願いとしては同盟軍以上に思っていたことだろう。→願いとしては同盟軍のそれ以上に切実であったことだろう。
言葉は、周囲の将官たちも淡い期待となって広がった。→言葉は、周囲の将官たちにも淡い期待となって広がった。
すぐに追いつくことなど不可能であり、駐留艦隊は、その隙をついて後退すれば多くの艦が斜線から逃れることができる。→駐留艦隊がその隙をついて後退すれば、敵がすぐに追いつくことなど不可能であり、結果的に多くの艦がトールハンマーの射線から逃れることができる。
腹立たしい事だが、一部の艦に被害が出ることは避けられないだろう。→腹立たしい事に、一部の艦に被害が出ることは避けられないだろうが。
叫んだ言葉に対しても、前方のモニターに映る艦影は明らかに動揺を隠せなかった。→叫ぶように発した命令に対しても、前方のモニターに映る味方の艦影は明らかに動揺を隠せず混乱しているようだった。
イゼルローン帰還すればよい→イゼルローンに帰還すればよい
堂々とした声音は、貴族とはいえ一艦隊の司令官としては十分な覇気がある。→堂々とした声音は、貴族にして一艦隊の司令官を拝命する者として相応しい覇気が込められたものだった。
数千隻にもある駐留艦隊の最前線の部隊だ。→駐留艦隊のうち、数千隻からなる最前線の部隊だ。
兵士たちにとっては同意見であったのだろう。→兵士たちにしてみれば全く異論を挟む余地などなかったのだろう。
主砲の斜線に入って→主砲の射線に入って
動力機関にある程度エネルギーを使っていなければ→予め動力機関にある程度エネルギーをプールさせていなければ
その速度に前線はおいていかれ、駐留艦隊総旗艦であるヴァルテンベルクの脇を駆け抜ける。→その速度に前線の部隊はおいていかれ、敵艦隊は駐留艦隊総旗艦に座乗するヴァルテンベルクの脇を駆け抜ける。
捨て身の特効だとしても→捨て身の特攻だとしても
反徒どもは……→叛徒どもは……
放たれようとする光の渦の脇すらも滑るように飛び込んだ。→放たれようとする光の渦の脇すらも掠めるようにして飛び込んだ。
口に出した言葉に→半開きの口から漏れた呟きに
永遠にも続くかに思われた瞬間であったが、その時間はほんの一瞬。→永遠に続くかと思われた歓喜であったが、実際にはほんの一瞬。
敵主砲が味方事撃つ可能性がある→敵主砲が味方ごと撃つ可能性がある
それをスレイヤーは、了承して戦闘状態からの離脱という離れ業をやってのけた。→その成果をスレイヤーは応用して、戦闘状態からの急速離脱という離れ業をやってのけた。
行動してくれたスレイヤー少将の力でもあった。→実行してくれたスレイヤー少将の度量でもあった。
悪戯げに笑んだスレイヤーに対して→悪戯っぽく笑んだスレイヤーに対して
運のみぞというよりも。→それを知るのは神ではなく。
正しい判断の言葉に、→もっともな言葉に、
全滅を覚悟した状況の、朗報に沸く艦橋。→全滅を覚悟した状況から、一転しての朗報に沸く艦橋。
アップルトンも喜びを浮かべつつ→アップルトンも喜色を浮かべつつ
「後退すれば間に合わない。と、すれば前面に向かうしかなかった」→「後退していては間に合わない。と、すれば前進するしかなかった」
結局として、寿命が数分ほど伸びただけだ。→結局のところ、寿命が数分ほど伸びただけだ。
主任参謀たちの思い浮かぶ過去の戦術には存在しない。→主任参謀たちが脳内で紐解く過去の戦術には存在しない。
「はい。作戦参謀が考えた懸念を、彼もまた考えて……」→「はい。作戦参謀が抱いた懸念を、彼もまた共有して……」
怪訝を浮かべるシトレ大将に対して→怪訝そうなシトレ大将に対して
ビロライネンを一括したのは、ヤンの隣から→ビロライネンを一喝したのは、ヤンの隣にいた
視線が、娘と同様に感情を表に出さないながらに、静かにビロライネンを見ている。→娘と同様に感情の起伏に乏しい顔を向け、冷徹な視線で静かにビロライネンを見据えている。
だが、その言葉は苛烈であった。→だが、その弁舌は表情とは裏腹に苛烈であった。
ビロライネンが殺さぬばかりにリバモアを睨む。→ビロライネンが殺意すら込めてリバモアを睨む。
あっさりと覆った意見を横にして→あっさりと前言を翻した上司を無視して
静かな目が二つ、ビロライネンを捉えていた。→静かな怒りを湛えた二つの瞳が、小揺るぎもせずにビロライネンを捉えていた。
そして、強い叱責の言葉だ。→そして、強い叱責だった。
貴官らは、いまの現状を分かっているのか→貴官らは、現在の状況を分かっているのか