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アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
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原作が始まった訳だが……どうしよう
  27話

イザナミに聞くまでもなくリンドウの捜索、アリサの隔離が原作通りの展開だと俺に状況を教えてくれた。どうやらイザナミは上手く処理してくれたらしく、リンドウを除く第一部隊も全員大した怪我も無く帰投できたらしい。
カノンに捜索を手伝うよう頼まれたり、他の連中からもちらほらと頼まれたりと中々大変だったな。
正直、居場所や生死まで知っている俺としては何とも言えない気分だが、それとなく探す程度には協力している。が、基本的に空母やら教会やらで探す振りをしているんだがな。
で、そんな中、急にサカキから連絡があった。この時期ならリンドウの事だろうと予想して行ってみると、あの任務、蒼穹の月で妙な偏食場パルスを観測したのでそれの調査を頼まれた。
恐らくシオがリンドウを襲おうとしたディアウス・ピターを止めようとした時に発したものだろうが、仕方ない適当にあの辺りをうろつくとしよう。
任務に出るにあたり、一応持ち歩かなければならない神機を取りに保管庫へ向かう途中、意外な人物に声をかけられた。
「マキナ少尉、少しいいか?」
「ん?」
リンドウの姉、でありゴッドイーターの指揮官かつ退役大尉の雨宮ツバキに呼び止められた。今まで書類やらの提出やらでしか接点は無かった人物で、俺自身サカキ直属のゴッドイーターということもありブリーフィングなども受けることはなかったので会話をするのは初めてだ。
「なんでしょう?これからサカキ博士からの任務へ向かう予定なんですけど?」
「それは博士から聞いている。そのついでというのは何だが、第一部隊の一時的な指揮をやってもらう。当然、今回の事は博士からの許可も得ている」
またあの野郎は勝手な事を……
「第一部隊でしたら二名抜けていますが、残りの四名は無事なので隊としては問題ないのでは?」
大体、指揮なんぞやったことがないし、他のゴッドイーターと任務をこなすなんぞ御免だ。
「いや、橘サクヤは疲労による一時的な休暇、神薙ユウはアリサ・イリーニチナ・アミエーラのケアを支部長からの指示でやっていて動けない。単独部隊とはいえ、実戦経験ならばこの極東支部でもトップクラスのお前ならやれるさ」
何故だろう、年はこちらの方が上なのにこの人の場合、お前呼ばわりされても何とも思わないな。多分、この妙な威圧感が原因なんだろうが、正直結構怖いぞ。
「分かりました、ただしその後の調査は一人でやらせてもらいます。サカキ博士からの任務の性質上、それだけは了承してもらえなけらば引き受けかねます」
「分かった、部隊の隊員にはそう伝えておこう」
本当にめんどうだな……



「初めまして、今回限りの隊長のマキナだ、よろしくな」
どうにも暗い雰囲気の二人にそう声をかけると、片方は生返事もう片方に至っては無視か……正直、帰りたい。何が悲しくて、こんな雰囲気の中でアラガミを狩らなければならんのだ?
まぁ、ゴネたところでどうしようのないんだがな。
「あの、ブリーフィングはいいんですか?」
藤木コウタがそんな事を聞いてきたが、お前らの雰囲気でそんな物に意味があるのか?
「いらん、俺に戦術を求めるな。お前はソーマ・シックザールと組んでいつも通りやってくれ、俺は単独行動以外はお前らより経験はないんだよ」
「はぁ……」
「それに急に初対面の俺と連携しろと言っても無理だろ?それに本音を言ってしまえば指示とか面倒だ」
「随分ぶっちゃけますね……」
悪かったな。そもそもこういった類の団体行動が嫌だからこその単独部隊でもあるんだから、俺に普通の隊長をやれというのは見当違いなんだよ。
えっと、今日の任務はコンゴウ二体か……こいつらだけでも問題ないんじゃないか?……本気で帰りたいな。
「なぁ、あんた」
「ん?なんだ、ソーマ?」
「あんた、あの人と同じなのか?」
あの人?……ああ、イザナミか。確か、一時期ソーマと組んでいたとイザナミが言っていたな。
こいつはゴッドイーターよりもアラガミ寄りの存在だからこそ、俺の体がアラガミだって事にも気付いたのか。
「ああ、あれと同じだ。だが、立場は違うから安心しろ」
「……そうか」
「あの人?誰の事だよ、ソーマ?」
「……さぁな」
コウタはイザナミが気になったようだが、やめておけ関わっても疲れるだけだ。それに人間には極端に手厳しいからな、あいつ。
「マキナさん、あの人って誰なんですか?」
「関わると疲れる残念な美人だ」
「……確かにな」
お、ソーマが笑った。成る程、こいつもイザナミの被害を受けた一人なのか。何だろう、激しく親近感が湧くな。
「美人!?マキナさん、紹介してくだだいよ」
「やめとけ、ロクな事にならんぞ」
その後、イザナミの事を知りたがるコウタを諌めながら目的地行きの車に乗り込み、大雑把な作戦の流れを説明する。二体のコンゴウの内、片方は俺が仕留める。その間に残りをコウタとソーマで仕留めてもらう、何かしらのイレギュラーがあれば信号弾を打ち上げるよう指示した。
どうやらこの指示は神薙ユウがよく提案する作戦と同じらしく、二人はすぐに納得してくれた。最初はユウの提案は却下されていたようだが、二三回共に戦うことでその力を見せつけて納得させたらしい。
「じゃあ、俺はこっち側のを仕留めるから、お前らはあっちを頼む」
「「了解」」



さて、じゃあさっさとコンゴウを狩るとしよう。立場上仕方がないとはいえ、神機をわざわざ使わなければならないというのは面倒だな。
神機は下手に力を込めると壊れてしまうし、攻撃力も殴った方が上なんだが、使わなければ傷がないと言って整備の奴らに怪しまれるからな。
流石にサカキも整備班にまでは手が回らないらしく、その辺りは我慢してくれとのことらしい。
もっとも、それによる弊害を抑える為に基本的にサカキからの依頼は、書類上の記載とは違うアラガミを本来の討伐対象とすることが多い。
理由は簡単だ、希少なアラガミ討伐したと報告すれば素材が支部長に持って行かれる可能性があるが、書類上討伐対象がオウガテイルなどの希少価値の低い素材であれば持っていかれる心配がない。
故に、その辺りにいる適当なアラガミを何体か切って、書類上に無い本当の目標を具足で殴るというパターンが殆どだ。
しかし、今回はサカキの依頼は調査なので神機を使うのはこのコンゴウ討伐のみ、つまり傷付き具合などを誤魔化すのが難しい。
「と言っても全部を神機でやる必要はないんだがな」
目標のコンゴウを見つけた俺はそこまで歩いていき、正面に立って神機を左手に構え、コンゴウの攻撃を待つ。
偏食場パルスを発さない俺を人間と勘違いしたコンゴウは、何の躊躇もなく俺に拳を振るう。が、残念ながらイザナミには及ばないものの俺もある程度は怪力を持っているアラガミなんでね。
コンゴウの大振りに振るわれた腕を右手で掴み、それのまま此方に引き寄せる。そして、体勢を崩したコンゴウの無防備に晒した柔らかい腹を、左手に構えた神機で刺し貫く。
一撃では死ななかったようで、コンゴウは暴れようとするが片腕は俺に拘束されているので、もう片方で神機を抜こうとする。もっとも、そんな事を許してやるはずもないんだがな。
腹に刺さったままの神機を、コンゴウの頭目掛けて上に振り上げる。すると、コンゴウは体の内側から頭を両断されて、大量のオラクル細胞を撒き散らしながら行動不能、いや、コアを壊したので死亡だな。
我ながら随分とグロテスクに殺したな……腹から頭までが裂けているコンゴウは見ていて気持ちのいいものではないな。
とにかく、この死体を神機に喰わせて、コウタとソーマの様子を見に行こう。この後も仕事があるんだ、こういった前座は早く終えるに限る。
俺が二人のいる場所に着いた時には向こうのコンゴウも討伐を終えたようで、二人ともコンゴウを捕食している最中だった。
「お疲れさん、お前らは帰っていいぞ」
「え、マキナさんは?」
「俺はこの後別口の仕事があるんだ、一応内容上極秘なんでお前らは帰れ」
「そうですか……あ、そういえばさっき通信でユウがマキナさんに用があるって言ってたんで、帰ったら一度会いに行ってやってください」
ん?何故に主人公が俺に用事?









 
 

 
後書き
次は少し戦闘無しののんびり系の話になります 
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