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五流の悪役

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第三章

「これはちょっと」
「読者さんが何て言うか」
「これまではギリギリは守ってましたからね」 
 どんなラフやこれはどうかと思う相手チームでもだ、最低限のスポーツマンシップは守っていて試合の後では主人公達の健闘を讃えたりしていたのだ。
 しかしだ、そのチームはというと。
「そういうのないですね」
「負けても酷いんですよね」
「ああ、こっちが正々堂々と勝つだろ」
 主人公らしくだ。
「実質勝利とか言うんだよ、試合後で競技委員会に抗議したりとかな」
「つまり試合後もですか」
「後味悪いんですね」
「勝っても負けても頭にくる」
「そうした相手ですか」
「そうだよ、椎名さんと話してな」
 そして、というのだ。
「そうしたチームにしようってな」
「そうしたんですか」
「ここまでえげつないチームにしたんですか」
「もう何のいいところがない」
「そうした屑チームにしたんですね」
「最低最悪のチームだよ」
 文字通りというのだ。
「これは反響来るだろうな」
「まあここまで最低ですと」
「それも当然ですね」
「読者さんもむかついて」
「主人公に徹底的に叩きのめされるのを楽しみにしますよ」
「俺達だってそうですから」
「描いてて心からそう思いますから」
 それで読んでいる方がそう思わない筈がないというのだ、描いている方も感情がありそれが移るかどうかは作品に大きく影響する。
 そしてだ、実際にだった。
 そのチームのあまりもの醜さにだ、読者達はまず驚いた。そして。
 呆れて怒り狂いだ、アンケートやネットに書き込んだのだった。
「最低だろこいつ等!」
「ここまで屑いないぞ」
「徹底的にむかつくな」
「何処まで卑劣なんだよ」
「スポーツマンシップ知らないのかよ」
「ラフプレイにな」
 それも尋常ではない、そのラフプレイも。
「ここまでラフプレイする奴等なかったな」
「相手を流血させるからな」
「相手再起不能レベルにしてもいいのか」
「最悪だな」
「審判は買収するしな」
 これは少年漫画の発想ではなかったが高野も椎名もあえて入れたのだ。
「買収された審判もとんでもないな」
「こいつも屑だな」
「しかも観客もな」
「応援団もな」
 彼等の行動もだった。
「無茶苦茶だろ」
「レーザーポイントに垂れ幕、ブーイングにな」
「人文字もかよ」
「誹謗中傷、罵倒ばかりだな」
「ひでえ応援団だな」
「ここまでするかね」
「こんな奴いるかよ」
 サポーター達についても話されるのだった。
「あんまりだよ」
「相手チームの主力選手や国旗の遺影まで作って」
「屑過ぎる」
「変なコラまで作って」
「あんまりだろ」
「こんな奴等早く負けろ」
「ああ、さっさと負けちまえ」
 遂にこうした言葉が出て来た。 
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