寒いからこそ
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第三章
「日本人も言ってるわよ」
「あの国の人達もですか」
「そうしたことを」
「ええ、だからね」
それでだというのだ。
「貴方達もよ」
「今すぐにですか」
「結婚すべきですか」
「日本人は鉄は熱いうちに打てとも言うわ」
ここまた日本の言葉を出すマキイネンだった。
「だからよ」
「僕達もですか」
「今すぐに」
「そう、結婚するのよ」
まさに思えば、というのだ。
「いいわね、夏まで待たないのよ」
「じゃあ夏まではですか」
「同居は」
「何言ってるのよ、結婚したらね」
それならというのだ。
「同居しないと駄目でしょ」
「それもですか」
「絶対ですか」
「当然よ、そもそも結婚イコール同居でしょ」
二人の言葉ではそうなる、二人共それは二人での話し合いの時には言葉には出していなかったが絶対の前提だった。
「それならね」
「冬にですか」
「寒いうちに」
「大丈夫よ」
その寒さについてもと言うマキイネンだった。
「そのこともね」
「寒くないんですか」
「別に」
「そこは何とでもなるわよ」
普通に、という口調だった。
「貴方達が心配しなくてもね」
「だといいですけれど」
「それでしたら」
「確かにこの街は寒いわ」
マキイネンもこのことは否定しない、誰がどう見てもこの街はかなり寒い。
「我が国の中でもね」
「相当に、ですよね」
「白夜やオーロラが見えますし」
「それも普通にね」
極寒の地の名物である。
「そうした街よ、けれどね」
「それでもですか」
「大丈夫ですか」
「ええ、安心していいわよ」
こう二人に言うマキイネンだった。
「新居のことは」
「それはどうしてですか?」
「今新しいお家に入ってもいい理由は」
「住めばわかるわ」
にこりと笑っての言葉だった。
「その時にね」
「一緒に住めば、ですか」
「結婚して」
「その時にわかるわよ」
「あっ、そういえば課長さんも」
「そうよね」
ここで二人も気付いた、課長個人のことに。思い出したと言うべきか。
「結婚されて」
「それと一緒に新居に入られてますね」
「ええ、そうよ」
まさにその通りだとだ、マキイネンも二人に答える。
「十二月にね」
「サンタクロースの季節に、ですよね」
「まさに真冬に」
「寒くなかったわよ」
その時に新居に入っても、というのだ。
「全然ね」
「だからですか」
「私達も」
サキルとナキヤはここでお互いを見た。
「今結婚して」
「そうしてですね」
「そう、新居に入りなさい」
マキイネンは二人に勧めもした。
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