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女らしくある

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第一章

             女らしくある
 又吉杏はよく女の子らしくないと言われている、とりあえず外見は問題ない。
 黒髪をショートにしていて眉の形は整っている。目は綺麗でにこりとした感じの二重の目だ。唇はピンク色で少し大きめ、厚さはあまりない。そこから白い綺麗な歯が真珠の輝きを見せている。鼻の形は普通の高さで少し横にある感じだ。頬はすっきりとしていてそこも女の子らしい。
 背は一五九程で胸はあまりない感じだが健康的なスタイルをしている。制服から見える脚は黒ストッキングで覆っていて整ったものである。
 部活は空手部、趣味はカラオケだ。その彼女にだ。
 クラスメイト達はその彼女の趣味であるカラオケに一緒に行ってだ、そこで丁渡一曲歌い終えた彼女に言うのだった。
「杏の趣味ってねえ」
「そうそう、いつも思うけれどね」
「歌う歌だってそうだし」
「部活もそうだし」
「素振りもね」
「ファッションも」
 そうしたもの全てが、というのだ。
「女の子らしくないのよね」
「男っぽいわよね」
「男の子っていうかね」
「そんなところよね」
「そう?」
 杏本人は彼女達の言葉に応えてこう返した。
「私そんなに男の子っぽい?」
「今歌った曲だってジャニーズのだし」
「歌う曲男の子の曲ばかりだし」
「芸能界の話題でも女優さんの話ばかりで」
「空手部だし」
 女子部員だがそれでもだ。
「それもあるし」
「肉体作業得意で」
「力もあるしね」
「おまけに理系だし」
「どっからどう見てもね」
「女の子らしくないわよね」
「そんなにかしら。けれどね」
 杏は彼女達に次々に言われてこう返した。
「私これでもお料理とか得意だから」
「その作るお料理もよ」
 料理上手となると女の子の女の子らしさのステータスの最高のステータスの一つである、しかしその料理もだというのだ。
「得意料理肉料理とかじゃない」
「それか豪快な料理で」
「そっちも全然女の子らしくないわよ」
「どう考えてもね」
「そうかしら、女の子らしくないの」
「かなりね」
「男の子だから」 
 まだ言うクラスメイト達だった。
「今だって焼きそばをビールで食べてるし」
「しかも大ジョッキで」
「食べた後は爪楊枝使ったりするし」
「そこはおっさんだけれど」
「やっぱり女の子らしくないわよ」
 そのこともだというのだ。
「だからもうちょっと女の子らしくしたら?」
「さもないと彼氏出来ないわよ」
「杏がそれでいいなら私達も言わないけれど」
「もうちょっとね」
「女の子らしく、ねえ」
 ビールを飲む手を止めてだ、杏は考える顔になった。
 そうしてだ、クラスメイト達にあらためて尋ねたのだった。
「具体的にはどんな感じよ」
「それは雑誌とか読んで勉強してよ」
「私達もある程度ならアドバイス出来るけれどね」
「その辺りはね」
「ファッション雑誌とか読んで」
「そういえば私の持ってる私服って」
 今は学校帰りにカラオケ屋に寄ったので制服だ、制服は流石にスカートだがそれでもであった。
「ズボンばっかりで下着もシンプルなのばかりで」
「だからそこもよ」
「工夫してね」
「メイクもしないし」
 所謂すっぴんだ、ナチュラルメイクもしていない。 
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