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第四真祖一家が異世界から来るそうですよ?

作者:黒螺
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YES!ウサギが呼びました!
  第二話 「箱庭」

「うぉーーーーーーーーー!?」

「きゃーーーーーーーーーーーっ!!!!」

「えぇーーーーーーーーー!?!?」


上空4000mから落下中の古城達の眼下には見た事のない風景は広がっていた。

視線の先に広がる地平線や断崖絶壁に巨大な天幕に覆われた都が見えた。

「空間転移なのかっ?!」

いきなり上空4000mに放り出された事から、空間制御の魔術を疑う古城だがそれより先に気に掛けるべきはこの状況が雪菜の苦手としている高所であるという事だった。

「~~~~~~っ!!!!」

雪菜は古城に抱きついたままの腕を離さまいとより力を込めている。

「こ、古城君、これどうするの~~~っ?」

背中からは零菜が声を上げるが雪菜に比べまだある程度、余裕のある様である。

「そうは言ってもな・・・・・・」

現状、身動きの取れずどうした物かと考えながら古城達は、そのまま落下地点に用意されたと思われる湖に勢い良く着水する事となった。


「はぁはぁっ・・・・・・」

湖からから上がり息も絶え絶えな状態でグッタリしている雪菜。

「あ~大丈夫か?雪菜?」

「ママ、大丈夫?」

そんな状態を見て心配する古城と零菜に何とか返事をする雪菜。

「はぁはぁ・・・・・・はい、何とか・・・・・」

なんとか息を整え、立ち上がり辺りを警戒し始める。

「いったい、ここはどこなのでしょう?」

「少なくとも、うちの島ではないよな。」

「ん~どこだろ??」

周囲を見ながら内心、また何かしらの厄介事に巻き込まれたと、溜息を吐く古城。

少し離れた所には自分達と同じ様に湖から這い上がる、三人と一匹の姿があった。



「し、信じられないわ! まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

「..........。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう。身勝手なのね?」

ロングヘアーの少女とヘッドホンに学ランの少年はフン、と互いに鼻を鳴らし、その隣で猫と一緒にいる少女が服の端を絞りながら。

「此処.........どこだろう?」

「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前たちのも変な手紙が?」

「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女とそちらの三人は?」

「.......春日部耀。以下同文」

「俺は古城、 暁古城だ」

「暁 雪菜です」

「わたしは、暁 零菜」

黒髪ロングの娘、ショートカットの娘、古城達と自己紹介が続く。

「そう。よろしく春日部さん、暁さんは・・・・・・三人いるから古城さん、雪菜さん、零菜さんでいいかしら? それで、最後に野蛮で凶悪そうなそこの貴方は?」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶悪な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれよお嬢様」

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

心からケラケラと笑う逆廻十六夜。

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

我関せず無関心を装う春日部耀。

雪霞狼を携え周囲を警戒する雪菜。

どうしたものかと溜息を付く古城。

見慣れない森を嬉々と見渡す零菜。



そんな彼らを物陰から見ていた影があった。

名を黒ウサギという彼女は、とある事情で彼らを召還した張本人なのだが、

(うわぁ・・・・・・なんか問題児ばっかりみたいですねえ・・・・・・というかですね人数が多くありませんか??御呼びしたのはたしか四人だったはずですが・・・・・・?う~~~~~ん???)

召還したはずの当初の人数より人が多い事に戸惑うが・・・・・・会話を聞いている限り、彼ら全員が協力する姿は、客観的にあまり想像できそうにない。

黒ウサギは陰鬱そうにため息をついた。


「それで?、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

「・・・・・・。この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思うけど」

「そういう春日部もな」

(全くです)

黒ウサギはこっそりツッコミを入れた。

もっとパニックになってくれれば飛び出しやすいのだが、場が落ち着きすぎているので出るタイミン
グを計れないでいた。

そのとき、ふと十六夜がため息交じりに呟いた。

「仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」

隠れていた黒ウサギは気ずかれたに驚いた。

「なんだ、あなたも気づいていたの?」

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの四人も気づいてたんだろ?」

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

「そうですね、気配を消せていませんから見つけるのは割と簡単でした」

「まぁ、なんとなくな」

「あれで隠れてるつもりだったんだ」

「・・・・・・へぇ? 面白いなお前ら」

軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない、理不尽な召集を受けた六人は腹いせに殺気の籠もった冷ややかな視線を出てきた黒ウサギに向ける。

「や、やだなあ皆様方。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたらうれしいでございますヨ?」


「断る」

「却下」

「お断りします」

「・・・・・・」

「獣人か??」

「おぉ~古城君、バニーガールだよ!!バニーガール!!」

「あっは、取りつくシマもないですね♪」

バンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ。

しかし、その目は冷静に六人を値踏みしていた。

と、耀が不思議そうに黒ウサギの隣に立ち、黒いウサ耳を根っこから鷲掴み、

「えい」

「フギャ!」

力いっぱい引っ張った。

「ちょ、ちょっとお待ちを!まさか初対面でいきなり遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「自由にも程があります!」

「へえ? このウサ耳って本物なのか?」

今度は十六夜が右から掴む。

「じゃあ私も」

飛鳥は左から。

「ちょ、ちょっと待―――」

そう言って黒ウサギは視線で助けを古城達にうったえるが、零菜はウサ耳を触りたそうにこちらを見ていたり、雪菜は銀色の槍を持ちながらこちらの様子をうかがい、そんな二人を苦笑しながら見ている古城というありさまで、黒ウサギは助けにならないと悟る。


そして黒ウサギの言葉にならない悲鳴が空まで響きわたった。
 
 

 
後書き
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