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東方変形葉

作者:月の部屋
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日常の中の無限変幻
  東方変形葉36話「銀世界ピクニック」

 
前書き
てゐ「入場料」
裕海「・・・はい?我ながら珍しく竹林を抜けて永遠亭に来たというのに。」
てゐ「入場料、もしくはおもしろいことをやって。」
裕海「・・・おもしろいこと?」
てゐ「わくわく」
裕海「・・・人形劇ー!」
きらちゃん「きらちゃんで~す!」
ほたるちゃん「ほたるちゃんで~す!」
きらちゃん「2人揃って~!」
ほたるちゃん「きらほたる~!」
てゐ「・・・・・・」
裕海「・・・どうだ!」
てゐ「ゼロポイント。落とし穴スイッチぽちっとな」
きらちゃん「あ~れ~」
ほたるちゃん「お~ち~る~」
裕海「このように、幻想郷は今日も平和です。休日は世界有数の観光名所、幻想郷へ!」
てゐ「よろしくね!」
鈴仙「・・・何のコント?」
 

 
永遠亭はいつも通り平和でしたとさ。めでたしめでたし。ってまだ終わらんよ!
早朝に永遠亭に用事があったので行ってきた。姫雪は今もぐうぐう気持ちよさそうに寝ている。窓を見てみると、雪が積もっている。雪の積雪量はだいたい20センチぐらいかな。竹林も竹の緑と雪の白でいつもより美しく輝いていた。
今の時刻は卯の刻、つまり午前6時だ。7時になったら姫雪を起こして紅魔館へ行かなければ。
「ふみぃ~・・・」
「あれ?姫雪。起きたの?」
身長差が35センチぐらいもあるので、膝を曲げて姫雪の身長にあわせる。
「みゃあ・・・んっ」
鼻にキスしてきた。猫の挨拶のひとつらしい。本来は鼻と鼻をくっつけるのだが。で、鼻にキスされたからには俺もしなければならない。
「っ・・・」
「えへへ~・・・みぃ。」
姫雪はなぜか起きた時はこんな風になってしまう。かなり寝ぼけていらっしゃる。
「さてと、朝食を作るか。」
「みゃあ~!みゃぬみゃん!」
・・・日本語でお願いします。いや、言語変換すればいいだけなんだけど。



二度寝した姫雪を起こして朝食を食べ、出かける準備をした。さっきまで、人形たちと姫雪は雪に喜んではしゃいでいた。紅魔館に行く時間がきたので雪遊びは後回しになった。
「ふう、さて行くか。」
「「おー!」」
「いこー!」
人形たちと弟子の異常なほどのテンションはどこから来るのだろう。それは置いといて、スキマを開く。そして紅魔館につなげる。
「ん?うわあっ!?な、なんだ裕海か。」
繋げた先はレミリアのすぐそばだった。・・・レミリアは、なぜかナイトキャップではなく可愛らしいリボンのついた麦わら帽子をかぶっていた。
「8文字で呼ばれてきたよ。」
「うむ、よく来てくれた。」
カリスマオーラを出しているが、あまり「す、すげぇカリスマだ」みたいな感じでもないな。
「むっ、今失礼なことを考えたか?」
「気のせい。」
「まあいい。それより本題だ。」
レミリアが早速本題に入った。いったい何を言われるのか。
「ピクニックに行くわよ!」
・・・え?ピクニック?だから麦わら帽子?
「やったー!」
「ぴくにっくー!」
「やったやったー!」
人形たちと姫雪は3人で喜んでいる。まあ用事とかないから行くか。
「別にいいけど、今日は外は銀世界だよ?」
「うむ。だからこそだ。銀世界ツアーというのもなかなかいいものよ?」
言われてみれば確かにその通りだ。
「そういうことです。ですので防寒着などを着て来てください。合流は紅魔館の門前です。」
咲夜が隣に現れ、にこやかな笑顔で言った。
「わかった。すぐ着てくるよ。」
「ええ、早く着替えてきてよね。」



10分後。紅魔館前に集合した。パチュリーは今日の喘息の調子は好調らしい。美鈴はいつもどおり門番でついていかないが。まあ、美鈴にはあとで何かを送っておこう。
「おにーちゃーん!」
「おっと。」
フランがすごい勢いで抱きついてきた。フランの抱きつく時の速度と衝突時の威力は底知れず、威力をいじって弱めても結構くる。
「それで、どこに向かうの?」
「妖怪の山。」
妖怪の山か。許可を通せば入れてくれるかな?
「というわけで、裕海。スキマで妖怪の山の麓につなげなさい。」
まあ、そんな気はしていたから驚かないけど。妖怪の山の麓につなげる。
「「れっつごー!」」
「ピクニック~!」
人形たちと姫雪は大はしゃぎ。
「ま、私たち紅魔館組はあれぐらい明るくないといけないかもね。ね、咲夜。」
「・・・全員が全員、あのテンションだと逆に疲れます。」
「・・・言われてみればそうね。」
なんか、あっちで一喜一憂しているが、それは別にいいや。
「はい、スキマをくぐって~。」
「あら、スキマ妖怪のスキマみたいに目とか手は出てない、真っ暗な空間なのね。」
レミリアがつぶやいた。紫のスキマは、何をどういじればあんな目や手がスキマにでてくるのか俺にもよくわからない。



~そのころのスキマ妖怪~
紫「へくちゅ!」
藍「紫様、大丈夫ですか?」
紫「だ、誰かが私を遠いところから私の何かに何かを言われたような気がするわ・・・。いけない、ゆかりんパワーがどんどん吸い取られて980ゆっかりんになってしまうわ。このままだと最終的に50ゆっかりんになってしまう。」
藍「・・・日本語でお願いします。」
紫「ゆかりん、なんか泣けてきちゃう。は、早く私にゆかりんパワーを・・・」
藍「橙~、救急車呼んでくれ。黄色いやつ。紫様がさらに壊れた。」
橙「えっ!?」



ん?なんか聞こえた気がする。まあ気のせいか。
妖怪の山の麓。ここも木々に囲まれた見事な銀世界が広がっていた。
「さて、ここにシートを敷こうかしら。来て早々いい場所を見つけたわ。」
「そうですね。」
と、咲夜がどこからか出した、紅色のシートを敷いた。・・・白い雪の上に、血の色を連想させる赤いシートって、組合せ抜群だな。ホラー的な意味で。
「さて、あなたたち子供は雪遊びしてていいわ。当然私とフランとパチェも。あなたたち2人は、美味しいものを採ってくるのよ。」
「・・・どういうこと?」
「つまり、みんなの分の昼食を私とあなたで採ってきなさいってこと。」
説明ありがとう咲夜さん!・・・まあ、そんな気はしていました。
「「「頑張って、裕海様~!」」」
「お兄ちゃん、咲夜、たくさん採ってきてね!」
「おいしいのを採ってくるのよ。」
人形たちと姫雪、フランとパチュリーが応援してくれた。仕方ない、頑張って探すか。咲夜がいるから心強い。
「あ、そうそう2人は別々で探してきなさい。」
・・・心を読んだかのように言ってきたな。
「裕海、採った山菜は集合した時に必ず私に見せなさい。毒が混じってたらさすがにだめでしょ?」
山菜についての知識なんて、七草ぐらいしか知らないからな。
「ああ、頼むよ。」
そして、俺たちはばらばらに昼食を探し回った。



山菜・・・ああ、全然ない。少ししかとれてない。どうしよう。
悩んでいると、水の音が聞こえてきた。
「・・・これは、川の音だ。あ、そうだ!魚を捕れるかな?」
行ってみると、それは外の世界では考えられないほどの綺麗な川だった。ここなら魚がいるに違いない。
「しかし、どうやって捕まえるか。う~ん・・・」
ひとつ思いついた。“意識の変化”で一定の範囲の魚の意識をこっちに誘い、採ってしまう。
やってみると、意外とたくさんやってきた。主にニジマス、ちらっとイワナもいる。
それらを、ひとつずつつかむ。こんなこともあろうかと用意した袋がある。その中に入れる。そして、その魚が死んでしまわないようにある程度魚を入れたら川につける。結界を張り、絶対に盗まれず、流されないようにした。
「ふう、さてと少し休憩するか。」
と、一息しようと思ったら、
『『『『魚をよこせ人間~~~~!!!!』』』』
天狗と思われる妖怪の大群が飛んできた。文とは違い、血の気が多い連中のようだ。俺の周りを約30匹の天狗が取り囲む。
「んもう、面倒だな。これでも喰らってろ。」
俺は扇子を取り出した。送風レベルを最終レベルにする。
「吹き飛んでしまえ。」
と、360度回転しながら風を送る。すると、天狗はおろか、岩やその周辺に生えていた木も根っこから吹き飛んだ。
「・・・・・・」
月の扇子すげえ。最終レベルが台風レベルとは確かに言ってたけど、これはもう竜巻レベルじゃないの?
「あれ、あなたは確か・・・」
近くから声がした。見てみると、白い犬の耳がある女の子だった。
「ん?そういえば君もどこかで見たことがあるような。あ、神奈子とか諏訪子とかと戦いに行ったときに気絶させた子か。」
「あっ!そうです!・・・確か葉川裕海さんでしたっけ。」
「ああ、そうだよ。」
名前を言った覚えはないが、まあきっと文か誰かに聞いたのだろう。
「私は犬走椛と言います。それよりも、この光景はいったい?」
椛が不思議そうに言ってきた。
「俺がとった魚を奪いに来たから、適当に相手したら結果こうなった。」
まさか竜巻レベルの風が吹くとは考えもしなかったもの。
「そうですか、ここはまだ妖怪の山ではありませんが、もし入ってこられたら侵入者として迎え撃ちますよ。」
「俺はもう何度も山に入ってるぞ?」
まあスキマワープだから気づかないのも無理はないが。
「・・・成敗!やあああああああっ!」
悔しさか何かで刀を振り下ろしてきた。だが甘い。
「『威力の変化~鬼~』」
扇子で剣をはじく。この扇子は壊れないから便利だ。
「なっ!?・・・やはりお強い。ここは引くことにします。」
「単純な攻撃だねえ。あ、よく考えたら魚20匹もいらないな。一匹あげるよ。ほらっ」
手が届かないため、スキマで渡す。
「うわっ!?な、何!?おっとっ。」
スキマに相当驚いている。
「さてと、俺はそろそろ戻るよ。じゃあね。」
「え、ええ。はい、さようなら。」
スキマでもとの場所に戻る。



「ただいま~。」
戻ってきた。すると、そこにはよくできたかまくらがあった。
「「「おかえり~!」」」
「あら、ちょっと早かったわね。」
レミリアと人形たちと姫雪がかまくらから顔を出して言った。
「ああ、ほらこれだけ取れたよ。」
「あら、なかなかいいじゃない。川魚よくこんなにとれたわね。」
魚は“永遠の変化”で鮮度を保っている。
「そういえばあっちで何か音がしたけど、何かあったの?」
パチュリーがシートの上で本を読みながら聞いた。
「天狗たちが魚を奪おうとやってきて俺を囲んで攻撃しようとしたから、ぶっとばしておいた。きっとその時の音かな。」
「ただいま戻りました。」
咲夜も戻ってきたようだ。
「咲夜は~、山菜が多いわね。でもなかなかいいわね。」
「裕海、とってきたもの見せて。」
「はい、川魚は結構とれたけど山菜は全然だったな。」
そういって山菜と川魚を見せる。
「あら、川魚はよくとれてるわね、山菜は~・・・これはだめ、これはだめ、これはいけるわね、これはだめ。」
・・・あれ?そんなに食べられないものが入ってたのか。最終的にほんの一握りだけどなってしまった。
「さて、裕海!これらをあなたの家で料理してきなさい!」
「多分そう来ると思ったよ。咲夜、山菜の料理に関しての知識は皆無だから手伝ってくれる?」
そもそも山菜を採ったことも初めてだし。
「ええ、いいわよ。」
スキマを開け、俺の家の台所につなげる。



「うむ、悪くないな。」
「咲夜のもお兄ちゃんのも美味しいね!」
「さすが咲夜さんと裕海様!」
「あら、美味しいじゃない。」
川魚の塩焼き(骨抜き)と山菜天ぷらは好評のようだ。川魚を料理するのはかなり久しぶりだから不安だったけど。
「「すごーい!おいしそー!」」
うん、人形たちは残念ながら食べられない構造だからね。少しかわいそうだけど仕方ない。



昼食後は、俺と咲夜も入って雪遊びに付き合うことになった。今度は雪合戦らしい。パチュリーは残念ながらもともと体が弱いので、審判をやってもらう。
俺のチームはきらちゃん、フラン。咲夜のチームはレミリアとほたるちゃんと姫雪がいる。
「スペカは使ってはいけない、能力は使ってもよし。ただし裕海の能力は強すぎるから使うのはスキマのみ。武器を持っていたらそれで雪玉をはじいてもよい。しかし、使う場合は必ず片手に持っていること。一発でも当たれば当たった人は退場。制限時間は10分の5回戦。いいわね?」
レミリアが説明した。それに全員が賛成した。俺は言われたとおり扇子を片手に持つ。
「じゃあ始めるわよ。よ~い、始め!」
パチュリーが合図をした。それと同時に恐ろしいほどの雪玉が飛んでくる。くそう、あっちには咲夜がいるから時間を止めて雪玉を作るために手間がかからない。
「ど、どうしようお兄ちゃん。いきなりすごい量が飛んできたよ!?」
「こわ~い!」
「なんとかするよ。レベル5っと。それっ!」
扇子を広げ、風を送る。すると、雪玉は動きを止め、落ちていった。
「くくく、やるわね。ならこれでどう!?」
と、一瞬の間に俺たちの周りに雪玉が配置されていた。
「フラン、あれら全部やっちゃって!」
「うん!全部壊れちゃえ!」
と、フランが叫ぶと雪玉ははじけた。崩れ落ちた雪をスキマで回収する。そして、相手の方に向けて雪玉だった雪を投げつける。
「きらちゃん!全部再生しちゃって!」
「いえっさ~!なおれ~!」
と、投げつけた雪の塊は雪玉になる。そして俺が扇子を広げて風を送る。すると、雪玉はすごい勢いであっちに飛んでいく。
と、敵地から一本の矢が上に飛ぶ。それと同時に雪玉はすべてはじけた。
姫雪だ。おそらく衝撃波の矢を放ったのだ。
「裕海様、覚悟!」
雪でできた大量の矢がこっちに飛んでくる。
「甘い!」
スキマを開き、全ての矢をすべて回収する。そして、スキマを無数に開く。そこから回収した雪の矢が飛ぶ。
「くっ!?いたあっ!」
ほたるちゃんが当たった。よし、まずは一人。



「ふ~っ、ふ~っ、やるじゃない。」
「ふう、し、しぶといですね。」
「はあ、はあ・・・そっちもな。」
現在5回戦目。2勝2敗で、これが優勝を決める大事なセットになる。最終的に俺だけが残り、あっちは咲夜とレミリアが残っていた。俺は大量の雪玉を宙にほり、スキマに入れる。
「くらえ!スノーボールトンネル!」
無数のスキマが上空に現れる。
「咲夜、あれらを全てはじきなさい。私は裕海に高速球を御見舞いするわ。」
「はい。」
咲夜が雪玉を大量に配置して正確に、的確に放ってくる。しかし、ここまで俺の読み通りだ。
「いたっ!?え?どうして?」
咲夜は被弾した。実は、はじかれる雪玉の中に紛れて、ひとつだけ上空200mから落下してきた雪玉があった。それは普通の雪玉では絶対にはじかれないほど固い。なので、普通の雪玉が当たったところでなんの影響も受けない。
「あっ!咲夜!?何してるのよ!?くっ、喰らえ裕海!」
すっごい速さの雪玉を飛ばしてくる。この程度なら読める。レミリアに隙ができた。
「反撃だ!」
送風レベルを最終より2つ下にする。レベルは10段階ある。
扇子で仰ぐと、かなり迫力のある地吹雪が起きた。
「なっ!?何よこれ!?」
「チャンス!」
地吹雪に気を取られている隙に雪玉を投げる。
「あうっ!」
被弾。
「レミィの被弾を確認。よって優勝チームは裕海チーム!」
パチュリーが言った。それと同時に俺のチームの2人が駆け寄って抱きついてきた。
「すごーい!お兄ちゃん、一人で咲夜とお姉様を倒しちゃうなんて!」
「さすが裕海様!」
「ふん、仕方ない。だけど今度するときは負けないからね!うーっ!」
レミリアがシートでいつの間にか用意された紅茶を飲みながら言った。なんか、セリフの最後に鳴き声があったけど、それはレミリアの鳴き声か?



「ではそろそろ、紅魔館へ帰りましょう。」
咲夜が言った。気がつけばもう夕暮れ。今日は曇りだったからレミリアは太陽は大丈夫のようだったけど、吸血鬼って夜に行動して昼に寝るもんなんじゃないの?まあ細かいことはいいか。
「あら、もうそんな時間なの。帰りましょ咲夜。ところで夜の紅茶は何を出すの?」
「お嬢様のために、特別な紅茶をご用意しました。瑠璃色の紅茶でございます。」
・・・瑠璃色?どんな茶葉を使えばそんな色の紅茶ができるんだ?
スキマを開き、紅魔館につなげる。
「じゃあね、みんな。」
手を振ると、全員が手を振ってスキマの中に入る。紅魔館組を見送って俺たちも家に戻った。
「ふう、疲れたね。」
「そうだね~!」
「楽しかった~!」
人形たちが答える。姫雪はというと、疲れ切って寝たためおんぶしている。家の中に入り、姫雪を布団に寝かせる。
「俺も疲れたから寝るかな。」
「私も寝る~!」
「私も~!」
そうして布団に潜り、意識を手放した。
明日、紫からとんでもない話を持ちかけられることを、このとき俺は知らなかった。



続く
 
 

 
後書き
36話です。なんか長くなってしまいました。
次回、紫からあることを持ちかけられます。 
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