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ダブルデート

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第四章


第四章

「けれどそれでも」
「わかるかな」
「全然」
「誰が誰だか」
 二人はこう返すのだった。
「一体全体」
「どうやって見分けるんだか」
「そうよね。お互い誰が誰かわからないから」
「そうすればいいのか」
「どっちとデートすればいいんだ」
 しかしだった。ここで和弥が呼んだ。
「美恵ちゃん」
「ええ」
 右側の娘が手をあげてきた。
「私が美恵よ」
「デートしようか」
「ええ、それじゃあ」
 その言葉に頷く美恵だった。そしてだ。
 直弥もだった。美喜を呼んだ。
「美喜ちゃん」
「はい」
 左側の娘が応えたのだった。
「行くのね」
「そうね。それじゃあね」
「デートしようか」
「ええ、今からね」
 こう話してだった。二組になった。こうして何はともあれデートをはじめるのだった。
 しかしだった。どちらもどちらもだ。全くわからないままだった。
 ふと手を離せばだ。お互いがわからなくなる。アクセサリーショップの中で買い物をした時だ。これは美恵と美喜の提案によるものだ。二人の趣味だ。
 和弥をだ。美喜が後ろから呼んできたのだ。
「ねえ、直弥君」
「えっ?」
 和弥がこう言って振り向いた時にだ。気付いたのだった。
「あれっ、違う」
「御免、間違えたわ」
 美喜は困った顔で和弥に謝った。
「直弥君と」
「そうよな。これは」
 お互いに言い合うのだった。
「どっちがどっちだか」
「わからないわよね」
「本当に」
 こう話してだった。まずは二人が間違えた。
 そしてである。今度はハンバーガーショップに入った。そこでだった。
 直弥がだ。注文していたハンバーガーとコーラを持って来て席に待っている美恵に言ってしまった。二組のカップルはそれぞれの席に二人ずつ座っている。そこでだった。
「美喜ちゃん、お待たせ」
「私美恵だから」
 こう返す美恵だった。見れば和弥が席にいなく彼女一人だ。美喜は隣のテーブルだった。
「間違えたのね」
「御免、間違えた」
「美喜はそっちよ」
 こう言うとだ。美恵の横で美喜が困った笑顔を見せていた。その笑顔でこう言うのだった。
「今度は私達ね」
「そうだな。わからないな」
 直弥はほとほと困り果てた顔になっていた。
「これじゃあどっちがどっちなんだか」
「本当にね」
 こんなデートだった。お互いにどちらがどちらかわからない。しかも一緒にデートをしているから尚更だ。その彼等を見る街の人達も言う。
「あれっ、あのカップル」
「そうよね。四人共ね」
「同じ顔が二組ずつって」
「鏡か!?」
「ドッペルゲンガー!?」
 こんな言葉まで出た。
 
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