第四真祖一家が異世界から来るそうですよ?
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YES!ウサギが呼びました!
第三話 「説明」
「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために
小一時間以上もかかるとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」
黒ウサギは半ば本気の涙を浮かべながらグッタリと落ち込んでいる。
「いいから、さっさと進めろ」
取りあえず、彼女の話を『聞くだけ聞こと』という事になり全員で黒ウサギの前の岸辺に座る。
黒ウサギは気を取り直したのか咳払いをし、両手を広げた。
「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ? いいですね?言いますよ?さあ、言います!ようこそ“箱庭の世界”へ!我々は皆様にギフトを与えられたものたちだが参加できる。『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召還いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「(召喚・・・・・・箱庭の“世界”ですか・・・・・・)」
「(空間転移ってわけじゃないって事か・・・・・・)」
「(おぉ~、って事は異世界だよ!異世界!)」
黒ウサギの言葉に、小声で囁き現状を把握し合う古城達をよそに、黒ウサギはどんどん話を進めていく。
黒ウサギの話しを纏めるとこうなる。
1『ギフト』とは様々な修羅神仏、悪魔、精霊、星から与えられた恩恵で特異な力を持っている。
2『ギフトゲーム』は『ギフト』を用いて競い合う為のゲームの事で、勝者はゲームの『主催者(ホスト)』が提示した商品(ギフトを含む様々な物の事)をゲットできる。ただし参加条件次第で自分の『ギフト』も失うこともある。
3箱庭で活動する以上は『コミュニティ』に必ず属す必要がある。
4『ギフトゲーム』はこの世界の法の様なものである。ただしギフトを用いた犯罪(強盗や窃盗などなど)は禁止で、それを行う不逞の輩は処罰される。
細かなルールもあるが、だいだいこんな内容である。
黒ウサギは一通りの説明を終えたと思ったのか、一枚の封書を取り出した。
「さて皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・・・・よろしいですか?」
黒ウサギが俺達に確認を取るように聞いて来る。
古城が元の世界について聞くか迷っていると雪菜が無言で首を横に振る。
「(雪菜?)」
そんな雪菜の反応に何かがあると感じた古城はそのまま、話を聞き続ける。
そして、十六夜が手を上げ。
「待てよ。まだ俺が質問してないぜ?」
その声は威圧的でいつもの軽薄な笑顔が無かった。
「・・・・どういった質問でしょう?ルールですか?それともゲームそのものですか?」
黒ウサギも十六夜の雰囲気を感じ取りやんわりと聞く。
「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ・・・・・・俺が聞きたいのは・・・・・・たった一つ。」
十六夜が目を細めて、全員を見まわし、天幕に覆われた都市を見上げる。
そして、何もかも見下すような視線で一言
「この世界は・・・・・・面白いか?」
十六夜の目は至極真面目だった。
『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』
手紙にはそう書いてあった。少なくとも十六夜は全てを捨てて箱庭に来た。
それに見合うだけの催し物はあるのか?それは、十六夜にとって最も重要なことだった。
十六夜の質問に黒ウサギはニッコリ笑いながら宣言する。
「YES!!『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯!!
箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
「それで、何か分かったのか?雪菜」
町に向かい移動している中で、古城は小声で雪菜に先ほどの事を聞いてみる。
「彼女は私達に、何か隠し事をしています」
「隠し事?」
「はい、相手が何かしら隠している以上、迂闊に話を聞くのは危険です」
「そうか・・・・・・、なら、それが分かるまでは元の世界に付いての話しは聞かない方がいいな」
「はい、そうした方が良いと思います・・・・・・零菜もそのつもりでいて下さい」
「うん、分かった」
そんな警戒をしながら古城達は町を目指す。
後書き
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