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久遠の神話

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第百九話 戦いが終わりその十一

「そうしないか?」
「剣道のですね」
「そうだよ、どうだい?」
「いいですね」
 上城は中田の言葉に笑顔になった、そのうえで答えた。
「それじゃあ」
「一緒にな、今度」
「僕がそちらに行きますんで」
 大学の方にというのだ、そこの道場に。
「お伺いします」
「日と時間は後でな」
「お話してですね」
「ああ、決めような」
「後でそうしましょう」
「そうしような、いや本当によかったよ」
 ここでだ、中田は上機嫌の顔でワインを飲んだ。そのうえでの言葉だ。
「俺としてはな」
「私達は待てばいいだけですかし」
 豊香もこう言うのだった。
「いい終わり方でしたね」
「お姉様は絶対に戻って来るわ」
 智子は今度はその豊香に顔を向けて言った、彼女の肩を抱く様な穏やかでかつ優しい声をかけたのである。
「その時まで待ちましょう」
「はい、三人で」
「そして私達はね」
「今は、ですね」
「この学園で」
 八条学園、今三人が通っているその学園の中でというのだ。
「それぞれ暮らしていきましょう」
「学生、教師として」
「そう、その立場でね」
 人間の姿で、というのだ。
「そして楽しみましょう」
「私達もですね」
「悲しんでいても時間は過ぎるけれど」 
しかしというのだ、それでも。
「楽しんでいてもね」
「時間は過ぎるからですね」
「それなら楽しむ方がいいわ」
 悲しんでいるより、というのだ。
「だからね」
「今の私達はですね」
「楽しんで生きましょう」
 人間の姿でいるその間は、というのだ。
「学生として、そして教師としてね」
「卒業すれば」
 聡美も大学生として話す、今の彼女の姿から。
「後はどうするかですね」
「その時は自由にすればいいわ」
「それぞれ、ですね」
「ええ、けれどね」
「楽しめばいいのですね」
「そうしましょう。そしてお姉様をね」
 セレネー、彼女もだというのだ。
「笑顔で迎えましょう」
「そうですね、それでは」
「ええ、三人で楽しく過ごしましょう」
 これが智子の妹達への提案だった、そして。
 その中でだ、三人共だった。
 この宴を楽しんでいた、それは樹里の父と弟も同じだったが。
 二人は周りの会話の意味をどうしても理解出来なかった、それで二人で顔を見合わせてそのうえで話すのだった。
「何かな」
「うん、お姉ちゃん達だけでね」
「色々とあったみたいだな」
「そうだね」
「それが何かがわからないが」
 それでもと言う父だった。
「皆凄く色々とあってな」
「絆があるみたいだね」
「そうみたいだな、本当に」
「そうみたいだね」
 こう話すのだった。
「本当に何かわからないけれど」
「全くだな、けれどいい感じだな」
「雰囲気としてはね」
 いいとだ、弟も言う。
「それならいいよ」
「そうだね、じゃあね」
「お父さん達はお祝いするか」
「とりあえずいい結果になったみたいだしね」
「うむ、そして上城君も樹里もな」
 特に二人を見てだ、父は言うのだった。 
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