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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第六幕その五

「揉めたくはない」
「平和にですね」
「わしはそうありたい」
「僕達もだよ」
「やっぱりね」
 ここで他の狸さん達も言うのでした。
「怖い相手は嫌だよ」
「ヤクザ屋さんは人間だけで充分だよ」
「人間のヤクザ屋さんだって嫌なのに」
「まして外国のマフィア?」
「あの人達なんてね」
 この人達はどうかといいますと。
「日本のヤクザ屋さんよりもね」
「そうそう、怖いよね」
「日本の人達なんかまだ甘いよ」
「何か決定的にやばいものがあるね」
「イタリアとかアメリカから来た相手は」
「中国からのマフィアもね」
「そうなんですよね」 
 狸さん達のお話を聞いてまた言う先生でした。
「どうも日本のヤクザ屋さんはまだ大人しいですね」
「ならず者達の中ではじゃな」
「はい、他の国のマフィアは」
「日本のものよりも遥かにじゃな」
「やることが酷いですね」
「日本のならず者はまだまだ大人しいのじゃな」
「文化的な違いでしょうか」
 ならず者と呼ばれている人達の大人しさも、というのです。
「そうしたことも」
「そうなるか」
「はい、イタリアのマフィアは元々山賊か自警団とか密輸組織がなったと言われています」
「テキ屋や賭場からではないのじゃな」
 長老さんは日本のヤクザ屋さんのはじまりから言いました、日本ではヤクザ屋さんはそうした人達からはじまっているのです。
「人足集めでも」
「はい、そうした人達とはです」
「マフィアは違うのじゃな」
「山賊を警察にしたこともはじまりと言われています」
「何じゃ、ならず者を警察にしたのか」
「はい、シチリアでは」
「それはまずいじゃろう」
 長老さんはそのことを聞いて顔を顰めさせました。
「山賊なりそんな連中はな」
「はい、警官にしてはですね」
「絶対にならん」
 こう言うのでした。
「よくそんなことをしたものじゃ」
「毒をもってということでしょう」
「岡っ引きだの目あかしだのもそうじゃったが」
 結構こうした人達もならず者だったのです。
「しかしそれはならん」
「日本はそこはしっかりしていますね」
「遥かによいな」
「はい、とにかくです」
「そうした連中が向こうのヤクザ屋さんのはじまりか」
「そうなのです」
「そんな連中とはな」 
 絶対にと言う長老さんでした。
「道理でまずい筈じゃ」
「それがマフィアです」
「山賊なり密売組織なりか」
「それがはじまりですか」
「日本より悪質じゃな」
「テキ屋さんや賭場の人達とはまた違います」
 そうだというのです、先生も。
「日本とは」
「ではあのカワウソさん達も」
「いえいえ、まずはです」
「あの人達からもか」
「お話を聞こうと」
 そう考えているというのです。
「お昼にお話した通り」
「お互いの話を聞いてな」
「先生が自分で言っておるままじゃな」
「はい、そうです」
 だからだというのでした。 
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