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美しき異形達

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第十六話 黒蘭の力その一

                   美しき異形達
                第十六話  黒蘭の力
 薊はピラニアの怪人と闘い続けていた、怪人は今度は。
 鱗を手に持ちナイフの様にして使い接近戦で薊に斬り付けてきていた。そして薊はその身体の動きと棒で防いでいた。
 そうしながらだ、薊は怪人に対して言った。
「さっきはいけると思ったんだけれどね」
「そうはいかなかったね」
「ああ、あんた接近戦もね」
「うん、自信があるよ」
 切りつけ続けながらの言葉だ。
「こうしたやり方でね」
「だよな、けれどな」
「けれどだね」
「あたしもなんだよ、それは」
 不敵な笑みでの言葉だった。
「接近戦には自信があるんだよ」
「その棒でだね」
「そうだよ、それで勝ってやるさ」
 今闘っている怪人に、というのだ。
「今からね」
「それじゃあそれを見せてもらおうかな」
「見るんだね、今から」
 こう言ってだ、薊は。
 一旦怪人に右足で前に蹴りを放った、怪人はそれを右に動いてかわしたが。
 ここでだ、その棒をだった。
 七つに分けた、そしてその棒をだった。
 怪人に向ける、これが薊の接近戦だった。
 黒蘭も同じだった、デンキナマズの怪人と闘っていた。見ればその手にはリボンがある、新体操のリボンだ。
 そのリボンを見てだ、怪人は言った。
「面白い武器だな」
「まだ二つあるわよ」
 黒蘭はそのリボンを新体操の演技の前、右手に持って前に突き出す姿勢で言った。
「私の武器は」
「その二つも新体操のものだな」
「ええ、戦術によって使い分けているわ」
 その新体操の道具を、というのだ。
「そうしているわ」
「それも見たいがな」
「さて、いいわね」
「こちらもな、仕掛けさせてもらう」
 怪人はこう言うと目を光らせてだった、そして。
 右手を大地に叩き付けた、そこから電流を放ってだった。 
 地走りで黒蘭を襲う、しかしその雷を。
 黒蘭は跳んでかわした、それからだった。
 その手に持っているリボンをだ、怪人に向けて放った。黒いリボンは蛇の如く怪人に襲い掛かる。
 怪人はそのリボンを後ろにステップしてかわした、リボンはその限界まで伸びたが届かず黒蘭の下に戻った。 
 だが黒蘭の攻撃はそれで終わらない、まだ跳んだままだったが。
 リボンを収め右手にフラフープ、黒蘭の色である黒いそれを出した。そしてそのフラフープを。
 サイドスローの要領で放った、見ればそのフラフープの周りには黒い気がある。
 その気があるフラフープが怪人を襲うがだった。
 怪人は今度は上に跳んでかわした、フラフープはブーメランの要領で円を描いてそしてだった。
 黒蘭の下に戻った、黒蘭は受け取って着地してから言った。
「今の二擊をかわすとはね」
「成程な、今の二擊目か」
「ええ、二つのうち一つはフラフープよ」
 それだというのだ。
「この通りね」
「そしてあとの一つは」
「また出すわ」
「然るべき時にか」
「武器は臨機応変に使うものよ」
「だからか」
「そうよ、けれど今の攻撃をどちらもかわしたとなると」
 それなら、と言う薊だった。
「使う必要があるかもね」
「面白そうだな、では見せてもらおうか」
 怪人は再び目を光らせた、そして今度は。
 右手に雷球を作ってだ、その雷球を。
 オーバースローで黒蘭に投げた、黒蘭はその雷球を前に動きながらだった。
 首を右に捻ってそれでかわしてみせた、紙一重で。
 そのうえで駆けつつだ、今度は両手に。
 クラブを出した、勿論新体操のクラブだ。色はリボンやフラフープと同じ黒だ。 
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