DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第20話:世界の主要素たる男
前書き
ラインハット王国の秘密が明らかになります(笑)
(グランバニア)
ビアンカSIDE
(ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……)
「っぷはぁ~!!」
私達の注目を一手に引きつけ、ワインのボトルを1本丸々飲み干す娘。
「わぁ美味しい。お酒ってこんなに美味しいんですね♥」
私もそれ程お酒は強くない。そして娘のマリーも酒乱だ。
リュカも好きじゃないし、愛人達もそれに倣って飲もうとしない。
だから一応に娘達は酒に弱いと思っていたのだが、どうにもこの娘だけは違う様だ。
そう言えば、リュリュの母親のフレアさんは強かったわね。
私達の結婚式では、泥酔してしまったピエールよりも飲んでいたはずだが、顔色一つ変えず何時もと同じだった。
リュカは素面と思ってたらしいが、実際は強烈な酒豪なのだ。
その娘だし、もしかしたら……
「あ、もう一本飲んじゃっても良いですか?」
何時もと変わらない顔色で可愛らしく2本目のワインを手にするリュリュ。
うん、酒豪親娘だ。紛う事なき酒豪な親娘だ!
「あぁ……高級ワインが……私も飲みたかったのに……」
ウルフ君に手を握られてるマリーが、みるみる無くなって行くワインを恨めしそうに眺め呟いた。
リュリュが3本目に手を伸ばすのを見詰め、ウルフ君が安心した様にマリーの手を離す。
しかし3本目も軽く空けるリュリュを見て、残念そうな表情をしたのは何故だろう?
「リュ、リュリュ……お、美味しかったかい……?」
「はいお父さん! ヒゲメガネさんありがとうございました。またご馳走して下さい、お母さんにも飲ませてあげたいので」
「じゃ、じゃぁ3本全部飲み干すなよ」
「あ、そっか! 1本はお母さんに持って帰れば良かったですね。流石ティミー君はよく気付くぅ!」
あら……やっぱり酔ってるのかしら? それとも唯の……
「さ、さて……持ってきたお詫びの品も堪能してもらいましたし、リュカ達が立ち去った後の出来事を、お土産話として語りましょう」
「別に良いよ、興味ないから」
「そんな事言わないで下さいよ! 私はこれを話すのが楽しみで、長い年月を過ごしてきたんですからね」
「知らねーよ、お前の生き甲斐なんて」
リュカらしいと言えばそれまでなんだけど……
「リュカ……私はロザリー達がどうなったのか知りたいわ。ヒゲメガネの話を聞いてあげましょうよ……どうせその後は今回の件のお説教なんですから……ね」
「や、やっぱりお説教は免れませんか?」
当然である。
「ビアンカが聞きたいというのなら……」
ビアンカSIDE END
(グランバニア)
マリーSIDE
「では先ずデスピサロ達の事から話しましょうか」
ヒゲメガネが生き生きとした表情で、私達が居なくなった後の歴史を話し出す。
何がそんなに楽しみなんだ?
「リュカも仰ってましたが、デスピサロとロザリーは貴方の先祖です。もっと詳しく言うとマーサの先祖になりますね」
ふ~ん……お父さんの言ってた事は正しかったんだ。
凄いわね、あれだけの情報で推測し的中させるなんて。
「もう一人の人物……そうピサロナイトことラピスですが、彼女はそこにおりますピエールの先祖です」
「だろうね……ソックリだったもん」
解ってるのかこの男……誰とラピスの子供が子孫に繋がってるのかって事を!?
「リュカ……彼女は貴方と別れた時点で、ささやかな命を身に宿してたんですよ。別れた時はまだ着床したばかりだったらしく、貴方でも気付かない状態でしたが」
「……ん? それって……ん?? ちょっと解らないな……このヒゲ、何を言ってるの!? 気持ち悪い笑顔を振りまいて何を言っちゃってるのぉ!!」
あれほど察しの良い男が、これ程明確の事実を理解できないわけない。
「要するに、あの後ラピスは娘さんを出産したんですよ。しかも生涯に交わった事のある男性は一人だけという事実付です!」
「う、嘘だ。あれほどの美人を他の男が放っておくわけない! 何よりラピスはデスピーに惚れてたじゃんか!?」
「他の男が放っておかなくても、他の男を放っておく事は出来るんです。それにデスピサロは貴方と違って真面目……不器用ですからねぇ。愛する女性を複数存在させる事が出来なかったんですよ。従って彼女はピエールの先祖になりました……と(笑)」
私の母親もそうじゃん。絶世の美女なのに、他の男に興味が沸かなくなったって……
ちょっとは罪悪感を感じてほしいわね。
「まだまだ居りますよ。リュカの子を宿した女性は……」
「ふ、ふざけるなよ……パメラさんだったら既に知ってるぞ!」
あぁサランの町に住むシスターの事か。
「そう言えばそうでしたね。彼女の懐妊は報告済みでした。しかし……その子孫が誰なのかは知らないでしょう(笑)」
そりゃそうだ。
「ヤメロ、聞きたくない!」
いや、私は聞きたい。
「いいえ聞いてもらいますよリュカ。なんせ貴方は自分の子孫に手を出してるですからね! リュリュさんのお母さんは貴方とシスター・パメラとの間に出来た娘さんの子孫なんですよ」
キターーーー!!
「マジでか!? 道理でいい女だと思ったんだよ……でも何世代も前の話だし、近親相姦じゃないモン! 全然近親じゃないモン」
そう言う問題か?
「まぁそういう事にしておきましょうか……さて、他に貴方の子を孕んだのは」
「まだ居るんかい!?」
「居るに決まってるでしょう……貴方は自分のしてきた事を理解してないんですか? あれだけミネアと交わってれば、子供の一人くらい身籠もりますよ」
「ミネアとマーニャか……そりゃ回数的には一番多かったもんなぁ」
「そうですね……でもミネアだけですよ。マーニャは運が良いのか悪いのか、生涯妊娠しませんでした……と言うより、リュカ以外との男性とは関係を持たなかっただけですけどね。関係を持たなかったという意味では、ミネアも同じです。モテる男は辛いですねぇリュカ(笑)」
「嫌味はヤメロこの野郎」
「プサンさん、ガーデンブルグの女王様は妊娠しなかったんですか!?」
「ウルフは良い所に気付きますね」
ジト目でヒゲメガネを睨むお父さんを尻目に、嬉しそうにウルフが問いかける。
「勿論アルテミアもリュカの娘を産みましたよ。そしてリュカの血筋は彼の国を統治して行きます。しかしガーデンブルグ自体は滅亡してしまいます」
「そうか……それは残念だなぁ」
自分の血縁が不幸になるのは嫌なのだろう、何となく寂しそうだ。
「ですがご安心下さい。リュカの血筋は健在で、在る貴族の家に嫁ぎます。そして彼の地に国家を再建するのです……その貴族家の名は“ラインハット公爵”」
「ラ、ライン……!?」
わぁお……凄い物が見れた。
まさか絶句するお父さんを見る事が出来るなんて!
「も、もうヤメロー! そ、そうだ……アリーナとクリフトはどうなったんだ?」
無理矢理話を変えやがった。
残念ながらアリーナ姫には手を出してない……とは言え、あの二人がどうなったのかは気になるわね。
「はい。お二人は結婚し出産しました。しかも3人もです……男児を2人産み、最後に女児を1人です」
「そうかぁ~、いやぁ~良かったなぁ! 友達として凄く嬉しいよ!」
ちっ……自分が絡まないからって、調子の良い事を。
「因みに長男は問題なく跡取りとして育ちましたが、次男は母親の血を多く引いたらしく、武者修行の旅に出ました」
「あははははっ、アリーナの子供らしいなぁ」
「笑い事じゃ在りませんよリュカ」
ヒゲメガネが悪魔の様な顔で笑いかける。神様なのに……
「な、何だよぉ~……脅かすなよぉ~……」
「サントハイムの第二王子は年頃になり腕試しの旅に出て、旅先で運命的出会いをします。モンバーバラで占い師をしていた少女と出会い、そして恋に落ちます」
「ふざけんなコラ! お前作ったろ……その話、今作ったんだろ!?」
「ふざけても作ってもおりません。父親は居ないが、優しい双子の母親に育てられた娘は、両親が知己である事もありスンナリ結ばれました。目出度いですねぇ」
うん。ヒゲメガネが話がったわけが解るわぁ~(笑)
「なお、この二人はモンバーバラ付近にマイホームを構え、数年で新たな国家を築きます。王族としての教育を受けてきた夫と、未来を見通す力を持った妻だからこそ、短期間に力を付ける事が出来たんですね。あぁちなみに、その国は今で言う“テルパドール”です」
「……!!」
本日二度目の絶句(笑)
つー事はですよ、お父さんが苦手としてるアイシス様は、自分の子孫だと言う事かしらん?
「あぁそうだ……サントハイムの末娘ですが、トルネコの息子のポポロと結ばれました。まぁ父親のトルネコが、彼を連れて足繁く通いましたからねぇ……狙ってたんでしょう」
「そ、それは……良かったね……僕……関係……あるの……?」
もう怖いのだろう……恐る恐る聞くパパ(笑)
「いえ、血筋的のはありません。ですが後のルドマンの先祖ですからね。お知らせしておこうと思いまして」
「あ、くそ! あの饅頭デブぶっ殺しておけば良かった。そうすれば面倒事を押し付ける輩が一人減ったのに!」
凄ーなトルネコ……サントハイム王家と結び付きを強めて、大商人になるなんて。
「そうそう……リュカの所為でバドランドを出て行く羽目になった二人ですが……」
あれ? ヒゲメガネから話してくるって事は、あの二人もお父さんに絡んでくるのかしら? でも……ホイミンには手を出してないわよねぇ? 密かに手出してたのか!?
「そうだよ、ライアンの事を話せよな! どうなったの? どこかで細々と野垂れ死んだの? それとも、平和な世界じゃライアンの剣の腕前は役に立たず、それ以外に取り柄のないアイツは嫁に体を売らせてヒモ生活を送ったの?」
なんつー酷い事を期待してんだコイツ。
自分がやらかした事実から逃避したくて、誰かを不幸にしようとしてるわ。
「そうですね……最初は細々と暮らしてたんです。バドランドを出てソレッタ地方の未開の地で細々と……しかしリュカも仰いましたが、ライアンは類い希なるカリスマの持ち主。本人も貴方に言われ気付いたらしく、直ぐ周囲には人々が集まり小さな集落へと変化しました。そしてその集落は彼の子孫が代々長を勤め、次第に大きく……そう国家へと変わっていったのです。貴方のアドバイスのお陰で、有能な人間が優良な国家を造ったんですよ」
おおっと~……やな感じビンビンじゃん。
国の名前、聞いちゃダメかな?
チラッとお父さんに目で問いかけるが……
『何も言うな!』と目で怒鳴ります。
でもきっと……でもきっとぉぉぉ!!
マリーSIDE END
後書き
次回最終話。
遂にリュカ伝3も完結します。
1年半の長丁場にお付き合いいただきありがとうございます。
思い描いてた事を概ね書けたと満足しております。
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