東方大冒録
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激闘。暗基vsパチュリー&フランドール。そして「超霊力」の暴走。(リョナ注意)
前書き
マガイモノって結局のところオリジナルをコピーしただけのものだから、別にいちいちマガイモノって書かなくても(オイ)。
ということで、暗基vsパチュリー&フランです。そして、超霊力が暴走します。それに伴い、すばらしいリョナ的表現があります。気をつけてください。
フランがマガイモノになってしまったその頃。大図書館の大掃除を受け持った美鈴と咲夜はというと。
「あははははははは!!!」
「あははははははは!!!」
破壊兵器になっていた。
何が2人をそうさせたのか。それはあまりにも弱すぎたメイド妖精のマガイモノたちである。人数が人数だったため、せめて500人位はまともに戦える者がいるのかと思っていたら、6000人揃ってなにも出来ない雑魚だった。それに対して2人は心底ガッカリし、そして怒りが込み上げ、この有り様である。ちなみに、暗基がここを離れてまだ8分しか経っていなかったがすでに2人合わせて5500人を倒してしまっていた。美鈴や咲夜に疲れの様子は全く見えていない。むしろ疲れさせて欲しいと思っているほどであった。
残った500人も1分で蹴散らしてしまい、大図書館はマガイモノの山が10ほど出来上がっていた。
「ふぅ、一丁上がりです」
「拍子抜けね。こんなやつらで時間を稼ぐつもりだったとわね」
「まったくです、と言いたいところなんですが、咲夜さん、私今不安なことがありましてですね……」
「あら、なにかしら?」
美鈴が唐突に不安なことがあると言い始めた。何がどう不安なのか咲夜は美鈴に聞く。すると、美鈴の口から、仮にそうだとしたら、まんまとはめられたと言わざるを得ない言葉を聞いた。
「私達二人がここを受け持つことも、マガイモノたちには計画の内だった、なんてことはありませんよね?」
「!!?」
「なるほど。だからあれだけのメイド妖精のマガイモノを作り出したわけか」
「その通り。今までに貴方が戦ってきたマガイモノたちからデータをいただいたのだけど、貴方はまるで戦闘には慣れていない。しかし貴方はその能力から私達と戦うための最後の切り札とされている……」
「だから隔離させておれだけを潰そうってか……。考えるじゃねぇか」
「誉め言葉と受け取っておくわ」
暗基零。パチュリー・ノーレッジ。この2人、とても冷静に会話をしているが、状況は全く冷静でいられるものではない。暗基はソウル・ファンネルで、パチュリーは自らの魔法で、そしてフランは禁忌『フォーオブアカインド』によって4人に分裂し、自らの弾幕を撃ちまくる。まさに入り込む隙が全く無い状態で戦っていた。だがしかし。戦っていたというにはあまりにも、状況は暗基の劣勢一方だった。2対1というのは、それこそ戦闘慣れしていない暗基にはつらいものだった。そもそも弾幕の絶対量が違うのだ。攻めるどころか、守ることすらままならない。
「くそ、ファンネルだけじゃやっぱり無理があるか……。仕方ない!」
そう叫ぶと同時に暗基はスペルカードをとりだし、スペルを宣言する。
「霊塞『ソウル・フォートレス』!!」
すると、暗基が展開していたファンネルが消滅し、代わりに暗基の体を、万物を受け付けない青白い霊力の鎧が纏った。避けられないのなら、強引に受け止めるまで。そう考えた上でのこの判断を下したのだ。
しかし、パチュリーは暗基の顔を見てバカにするような笑みを見せたあと、フランに指示をした。
「フラン! レーヴァテインを叩きつけてやりなさい!!」
「オッケー!」
フランはそれに対して返事をすると、つい先ほど本物が封印されているレーヴァテインを持つ。それを見て、フランの分身たちも自らのレーヴァテインを構える。そして、フランはスペルを宣言する。
「禁忌『レーヴァテイン』!」
そして自分達の得物を、暗基に叩きつけてきた。それを暗基はソウル・フォートレスで強引に受け止めた。が、
「ぐっ!? がぁぁぁぁああああ!!?」
レーヴァテインを受け止めたものの、チルノ達の攻撃を受け止めたときとは比べ物になら無い痛みに襲われた。極限までダメージを減らすこのスペルでも、身体が引き裂かれそうな痛みに暗基は膝をついてしまう。
「わー、すごいのね! 私の力を受けてもまだ壊れてない!」
「くっ……、はぁ、はぁ……」
「ふふっ、無様ね。どう? 頼りのスペルを踏みにじられた気分は?」
「はぁ、あぁ、最悪だよ」
パチュリーの言葉に皮肉を込めて返す。だがこうして皮肉を言ったところで暗基が圧倒的に不利であることには変わり無い。さて、どうしたものかと考えるふりをする。
「じゃ、もう私は貴方と戦うの飽きたから。フラン、貴女は?」
「うーん、壊れないのは確かにすごいし、楽しいけど、今は壊れてくれたほうがいいから、もう飽きたってことでいいや」
「ふふっ、分かったわ。そういうわけだから、死んで?」
しかし目の前のマガイモノ達は、考える余裕も与えないように、次の攻撃を放とうとする。しかしそれは、先ほどまでのスペル、弾幕とは違い、明らかにパワーが違った。どうやらパチュリー達はこの一撃ですべて決めるつもりのようだ。だがしかし。
「へっ、お前らひとつ大事な事を忘れちゃいないか?」
「なにかしら?」
「おれさ、まだスペル唱え終わってないんだぜ?」
「……、あっ!?」
「ん、どうしたの?」
暗基の言葉に顔を青ざめるパチュリーと、何なのかよくわかっていないフラン。それに対し、暗基はニヤリ、と笑うと、大きく息を吸い、吼えた。
「ダメージ! 解放!!」
吼えると同時に青白い鎧が解除され、そしてえげつない量の弾幕を展開し、そして一斉にパチュリーとフランへ向けて発射した。ソウル・フォートレスはダメージを解放するまでがひとつのスペルである。
「くっ! 火水木金土符『賢者の石』!!」
「なんかよくわかんないけど、禁弾『カタディオブトリック』!」
パチュリー達も負けじと自分達のスペルを放つが、暗基のスペルはそれらを全てかき消していき、パチュリー達に向かって飛んでいく。
「なっ、私達のスペルが!?」
「感謝するぜフランのマガイモノ! お前達のお陰でこんなに強い弾幕になったんだからな!!」
「えっ、私たちの……? レーヴァテインが!?」
「あぁ。この霊塞『ソウル・フォートレス』は、相手の弾幕が強いほど強くなるからな! さぁ、食らいやがれ!!」
そして、暗基の放った多数のカウンター弾が、パチュリー達に襲いかかり、爆音と共に砂煙を上げた。
「…………、くそ、まだか…………」
暗基はやっぱりかとでも言いたそうにそう言った。
そして砂煙が晴れ、パチュリーとフランのマガイモノ達は、倒れていなかった。それぞれのその手には、ボロボロになってしまった、フランの分身が掴まれていた。分身を盾にしたのだろう。
「うん。やっぱり分身って便利だよ」
「助かったわフラン。ありがとう」
「どういたしまして。さてと、パチュリー飽きたんでしょ? だったら私にまかせてくれる? 遊びたくなっちゃった」
「えぇ、いいわよ。思う存分遊んできなさい」
「やった!」
暗基は思う。この会話を本物がしているのなら喜んで遊んであげたのだが、どうしてマガイモノなのだろう、と。だがそんなことを考えている暇はない。
「さてと。一緒に遊びましょう? お兄さん?」
「……、望むところだ」
暗基はスペルカードを取り出した。
その頃、美鈴と咲夜の二人は、暗基とパチュリーのマガイモノを探すため、全速力で走っていた。探すためとはいっても、場所の見当はついていた。
「やっぱりです。結界がなくなっています」
「急ぎましょう。ほら、小悪魔も急いで」
「待ってくださいよ~! 私今力が入らなくてまともに走れないんですよ~!!」
先ほどほったらかしにしてしまっていた小悪魔を連れ、フラン、そして今暗基とパチュリーのマガイモノがいるであろう、フランをかつて閉じ込めていた地下の部屋へ3人は走る。
「それにしても、これだけ気味の悪い気が周りを覆っているのに、何もないのも変ね」
「まったくですね。でも、罠かもしれません。警戒するに越したことはありませんね」
「すみません。私まったくわからないです……」
「……、ひょっとすると、零の能力の加護を受けていないからかもしれないから、気にしなくてもいいわ」
「うぅ、なんでしょうかこの仲間はずれな感じ……」
そして3人は部屋の前までやってきた。そこから発せられるおぞましい霊力に、思わず咲夜と美鈴は一歩後ろに下がってしまう。
「……、すごく不吉な気分にさせられるわね……」
「正直、こんな気にさらされると逃げ帰りたくなりますね」
「私は何も感じないですけど、この際何も言ってられません。行きましょう、咲夜さん、美鈴さん」
「そうね。行きましょう」
3人は、中に入っていった。
暗基とフランは、激戦を繰り広げていた。
「うおおおおおああああ!!!」
「あははははははははは!!! いいよ、いいよ!! もっと楽しませて!!!」
フランが撃ってくる弾幕を、ありとあらゆる方法で暗基は弾き返していった。
正面に飛んでくる弾はインファイトで弾き返し。
不意を突いてくる弾はファンネルで打ち消し。
どうやっても避けられなさそうな弾は煌景『世界三大夜景の灯』を使って掻き消し。
そして隙あれば夢想封印「妖」、マスタースパーク「白暗裁判」、霊塞『ソウル・フォートレス』のカウンター弾、そして新しく思いついた幻幽『ジャック・ザ・ルドビレ「滅」』で攻撃。
まさにありとあらゆる方法で迎撃を行っていた。
そしてフランも、禁忌「レーヴァテイン」をはじめ、自分の持つすべてのスペルで暗基を壊そうと遊んでいた。その様子はまさに、「遊んでいた」。まるで、必死になって抵抗している暗基をひねりつぶすことなど容易いとでも言っているかのように。
「はぁ、はぁ、はぁ、元気なことで何よりだよちくしょうが!!」
「それって褒めてくれてるの? うれしいなー!」
「あぁ、褒めてやってもいい!! 元気だし、強い!!」
「そんなに褒めたってなにも出ないよ! あなたの肉片を出すくらいならできるけどね!」
「それは勘弁願いたいな!」
軽口を叩く暗基と、それに無邪気に答えるフラン。暗基はつくづく感心した。よくもまぁここまで余裕を見せてくれるものだと。すると、入り口の方から物音、いや、足音が聞こえてきた。きっとこれは。
「へっ、みんな来たか!」
暗基が声をあげると、フランは唐突に攻撃を止めた。
「……お仲間さんが揃ったみたいだね」
その声と共に、3人が入ってきた。
「お待たせしましたぁ!!」
「零、お待たせ」
「わ、私も一緒にいますからね!!」
「おぉ、小悪魔も一緒にいたのか!」
暗基は小悪魔も連れてきた咲夜、美鈴に話しかける。咲夜と美鈴はものすごく不機嫌そうな顔をしていた。それもそうだろう。この禍々しい霊力にあてられたら、嫌でも不機嫌になる。
「しかしよくもまぁあんな大勢切り抜けられたなー」
「みんな雑魚過ぎてお話になりませんでしたよ~?」
「……、その場面想像してみたけどそれすごくクレイジーだな」
「まぁ、私たちにとっては余裕だったわ。ところで、私たちは何をすればいいかしら?」
「とりあえずそこで暇してそうなパチュリーのマガイモノでも相手してやってくれ」
「わかったわ」
「了解です」
そして咲夜と美鈴は浮きながら本を読んでいるパチュリーに対して戦闘の構えをとる。
それに対してパチュリーは、気怠そうに読んでいた本を閉じると、
「あら、私の出番かしら?」
そういって魔法でも唱えそうな構えをとる。しかし。
「パチュリー、私に任せてもらえる?」
パチュリーに対して、フランが言った。
「私ね、まだ遊び足りないんだよね。いろんなもので遊びたいから私がやるよ。いいよね?」
「……だそうだから、私はまた本を読むことにするわ。フラン、あとはよろしく」
「ありがと」
そういうとパチュリーはまた本を開き、読み始めてしまった。
「ずいぶんとなめられたものね、私たちは」
「関係ありませんよ。叩き潰すまでです!!」
咲夜がため息をつき、美鈴が意気込むと同時。
グシャァッ!!!
肉を貫くような、汚い音が聞こえた。その音は、
「が……!?」
「う、ぐ……!?」
「うふふふふ……!!!」
「さ、さく、や……? めい、りん……!?」
「え……!?」
フランのマガイモノの腕が、十六夜咲夜と紅美鈴の、はらわたを貫いた音だった。
二人の体からは止まることなく鮮血があふれ出てくる。フランは狂気の笑みを浮かべつつ、咲夜と美鈴の体から腕を抜く。そこから、グチョッ、という音が鳴り、それと同時に咲夜と美鈴は崩れ落ちた。小悪魔は目の前で起こったことに一瞬固まってしまったが、すぐに我に返ると、青ざめた顔で咲夜と美鈴のところにしゃがみこんだ。
「咲夜さん!!!! 美鈴さん!!!! 目を覚まして!! お願い!!!!」
必死になって小悪魔が叫ぶが、二人が目を覚ますわけもなく。
「うふふ、怒ったでしょ~?」
それに対してフランが本当に馬鹿にするように暗基、小悪魔にいう。
「……、どうして」
小悪魔がつぶやき、目に涙をためながら叫んだ。
「どうしてこんなことするんですか!!!!? 私たちがあなた達にいったい何をしたっていうんですか!!!!?」
精一杯叫ぶ。それしか出来ないから。だがそれに対して返ってきた返事は。
「え~? 楽しみたいからだよ~」
さらりと。
こんなにもさらりと。
自分がただ楽しみたいからだと、フランは、さらりと、言った。さらにフランは続ける。
「それに、こうでもしないと、貴方たちは私たちマガイモノのことを舐め続けるでしょ? だから、ここで一度、私たちのことをなめてもらったら困るんだってことを教えるために、そこのやつらを壊したの」
「そ、そん、な……!?」
「さぁ、次は貴女だよ。小悪魔。おとなしく、壊れちゃえ」
そしてフランは、
グシャァッ!!
同じことを、小悪魔にもした。
「く……、な……、んで……」
そして小悪魔は倒れた。
「あははははは!! 弱い、弱い! 全っ然面白くない!こんなに弱いのによく私たちのことをバカにできるよね? あははははははははははは! ハハハハハハハハハハ!!」
フランは笑う。これまでにないほど、笑う。
暗基は、いま何が起こったのか、しっかりと理解していた。理解こそしていたが、暗基の心と体が、それを受け入れようとはしなかった。暗基の中で、色々なものがぐるぐると渦巻いている。そんな暗基の前に、フランが歩いてきた。
「どう? 大事なものを、守らなきゃいけなかったものを壊される気分は」
「……」
「……、もうおしゃべりするだけの気力もないか」
フランはそう言ったが、違った。暗基の中で、ひとつの事がまとまろうとしていた。
マタ……。
マタ、オレノマエデ。
マタ、オレノマエデ、ナカマガシンダ。
タイセツナヒトガ、シンダ。
オレノ、セイデ……。
オレノ……、セイデ……!
オレノ、セイデ!!!!!!!!
やがてそれがひとつにまとまり、それと同時に、暗基の耳に、ブチン、という音が聞こえ、そこから記憶がなくなった。
「さぁ、最期に言い残す言葉はある?」
フランはレーヴァテインを構える。一薙ぎで目の前の廃人を壊すため。すると、
「は、ハハ、ハハハハハハハハハハ!!!」
目の前の廃人が、笑い出したのである。これにはフラン、そして読書をしていたパチュリーも驚いた。
「ほ、ほんとにおかしくなったのかしら?」
「おかしくなってたっていいじゃない! ほら、早く後始末しなさい」
フランとパチュリーが話していると、暗基は笑いを止めた。そして、こう言い放った。
「……貴様らに選択肢をくれてやる」
「え?」
「は?」
さらに混乱するフランとパチュリー。
「な、何を言っているの? あなた自分の立場分かって言っているの!?」
「1つ。俺に本気で命乞いをし、それでも消されるか。1つ。楽に消されるか」
「こ、こいつほんとにおかしいよ!!?」
「1つ。精一杯苦しんで消されるか。そして、勝てないとわかっていても敢えて俺に歯向かうか」
そう暗基が言ったと同時に、暗基の周りを、真っ黒い霊力が渦巻き始める。その霊力の禍々しさに、思わず泣き出しそうになるフランとパチュリー。
本能が語っている。
こいつは、絶対にぶちギレさせてはいけない奴だったんだと。
「う、うぁ、うああああああああああああああああああ!!!」
あまりの恐怖から、レーヴァテインを降り下ろした。それを暗基は、
パシッと。
右手の人差し指と中指で挟んで止めてしまった。それに対して更に恐怖を感じるフラン。
「あ、あ……?」
「わかった。貴様はここで精一杯苦しみ抜いて死にたいのだな?」
「え、え……?」
なにも分からずにいたフランだったが、次の瞬間、
フランは一瞬で吹っ飛ばされた。いや、違う。殴り飛ばされた。
「!!!」
いままでなにもわかっていなかったフランは、たった1つ、思いっきり顔をぶん殴られたという事実だけは理解する事ができた。顔を触ってみると、右の頬が思いっきりひしゃげていた。
「まさかこれで終わりだとは思っていないよなぁ?」
ぶん殴った位置から動かずそう言った暗基。だが暗基は一瞬でフランとの間合いを詰め、またぶん殴った。
「がはっ!?」
「ほらほらぁ!! もっと泣け、もっと苦しめ!!!」
「ひっ……!?」
そしてどんどん殴り続ける暗基。フランが壁にめり込んでも、それでも殴り続けた。
「……、も、もう、ゆる……」
「は? 貴様は何を言っている?」
もうなにもかもぐちゃぐちゃになっているフランが暗基に命乞いをするが、暗基は当然のように突っぱねた。
「貴様にはもう選択の余地などない」
「そんな……!?」
「そんなわけだ。いい加減腹をくくるがいい」
そして暗基は、左腕でフランを鷲掴み、1枚のスペルカードを取り出す。その色は、とても黒かった。
「超霊力……」
「あ、あ、あ……」
暗基はスペルを唱えようとする。すると、暗基の右腕に、霊力が集まりだす。フランはそれから逃げようと必死にもがくが、もうフランに振りほどくだけの力はなかった。
「消え失せろ!! 超霊力『超宇宙大爆発』!!!!!!」
暗基は、右腕を振りかぶり、フランを殴った。
その瞬間、暗基の右腕を中心に、大爆発が発生し、文字どおり全てを破壊した。
爆発が収まった頃には、部屋は跡形もなく粉々になっていた。
「……、ふぅ、防御結界が間に合ってよかったわ……」
その中で、パチュリーが結界を張っていたようで、瓦礫の中からボコッ、という音をならしながら這い出てきた。
「フランを失ったのは、かなりの痛手ね……。にしてもあの男、すばらしい力ね……。それを制御できていないのがあれだけど、あいつのマガイモノが作り出せたら、きっとすごいことになるわね……」
「おれのマガイモノが、どうしたって?」
「!?」
パチュリーは驚きのあまり辺りを見渡す。すると、ある部分から瓦礫が吹っ飛び、暗基が、倒れてしまっていた咲夜、美鈴、小悪魔、そしてレーヴァテインを抱えながら出てきた。しかし、先程までのような禍々しさは無くなっていた。
「あ、あなた、生きてたの!?」
「あー、記憶はないが、たぶん俺が使ったんだろこの技は。だから自分の技で死ぬバカなんていねぇよ。それに、後始末もしなきゃねぇしな」
「あ、後始末……?」
「あぁ。お前をぶっ殺すっていう後始末をな」
「……、もう、降参よ。封印するなり、好きにしなさい……」
「あ、そう? じゃ遠慮なく」
どうやらもう既に戦意は喪失していたようで、パチュリーはすんなりと降参した。暗基は封印の札を取りだし、封印を行った。すると、フラン、パチュリーだけでなく、咲夜と美鈴が倒してきたメイド妖精たちも、まとめて封印された。
「ふぅ、終わり。後は、まだスペカのあまりあったよな……?」
暗基はカバンの中を漁ってみる。そしてカバンのなかには、まだ2枚のスペカが残っていた。
「よし。いけるな。霊治『ソウル・リザレクト』」
暗基がスペルを唱える。すると、暗基の回りに青白いファンネルではなく、無数の白に近い桃色のファンネルが現れた。
「お前と、お前と、お前は、咲夜と美鈴と小悪魔の蘇生、他のみんなはこの部屋を修理してくれ」
暗基がそういうと、指を指された3つのファンネルは咲夜達のもとに行き、咲夜達に桃色の光線を当てた。同じように他のファンネル達が、部屋のあちこちに光線を当てた。すると、部屋はみるみる修復されていき、咲夜達の傷もみるみる回復していった。そして、
「う、ん……?」
「ここ、は……?」
「私たち、死んだはず、じゃ……?」
各々、なぜまたこうして息をすることが出来るのか、まるで理解が出来ていないような反応をした。それもそうだろう。死んだものが生き返るなど、あり得ないのだから。
「あぁ、よかったぁ……! 生き返ってくれた……!」
暗基は涙を流しながらガッツポーズをする。それを見た咲夜が真っ先に暗基のもとへと走る。
「零! 大丈夫!?」
「……、そう言いたいのは、おれの方だよ……!! よかった……! 生き返ってくれて……!!!」
「ということは、貴方が蘇生してくれたの? って、ちょっと!!!?」
咲夜が暗基の無事を聞くと、暗基は泣き出して、咲夜に抱きついた。
「何で抱きつくのよ、離れなさいよ!!」
「いいじゃねぇかようれしいんだよ生き返ってくれてよぉ……」
「離れなさいってもう!!」
咲夜が暗基を引き剥がそうとじたばたしていたら、
「ひゅーひゅー! まだ出会ったばっかりなのにもう関係が出来上がったんですか~!?」
「わー、暗基さん意外とたらしなんですねー!!」
ヤジが飛んできた。顔見知りの。
「そこぉ!! ナイフブッ刺すわよ!!」
「申し訳ありませんでした」
「ごめんなさいもう言いませんから」
咲夜の「ナイフブッ刺す」の言葉を聞いたと同時に土下座体制になるヤジ2人。咲夜は「ナイフブッ刺す」といっておきながら、そんな気はないといった顔をしていた。暗基は目に涙を残しながら、その様子を見て、本当に安心していた。そして、そんな生活をこの幻想郷に早く取り戻したいと改めて思った。
すると、また新たな声が飛んできた。
「何やってるの3人とも」
「そこの人って、男?」
暗基たち4人が声のしたほうを向くと、先ほどまで戦っていた2人が、本物となって立っていた。
「「「パチュリー様!! 妹様!!」」」
そして3人はパチュリー、フランのもとへと向かう。
「ご無事ですか?」
「えぇ、全然問題ないわ。フランも問題なさそうだし」
「フランは元気だよー。すごく疲れているけどね」
「まぁ、何はともあれよかったですよホントに。お帰りなさいませ!」
「あいさつを返したいところだけど、すごく疲れてただいまが言えないわね……。ごめんね美鈴」
申し訳なさそうな顔をしながらパチュリーは美鈴に言った。すると、小悪魔がパチュリーに近づいていった。
「パチュリー様…………!!!」
「な、なによ、感極まってるの?」
「だって、だって、パチュリー様は、私のご主人様です……。ご主人様が戻ってこられて、うれしくない使いの者がどこにいるというのですか……!!!」
「……、はいはい、おいで」
「すみません、お言葉に甘えて……!!」
そして、パチュリーが小悪魔に胸を貸した。そしてすぐに、小悪魔のすすり泣く声が聞こえてきた。その隣でフランがつまらなさそうな顔をしていたが、暗基の顔を見て、興味を持ったように話しかけてきた。
「ねぇねぇそこの人間ー」
「ん、おれか?」
「そうそう、あなたのこと」
お呼びがかかったので、暗基はフランのもとへと近づく。すると、フランが抱きついてきた。
「おっと、どうした?」
「うわ、壊れない。すごい……」
「あぁ、おれの能力だよ。すごいか?」
「うん、すごいよ。私、能力のせいで誰かに抱きつくとか、そういうのが出来なかったから……」
そうか。この子、人肌の温かさって知らないのか。それで、誰かに抱きついて確認っていうかそんな感じのことをして、いつもほかの人を壊してしまうから、おれに対してびっくりしているんだな……。そう思った暗基は、
「そっか。じゃあ、好きなだけ、おれに甘えろ」
フランの背中に手を添えた。すると、
「……、うん。ありがと……」
フランは顔を暗基の身体にうずめてきた。それになんともいえない気分を感じた暗基は、「にやけてはいないよなぁ……?」と思いながらフランを抱きしめていた。
そこに。
「あら、ずいぶんと楽しそうね」
「!!?」
突然入り口から聞こえてきた声。その声は、今まで出会ってきたものとは違う、威厳のある物だった。暗基以外は、驚いて入り口のほうを向くと、途端に目つきを変えて、怖い顔をしてそいつをにらむ。そして暗基はそいつを見て、やっぱりなと思いつつ、そいつに向かって言う。
「ようやくお出ましか。レミリア・スカーレット!」
声の主。それは、
紅魔館の主、レミリア・スカーレットだった。
後書き
更新が遅れてしまって、申し訳ありませんでした。
次回、暗基vsレミリアです。そして、更なる力に目覚めます。
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