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東方変形葉

作者:月の部屋
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全国10カ所の妖気
  東方変形葉44話「黒き星の妖怪」

 
前書き
文「妖怪の山の侵入者は一掃しておきました。それにしても、少し呆気なかったですね。もう少しできる連中かと思っていましたが・・・。」
神奈子「まあ、それは私も同感だが幻想郷が壊されるよりは十二分いいだろう。」
文「まあ、無駄な争いは避けたいですしね。あや?あそこに見える黒い物体はなんでしょうか。」
神奈子「どれだい?あ?なんだあれは。やばそうな感じはしないが、奇妙なあの物体はなんだ。」
文「あっ!侵入者が来ました!」
 

 
「・・・何よあれ。」
さっきまで神社で侵入者の妖怪退治をしていた。思ったよりも弱く、お祓い棒一発で爆散していた。しかし、今気になるのはあの上空に浮かぶ、巨大な黒い物体。宵闇の妖怪の仕業ではないようだ。
「勘では、絶対に何か起こるのだけど。行ってみましょうか。」
『見つけたぞ博麗の巫女!お前をぎったんぎっ・・・』
「うっさい。」

霊符「夢想封印」

『がぁあああぁあああああ!!』
なんか邪魔が入ったが、それは気にしない。それよりも何かあるといけない。向かわなければ。



「・・・あれは?ルーミアか?いや違う。ルーミアの感じではないか。」
上空に謎の巨大暗黒物体が出現していた。さっきまでなかったのに。
嫌な予感しかしない。何かが起こる前に早く潰さなければ。俺は最速で黒い物体へと行こうとした。
「っ!?」
黒い物体の中から、無数の妖怪が現れたのだ。しかし、あいつらは何か違う。意識がないように見える。それはまるで、操り人形のように。
声も上げずに襲ってくる。太い光線を放つと、妖怪たちは爆発を起こした。・・・まさか、妖怪に火薬を詰めているのか!?妖怪のように見えるそれは、どうやら爆発物という意図を探られないためのカモフラージュで、実際はよくわからないリアルすぎる人形か。それをおそらく、あの闇で作られている。そこから考えられることは。
「・・・強大な力を持っているやつがあの黒い物体のなかにいる。」
もしかしたらこれは、大妖怪の卵か巣か何かかもしれない。そこから生まれた大妖怪の存在を気が付かせないように囮として50人近くの妖怪を地上で足止め。完璧な作戦だ。きっとこの時点であれを消す最善の方法は消されたのだろう。
試しに光線を放つが、効かない。妖力で守られている。
「えっ!?どうして裕海がここにいるの!?」
後ろから声が聞こえた。霊夢だ。
「ああ、ちょっと幻想郷がやばいと聞いてね。それよりも、これを早く何とかしなければならないな。」
「え、ええ。これはいったい何なの?」
俺の推測を霊夢に話す。
「なんですって!?だとすると・・・」
「手におえない大妖怪がそこに眠っているかもしれない、ということだな。」
一見、魔力や妖力は感じない。十分に力の抑制ができるのならば、恐らく大物に違いない。
と、今度は黒い弾幕を飛ばしてくる。しかし、その弾幕は殺傷力が高いようだ。
俺と霊夢は避けているが、量が多いのでなかなか先に進めない。
スペカ等は、黒い物体の内部に入り込んでそのなかの妖怪を退治するために使いたいので、今は弾をよけつつ力を休めている。
と、今度は黒い光線を放ってくる。
まずい!このタイミングで撃たれてはよけきれない!今、力を休めているところなのに!

魔砲「ファイナルスパーク」

と、そこへ黒い光線とは対照的にとても明るい光線が俺の横を通り過ぎ、黒い光線を相殺した。
「よう!帰ってたのか!」
魔理沙だった。
「ああ、一旦ね。」
お互いにっこりと微笑む。光線をむちゃくちゃに飛ばしてきたので、すぐに避けた。
なかなか近づけない。しかし近づきすぎると危ない。なんとか空間移動で黒い物体の中に入れないだろうか。
黒い光線はだんだんと早くなっていく。まずい!

神槍「スピア・ザ・グングニル」

禁忌「レーヴァテイン」

今度は紅い槍と炎の剣が黒い光線を相殺していく。振り返ると、スカーレット姉妹がいた。
一瞬、今昼なのにどうしてと言いかけたが、もう日は沈んでいると今初めて分かった。
「咲夜に聞いて日没に参上したわ!何やらおもしろいことになってるじゃない。」
「おにぃぃぃいいいいいちゃあぁああああああん!」
レミリアは胸を張ってそう言い、フランは思いっきり抱きついてきた。
「おっと。よしよし。」
フランの頭を撫で、若干揺らいでいた心が安らぐ。

断迷剣「迷津慈航斬」

「吸血鬼だけじゃないですよ!」
妖夢が刀を思いっきり振り下ろし、黒い物体に振り下ろした。
すると、ほんの若干だが、黒い物体は少しだけ揺らいだ。
「そうか!物理なら効くのか!ありがとう、妖夢!」
「い、いえ。これは幽々子様が指示してくださっ・・・あらもういない。」
急いで霊夢の元へ向かい、説明する。
「それで、物理のスペカは誰が唱えるの?これは一人のスペカでは簡単にはこじ開けられないわよ?」
さて、問題はそこだ、その物理のスペカだ。中に入るつもりの霊夢は使わないし、俺は物理系のスペカは持っていない。どうする?

符の壱「投擲の天岩戸」

要石「天地開闢プレス」

「お困りのようだね!」
「やってやろうじゃない!」
「萃香!天子!」

神具「洩矢の鉄の輪」

奇祭「目処梃子乱舞」

「あら?私たちもいるのよ?」
「我々神を忘れないでほしいねえ。」
「諏訪子!神奈子!」
皆が集まってきた。

超兵器「インドラの矢~完成版~」

「私もいるよ!」
「姫雪!永遠亭はもう大丈夫か?」」
「うん!」
姫雪はやわらかな笑顔で微笑む。人形たちがスキマで姫雪をここへ連れてきたようだ。
「じゃあみんな、行くわよ!」
「「「「「「「「スペルカード発動!」」」」」」」
天子の要石、萃香の突き、神奈子の御柱、諏訪子の鉄の輪、姫雪の光る矢、妖夢の素早い剣、レミリアの槍、フランの炎の剣。それらが黒い物体にぶつかる。
黒い物体はかなり揺らいでいる。しかし、もうひと押し欲しい。

廃線「ぶらり廃駅下車の旅」

スキマがあちらこちらから開き、そこから電車がたくさん走って行く。間違いない、紫のスペルカードだ。
と、そのとき黒い物体に穴が開いた。
「穴だ!霊夢、行くぞ!」
「ええ!」
俺と霊夢は黒い物体の中へと入って行った。



「頼んだわよ。裕海、霊夢。幻想郷の未来はあなたたちにかかっているわ。」
スキマから黒い物体に入って行く裕海と霊夢を見送る。私が行ってもよかったのだが、少し疲れて眠い。さて、眠る前にあれをしておきましょうか。

境界「永夜四重結界」

黒い塊を四重結界で囲む。これで黒い物体はあれ以上大きくはならない。しかし、その結界が破られるのも時間の問題。だから、
「あなたも協力してもらうわよ。祀られる風の人間。」
「ひゅえ!?」
スキマから東風谷早苗を引っ張り出す。
「あなたには、少しだけあの結界の手助けをしてほしいのよ。そんなスペカ、持ってたでしょ?」
「は、はい。多少なら大丈夫ですが・・・」

秘法「九字刺し」

結界の周りに、碁盤の目のようなマス目のある光線状の網が張られる。
「あとは、“効力の境界”」
その境界をいじることにより、あの光線の網が私の結界に力を与えるようにする。あの結界は本来、弾幕または力を消すための結界なのだが、これで結界は弾幕を吸収または奪うという仕組みに変わる。
「さて、私は少し寝るからがんばってそのスペカを維持していなさい。」
「はい、ってえええええええ!?」



不思議なことに、なぜか地面がある。空は、月よりも暗い。そのかわり、無数の星々が瞬いていた。
『我の誕生を阻害するものは何処の誰だ。』
遠いようで、近いような不思議な響きの声がした。見てみると、漆黒で大きな翼をつけた成人男性の姿の妖怪がいた。
「博麗の巫女と“変幻操作の人形師”だ。」
自分で言っておいてなんだが、“変幻操作の人形師”という2つ名は誰がつけたのかよくわからず、ただ人里でそう呼ばれるようにもなったのだ。
『博麗の巫女は知っている。だがお前は誰だ?』
「その前に、アンタの紹介をした方がいいんじゃないの?」
霊夢が足を何度も地面に軽く打ちつけながら言う。
『ふん、私に名などない。まあ、星を操る妖怪とでも言おうか。』
「星?」
星を操る妖怪。聞いたことがないな。
『星と言っても、それらから得られるエネルギーを糧とし、同時に力とするということだ。さて、お前のことを聞こうではないか。』
なんだか、時間稼ぎのような感じだ。外の様子を警戒したが、どうやら紫が仕掛けた結界などでこの黒い物体の活動を抑制しているようだ。
「俺は葉川裕海という人間だ。まあ、人間であって人間じゃないのかもしれないけど。」
『・・・よくわからないな。さて、おしゃべりはここまでだ!』
と、妖怪は妖力を出した。その妖力は底なし沼のように限りがないような、恐ろしいほどの量だ。
「やっと戦うモードになったわね。さっきのおかしな自己紹介はなんだったのかしら。」
「・・・言うな。なんか悲しくなるから。」
と、そこに黒い光線が飛んでくる。それをよけ、スペカを発動する。

変化「須臾の乱れ」

まずは様子見。“痺れの変化”で、当たったら体がしびれてくる。
『ふん、この程度の術が効くとでも?リゲルよ!青き光で邪魔な虫を消し去れ!』
と、妖怪の手のひらから青白い球が現れ、それが光ると同時にとんでもない威力で弾幕を消していく。
「面倒ね。『封魔針』!」
霊夢が妖怪の背後に回り、針を投げる。しかし、ほぼゼロ距離から撃ったはずの針はすべてかわされてしまった。
その瞬間を狙って光線を放つが、それを手で払いのけられた。
『赤き巨星、アンタレス!我を阻害する邪魔な人間を焼いてしまえ!』
と、むちゃくちゃに赤い光線が飛び交う。俺と霊夢は隙をうかがうが、一向に隙が見えない。

変化「十字砲火陣」

敵の足元に炎の陣を仕掛ける。そしてその陣から炎が飛び交う。火力、威力などを最大限にまで上げているので、喰らってはひとたまりもないはずだ。
『くっ!』
少しだけ痛がった。体勢が若干崩れたのを俺と霊夢は見逃さなかった。
「『博麗アミュレット』!」
「『恐怖の眼』!」
霊夢と俺の攻撃力を最大限上げており、大爆発を起こした。
しかし、それらは防がれた。
『ふう、危ない。閃光星よ!眩しき光で人間を焼き払え!』
「させるか!」
『なっ!?』
技をかける直前に一時的に“封印の変化”で技を抑える。そして、
「喰らえ!」
スキマワープで妖怪の背後に回り、至近距離で神力の太い光線を放つ。
『がぁああああぁああっ!?くっ、連星よ!奴らにまとわりつけ!』
2つの大きな弾が俺らを襲う。軽々と避けたが、どうにもついてくるのできりがない。
「鬱陶しい白玉団子ね。主の元に帰りなさい!」
霊夢が蹴りあげると、白い弾は妖怪の元へと飛んで行った。・・・どんな怪力だよ。
『おもしろい。神力を持つ人間に、博麗の巫女。おもしろい!』
突然爆発が起き、白い弾を吹き飛ばした。俺たちは警戒をさらに高めた。
『はははははははは!!お前たちは俺に勝てるかな!?』



続く
 
 

 
後書き
44話です。
ラスボス戦という形ですね。ただではいかない様子です。 
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