家長カナの奇妙な冒険
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
梅楽園での攻防 前編
前書き
第5話、スタート!
《浮世絵中》
放課後、カナとゆらは屋上にいた。
「ごめんな、家長さん……。」
「?」
「そ、その……。助けてもらって……。」
「ううん、気にしないで。(久しぶりに止めたけど、上手く出来て良かった……。これから、時を止める事が多くなるかもね……。)」
(家長さんに助けられたなんて……陰陽師の恥や。この汚名は必ずそそいでみせる!)
「あっ、こんな所にいた!」
「清継くんが呼んでいるよ。清十字怪奇探偵団の会議だって!」
↓
↓
↓
↓
↓
「全員、集まったようだな。では、ビッグニュースを発表する!」
「ビッグニュースって?」
「なになに?」
「喜ぶがいい!我ら、清十字怪奇探偵団は今週末に……おりゃ?団員が足りないようだな。」
清継の一言に、辺りを見渡す。
「奴良くんは?」
「若?……はっ!朝から一度も若の姿を見ていない!」
『うぅ……寒っ!』
↓
↓
↓
↓
↓
《奴良組・本家》
リクオは、あの出入りの後、風邪をこじらせていた。
カナ達もリクオの見舞いに来ていた。
「すまねぇな。わざわざ、リクオの見舞いに来てくれて……。」
鯉伴が、カナ達を案内している。
「いいですよ、鯉伴さん。ねぇ、皆?」
『うん!』
話していると、リクオの部屋に到着した。
「リクオ。お友達がお見舞いに来てくれたぞ。」
「お邪魔しまぁ~す。」
「情けないぞ、奴良くん。風邪をひくのは、馬鹿の証拠だ!」
「じゃあ、ゆっくりとしていきな。」
「あ、ありがとうございます。奴良くんのお父さん。」
「リクオくんが風邪ひくなんて、何かの前兆なのかな?」
「ひ、ひどいな!カナちゃんは!」
「冗談よ、冗・談♪」ニコッ
「カナちゃんって、時々冗談ですまないからなぁ~。」ボソッ
「何か言った、リクオくん?」ゴゴゴゴ
「な、な、何も言ってないよ!?(どうして、お母さんといい、カナちゃんも地獄耳なんだ!?)」
「さぁ~て、看病はさておき。清十字怪奇探偵団全員が、揃ったところで。改めて、週末の予定を発表する。」
「週末……?」
「そうだ。どうせ、君たちは暇だろう。アクティブな僕と違って。」
(清継くん、今……私達を馬鹿にしている、よね……?)ゴゴゴゴ
「い、家長くん……?どうしたんだぃ?」
カナから発する気迫に、清継は思わず、怖じ気ついた。
「ううん、なんでもないよ?」
「そ、そうかぃ…。では…この週末、僕が以前からコンタクトを取っていた妖怪博士に会いに行く!」
「えっ……?」
「なに、それ?」
「妖怪博士が、素敵な旅館も用意してくれているぞ!……妖怪合宿だ!」
「合宿!?」
「……。(清継くん、何を考えているやら……やれやれ。)」
「どうする?」
「まぁ、暇だから行ってもいいけど。カナは?」
「私…?私は……行ってもいいかな?」
カナを筆頭に、全員が承諾した。
「よぉ~し、決まりだ!場所は、妖怪博士が指定してきた『梅楽園』!そこで、清十字怪奇探偵団第1回妖怪合宿だ!」
(やれやれ……また、私が守ってあげなくちゃ、ね……。)
↓
↓
↓
↓
↓
~数日後~
《梅楽園》
「一体、何回乗り換えさせるのよぉ……。」
「あぁ…腰が痛いぃ~。」
「さぁ皆、見るがいい!ここが目的地だよ。」
清継がそう言うと、皆が見上げる。
楽園……というよりは、山そのものである。
「へぇ……まだ、梅の花が咲いているんだ!」
「キレイ……。」
「って、ここのどこが“園”なの!?“山”じゃん!」
「細かい事は、気にするな。さぁ、行くぞ!妖怪博士との待ち合わせ場所、『梅若丸の祠』へ!」
「祠?」
「どこにあるの?」
「知らない。自力で探せという事だ。この山のどこかにある。」
「えぇ!?この山を探すの!?」
『はぁ~……。』
清継の計画性の無さに溜め息が出る。
(特に妖気は感じひん。せやけど、油断は出来へん。)
ゆらは、先日の恥をかかないよう神経を尖らせている。
↓
↓
↓
↓
↓
山を登り始めて、しばらくたつが、一向に待ち合わせ場所に着かない。
「人なんて、いなそうですけど。」
「馬鹿だねぇ、島くん。人がいないからこそ、妖怪が出るじゃないか。多分ね。」
「多分ですか…。」
「?」
すると、カナはとある祠を見つけた。
「……うん、なんやろあれ?」
「どうした、ゆらくん?」
「小さい祠に、お地蔵様が奉ってあるみたいやけど。」
「どこ?」
「遠くて良く見えへんけど、何か書いてあるみたい。ちょっと見てきます。」
「「『梅若丸』って、書いてあるよ。」」
『えぇ!?』
「「…………。」」
清継達が驚く中、カナとリクオは互いを見つめ合っていた。
2人とも「何で、見えるの…?」と思っているだろう。
因みにカナは、“スタープラチナ”の望遠鏡並みの視力で捕捉していた。
祠に近づくと、“梅若丸”って書いてあった。
「あっ、ホンマや。」
「これが、目的の祠だよ。やったぞ、ゆらくん!」
祠の前で、集まっているとふと足音が聞こえてきた。
ゆらが式神のお札を構え、カナは“スタープラチナ”を出し臨戦体制に入る。
そこに現れたのは、小汚ない格好の男性だった。
「なんだ?あの汚いの?」
「は、馬鹿!作家にして、妖怪研究家の化原先生だ!」
「よぉ。意外と早く、梅若丸の祠を見つけたな。さすが、清十字怪奇探偵団。」
「あの、この祠の“梅若丸”って、なんですか?」
「そいつは、梅若丸っていうのは、この山の妖怪伝説の主人公だよ。」
「妖怪伝説?」
「ついて来るがいい。」
そう言って、歩き出した。
カナ達も後をついて歩き出した。
そして、カナ達は目撃する。
この『梅楽園』という山のもう1つの姿を!!
To be continued→→→
後書き
第5話、いかがでしたか?
牛鬼編は長いので、前編と後編と分けます。
ただ今、アンケートを実施しています。詳細は、前話の後書きをご覧ください。
次回、「梅楽園での攻防 後編」
お楽しみに!
ページ上へ戻る