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美しき異形達

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第十七話 最後の少女その七

「今はね」
「そうか」
「見たいから」
「あたしの腕をか」
「ええ、大体はわかるけれど」
 鈴蘭はその薊に述べた。
「身体から感じる気の強さでね」
「へえ、そこからわかるんだな」
「そうよ、けれどね」
「その目で実際に見たいんだな」
「そう、だから」
 それ故にというのだ。
「私は今はここで見させてもらうわ」
「じゃあ見てくれよ」 
 薊は鈴蘭のその言葉に笑って返した、そしてだった。
 その棒を両手に持って構えてだ、あらためて言った。
「あらしの闘いをな」
「そうさせてもらうわ、是非」
「じゃあな」
「ではだ」
 怪人もだ、薊と対峙しつつ言う。
「はじめるとしよう」
「行くぜ、今からな」
 薊は自分からだった、その棒を七つに分けて。 
 右から左に振った、それで怪人を打たんとする。
 だが怪人はその一撃を上に跳んでかわした、そしてその芭蕉の葉を。
 手に持って薊に向けて投げた、鈴蘭はその怪人が投げた葉を見て言った。
「ただの葉ではないわね」
「手裏剣かしら」
「そんなところよ」
 そうだとだ、裕香にも答える。
「あの葉はね」
「それで薊ちゃんを」
「切るか刺すつもりね」
 そうして攻撃するというのだ。
「どうやら」
「そうなのね」
「そう、だから」
 それ故にというのだ。
「あの娘がどうするか」
「見たいのね」
「とはいってもね」
 確かに見る、しかしというのだ。
「あの程度なら彼女ならね」
「かわせるのね」
「何なくね」
 それが出来るというのだ、そして実際に。
 薊はその葉、何枚も出されたそれを何なくだった。
 棒を一つに戻してだ、それを振ってだった。
 葉を全て叩き落とした、上から来たそれをそうして防いで言うのだった。
「準備体操は終わったんだけれどね」
「これは俺の準備体操だ」 
 怪人は着地してだ、そのうえで薊に答えた。
「それでやらせてもらった」
「ああ、あんたのそれか」
「そうだ、しかし今のを全て何なく防ぐとはな」
「これ位はあたしにしてもね」
 薊は海神に笑って返した。
「普通に防げないとね」
「駄目か」
「あくまでこれ位は、だよ」
「そうか、今のをかわせるのならだ」
 怪人はこう言ってだ、次はというと。
 葉をまた出した、しかし今度の葉は大きなものだった。刀それも中国の青龍刀を思わせるものだった。
 それを右手に持ってだ、そのうえで。
 左手にも同じものを出して持った、そしてだった。
 両手に持ったそれで薊に斬り掛かってきた、薊はその葉の双刀を棒で受ける。
 そうしながらだ、その激しい攻撃を見て言う薊だった。
「二刀流かよ、今度は」
「そうだ、これはどうだ」
「いいね、こっちの攻撃も」
「俺の葉は投げるだけではない」
「こうして斬ることもするんだな」
「そういうことだ、これは防げるか」
「今のところはね」
 こう答えた薊だった、だが。 
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