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美しき異形達

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第十七話 最後の少女その二

 三人はお互いの携帯のメールアドレスと番号を交換した、そしてだった。
 その後でだ、薊は笑ってこうも言った。
「何か鈴蘭ちゃんはフレンドリーだな」
「そうは思わないけれど」
「いや、黒蘭ちゃんは取り付く島もなかったからな」
「あの娘は人見知りなのよ」
 それで、というのだ。
「初対面の娘や警戒している娘には無愛想なのよ」
「そうなのかよ」
「あれで意外と慣れたら人懐っこいのよ」
「意外だな、その一面も見てみたいな」
「そうね、では」
「ああ、お昼にな」
 こう話してだ、そしてだった。
 三人は昼休みにまた会うことにして今は別れた、そしてその昼に。
 薊は裕香と共に昼食の弁当を食べてから鈴蘭に連絡を入れた、そうして来た場所はというと。
「おいおい、お茶っていうからな」
「そうよね、喫茶店って思ってたけれど」
 二人は戸惑いながら今自分達がいる場所を見回していた。
 和風だった、畳に障子に掛け軸もある。そこはというと。
「茶道部の部室なんてな」
「ちょっとね」
「駄目かしら」
 鈴蘭は二人の前に正座をして座っている、そのうえで二人に言ってきた。
「このお茶では」
「いや、予想してなかったからさ」
「茶道とはね」
「だからびっくりしてるんだよ」
「私も」
「いいのよ。私茶道部の部員でもあるから」
 鈴蘭は正座のまま二人に話す。薊も裕香も今は正座である。
「このお部屋を使えて招くことも出来るから」
「それはいいけれどな」
 それでも、と言う薊だった。
「問題はな」
「お茶のことね」
「茶道をしつつの話かよ」
「普通よ。茶道はお茶を飲みながらお話をすることも目的だから」
「堅苦しいものじゃないんだな」
 畏まって茶を飲むものではとだ、薊は言った。
「そういうのじゃないんだな」
「そういうものではないわ」
 鈴蘭は微笑んで薊の今の言葉を否定した。
「それはね」
「そうなんだな」
「ええ、それにね」
「それに?」
「さっき貴女が言ったけれど」
 鈴蘭は薊の目を見つつ言う。
「茶道は堅苦しいものではないわ」
「正座してもかよ」
「正座も慣れると楽よ」
 鈴蘭は笑って安倉の薊に言った。
「昔は正座が普通だったから」
「皆慣れてたんだな」
「ええ、そうよ」
「そういえばお侍さんとか皆そうだったな」
「そうよね、時代劇とかね」
 裕香もその薊に応える。
「皆正座だしね」
「座ってたら慣れるんだな」
「そうみたいね」
「成程な、けれどな」
 薊は胡座のままだ、そのうえで言うのだった。
「今のあたしは無理だよ」
「そうなのね」
「足が痺れるからな」
 だからだというのだ、実際に正座が嫌がられる最大の理由がこれである。
「ちょっと座ると」
「別に正座でなくてもいいのよ」
 ここでこうだ、鈴蘭は薊に言った。
「別に茶道をする為に来てもらったのじゃないから」
「だからかよ」
「お茶は飲んでもね」 
 それでもだというのだ。 
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