると唐突に、
「私に許可なく図書館の本を読もうなんて、ずいぶんといい度胸をしているのね?」
「!?」
「零! 横に跳んで!!」
「うおおあ!?」
言われるがままに暗基は横に跳ぶ。するとその直後、青い色のレーザーが暗基が先ほど立っていた場所を焼いた。暗基がレーザーの発射元の方を見ると、ピンク色のローブと帽子をかぶった紫髪の女が魔導書を開きながら手を前につきだしていた。
「あんたが、パチュリー・ノーレッジのマガイモノか」
「えぇ、その通り。私の部下も封印してきたようだけど、もうあなたたちの好きなようにはさせない」
部下。おそらく小悪魔のことだろう。封印するということが相手にばれているということは、やはりマガイモノ側には暗基が持つ封印の札の存在が知られている。まぁ知られたところで、暗基以外には扱うことはできない。相手側にどうこうできることはないだろう。
「へっ、お前らにその言葉、そっくりそのまま返してやるさ」
「たしかに、私だけじゃなにもできないわ。だけど、あなたは私たちマガイモノがどんなことができるかってことくらいは分かっているわよね?」
「ん? ……あっ、やばっ」
「そう、それをするの、よ!!」
そういうとパチュリーは右手を思いっきり床に叩きつけた。するとそこから巨大な魔方陣が出現し、その魔方陣の中から、たくさんのマガイモノ、ざっと6000という、どう考えてもおかしい勢いで現れた。広いと思っていた大図書館が一気に狭くなった。
「うげぇ、ヤバイぞこれは……」
「いくら出てこようが構わない。叩き潰すまでよ!」
咲夜はナイフを構える。すると美鈴が突然うしろを見て叫ぶ。
「暗基さん暗基さん!! パチュリー様のマガイモノが大図書館の外に出ました!」
「なんだって!!?」
ここにきてパチュリーのマガイモノが逃げただと?何をするつもりだ? と暗基は考えを張り巡らせていると、咲夜が声をかけてきた。
「零。ここは私たち二人に任せて、あなたはパチュリー様のマガイモノを追いかけて!」
「大丈夫なのか!?」
「心配しないで。私たちなら大丈夫だから」
「だけどよぉ……」
「零さん。咲夜さんのいうとおりです。私たちにお任せください!」
「……、殺られるんじゃねぇぞ」
そう言って暗基は大図書館を出た。
「……、さてと、美鈴?」
「えぇ。久しぶりに、ひと暴れしましょうか!!」
美鈴の一声とともに、2人は敵の群へと突っ込んでいった。
そのころ、パチュリーのマガイモノは1人、ある場所へと向かっていた。
「やっとフランを押さえ込む魔法が出来上がったことだし。戦力増強しないとね」
そう。あまりにも力が強すぎて、今までマガイモノに出来なかったフランことフランドール・スカーレットの部屋へと続く廊下だ。マガイモノにすることが出来なかったため、とりあえず廊下に強力な結界を張り、フランを外に出させないようにしたうえで、フランの力を押さえ込む魔法を作っていたのだ。
「これで、私たちはさらに強くなる。そして、新しい幻想郷を作り上げるための第一歩になる……。ふふふ、素晴らしすぎて笑いが止まらないわね」
歩きながら1人で笑っているパチュリーのマガイモノは、結界を解き、フランの元へと向かった。
その2分後、暗基は1人パチュリーのマガイモノを追って、先ほどの分岐点へとやって来たが、驚きを隠せなかった。
「なんで……、さっきよりも禍々しい霊力が流れてきているんだ……!?」
先ほど咲夜と美鈴とともにこの場所にいたときに感じられた霊力とは比べ物にならないほど強力な霊力を暗基は感じていた。それもただ強い霊力ではない。言葉で表すのなら、「これ以上ここにいたら死ぬ」と身体に直接刷り込まれているような、めちゃくちゃな霊力だ。
暗基は正直、今すぐにでも逃げ出したかった。つい先ほどまでごく普通の男子高校生だった人間にこんな場所へ身を投げ出さなきゃいけないということが、あまりにも重荷になっていた。だがそんなことも言っていられない。暗基は腹を決め、フランがいるはずの部屋へと歩いた。
「うわぁ……。やばい、ちびりそう……。すげぇ怖い……。あぁ、何言ってんだろおれ……、ちびりそうだって楽しいわ」
思わず暗基の口からちびりそう発言が飛び出してしまったが、言葉のあやである。
「しかし、こんなに禍々しい霊力があふれまくってんのに、敵がまったく襲い掛かってこないってのも不思議な話だよな……。何なんだろうな……」
こうして独り言をぶつぶつ言っていなければいけないほど、暗基は極限状態である。
すると、明らかに黒くなっている空間が見えてきた。暗基はそこに近づいていき、中を確認する。
中は地下へと続く階段があるだけである。どうやら、今まで感じてきた禍々しい霊力は、ここから漏れ出してきているようだ。
「……、吐きそう……。入りたくねぇこんなところ……」
暗基は吐き気を必死に抑えながら、何とか足を進める。階段以外は何もない洞窟なので、足音がコツ、コツと響く。
そのうち、ぼやけたような光が見えてきた。どうやら奥地まで来たようだ。
「おー、やっとか……。あ、とりあえず、霊爆『ソウル・ファンネル』」
生身で突撃してとんでもない目に会わないために、とりあえずソウル・ファンネルを展開しておく。
「よし、行きたくねぇけど、突撃!」
そして暗基は、光の中へと突入した。
すると、そこには、魔法で作られたと思われる鎖で縛られ、力なく吊り下げられてるフランと、それを見て満足しているパチュリーのマガイモノ、そして、その隣にフランがもう一人いた。
「な、なんだこれ……」
思わず声を出す。するとパチュリーのマガイモノが暗基の存在に気づき、暗基のほうを向く。
「あら、追いかけてきていたのね? 結界をまた張っておけばよかったかしら」
口ではそういってはいるが、顔がまったくそんなことを言っていなかった。まるで、「ずいぶんと遅かったわね」とでも言いたそうな顔をしていた。隣に立っているフランを見て、あることを指示した。その内容が、とても考えられないものだった。
「さぁ、フラン。あそこに吊るしている無能なオリジナルを、レーヴァテインにでも変えてしまいなさい」
「!!?」
なんと暗基の目の前で、本物を封印してしまえと言ったのだ。それに対しフランのマガイモノはこくりと1つ頷くと、吊るされた本物のフランの元へと飛んで行き、
「さようなら、私の本物?」
その言葉とともに本物の頬を触る。すると、マガイモノが触れたところから影が本物を覆っていく。その途中で本物が目を覚まし、その自分の姿を見て、本物は発狂した。
「え、い、いや! やめて! 怖い! 怖いよ!! 助けて!! 助けてお姉様!!!」
本物が必死に叫ぶが、その叫びが届くこともなく……。
本物は、影に完全に包まれ、形を変え、レーヴァテインと思われる剣(?)のようなものになった。暗基は本物が封印されるのを間近に見て、思わず息を呑んでしまった。
「うわ……」
「驚いたかしら? これが私たち、マガイモノの力。生みの親である優理亜様の力よ。素晴らしいでしょ?」
「……」
「あら、驚いて声も出ないかしら? まぁいいわ。フランがマガイモノになったことで、私たちの計画は大きく進むことになる。そのうち貴方の努力も無駄になるわ」
そういわれたと同時に吹っ飛んでいた暗基の意識が一気に元に戻る。
「……、させねぇよ」
「?」
「そんなことはさせねぇ。おれなんかのために土下座してくれた、紫のためにも、おれを信じてくれた、霊夢と魔理沙のためにもな!」
「ふふ、口だけにならないように、期待しているわ。さぁ、いくわよフラン!!」
「おっけー! お兄さん、徹底的に壊してあげる!! 壊れるまで、私を楽しませてよね!!!」
パチュリーとフランのマガイモノが戦闘の構えをとる。そしてまた流れ出る禍々しい霊力を相手にまたしても足がすくみそうになる暗基だが、何とかこらえて、自分に喝を入れるように叫んだ。
「なんとしても、お前たちを止めてみせる!」
後書き
はい。
フランの元へとやってきた暗基。それはすでに時遅し。二人のマガイモノを相手に、暗基はどう立ち向かうのか。
次回、激闘。
という硬っ苦しいのはこの辺で。
どうも遅くなりましたヒラドンだーです。
フランがマガイモノになっちゃいました。果たしてどうなるのでしょうか。そして大図書館の大掃除を受け持った咲夜と美鈴は無事でいられるのでしょうか。次回をお楽しみに。
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