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101番目の哿物語

作者:コバトン
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第0章 プロローグ
  プロローグ2。都市伝説⁉︎

呪われてる人形に追いかけ回されたことってあるか?
そんな奴はいない?
まぁ、そうかもな。
だったらメリーズ・ドールの都市伝説って知ってるか?

知らない奴の為に簡単に説明すると……

ある日、知らない番号から電話がかかってきて、その電話に出たら、最期。

メリーさん、と名乗る『呪いの人形』に追いかけ回されるんだ。

どこに逃げても、携帯や電話を捨てても、電源を切っても近くに電話があれば延々とかかってきちまうんだ。


……まぁ、ホラー映画とか、ホラー小説の展開とかだったらいい導入かもな。

主人公は、ひたすら逃げ回って、自宅とかの室内に逃げ篭り、あらゆる出入り口を閉じて身を護ろうとするんだ。
だけど、電話の相手は止まらない。
ゆっくり、じっくり、と相手を追い詰め、電話で自身の居場所を知らせてから最期にこう告げるんだ。


『もしもし、私よ。今、貴方の後ろにいるの……』ってな……。





何でこんな話をするのかって?
それは、な……俺、遠山金次。
この世界では一文字疾風として生きている俺が、その都市伝説に遭遇しちまったからだ。

あれは、この世界に来た日。
一文字疾風に憑依した日の出来事だった。
俺の運命は、とある白い少女との出会いによって大きく変わっちまった。
武偵高生時代に、アリアとの出会いで俺の人生が変わったように……。


『8番目のセカイ』、『実際にあった都市伝説』を集めたサイトにアクセスしてしまったことにより、俺の日常は粉々に砕かれ、揉まれ、一から新しい日常を作るはめになった。

『Dフォン』でのみ繋がる『8番目のセカイ』。
その『案内人』の彼女や『月隠れのメリーズ・ドール』、『魔女喰いの魔女』、『神隠し』、彼女達との出会いによって、俺の人生はまたまた大きく変わってしまったのだ。






















俺がこの世界で出会った奴の中でも、特に印象に残ってるのはアイツとの出会いだ。
アイツとの出会いは突然だった。
俺が俺、遠山金次として覚醒した次の日。

西暦2010年5月11日。

某県。夜霞市。

午後17時30分。








「ハァ……ハァ……ハァッ!
くそっ、まだ追ってきやがる……」

正直な話、何が起きているのかさっぱりわからないまま、俺は走り続けていた。
説明をしようにも今俺が駆け抜けているこの街には、人という人がこぞっていなくなっている。
こんなにも街中を走り回っているのに、登下校に使う心臓破りの坂も、人で賑わう商店街の通りも、そして見慣れた住宅街の公園前でも。
誰ともすれ違わないばかりか、車の音すら聞こえないんだ。
まるで、世界にただ一人俺だけ取り残されたかの、ように……。
何らかの映画とかでこんな状況を見た事がある。
主人公を、誰かを頼る事が出来ない状況に起き、ゆっくりと視聴者を恐怖させる演出。
もし、この状況を作り出している監督や演出家がいるのなら、大成功だ。
超常現象に巻き込まれやすい、ある程度はそんなことに慣れている俺でも、この状況は勘弁してほしい。
いろんな事を反省しているし、助けてほしいとも思っている。
後悔もしている。
ああ、こんなことならあの子から、あの携帯を受け取るんじゃなかった、とか。そもそも一人で覇美の、鬼の一味に挑むんじゃなかった、とかな。
今となってはどうしようもない出来事が、走り続ける俺の頭の中でぐるぐると回転しては、心をマイナス方面に落としていく。
何故なんだ、いったい。どうして俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ。
こんな状況を作り出した奴がいるなら出てこい、今すぐに。
そんな怒りと恐怖が混じった想いを胸に抱いても、一向に事態は良くはならない。

「ハァ……ハァ……ハァッ!」

走り続けて、そろそろ二十分は経過しているだろう。
俺は住宅街にある公園を突っ切って、大通りに出た。
いつもなら車の通行が激しい通りだが、今は、予想通り、車は1台も走ってないし、人の姿もまるでないゴーストタウンになっていた。
いよいよ本格的に為す術もなくなってきた、と思ったその時。
俺の、制服の胸ポケットに入れていた。最近、学校の正門前で『ヤシロ』と名乗る少女から貰った黒い携帯端末機が鳴りだした。

ピピピピピピピピッ

「くそッ!」

どんなに逃げても、どんなに走っても、この無機質な電気音は定期的に鳴り響く。

制服の胸ポケットに手を突っ込み、ハンカチに包んだ黒い携帯電話を取り出した。
それは布地越しにも解るくらい熱を発していて、不気味なモノの接近を告げるかのよつに、うっすらと赤く光っていた。

俺が昨日、ヤシロと名乗る少女(幼女)から受け取った携帯電話。(ガラケー)
何故か、同じ端末を二台渡されたがどちらも同じ機種で触った感じ、まったく同じで素人目からでは区別はつかなかった。
『Dフォン』と呼ばれるこの端末は、着信を告げる電子音と共に赤い点滅を繰り返している。
プツッ、と電話が勝手に繋がると、そこから、悪夢のような声が再生された。

『もしもし、私よ。今、公園にいるの。……どこに逃げてもムダよ……』

そしてプツッ、と一方的に切られる。
同時に、俺の後ろからはコツ、コツ、と地面を歩く足音が聞こえてきた。
本日、何度も起きてるこの現象に、俺は霹靂としていた。
正直勘弁してほしい。こちとら、元武偵とはいえ、今は一般人なただの小市民なんだから。
こんな出来事の当事者になるなんて夢にも思っていなかった。
ちょっと怖い話好きなら、一度くらいは耳にしたがあるかもしれないオカルト。
いわゆる都市伝説と呼ばれる噂話。
俺もこの『電話で追いかけてくる何者か』の話は知っていたが、まさか自分が体験することになるとは思っていなかった。

(まるで探偵科で上級生に尾行されてる気分だ……。)

一体何が目的なんだ、そもそも、俺なんか追いかけてきてどうするつもりだ?
足音は止むことなく、俺が歩く、あるいは走る速度とまったく同じ速度でついてくる。


「くそっ、なんだってこんな事に!」

肺に残っていた空気を吐き出しながら走り続けた。
俺がどんなに走っても、走っても、走っても。
背後から聞こえる『コツ、コツ』という足音は消えることはない。
むしろ、気を緩めればどんどん近づいているようにさえ響いてくる。
そう、俺がこんなことにあっている理由____ならいくつか心あたりがあった。

その始まりは昨日、キリカとの、朝のトークタイムからだ。











サイド???


俺がこの世界にやって来たのはただの偶然だったのだろうか?
今になっても、何故あんな出来事に巻き込まれたのかはよくわかっていない。
本当に、あんな方法でよかったのかと、悔いを残すことだってあった。
だけどたまに、こう思う。

全ては『運命』によって、そうなったんだ、と。



運命に導かれたかのように。
運命から身を護る為に。
そして、運命を変える為に……。
 
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