DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
最終話:納得の結末
前書き
丁度200話
(グランバニア)
ビアンカSIDE
「リュカ……そう言えば、貴方のお父上はホイミを唱えられましたねぇ。しかも大怪我でさえ完治させられるほどのホイミを」
「さて……古い事なので忘れてしまいましたなぁ」
外方を向いて惚けるリュカ……
でも私は忘れません。
パパスお義父様がホイミを使ってた事も、そのホイミの回復力が強力な事も。
そしてパパスお義父様とライアンが似てた事も! ホイミンのホイミが強力だった事も!!
「あぁ私とした事が言い忘れてました。ライアンとホイミンの子孫が作った国の名前を……聞きたいですか?」
「べ、別に……きょ、興味ないし……僕、ライアンに興味ないし!」
両耳を塞ぎ俯くリュカは、滅多に見れない情けない姿だ。
「リュカの巨乳好きは遺伝ですかねぇ? そう言えばマーサも大きいですよねぇ。どうなんですか、ライアンとホイミンの御子孫さん?」
凄いわね。リュカが過去に行かなきゃ、今の世界は存在しなかったのね……
ロザリーやデスピーを助け子孫を残させなければ……
ライアンとホイミンを面白半分で交わらせ、しかも国を追い出させなければ……
リュカは存在しなかったかもしれない。
ラインハットも……テルパドールも……ルドマンさんやシスター・フレアも全部リュカが関係してるのね!
今を構成してる殆どの事にリュカの遺伝子が関係してるなんて……恐ろしい反面、すっごい面白いわ!
こんな面白い話を聞けるなんて……
「プサンさん。今回は面白い話を聞けたし、お説教は免除致しますわ。ですが今後リュカを勝手に巻き込む事は許しませんよ!」
「本当ですかビアンカ? あぁ良かった、何百年と語りたかった出来事ですからね……喜んでもらえて幸いです」
「喜んでねーよコノヤロー!」
「そりゃリュカはそうでしょう。なんせ自業自得なんですからね。ですが貴方の奥方は大層喜んでくれましたよ。夫婦間に溝でもあるんですか?」
「ヒゲ、お前ぶっ殺すぞ!」
「まあまあリュカ……落ち着いて。私はこの世界がリュカのお陰で成り立ってる気がして嬉しいわ。何を見てもリュカの事を感じられそうで、私はとても誇らしいわ」
「……ビアンカがそう言うのなら」
リュカは大分納得してない様子だが、私が笑顔で腕に抱き付き諭すと渋々文句を言うのを止めた。
そんな彼を見てヒゲメガネはホッと胸をなで下ろす。
「あ、そうだ……シンとシンシアはどうした? あのガキの事だから、どっかの盗人に騙されてんじゃねーのか」
有り得るわねぇ……
彼ってば頼りない部分があるからねぇ~……
「ご安心下さい。彼女がしっかりしてるのでトラブルに見舞われる事なく生涯を終えました。故郷の山奥で樵を生業として夫婦仲良く暮らしましたよ」
「ちっ、つまらん。あのガキに、あんな美女は勿体ないんだよ……ビアンカ似の絶世の美女なんてさぁ!」
「へぇ~……そんなに母さんとソックリだったんですか?」
「何だ……マザコンボーイはママにソックリな血の繋がらない美女に興味津々か?」
突然興味を持ったティミーに、父親が意地悪く問いかける。でも……先祖なんだから、血は繋がってるのよね? かなり薄まってるでしょうけど、繋がりはあるのよね?
「美人に興味が無いと言えば嘘になります。ですが今回僕が興味を持ってるのは、父さんの態度ですよ。母さんソックリな美女だったんでしょ? もしかして貴方の奥方も、ラインハットやテルパドールの様に血の繋がりがあるんじゃないですか? 人には散々『近親相姦はダメ! 血の繋がった者同士はダメ!!』と言ってたのに、ヤリまくってた訳ですから……大丈夫なんですか?」
「うっさい馬鹿! フレアさんやピエール等は知らなかったんだから不可抗力だ! それにシンシアには手を出してない……特定の相手が居る女性には手を出さないのが僕のルールだ!」
「なるほど……確かに父さんのルールではそうですね。ですが知らなきゃ手を出すでしょ! 本当に手を出してないんですか?」
「ねーつってんだろ! シンシアと初対面する前から、シンの彼女だと……ビアンカ似の他人の女と聞いてたんだから、僕は自分のルールに従った!」
「本当ですかぁ~? 母さんのフリして迫ってきた彼女とシちゃったんじゃないですかぁ~?」
「ティミーさん、それは絶対に無いですよ」
「何でさウルフ君!? ムカつくがこのオッサンの魅力は絶大だ……特に女性を発情させるオーラに関しては、魔王の放つ邪悪な呪いレベルで強烈だぞ」
私の息子は父親の事を褒めてるの……貶してるの?
「大丈夫なんだって。なんせシンシアさんはティミーさんの彼女……アルルの様な真面目女だから。彼氏を困らせるクソ野郎に迫るわけがない! 冒険中もリュカさんに対し『テメーも少しは戦えよボケ』オーラを出してたからね。多分アルルと気が合うと思うよ」
「ふ~ん……ちょっとつまんないな。もっとこの男を困らせれば良いのに……」
「何この息子……ムカつくんですけど! ぶっ飛ばしても良いですか? それってDVですかぁ?」
頬を膨らませ外方を向くリュカに周囲から爆笑が巻き起こる。
「でも~……お父さんの魅力に気付かないなんて、馬鹿な女ですよね」
実の父親を愛して止まない馬鹿な女代表が、空になったワインボトルを弄びながら呟く。
やっぱり酔ってるのかしら?
「リュリュ……お前酔ってるだろ! ベッド貸してやっから、少し寝て酔いを覚ませ」
「まぁお父様! それは“血縁とヤっちゃってたし、近親相姦解禁”って事で、私の処女を貰ってくれる気になったのかしら?」
「何言ってるのこの娘ぇ~……ねぇ誰か助けてよ!」
「そうだよリュリュ、何を言ってるんだ!?」
出た、プロのツッコミニスト本領発揮かしら(笑)
「近親相姦解禁になるのなら、昔から思いを寄せていた僕が先だろ! アルルを交えた3Pだったら、処女にも分かり易くレクチャーしながら出来るぞ! どうだい僕等の部屋で……」
わぁ~……ティミーが下品なボケをかました!
「か、解禁してねーよ! お前『アルル一筋♥』て騒いでるクセに、やっぱりリュリュに未練タラタラなのか!?」
「そりゃそうですよ! 相手はリュリュですからね……未練タラタラです。それにリュカ家の男子としては、複数の女性を相手に出来ないと失格みたいですからね……ねぇウルフ君(笑) まさか君がリューノに手を出すとは思わなかったよ」
「違う……どっちも俺が手を出されたんだ!」
「どういう事ウルフ……自分は被害者だって言いたいのかしら?」
「リューノさん……男なんてそんなもんよ。何時だって自分の都合だけなんだから! 穴が開いてりゃなんでも良かったって事なのよ」
「あ、ちょ……ち、違うって! そう言う意味じゃなくて……やだなぁ二人とも。マリーもリューノの事も愛してるよぉ……本当だよぉ」
いや~我が息子も成長したわねぇ。この師弟を困らせるなんて……格好いいじゃないのよ!
「さて……何やら忙しそうなので私はそろそろお暇させてもらいますよ」
「あ、待てヒゲメガネ! テメー……人様の家庭を滅茶苦茶にしておきながら逃げるのか!? 無責任だぞコノヤロー、それでも神か!?」
「無責任とは心外な……全部リュカが蒔いた種でしょう。言葉の通り種を蒔き散らかした結果でしょう」
「お前が僕を過去に召喚しなければ、こんな事にはならなかったんだよ!」
「貴方が種を蒔き散らかすから、世界を構成させる為に過去へ送らなきゃならなくなったんでしょう! 過去で女性と関係を持たなければ、未来が狂う事もなかったんです! 自業自得ですよ」
「違う! 僕の性格は知ってるだろ。過去に送ったらどうなるのか……世界のバランスはどうなっちゃうのかって!」
水掛け論だわ。誰かが止めないと……
私は周囲を見渡し彼等を止められる人物を探す。
しかし……ウルフ君は二人の彼女に責められ余裕がない。
ティミーは……リュリュを口説こうとしてアルルちゃんに叱られてる。
こういう時はオジロンよね。
そう思い視線を向けると……あれ、居ない?
さっきまで居たのに逃げられたわ!
先程ティミーが格好良くなったって思ったけど、やっぱり真面目君は真面目じゃなきゃ物事が滞るのね……
撤回するわ、さっきの感想を!
でも……
この騒がしさも我が家独特で楽しいわ。
ビアンカSIDE END
(サンタローズ)
誰もが寝静まる深夜。
サンタローズにあるパパスの墓前に、グランバニアの現国王が訪れていた。
墓前に胡座で座り、何やら感慨深そうに墓石を見詰める。
「あのライアンが父さんの先祖だとはねぇ……だったらもっと優しくしてやれば良かったかな? 父さん、どう思う?」
勿論誰も応えない。だが彼には問題なかった……墓の主が何と応えるのか解ってるから。
「そうだね……奴の事より、他の事が問題だね。はぁ~……遊びすぎたのかなぁ? もう若くないんだし控えた方が良いのかもしれないね。つーか父さんが生きてたら、現状で激怒してるんだろなぁ……真面目だから(笑)」
自嘲気味に笑いながら墓石と会話する。
そして彼は立ち上がると、
「夜分に悪かったね父さん。じゃぁ僕は帰るよ……ベッドでは美人妻が待ってるから(笑)」
そう告げルーラの魔法を唱える。
満天の星空に彼の……リュカの姿が消えて行く。
これからもトラブルに見舞われ……そしてトラブルを撒き散らす事だろう。
それがリュカという男だから。
DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3) 完結
後書き
リュカ伝3完結です。
はっちゃけすぎた人生を少し後悔するリュカ。
今後の人生は大人しく生きるのか?
でも、あのリュカがねぇ……
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