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『自分:第1章』

作者:零那
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『分かれ道』

合格するか落ちるかの分かれ道は運もあるらしい。
その前に実力が無いと話にならん。
定員人数的には10人くらいは落ちるらしい。
それ聞いて正直焦った。
零那の成績は下から数えてすぐ位。
充分落ちる確率の方が高い。


園児ホームで料理してくれてる栄養士のムッちゃん。
若いけど何故か理解してくれてる。
何より遠慮せず屈せず、ぶつかってきてくれる。
それがうっといって思わんかった。
むしろ嬉しかった。

ムッちゃんが息抜きにってCDアルバムをカセットにダビングしてきてくれて『聴いてみ』って。
問題起こせば叱ってくれた。
職員と違って義務的なんじゃなく、向き合ってくれてるのが解る。

栄養士、メニュー作るのと御飯作るのと、検食用に保存するのが仕事。
無駄に入所児童に関わる必要なんか無い。
誰もそんなん求めてない。

その立場やから良かったんかも知れん。
職員には心開かん。
馴れ合いは勘弁。
そんな意地が無かった。

夜遅く迄キッチンで色々してた時もあった。
零那も一緒に手伝ったり勉強教えて貰ったりした。

男ホームの職員も何人か交代で夜に部屋来て教えてくれたりした。
それは素直に有り難かった。
意地でも受からな自身が許せん。


でも、此処は園児ホーム。
職員おらん時はホームの仕事も園児の面倒も見なあかん。


調理の手伝いは入所後すぐするようになった。
園児の面倒はさすがに嫌だった。
嫌いやし。

勝手に部屋入ってきて荒らしていくし。
うるさいし。
危ないから階段走るな言うても聞かん。
で、落ちたり怪我したり。

職員も放置やし意味解らん。
こんなんでええの?!
気になるし!
危ないし!
どこまで言葉通じとんかも解らんし...扱いに困る!!


そんなんでストレスも溜まって積み重なって暴れたり。
男ホームの小学生に小遣い渡して代わりにビール買いに行かせたり。
引きこもったり。


なんだかんだと問題も起こしたけど極度の負けず嫌い。
意地だけで高校入試は合格。


面接は勿論ぶっつけ本番。

『入りたい部活はありますか?』

『施設なんでお金かからなくてしたいのが在れば入ります。』

それだけは覚えてる。


佐藤に土下座し腐れ言うたけどせなんだ。
でも、クラスの子曰く、生徒からの仕打ちは受けたらしい。


卒業式。
思い入れやか無い。
練習は強制参加。
歌はKinKi Kidsのフラワー。
誰の選曲?無理。


施設居らなあかんなった。
義務教育終了の安堵感はあった。

 
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