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万華鏡

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第八十三話 卒業式に向けてその二

「アッチャラーン君がアバウトだからそういう仇名になるのはわかるけれど」
「仇名がしょっちゅう変わるのはね」
「そのことはっていうのね」
「ええ、何でそんなに仇名変わるのかしら」
「何となくでしょ」
 クラスメイトの一人が琴乃にこう答えた。
「それは」
「何となくなの」
「仇名はね、自然とつくものじゃない」
「まあそれはね」
「だからね、変わるのもね」
「それもなの」
「自然とでしょ」
 自然とだ、変遷しているというのだ。
「アッチャラーン君もね」
「そうなのね」
「しかも仇名って一つとは限らないじゃない」
「確かにね」
「声優さんとか普通に仇名幾つもあったりするから」
 その為声優さんの応援サイトや某巨大掲示板の個人スレッドでは仇名が幾つも出ていてはじめて見たら混乱したりもする。
「普通でしょ」
「じゃあアッチャラーン君も」
「仇名が変わってもね」
「いいのね」
「別に誰かが困る訳でもないし」
 彼の仇名が幾つあろうがどう変わろうが、というのだ。
「そもそもそれだけアッチャラーン君が親しみやすいってことだし」
「温厚でおおらかで親切でね」
 アバウトであってもだ。
「しかも物知りで」
「日本通でしょ」
「特にアイドルのことはね」
「それこそ下手な日本人より詳しいから」
 それが彼だというのだ。
「昔のアイドルについてもね」
「そっちも勉強してるのね」
「私アイドル時代の南野陽子さんとか知らなかったから」
「ああ、あの人昔アイドルだったのね」
 琴乃も知らないことだった、それで聞いて驚いたのだ。
「そうだったの」
「そう、スケ番刑事っていうドラマから出たらしいのよ」
「へえ、そういうドラマあったのね」
「斉藤由貴さんや浅香唯さんもね」
 この人達もだというのだ。
「そのドラマから出た元アイドルらしいわ」
「あの人達もアイドルだったのね」
「そうだったのよ」
「それでそのこともね」
「アッチャラーン君知ってるのね」
「そうなのよ」
「本当に詳しいのね」
 日本のアイドルにだ。
「博学なんてものじゃないわね」
「本当にそうよね」
「今のアイドルだってね」
「一杯いるからね」
「AKBにしてもね」
 ただ四十八人いるだけではない、系列のグループや練習生を含めるとそれこそ何百人もいるのだ。一口の四十八人ではない。
「相当いるしね」
「モー。も頑張ってるし」
「ももくろだって」
「グラビアアイドルもいるし」
「やっぱり多いわよね」
「その中のかなりをね」
 その彼はというのだ。
「知ってるからね」
「やっぱりアッチャラーン君ってね」
「凄いわよね」
「まさにアイドル博士よね」
「日本のね」
「昔のアイドルについても詳しいから」
 それこそだというのだ。 
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